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【特別企画】「TESO」をプレイせずにMMORPGを語るなかれ!

会話しなくてもOK! 世界で求められる“ぼっち向けMMO”!?

会話しなくてもOK! 世界で求められる“ぼっち向けMMO”!?

過去の出来事を見ることができる。イベントはフルボイスで進行する
封印が解ける。MMOフィールドがダイナミックに変化する
「RIFT」のスクリーンショット。世界の裂け目が、表題の「RIFT」と呼ばれる。メインテーマだけに、派手だ

 ここからは、「TESO」の魅力を掘り下げて語っていきたい。まず大きいのは「この世界の勢い」である。本作は北米とヨーロッパの2つのメガサーバーがあり、ここに世界中のプレーヤーが接続している。結果としていつでもどの時間帯でもプレーヤーがいるのである。実際には一定のプレーヤーが場を共有するようにしているようで、視界がプレーヤーで一杯になるということはない。快適にいつも数人のプレーヤーと一緒に冒険をしている感触が楽しめる。

 ストーリーは街での対立や、異世界との戦いで、ダイナミックにフィールドが変化していくところが面白い。ある街ではクエストを境に衛兵達が襲ってくるようになり、その後対立する2つの勢力の戦争に発展、そしてプレーヤーの活躍で平安を取り戻すという展開となる。この時はMMO空間であるフィールドが大きく変化するところが面白い。さっきまでは普通の街だったのだが、クエストを受けて外に出るとあちこちで火の手が上がり、兵士達が激しく斬り結んでいる中を進んでいくことになったりするのだ。

 その後さらに変化する。プレーヤーの尽力で戦争が終わり、建物内でクエストを終え外に出ると、街のあちこちに兵士達の死体が転がっており、NPCは死体を片付けていたり、傷ついたまま座り込んだりしている。「新生FFXIV」でも“砂の家”などはいるメンバーが替わったり、NPCが旅立ったりと状況で刻々変化していったが、「TESO」は様々なフィールドが、広範囲に、ダイナミックに変わっていくのだ。

 一方「ちょっと地味かな」と感じるのは、世界に“楔”が打ち込まれ、異世界から侵略が行なわれる要素。ランダムで楔が現われ登場する敵に対して、その場のプレーヤーは共闘するのだが、今のところちょっと大きめの敵がでるくらいで派手さが足りない。このイベントの発生は欧米のMMORPG「RIFT」を思わせるが、比べるとかなり地味だ。

 「RIFT」は空にワームホールが開き、フィールドの色がはっきりと変わり、そこからモンスターがわらわらと出てくるのだが、「TESO」では数体しか出てこない。また、フィールドに巨大モンスターが出現する要素もあるが、頻度が多くないのか、まだ遭遇できていない。「新生FFXIV」の「F.A.T.E」くらいの頻度と、派手さが欲しい。

 「TESO」ならではの部分で筆者が特に楽しいのは、異世界の描写だ。プレーヤーキャラクターは時にはある人物の悪夢を見させる存在を倒すために夢の中に入っていったり、異なる次元世界に足を踏み入れたり、魔法使いの導きで過去の出来事を見ながらダンジョンを進むことがある。一見平凡で地味な物腰の人物がものすごい魔力を持っていたり、この世とは思えない世界に踏み込んでいったり、ダークファンタジー風の展開がとても楽しい。過去の裏切りや陰謀が目の前で再生されたりすることもある。

 ストーリー、世界観が魅力的なだけに、やはり日本語訳が欲しい。雰囲気だけでもかなり楽しいが、ストーリーの細部がわからないのがもどかしい。“メインクエストだけは”、というように、一部だけでも翻訳して欲しいところだ。また、「TESO」ではかわされている言葉は英語で、日本語チャットにも対応していないため、英語が苦手なプレーヤーは外国にいきなり放り出されたような気分になるところがある。特にプレーヤーの会話はネットスラングが多めでわかりにくい。

 一方で、英語版なのに英語が苦手でも楽しめるというのは、改めてすごいことだと思う。本作は会話いらずで進められるし、周りの会話もよくわからなくても問題ないというところで、実は本作は最強の“ぼっち”向けMMORPGではないかと思うところもある。シングルプレイと同じ感触で、“終わらない冒険”が楽しめる。英語が全くわからなくても、「Skyrim」の知識があれば充分ゲームを進められるし、その冒険はとても楽しい。英語がわからず、しゃべれなくても気軽に自分のペースで進められるこのバランスは、ワールドワイドに展開する“世界が求める新時代MMORPG”なのではないかと思うのだ。

【スクリーンショット】
重厚なファンタジー世界、陰謀や、恐ろしい怪物、異世界からの脅威など「The Elder Scrolls」シリーズならではの密度の高い冒険が展開していく。常にクエストが提示される形で、そのボリュームは圧倒的だ
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(勝田哲也)