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「立体機動装置」の移動システムに注目! iOS「進撃の討伐3D」

原作リスペクトの同人ゲーム。空中移動の爽快さと巨人の理不尽さが原作世界観を上手く表現

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「アンカー」による空中移動が本作のすべて
巨人の弱点であるうなじは光っており、位置がわかりやすくなっている
一撃必殺の「カウンターアタック」。方向さえ間違えなければ最強
移動システムはクセがあるので、使いこなすのが大変

 kamasu.jpが2月9日に配信したiOS「進撃の討伐3D」。名前から想像されるとおり、人気漫画「進撃の巨人」をモチーフとした3Dアクションゲームとなっている。制作者の山田恭平氏はあくまで同人ゲーム作品としており、原作者や出版社とは一切関係ないとしているが、そのグレーさを超えてよくできたゲームだったので紹介したい。

 ゲームの内容は、壁に射出して巻取り、スパイダーマンのように空中を移動できる「アンカー」を利用してステージを飛び回り、歩きまわる「巨人」を討伐するという3Dアクションとなっている。

 本作は操作がやや特殊で、ステージ上にそびえる壁をタップすることでアンカーを射出し、アンカーの先が壁に届いてからタップした指をドラッグすることでワイヤーが巻取られ、キャラクターを飛び回らせることができる。ドラッグする方向は自由で、その幅が大きいほど巻き取りが速くなり、移動速度も増す。

 最初は操作に慣れずに思い通りに移動できないが、慣れればアンカーを連続で射出し、壁と壁の間をグングン進んで爽快な空中散歩を楽しむことができる。巨人を討伐するよりも、まず「立体機動装置」で空を駆ける気持ちよさがスマホ上で存分に表現されていることに注目したい。

 また巨人との戦闘はシンプルで、移動中に巨人を見つけたら、壁や巨人にアンカーを放ち、光っているうなじに体当たりすることで巨人を倒せる。巨人側はプレーヤーを見つけると体の一部に青いエフェクトをまとって「顔の正面を守る」、もしくは「思い切りキックする」というアクションを起こす。この青いエフェクトに触れてしまうと1発ゲームオーバーなので、一定の距離を保ちつつ、背中からうなじを狙うのがセオリーだ。

 なおアンカーでの移動中に巨人の横を通り過ぎる時に巨人をタップ&ドラッグすることで「カウンターアタック」を発動できる。これを発動するとキャラクターが巨人のうなじに一直線に向かっていき、一撃必殺技でそのまま討伐となる。「アンカー」の駆動システムだけではなかなかピンポイントの移動は難しいが、「カウンターアタック」があることで「巨人」の討伐が格段にやりやすくなる大変便利な技だ。ただし「巨人」はしょっちゅう顔の正面を守っているので、背中側からの発動を心がけないと即ゲームオーバーに繋がってしまう。

 とにかく移動が命なので、移動操作のコツを掴むまでが非常に難しい。深い角度で壁に当たるとそのまま壁を登って上に飛び上がるようになっていたり、壁に近づきすぎるとカメラがのめり込んで位置を把握できなくなったり、数々ある本作のクセを把握することがその近道なのだが、この扱いづらさも含めて「立体機動装置」っぽいので、意外に不快な代物ではない。

 ステージは空中移動が自由に楽しめるくらいにかなり広くなっているが、索敵システムがゼロのため1体の巨人を探し出すために結構な時間を費やす必要があり、しかも少しのミスでゲームオーバーでやり直しになる。はっきり言って難易度は高いが、その理不尽さも「進撃の巨人」らしい。

 ちなみに山田恭平氏はアプリの説明欄にグラフィクスやモデルはすべて自作であること、音楽や効果音の引用元を記載すると共に、原作制作者や関係者への制作に対する感謝を述べ、原作へのリスペクトを表明している。

 本作はApp Storeの無料ランキングで徐々に順位を上げて、2月19日時点で第3位。そのクオリティと原作への愛は、安易な模倣アプリを作る精神とは雲泥の差があると思うので、今後も面白い作品を作り続けてほしいと思う。

【スクリーンショット】
マップは広大なので、巨人を探すのにも一苦労。しかし油断すると即死なので、完全にクリアするまで全く気が抜けない
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(安田俊亮)