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セガ、PS3/PS4「龍が如く 維新!」ステージイベントレポート
台湾の濃い「龍が如く」ファンが集結! “中文版シナリオ”小冊子を同梱
(2014/1/26 09:34)
Taipei Game Show 2014のSCETブースで行なわれたセガのプレイステーション 4/プレイステーション 3用アクションアドベンチャー「龍が如く 維新!」イベントでは、「龍が如く」シリーズの総合監督を務める名越稔洋氏が登場し、作品の特徴を語った。
「龍が如く」シリーズは男くさい作風が特徴だ。集まった台湾ファンも他のタイトルとちょっと違う雰囲気だった。最前列にはサングラスを掛け、「龍が如く 最高!」という自作の日本語看板を持った気合いの入ったファンがいて、メディアに注目されていた。彼はシリーズ全タイトルを会場に持ってきており、イベント後のサイン会で何としても名越氏に自分の熱意を見せたいという気合いに溢れていた。他のファンも「龍が如く」が好きだという想いを込めてイベントに参加しているのが伝わってきた。
齋藤一の本名は“坂本龍馬”! 大胆な仮説で展開する「龍が如く 維新!」
「龍が如く 維新!」は幕末を舞台にしたアクションアドベンチャー。主人公は「坂本龍馬」であるが、彼は復讐のために“齋藤一”と名乗り、新撰組に入隊するという大胆な設定でのドラマが展開する。これまでの「龍が如く」シリーズに登場したキャラクター達が幕末の人物達として登場し、熱いドラマを繰り広げて行く。シリーズファンはもちろん、歴史好きのゲームファンにも要注目の作品となっている。
会場ではまず新撰組の羽織をまとったコンパニオンがずらりと並び、名越氏はその中心に立つという他のイベントではなかった派手な演出が入った。名越氏は「このように台湾でイベントに出るのは初めてですが、その熱気に驚いています。新作を紹介しますのでお付き合いください」と挨拶した。
「龍が如く 維新!」は、台湾では、ローカライズは行なわれず、中文版のマニュアル付日本語版での発売となるが、予約限定特典としてゲーム内のシナリオを全て翻訳した小冊子を同梱することが発表された。この予約特典により、日本語が苦手な人でも本作を楽しむことができる。この中文版シナリオの特典は、前作に引き続いてのものとなるが、ファンには嬉しい要素だろう。ちなみに、台湾での発売は日本と同じ2月22日となる。また、名越氏は「龍が如く 維新!」の予約特典としてサウンドトラックが同梱されることを明らかにした。ゲームのBGMに加え、声優による歌も収録されているという。
「龍が如く 維新!」の大きな特徴として「バトルスタイルの切り換え」がある。坂本龍馬は刀で戦う「一刀の型」と銃を使う「短銃の型」、素手で戦う「格闘の型」、刀と銃を使用する「乱舞の型」という4つの戦闘スタイルで戦う。イベントではPS4でのデモプレイをプロデューサーの佐藤大輔氏が行なった。
デモプレイで実際の4つのバトルスタイルが紹介された。「一刀の型」は最も攻撃力が高く、ガードも可能で戦いやすい。「短銃の型」は遠距離から一方的に攻撃できる。威力は低めだが、武器を鍛えることで攻撃力が上がっていく。刀と銃で戦う「乱舞の型」は素早く敵を圧倒するような戦い方ができるが、ガードができないため攻められると弱い。「格闘の型」は敵の攻撃を受け流せる。防具を鍛えることで刀や銃をガードできるようになるという。
さらに佐藤氏は新撰組として隊員と共に戦う「バトルダンジョン」と、野菜を育て料理したり家を飾り立てる事ができる「アナザーライフ」の要素を紹介した。「バトルダンジョン」では隊員達はカードとして表現され、カードを組み合わせることでキャラクターを強化できる。武器強化のための素材も入手できるという。アナザーライフは野菜を育て、様々な効果を発揮できる料理を作ることが可能だ。猫や犬を飼うこともできるという。
