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NVIDIA、ノートPC向け最新GPU GeForce 970M/980Mの発売を開始

デスクトップ水準の高いゲーミング性能を実現。バッテリー駆動時も高速駆動!

10月7日発売開始

GeForce GTX 970M/980Mチップイメージ

 10月7日、NVIDIAは第2世代Maxwellコアを搭載するノートPC向けGPU「GeForce GTX 900M」シリーズを発表した。今回登場するのはハイエンドモデルのGeForce GTX 970M/980Mで、搭載ノートPCはベンダー各社から本日より販売が開始される。

 これについてNVIDIAオフィスで行なわれた説明会では、NVIDIAのシニア・プロダクトマネージャーのブライアン・チョイ氏が登壇し、GeForce GTX 970M/980Mが実現する圧倒的なパフォーマンスと効率性について解説した。

低消費電力+ハイパフォーマンスでデスクトップGPUに迫る性能を実現

NVIDIAシニア・プロダクトマネージャー ブライアン・チョイ氏
GTX 680Mに比べて完全に2倍の性能

 GeForce GTX 970M/980Mは、先月発表されたデスクトップ向けGPU GeForce GTX 970/980のノートPC向けバージョン。コアアーキテクチャとして第2世代Maxwellを搭載する点は全く同等で、驚くべきはそのパフォーマンスの高さだ。

 資料によれば、前世代にあたるKeplerアーキテクチャのハイエンドGPU、GTX 680に比べてそのノートPC版であるGTX 680Mは40%も遅かったが、GTX 980Mでは最新世代のGTX 980に比べて25%しか遅くないという。説明を行なったブライアン・チョイ氏はこの事実を挙げながら970M/980Mを“デスクトップ・クラスのゲーミングを実現するGPU”であると定義した。

 ざっくりとしたパフォーマンス比較では、GTX 980Mは前世代のGTX 680Mに比べておよそ2倍のパフォーマンスとなる。これは比較するゲームを問わず達成されている数字で、第2世代Maxwellにおける様々な改良によって根本的なパフォーマンスが底上げされていることを意味する。

DSR(Dynamic Super Resolution)。内部的に高解像度でレンダリングし、低解像度のモニターでもより高品質の映像を得られる
MFAA(MultiFrame Anti-Aliasing)。複数フレーム間で2xMSAAを行なうことで、4xMSAAの品質を30%高速に実現
DSRはGeForce Experience 上で任意に設定できる

 GTX 970M/980Mでは、この高いパフォーマンスを前提として、デスクトップ版にも用意されたDSR(Dynamic Super Resolution)や、MFAA(MultiFrame Anti-Aliasing)といった数々の機能をサポート。これらの機能の効果についてはデスクトップ版の第2世代Maxwell GPUについてお知らせした記事に詳しく解説しているので、関心がある方は参照して欲しい(NVIDIA、第2世代Maxwellコア搭載のGeForce GTX 900シリーズを発表

 “オーバー1080pゲーミング”をコンセプトに謳うGTX 970M/980Mはデスクトップ級のパフォーマンスを発揮するだけでなく、当然ながら高解像度環境に強いため、搭載ノートPCはWQXGA(2,560×1,600ドット)クラスの高解像度パネルを難なく乗りこなせることになる。チョイ氏によれば現在のところ1080pより大きな画面解像度をもつゲーミングノートPCは、ゲーミングノートPC全体の7%しかないそうだが、本GPUの登場により高解像度パネル搭載PCの増加が期待できそうだ。

その他、NVIDIAの最新リアルタイムGI(大局照明)技術であるVXGI等、NVIDIA GAMEWORKS謹製の最新技術が本GPUで利用できる

改良版Battery Boost機能でバッテリー使用時のゲーミングを支援

電源接続時とバッテリー駆動時では利用できるパワーに大きな開きがある
前世代ではバッテリー駆動時にプレイできないタイトルもあった
バッテリーライフの大幅向上も達成
Battery Boost機能

 GTX 970M/980Mのもうひとつの特徴は、バッテリー使用時のゲームパフォーマンスの高さと、節電能力の高さだ。

 基本的にノートPC用GPUは、電源接続時にはフルパワーで動き、そうでない時はバッテリー出力に応じたパワーで動作する。このため、例えば前世代のGTX 680Mでは、バッテリー駆動時に大幅に処理能力が低下し、電源接続時には遊べていたゲームが遊べないレベルまで遅くなってしまうという問題があった。

 GTX 970M/980Mではそもそも電力効率が高まっているため、この問題は自然と改善されているが、NVIDIAではさらに抜本的な解決を図るため、搭載ノートPCを設計開発するベンダー各社に対してバッテリー出力の幅を増やして欲しい、という要請を行なったという。

 そのおかげもあって、GTX 680Mでは10fps前後しかでなかったゲームでも、GTX 980M搭載PCでは60fps超のパフォーマンスが得られる。それに加えて、バッテリー駆動時に問題になるプレイ可能時間も伸ばしたという。

 それを実現しているのが、GTX 970M/980M搭載PCで利用できる改良型のBattery Boost機能だ。本機能はKepler世代(GTX 800M)のノートGPUでも利用できたが、実際の効果は薄かった。それがGTX 970M/980Mでは、そもそもの電力効率が向上したことと、搭載PCのバッテリー出力の制御性を上げることで、30~50%の駆動時間延長を実現したという。

 これについては説明会の場でもデモが行なわれた。サンプルとして使われたのは「Tomb Raider」で、PCゲームの中でも重めのゲームのひとつだ。Battery Boostを使わない場合、60fps縛りの動作で消費電力はおよそ90W。そこでBattery Boost機能を有効にし、ターゲット30fpsで操作させると消費電力はおよそ60Wまで下がった。消費電力が2/3に下がった分、バッテリーは1.5倍長持ちするというわけだ。

 発熱等も気になるところだが、そのあたりは搭載ノートPCの実際の設計による。説明会の会場ではASUS、MSI、GIGABYTE、Clevoといった各ベンダーによる実機が展示されていたが、薄型のものから大型のものまで設計は様々。このあたりは実機レビュー等の機会があれば詳しくお伝えしたいと思う。

 というわけで、GTX 970M/980M搭載ノートPCは10月7日から各社より販売が開始される。4K品質を見据えるデスクトップ級のハイパフォーマンスに加えてバッテリー駆動時のゲームプレイも視野に入る実用性と来れば、デスクトップゲーマーの移行も煽ることになりそうだが、果たして、今世代のGPU決定版になるだろうか。

Battery Boostのデモ。当初90Wで駆動していたところから、30fps制限をかけることで60Wまで省力化
各社より登場予定のGTX 970M/980M搭載PC。デスクトップゲーマーでも、これ1台で済むというシーンがほとんどになるかもしれない

(佐藤カフジ)