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HD版「Oculus RIFT」で最新VRシューティング「EVE: Valkyrie」をプレイ!

「EVE ONLINE」と「DUST 514」の面白エピソードも飛び出したCCP Gamesインタビュー

9月19日~22日 開催(一般開催日:21日~22日)

会場:幕張メッセ 1ホール~9ホール

入場料:1,000円(中学生以上・前売)

1,200円(中学生以上・当日)

入場無料(小学生以下)

「EVE ONLINE」のイメージ

 全世界で根強い人気を誇るSF-MMORPG「EVE ONLINE(以下『EVE』)」を開発・運営するCCP Games。今年5月14日にはPS3向け基本無料FPS「DUST 514」を正式スタートさせ、世界初の“MMORPGと連動するFPS”としての機能を拡大させつつある。

 そのCCP Gamesは8月21日、新作「EVE: Valkyrie」の開発を正式発表した。本作は、米Oculus VRが開発するVR-HMD「Oculus RIFT(以下『RIFT』)」向けのスペースシューティングゲーム。4月にレイキャビクで行なわれた公式イベント「EVE Fanfest」や、6月のE3 2013で公開された「EVR」(関連記事)にて得られた強烈なフィードバックを受け、急遽製品化が決定したという流れだ。

 弊誌では、東京ゲームショウの開幕に合わせて来日したCCP Gamesのクリエイティブ・ディレクター、アトリ・マール・スヴェインソン氏に取材を行なうことができた。そこで「EVE: Valkyrie」の試遊や、最新の「EVE」&「DUST」の大変おもしろいエピソードを聞くことができたのでご報告しよう。

「Oculus RIFT」HD版でのスペースシューティングはとことん凄かった!

最新のニュースを伝えてくれたアトリ・マール・スヴェインソン氏
「EVE: Valkyrie」のイメージ。コックピット視点で、下を向けば自分の足が見える
母艦から出撃する際の迫力は感動モノ
ネクソンのスタッフの方と一緒にプレイしてみた

 今回取材に応えてくれたアトリ・マール・スヴェインソン氏は「DUST 514」のクリエイティブ・ディレクターで、CCP Gamesの上海スタジオで本作の開発を担当している。その彼がTGS 2013会場近くのホテルで自信たっぷりに見せてくれたのは、最新のプロダクトである「EVE: Valkyrie」だ。

 本作はもともと「EVR」という名のテクノロジーデモだった。「RIFT」用の実験作として今年4月にレイキャビクで行なわれた大規模ファンイベントで初公開されたのだが、その際のエピソードがおもしろい。

 彼らとしては、「EVR」は当初ただの実験作にすぎず、製品化のつもりもなかった。それで初公開された際には、イベント会場の地下に設営されたファンスペース(アーケードゲームなどが並べられた憩いの場)の片隅に、特に目立たせることもなく試遊台を設置していたという。

 そしてイベントが開幕、メインホールで基調講演がはじまる。が、なんと会場にはほとんど誰も居ない。これは何事かと思って見に行くと、信じられないほど多くの人達が「EVR」の試遊台に群がり、巨大な行列を作っていたのだ、とスヴェイソン氏は笑った。

 その2ヶ月後、6月のE3 2013に出展した際の出来事。大勢の業界関係者が高い関心をもって「EVR」をプレイしに訪れる中、“名前を聞けば誰でも知っているレベルのゲームクリエイター”がやって来た。そして「EVR」をプレイするや、「俺は未来を見た!!(I've seen the future!!)」と叫びながらブースを飛び出していったという。これには筆者も、気持ちがわかるだけに大笑い。

 スヴェイソン氏によれば、そういった強烈なフィードバックを得たことで、急遽、「EVR」をきちんとした製品としてリリースすることが決定されたという。そうして生まれたのが今回発表された「EVE: Valkyrie」だ。リリース時期は2014年のいつかを予定している。

 製品化がいきなり決まったこともあって「EVE: Valkyrie」の仕様はまったくの未定だ。世界観も、ゲーム内容も、配布方法も、「EVE」との連動がどうなるかまで、まだ何も話せることがないとスヴェインソン氏。対応プラットフォームも未定で、「RIFT」向けゲームになること以外はあらゆる可能性が存在するという。