このバトルダンジョンとアナザーライフはPS Vita向けに2月13日に無料配信される「龍が如く維新! 無料アプリ for PlayStation Vita」でもプレイできる。もちろん本編と連動しており、セーブデータを「龍が如く 維新!」本編で使用できる。ミニゲームも充実しており、無料とは思えないほど楽しめるとのことだ。
イベントの最後に名越氏は「『龍が如く 維新!』はシリーズ最高傑作として自信を持って皆様にお見せできる作品となりました。PS4、PS3どちらでも楽しめます。皆様がこのシリーズに関心を持っていただいていることを感じましたし、セガを代表して、中文版のローカライズを積極的に検討していきたいと思います」と会場に語りかけた。
“情熱を持ってゲームを作れば新しいマーケットは作れる”。名越氏のシリーズに向けた想い
合同インタビューでは、「龍が如く 維新!」のPS3とPS4の違いについての質問が上がった。名越氏は、「PS4はPS3と比べてパフォーマンスが10倍近く違う。グラフィックスは大きく違いますし、エフェクトもきれいです。特にバトルはなめらかなさわり心地になっています」と語った。もちろんPS3版も前作より大きく進化しており、けっして劣るものではないという。
PS4開発に関しては「PS4ならではの特性を盛り込む」という部分で頭を悩ませたという。限られたコストの中、何処までハイパフォーマンスを実現するのかという問題は、今後もプロデュースの視点で難しい部分があると語り、「台湾でいっぱいこのゲームが売れれば助かりますね(笑)」と名越氏は一言付け加えた。
「PS4が出るからこそ、“日本”を強くアピールするために、日本の歴史をテーマにしたのでは?」という質問に対しては、名越氏は「前作を開発した時点で、次は歴史物にすることは決まっていて、PS4のリリースと重なったのは偶然ではあるが、良い印象を与えられると思う。ラッキーでした」とコメントした。
史実では齋藤一が坂本龍馬暗殺を計画したこともある。「龍が如く 維新!」では歴史上の出来事を追いながら、フィクションの要素を盛りこむ。ここが面白いところだと名越氏は語った。本作の歴史は現代を舞台とした「龍が如く」シリーズの歴史と繋がるというイメージで制作されているということも明らかになった。
シリーズの登場人物を歴史上の人物に当てはめるのは、意外性も狙ってみたという。ユーザーを驚かせたいという思いは強く持っているとのこと。ちなみに、前作までの連動機能はPS3版に盛り込まれているが、PS4にはない。PS3版ではシリーズのセーブデータがあると何らかの特典が得られるという。
「龍が如く維新! 無料アプリ for PlayStation Vita」を今後スマートフォン向けに提供する予定はあるか? という質問には「現時点ではないです」と名越氏は答えた。「龍が如く」シリーズはハイパフォーマンスを実現できるハードに向けて今後も開発していくつもりだとシリーズの方針をあきらかにした。
「シナリオを中文化した小冊子を付けるなら、いっそのことゲームそのものを中文翻訳したほうが良かったのではないか?」という質問も台湾メディアから上がった。本作の発売時期は、セガが中文版のローカライズに関してはするべきか、という判断の“間(はざま)”であり、「龍が如く 維新!」は日本でのPS4ローンチに間に合わせる為の作業量の兼ね合いもあり、中文版開発には至らなかった。しかし、今後は積極的に検討していくとのことだ。
最後の質問は、「名越さんにとって、『龍が如く』シリーズは何でしょうか?」というもの。名越氏は少し考えた後、自身の想いを語った。「このシリーズは日本の中でも珍しいジャンルのゲームとして生まれました。ゲームには色々な世界観があり、色々な楽しみ方があるべきだと考えていて、“こういうものではないと売れない”といわれることがあった中で、そうじゃなくても面白いんだという証明をするためにこのシリーズはスタートしました」。
さらに名越氏は「このシリーズの前から僕は色々なゲームを出していましたが、第1作の『龍が如く』は賭というか、博打というか、勝負に出て成功できたのは、“情熱を持ってゲームを作れば新しいマーケットは作れる”という確信を得ることができた思い出深いタイトルです」と語った。