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【特別企画】君は「ウォーターライン」シリーズを知っているか!?(前編)
日本海軍の艦船を同一スケールで再現!! 「艦これ」“艦娘”とセットの特大カタログ付き!
(2013/11/13 00:00)
「艦隊これくしょん -艦これ-」がブームである。プレーヤーは日本海軍の軍艦達を擬人化した「艦娘(かんむす)」で艦隊を編成し、無敵艦隊を目指して育て上げていくソーシャルゲームだ。
ゲームの出来が良く、何よりも艦娘達が魅力的だ。第2次大戦時に活躍した軍艦達を擬人化した彼女たちはイラストがかわいらしく、セリフでキャラクター性を印象づける。変化していく戦場に合わせ、お気に入りの子をカスタマイズし、強化していくのも楽しいし、コレクションもまた楽しい。
面白いのが、「艦隊これくしょん」はとてもとても“濃い”作品だと言うことだ。艦娘には史実の軍艦の名前がつけれているが、それだけではなく体型や言葉使い、身体についている武装、セリフの端々に実際の軍艦の設定や、軍艦がたどってきた歴史が反映されているのだ。そのマニアならではの超こだわった設定が、艦娘に大きな魅力を与えているのである。
さらに面白いのが、ゲーム内では実際の軍艦の姿はシルエットにとどまり、あまり情報が提示されてないところだろう。プレーヤーは自分の愛してやまない艦娘達のモデルとなった軍艦達がどのような姿をしているのか。どのような歴史を歩み、史実でどのような活躍をしたのか調べたくなるし、調べることでより深く艦娘を理解できるのである。
もちろんネットでもたくさんの情報が入手できるが、最強のアイテムがある。それが、「ウォーターライン」シリーズと呼ばれるプラモデルシリーズである。タミヤ、アオシマ、ハセガワというプラモデルの3大メーカーが共同で「日本海軍の連合艦隊を再現する」というテーマに1971年から挑んだという壮大なプロジェクトなのである。今回はこの「ウォーターライン」を紹介していきたい。
本稿ではまず前編として、現在発売されている「ウォーターライン」シリーズの日本海軍関連のリストを一気に紹介していきたい。艦娘も合わせて紹介しているので、彼女たちの“元ネタ”がどんな形をしているかも確認できるし、艦影をクリックすればすぐにAmazonで購入可能だ。今回をきっかけに、めくるめく軍艦プラモデルの世界へ足を踏み入れてはいかがだろうか?
後編は、「ウォーターライン」シリーズをはじめとして、艦船プラモデルを手がけるアオシマ企画開発部の飯塚秀実氏にインタビューを行ない、艦船模型の設計の話や、初心者にも参考になる組み立てのテクニック、楽しみ方を聞いた。こちらもぜひお楽しみに。
模型メーカーが取り組んだ一大プロジェクト「ウォーターライン」シリーズ
ウォーターラインとは船の喫水線のこと。「ウォーターライン」シリーズのプラモデルは、喫水線より上の船の部分を再現している。艦艇は洋上では海に浮かぶ堂々とした姿を見せる。「ウォーターライン」シリーズのプラモデルは船が活躍している姿を楽しめるプラモデルシリーズなのである。スケールは1/700に統一されており、複数購入することで、「艦隊」を再現できる。
日本海軍の軍艦は古くから少年達のあこがれであり、プラモデルでも人気のモチーフだった。しかし、プラモデル各社でスケールはばらばらだし、駆逐艦など地味な艦船は商品化されることは少なかった。「日本海軍の総力を結集した連合艦隊をプラモデルで再現したい!」。「ウォーターライン」シリーズのプラモデルはその想いに応えたシリーズなのである。
「ウォーターライン」シリーズは静岡模型教材協同組合のタミヤ、アオシマ、ハセガワ、フジミ模型の4社によって1971年にスタートした。重巡洋艦、戦艦、空母から、巡洋艦、駆逐艦などを次々に発売、さらには海外の有名な軍艦なども発売した。1992年にフジミ模型は脱退したものの、3社でフジミ模型分のラインナップを補完し、病院船や輸送船といった後方支援を行なう船も加わった。
また、新たに発見された資料での艦船の姿を再現したリニューアルが行なわれたり、海上自衛隊艦艇の最新モデルがラインナップに加わったりと、「ウォーターライン」シリーズのプラモデルは現在でも発売され、進化し続けている。日本海軍、そして艦船プラモデルの代表的な存在といえるシリーズなのだ。「お気に入りの艦娘のプラモデルが欲しい」と思っている人にはぴったりである。
プラモデルは大迫力の箱のイラストがまず楽しい。説明書には艦船の歴史が書かれており、船の知識を深めてくれる。箱の側面には他の艦船の情報もあり、底面には船の設計図のようなモノクロのイラストが描かれており、武装の取り付けの参考になる。プラモデル内部には他のシリーズにも使える武装が入っており、これらを使って改造ができる。
艦船の知識が深まってくると、艦娘達に設定が反映されていることがわかって楽しくなってくる。重巡洋艦の愛宕が巨乳なのは艦隊指揮用の設備が整っているために艦橋が大きかったことを反映させた結果だと思われるし、速さを追求した駆逐艦島風は、セリフでやたらスピードにこだわっている。軽空母の祥鳳が「珊瑚が嫌い」というのは、史実の「珊瑚海海戦」で沈没してしまうからである。
タミヤからは「ウォーターラインガイドブック《日本連合艦隊編》」というムックが発売されている。艦船プラモデルの作り方は必要な工具から、作り方のコツ、ディテールアップの仕方まで詳細に書かれているし、塗装の仕方、ジオラマの作り方など、模型上級者にも参考になるアドバイスが多数盛り込まれている。時代に合わせた武装や装備の改造例から、艦艇が進むときにできる波の形まで、その紹介はとても深く、濃い。
プラモデル向けばかりではない、戦艦や駆逐艦、潜水母艦などの実際の役割をポイントを押さえた形で解説しているし、艦名の付け方の豆知識、船の各部の名称や、実際に運用された艦隊の編成など、知識も深まる。プラモデルと共に揃えておきたい本である。
「ウォーターラインガイドブック」があれば、プラモデルは一層楽しくなる。箱絵を参考にプラモデルを飾り付けるときに本はとても有用だ。もちろん本を読むだけでも楽しいが、プラモデルと合わせることで楽しさがさらに大きくなるだろう。