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新進気鋭のオンラインフライトコンバットシム「War Thunder」βテストレポート

空戦シムが遂に陸戦要素を実装! 果たして究極のオンラインバトル空間は実現したのか?

オープンβテスト中

空と陸がひとつのゲームに収まった「War Thunder」
空軍要素は映像、内容ともに最高峰のデキ

 ロシア最大のインディーズデベロッパーGaijin Entertainmentが手がけるPC用オンラインゲーム「War Thunder」は、今でこそ知る人ぞ知る存在だが、遠くないうちに「World of Tanks」のようにミリタリー系対戦ゲームを代表する存在になるかもしれない。

 本作は基本プレイ料金無料で遊べるPC用のオンラインバトルゲームで、当初は日米英独ソの第二次世界大戦時の航空機による空中戦を手軽に、また同時にハードコアに楽しめるタイトルとして世界規模のオープンβテストを2012年11月に開始した。

 それから1年あまりが経過して、本作は同時接続10万人にも達する人気を獲得。この経緯から本作は“オンラインで遊べるフライトコンバットシムである”、というイメージが強かったのだが、去る5月15日に、それまでクローズβとして提供されていた陸軍要素がオープンβ化を果たした。ドイツ、ソ連の各世代の戦車を駆り、地上戦を楽しめるようになったのだ。

 本作はマウス&キーボードで手軽に遊べる「アーケードバトル」モードが1番人気のコンテンツとなっているが、ゲームの背骨であるシミュレーションエンジンは極めて本格的なもので、そのベースは本作を開発したGaijin Entertainmentが2012年3月にリリースした本格派のフライトコンバットゲーム「蒼の英雄(英題:Birds of Steel)」にある。航空機の再現度と同様に戦車の再現性もシム色が強く、これまでにない手応えだ。それでいてある点では、ミリタリー系対戦ゲームの1番人気となっている「World of Tanks」や「World of Warplanes」以上にプレイしやすい。

 リアル感たっぷりのな空中戦に加え、同じゲームで地上戦も楽しめるようになったことで、「War Thuner」はいよいよ、他のオンラインゲームとは異質な存在に脱皮をはじめた。本作の見所と、実装されたばかりの地上戦要素について、そして本作が目指す方向性についてご紹介していこう。

【War Thunder: 陸軍ローンチトレーラー】

3つのリアリティレベルを搭載し、ライト層からシムファン層まで大満足のデキ

空軍要素は日本軍機も充実。最新アップデートでは戦後第2世代のジェット戦闘機F86セイバーも実装された。
リプレイ機能も充実していて簡単にかっこいいスクリーンショットが取れる
各種アシストが充実した「アーケードバトル」。見越し点を敵に合わせて撃てばバリバリ当たる

 オンラインのフライトコンバットゲームとしてスタートし、今では戦車戦も楽しめる「War Thunder」。表面的には同系統の基本プレイ無料ゲームと同じく、オンラインで対戦してポイントを稼ぎ、新ユニットを開発・購入して、より高レベルの戦いを目指す……というもの。その中での最大の特徴は、プレーヤーの趣向に合わせて選べる3つのリアリティレベルを搭載していることだ。

 いちばん手軽な「アーケードバトル」モードでは、比較的狭めの戦場で複数回の再出撃も可能なハイペースのバトルが展開。操作は単純化されており、マウス&キーボードや、ゲームパッドでの快適なプレイができる。プレイ人口も多く、間違いなく1番人気のモードだ。

 その上には「リアリスティックバトル」、「シミュレーターバトル」という2つのリアリズムレベルがあり、こちらはシム志向の強いプレーヤー向けだ。この2つのモードでは、航空機の場合、航空力学的な再現度がぐっと上がり、例えば無理な高G旋回を行えば機体がバラバラになり、弾薬や燃料も限られ、撃破されれば再出撃は不可能、それで終わりだ。「シミュレーターバトル」ではさらに、敵アイコンが非表示となり、視点もコックピット内に限定されるという、ガチガチのシム風味バトルが楽しめる。

 シミュレーションの質はというと、航空機パートのフライトモデルは往年の傑作「IL-2 Sturmovik」にもひけを取らない密度と情報量だ。映像の品質も極めて高く、歴史的な正確性をとても重視している。本作で緻密に再現されたゼロ戦のコックピットを見れば、それだけで感動を覚える人も多いだろう。

本作の魅力のひとつはリアルに再現されたバーチャルコックピット。機内環境を体験
マウスエイムモードからフルコントロールまで、多彩な操作オプションが存在

 操作系の自由度もポイントのひとつだ。マウス&キーボード、ゲームパッド、フライトコントロールシステムの3系統から選ぶことができ、ボタンや軸の割り当てを非常に柔軟に設定できる。「シミュレーターバトル」のリアリティレベルで空中戦を楽しむ場合はフライトコントロールシステムがほぼ必須となるが、他のリアリティレベルならマウス&キーボードで十分に自在な操作ができる。

 シミュレーターファン好みのガジェットへの対応も積極的で、ヘッドトラッキングシステム「Track IR」には当初からネイティブレベルで対応しているほか、昨年のうちには早々にVRヘッドセット「Oculus RIFT」への対応も果たしている。最高のプレイ環境を整えたいユーザーにとって、理想的な条件が整っているタイトルだ。

 現在では日本以外のリージョンでプレイステーション 4版も展開しており、近いうちにPC/PS4のクロスプラットフォーム対戦が実現するとアナウンスされている。クライアントアプリは日本語表示にも対応しており(機械翻訳風の違和感はあるものの)、英語に抵抗のあるユーザーでも問題なく遊べるのも嬉しい。世界各国、お手軽にミリタリーバトルを楽しみたいゲーマー層から、リアル極まる制限と厳しさが楽しい、というガチガチのシミュレーター層まで幅広く満足させようという、意気込みたっぷりのオンラインゲームである。

新ユニットを開発し、新たなレベルの戦場に挑戦。ゲームの長期的な流れは典型的なF2Pタイトルのものだが、シミュレーション色の強いゲーム性が各プレイの奥深さをもたらしてくれる

(佐藤カフジ)