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【特別企画】ゾンビ布教フリーペーパー「Cafe of the Dead」が「ウォーキング・デッド」をレポート!
「もどかしい選択」の連続が紡ぐ不安さと臨場感
(2013/12/5 00:00)
会話の選択とアクションで進む“シネマティックホラーアドベンチャー”
内容は、5本のエピソードからなる物語仕立てです。妻の浮気相手を殺したという罪によって移送中のパトカーが道路上に彷徨うゾンビを撥ねたことから物語が始まります。命からがらパトカーから脱出したリーは、ある一軒家で両親と離ればなれになった少女・クレメンタインと出会い、その後クレメンタインとどう接するか、何をしてあげられるか、そしてどう身を守り、守らせるかが1つの軸となって展開します。
ゲームは基本的に主人公と登場人物の会話形式で進み、△□×○ボタンで応答や意志を選択するのが中心です。選択できる会話は同意する、反発する、ウソを言って逃れるなど状況によって様々に登場しますが、選択までは数秒の猶予しか与えられていません。制限秒数を超えると「沈黙」を選択したと見なされ、そのままストーリーが続行します。
またアクション要素もあり、カーソルを移動させてフィールド上の必要なアイテムを探したり、主人公を移動させてアイテムを拾ったりできます。ゾンビ、あるいは人間と対峙する場面では操作が忙しくなり、移動、照準合わせ、アイテムの使用などを行ないます。
舞台となるのは農場、ドラッグストア、モーテル周辺、一軒家、線路上、下水道、学校等と様々で、移動手段も徒歩から自動車に列車まで登場して、安息の地を目指すサバイバルがロードムービーさながらの大移動によって彩られています。人物にはコミック版にも登場する元ピザの配達人で仲間思いの強いグレンの姿も見られ、コミック版との連動・時系列も感じられる粋な展開で原作コミックのファンも楽しませてくれます。
シネマティックホラーアドベンチャーと銘打ったそのスタイルは、確かにさながら映画の中に身を置いている様です。ゾンビに襲われたシーンでは主観の画面構成に変わり、自分が襲われている状態と同じ視点になります。目の前に迫り、掴みかかってきたゾンビは怖いですが、どうにかこうにか倒した後は開放的な気分になり爽快です。
個人的にお気に入りなのは、クレメンタインを救出に向かったリーが単身でゾンビの群れの中を突き進む場面。武器を片手にバッタバッタとゾンビをなぎ倒し進むのですが、ゾンビをぶった切る度にムービーが事細かに挿入され、凄まじさを増長させていました。ゾンビファンも気に入って頂ける場面ではないかと思います。
「もどかしい選択」の連続が紡ぐ不安さと臨場感
アクションシーンについてもう少し触れておくと、ゾンビを殴る、蹴る、ぶん回す、頭を破壊してぶちのめす、といったことは「ゾンビもの」なので当然ありますが、時には人間すら斬りつけてしまう選択を強いられることもあります。
例えば、とあるシーンでは森の中で仲間の1人がトラバサミに掛かって動けなくなるという状況が発生します。即座に助けるには斧を使い、足を切断する必要がありますが、本人は足の切断を拒否。ゾンビはもう目の前に迫っており、プレーヤーは仲間を無理にでも助けるか、時間をかけてもトラバサミを解除するか、諦めて見捨てるかの選択を迫られます……。
不本意にも近い残虐行為には強い嫌悪感が生まれますが、ゆっくり考える余裕も与えられず、そのとっさの判断が正解か不正解かもわからないまま展開されるシーンには、もどかしさが常につきまといます。助けたい、一緒に行動したいと感じていた人々が次々と目の前で殺されて行く無力感は絶望的で、物語の中に身を置き参加するゲームならではの臨場感が味わえます。
自分の考えを直接反影できないため、歯がゆさやもどかしさが連続していきますが、リーやクレメンタインが味わうソンビ世界の恐怖と、プレーヤーの味わう苛立ちと心休まらない感覚が「もどかしい選択の連続」という点で上手い具合に合致し、この「ウォーキング・デッド」の世界観を一層不安なものにしていて目から鱗が落ちた思いでした。
なおゲーム中では、リーのとった行動が他のキャラクターの心にどう反影しているかが「○○は君の行動を忘れないだろう」のようなテロップとして表示されて、歯がゆさを煽ります。また各エピソード終了ごとに、プレーヤーが選択したいくつかの行動の集計結果がパーセンテージで表示され、世界中の他のプレーヤーと自分の行動の比較ができるようになっています。
さらに、最終章に入るにあたっては誰が同行するかがパターンとパーセンテージで表示され、最後には誰がどのように死んでいったかなどが人物紹介的に明され、プレーヤーのとった行動がどう影響を及ぼしたのか、追い討ちをかける様な仕組みもシビアさを増す原因となっています。


































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