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祝発売! 「グランド・セフト・オートV」ファーストインプレッション 道)
突如噴火した人間火山。着地点が全く見えないトレバーの大破壊漢(おとこ
(2013/10/10 00:00)
突如噴火した人間火山。着地点が全く見えないトレバーの大破壊漢(おとこ)道
マイケルとフランクリン。このふたりが織りなす荒唐無稽な犯罪行為だけでも十分に濃厚なストーリーだが、「GTAV」の凄いところはこの2人で終わらないどころか、3人目がいて、さらにこの3人目が前代未聞のパワーを備えているところだ。
3人目の主人公トレバーは、実はゲーム最初のプロローグシーンで登場している。トレバーは発売前のムービーなどでかなり奇天烈な人間として描かれていたが、プロローグでは比較的静かで、最初は筆者もトレバーだとはわからなかったほどだ。
「GTAV」のプロローグは雪の積もった片田舎の銀行強盗シーンからスタートする。マイケルやトレバー、さらにレスターもここにはいて、これから展開する「GTAV」のメインストーリーの大きな伏線となっている。プロローグでは逃走用に用意していたはずのヘリがなく、おまけに待ち伏せに遭い、マイケルやレスターは銃で撃ち倒されてしまう。トレバーは1人銃を乱射しながら雪の中に消えていく。その9年後、「GTAV」のストーリーが始まるのである。
トレバーはロスで起きた宝石強盗のニュースからマイケルが生きていたことを知る。そして突如行動を開始するのだ。彼は暴走族「ロスト」とのトラブルをきっかけに、ショットガンを片手に大暴走、尻込みする仲間を無理矢理引きずり、ロストのたまり場を強襲する。そしてほとんど1人だけで10人以上いたロストのメンバーを皆殺しにしてしまう。
「俺がこのあたりを仕切る!」と一方的に宣言したトレバー。ロストは報復にトレバーの家をめちゃくちゃにするが、それに激高しそのままロストが飛行機で運んでいた武器を飛行機ごと奪うなどやりたい放題。スポンサー候補のマフィアが別の組織をパートナーにしようとするのがわかると、たった1人でその組織に突っ込んで行ってしまう。どこでも激しい銃撃戦を展開し、そしてなぜか勝ってしまう男。それがトレバーだ。
プレーヤーはこのいきなり大噴火したトレバーに振り回されることになる。何故だかわからないまま突然爆発したトレバーは、手当たり次第に喧嘩をふっかけ、強引に勢力を拡大しようとする。その戦いは無謀としか言いようがなく、その“成功”はプレーヤーの手に任されているのだ。「おいおいマジかよ」としかいえない敵だらけの過酷な戦場をプレーヤーはトレバーとして切り抜けなくてはいけない。トレバーのパワーはすさまじく、プレイしていて圧倒されてしまう。
トレバーはまともな会話ができない人物である。口からすぐ出る言葉は「殺すぞ」であり、そのままいきなり殴りかかり「死ね、死ね、死ね!」とどつきまわす。他の人間達とも会話をしているわけではなく、自分だけで納得し、いきなり暴力行為に及ぶこともしょっちゅうである。
こんなトレバーにけなげにくっついてくる「ロン」はいつもトレバーに脅されているのだが、潜入工作で爆弾を仕掛けたり、飛行機が操縦できたりと優秀な男だ。強引で予測不能なトレバーになぜかきちんとついてくる得がたい相棒なのだが、トレバーは彼をひたすらこき使う。同じトレバーに振り回される“被害者”としてロンには親しみを感じてしまう。
トレバーはスーパーヒーロー「インポマン」のフィギュアを大事にしていたり、怪しげな太った女占い師モードに他の人には見せない柔らかい表情を見せたりと、“好み”においてもよくわからないところがある。「俺は、いっぱしの顔役になりたいんだよ。あこがれなんだ!」とマフィアのエージェントに叫ぶ彼はある種の純粋さを感じさせる。どんな一面を見せても許せてしまう“カオス”を体現したキャラクターと言えるだろう。
狂気むき出しのトレバーの行動だが、このいきなりの爆発がマイケルが生きていることがきっかけで起きたのか、それとも銀行強盗で1人逃亡してからずっとこうだったのかはまだわからない。彼とマイケルの出会いがどのようなものになるか、楽しみだ。
ストーリーという部分では3人の出会いと共に、物語にふんだんにちりばめられた歪んだユーモアもまた見逃せないところだ。「ソーシャルネットワーク」というミッションでは、マイケルがIT企業が新製品を発表するのを邪魔するというミッションだが、中年のマイケルが短パンにリュックというオタクファッションに身を包み、エンジニアに「ああ、新しく入った人?」とすんなり会社に侵入できてしまう。IT企業が演出するラフさ、急成長で従業員を大量に入れて、スタッフの顔などろくに覚えていないところなど業界人が苦笑する皮肉に満ちていて、大いに楽しめた。社会風刺としても一級品な所は今作でも健在である。
「GTAV」はやはりストーリーが魅力的だ。これからどのようにストーリーが展開していくか、とても気になる。トレバーが住んでいるド田舎からロスサントスまでの道がどのように描写されているか、まだ見ぬキャラクターがどこまで奇天烈な人物かなど期待が膨らむ要素がてんこ盛りだ。
(C) 2013 Rockstar Games, Inc.