ニュース

【特別企画】GDC Awardsノミネート記念、“尖った”インディーズゲームの数々を紹介

インディーズ発、宇宙行き。本格派宇宙船サンドボックス「Kerbal Space Program」

インディーズ発、宇宙行き。本格派宇宙船サンドボックス「Kerbal Space Program」

宇宙船を作成して空に飛ばすゲーム

 3作目は「Game Developers Choice Awards」の観客賞を受賞した宇宙船サンドボックス「Kerbal Space Program」。シミュレーター寄りのゲームで、今回紹介している他の作品とは少し毛色の異なる作品だ。

 コックピット、エンジン、燃料タンク、その他のパーツを自由に組み合わせ自分だけの宇宙船を作り、作った宇宙船で宇宙に飛び出す。ちゃんと作りこめば月や他の惑星に着陸することもできるし、地球への帰還も可能という宇宙船シミュレーターだ。

 一応特定の目標を達成するという「シナリオモード」も実装されているが、自分なりの目標を設定して、自由に宇宙船づくりを楽しむのが基本的な遊び方だ。

 宇宙船を作るフェーズは操作に多少クセはあるものの、ほとんどマウスを使って直感的に操作ができる。補助的にキーボードを使用するといった感じで、好きなパーツを選択し、宇宙船のどの部分にくっつけるかを調整していく。

 自分オリジナルの宇宙船ができたら早速打ち上げだ、と言葉で説明するのは簡単だが、実は意外と難しい。本作はシミュレーター寄りのバランス調整がされており、適当に燃料とエンジンを組み合わせてロケット“っぽいもの”を作って打ち上げても、成層圏に飛び出す前にバランスを崩してしまう。それほど難易度が高く、実際筆者はそうなった。

 更に打ち上げ中の操作もかなり細かく、WASDキーで姿勢制御の他に、スロットルの調整、SAS(安定性増加装置)、RCS(姿勢制御システム)のコントロールなどなどと文字だけではサッパリわからない要素も多い。

 実際のプレイでは、バランスを取るために翼を付けてみたり、推進力を稼ぐために別の燃料タンクとエンジンを追加してみたりしたが、なかなかこれがどうにも難しい。どうにか上手く打ち上げる方法はないかと調べてみると「SAS」というパーツを組み込めば動きがある程度安定するという。早速導入しある程度の安定は得られた。

 最終的に重力圏を脱出するところまではできたが、月への着陸はさらなる作りこみが必要になりそうだ。

 詳しくはスクリーンショットを見ていただきたいが、計器類も多く、慣れるまではどの計器が何の数字を指しているのかすらわからなかった。しかし、わからないなりにもトライアンドエラーを繰り返すと打ち上げだけはそれっぽくできるようになってくる。次は衛星軌道に載せる部分を目標にプレイするつもりだ。

 ちなみにネットで調べてみると宇宙船だけでは飽きたらず、パーツを組み合わせて“ピッチングマシーン(!)”を作ってしまったプレーヤーもいた。想像力次第で何でもできる、というのはサンドボックス型のゲームに共通した要素ではあるが、正直これには驚かされた。

 難点はほぼすべてが英語なのでパーツの意味などを理解するのがかなり大変なことだろうか。液体燃料だけでも数種類あるので、ゲームに慣れるまではどう組み合わせれば良いかわからなかった。ある程度の情報は有志の日本語Wikiに揃っているので、月に着陸するくらいまではできるだろう。

 インディーズゲームらしいチャレンジングなサンドボックスゲーム。子供の頃宇宙飛行士に憧れていた読者はぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。価格は26.99ドル(約2,755円)となっている。

【スクリーンショット】
筆者が作成した最初の宇宙船。燃料が少ないのもあり数千メートルまでが限界だった
重力圏を脱出した飛行機。固形燃料ブースターを大量に使い一気に地球から脱出する……が時々空中爆発を起こす

(八橋亜機)