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デル、「Alienware Steam Machine」日本メディア向けブリーフィングを開催

他社とは値段とパフォーマンスのユニークさで勝負。「Steam Controller」の画期的操作システムも体験

1月7日 発表

 デルは、米ValveのゲームプラットフォームOS「Steam OS」に特化したゲームコンソール「Alienware Steam Machine」を発表した。

 今回、Alienwareブランドが「Steam Machine」に参戦することはCES2014で明かされたものだが、事前にメディア向けにブリーフィングが行なわれ、Valve開発のコントローラー「Steam Controler」も合わせた実際の手触りも確認することができたので、この模様をお伝えしたい。

片手で軽々。しかし性能はPS4、Xbox Oneに匹敵

AlienwareプロダクトグループのMarc Diana氏
片手で軽々持ち上げられる「Alienware Steam Machine」
必要なI/Oポートを押さえつつ、シンプルなデザインに。LEDの仕込まれたAlienwareマークが印象的

 ブリーフィングの前にまず「Steam Machine」について触れておくと、これは以前Valveが発表していた据置型ゲーム機「Steam Box」の正式名称となる。「Steam Machine」にはコントローラー「Steam Controller」が付属しており、すべての操作がこの「Steam Controller」で完結するようになる。

 「Steam Machine」では「リビングルームでPCゲームを楽しむこと」が大きな狙いになっており、Steam OSではホームネットワークを介したストリーミングプレイが可能になるほか、家族でゲームをシェアできる「Family Sharing」や音楽、テレビ、映画を楽しめる機能が搭載される。

 また「Steam Machine」の公式サイトでもすでに発表されているように、「Steam OS」用のゲームコンソールが複数のメーカーから2014年初頭に発売される。今回のブリーフィングは、Alienware版「Steam Machine」の制作状況の説明となった。

 会場では、AlienwareプロダクトグループのMarc Diana氏が「Alienware Steam Machine」について説明してくれた。

 Diana氏はまず実際に20万人のゲーマーに聞いたというアンケート資料(SuperData Research調べ)を提示して、OUYAやGameStickといったゲームコンソールよりも圧倒的に「Steam」の知名度が高いこと、さらにプレイステーション 4やXbox Oneといった次世代機よりも「Steam Machine(アンケート当時はSteam Box)」を期待する声の方が大きいことを説明し、「Steam Machine」へ参入する意義を語った。

 「Alienware Steam Machine」は、側面に光るAlienwareのマークが特徴的な外観で、サイズは約20×20×7.6cm(幅×奥行×高さ)以下(会場では8×8×3インチ以下と説明)とコンパクト。重さも片手で悠々と持ち上げられるほど軽量だ。I/OポートにはHDMIやEthernetのほか、USBが背面に2つ、前面に2つある。

 ではそのスペックと価格は……と言いたいところだが、詳細な情報は2014年の4月まで公開できないのだという。ただし価格と性能には「コンソール次世代機に対して高い競争力がある」というほど自信があり、PCゲーマーに「想像以上に喜んでもらえるもの」を準備しているそうだ。なお発売は2014年の下半期を予定している。

ゲーマーはPS4、Xbox OneよりもSteam Machineを望んでいるというアンケート結果
リビングルームで、家族と楽しむことが想定されたSteam OSのシステム

Steam Controllerはマウスとゲームパッドの良いとこ取りを実現

Steam Controller。プロトタイプ版ということで、中央にあるはずのタッチパネルは4つに区分けされたボタンで代用されている
アナログスティックとは全く異なったアプローチが印象的
背面にもボタンが配置されている

 その代わりというわけではないが、会場ではSteam Controllerを使ったゲームプレイデモを体験できたので、この様子をお伝えしたい。

 Steam Controllerは、PS3のDUALSHOCK 3やXbox 360コントローラーのようなアナログスティックは存在せず、代わりにクレーターのようにヘコんだタッチパッドがある。また十字キーや4つのボタンはなく、中央のタッチパネルとその周りを囲うように7つのボタンが配置されている。

 コントローラーの肝は、左右に大きく2つあるタッチパッド部分にある。デモとしてプレイしたのは「Borderlands2」で、左のパッドが移動、右のパッドが視点移動が割り当てられていた。特に右のパッドの操作方法が画期的で、トラックボールを操るような感覚で操作できた。

 というのも、このタッチパッド部分には通電させることで指の動きを追ってくれる仕組みがあるようで、サッとなぞれば内部からコロコロコロ……とボールが惰性で転がるような反応があり、その転がりと画面が連動して、マウスに近い操作が実現されていた。

 先述したように感覚としてはトラックボールに近いため、急激な振り返りなども技術的には可能になっている。体験したことのない操作だったので慣れるには時間が必要だと感じたが、キーボード+マウス操作とゲームパッドの良いトコ取りをしたような、アナログスティックとは異なる視点からのプロダクトとなっていて大変興味深かった。

 なお各ボタンには様々な機能を割り当てることが可能で、プレーヤーにあわせてカスタマイズできる。Steam OSにとらわれず、Windows PC用ゲーミングデバイスとしても機能するということで、発売されればPCゲーミングシーンに一石を投じることになりそうだ。Diana氏もこのSteam ControllerがSteam OSの鍵を握ると考えているようで、「Alienware Steam Machine」を発売するタイミングで、「Steam OSとコントローラーが揃っていることが重要」だと話した。

 Steam Machineは複数の会社から発売されることが明かされているが、他社製品との差別化についてDiana氏は「値段とパフォーマンスのユニークさ」で勝負するという。「DELLのエコシステムがあるためにパフォーマンスの高さを実現できる。Steam Machineのデファクトスタンダードを目指したい」と語った。

Steam OSとSteam Controllerのデモ。ボタンのカスタマイズもプレーヤーの意のままにできる

(安田俊亮)