 さっそく実際にプレイしてみた。現場で触れることができたのは、まだ世界でもほとんど数がなく貴重な「RIFT」のHDプロトタイプ。1080p表示に対応したバージョンだ。映像はとても鮮明で、ヘッドトラッキングの反応性もさらに高まったように感じられる。「EVR」を体験したときよりも高い臨場感で楽しめた。

 現時点のゲーム内容はシンプルだ。母艦から出撃すると宇宙空間に敵がうろついており、これをミサイルとマシンガンを駆使して撃破し続けて一定時間内のスコアを競うというルール。「EVR」からの進化点としては2人プレイに対応していて、互いに敵を奪いあいながら高スコアを目指すという感じの遊びになっていた。

 そのぶん、敵の位置だけでなくライバルの動きも把握しながら宇宙空間を飛び回る必要があり、頭を振り回して周囲を見回す必要性がアップ。戦闘機コックピット視点の詳細度が高まっていることもあって、プレイ開始から数十秒で完全に世界に没入してしまった。

いろんな方向に頭を向けながらプレイ。筆者にはキャノピー越しの宇宙空間が見えているのだ!傍から見るとアレだけれども。
眼前には美しく広大な宇宙空間が広がる。敵機を見つけ、機体を操り、ロックオンして攻撃だ

5日かかるはずの惑星争奪戦が22分14秒で決着。「DUST」がさらに「EVE」ライクに!

「EVE」。最新アップデートでは小型艦を中心に強化方向の調整が行なわれた
「DUST」。「EVE」側とも連動して惑星の争奪戦ができるようになった
8月21時点の勢力図
およそ3週間後。アライアンス同士の抗争により勢力バランスがダイナミックに変化した

 もちろん、「EVE」や「DUST」にもニュースがある。

 「EVE」は、9月3日に最新アップデート「EVE ODDYSSEY 1.1」を実装。艦隊戦闘、特にPvPを意識した追加および調整が行なわれ、小型艦を中心に28種類の宇宙船の性能バランスが新しくなった。これにより、キャラクターの成長により乗らなくなった初期の船を、もう一度活用すべき機会が大幅に増えたという。

 11月に予定されている次回のエクスパンションについてはまだ話せず、9月26日にTwitch上の公式チャンネルで発表会を行なうとのことだ。

 「DUST」のほうはさらにハイピッチの拡張が続けられている。5月14日の正式リリース以来、1ヶ月毎の大型アップデートを行なっており、現在はバージョン1.4。来年の第1四半期には「EVE」と「DUST」双方の開発体制の改革により、惑星関連の機能をオーバーホールするエクスパンションを実装する予定であるという。

 そのDUSTでは、去る8月、「EVE」宇宙におけるとある星域“Molden-Heath”がプレーヤーコーポレーション(クランのようなもの)およびアライアンス(クランの集合体のようなもの)の争奪対象としてオープンしたという。そこには24の惑星と245の戦区があり、プレーヤー間のバトルによって所有権が争われた。

 開発元としては非常に多くの戦区を用意したつもりで、「これらの帰属がすべて決まるまでには、5日はかかるだろう」と考えていた。しかし、実際に24の惑星がオープンとなるや、たったの22分14秒で全ての区域の争奪が完了してしまったという。

 これは、「EVE」と「DUST」双方のコーポレーションおよびアライアンスが、戦場のオープンを狙って入念な準備を進めてきたためだ。「EVE」側では惑星施設や兵士用の兵器、装備の準備を進め、「DUST」側は装備の調達と綿密な侵攻計画、人員の配置が行なわれる。いざ戦場がオープンするや、すべての区域にプレーヤーが展開し、「EVE」からの軌道爆撃支援を受けつつ速やかに領域を奪取……という感じである。

 無主の区域は最初の22分で無くなったものの、戦争はその後も続く。複数の巨大アライアンスがしのぎを削った3週間、「DUST」の世界にも「EVE」のような数々のドラマが生まれた。敵対アライアンスにスパイを起くりこみ破壊工作をしたり、あるアライアンスの幹部プレーヤーが仲間を裏切り、財産を持ち逃げして別のアライアンスに移るなどの人間くさいドラマである。

 スヴェインソン氏はこれを「『DUST』プレーヤーも、『EVE』と同じことをするようになった」と大喜びで、誇らしげに語ってくれた。それが示すのは、ただゲームだけでない、人間と人間が作るリアルな体験が、このサンドボックス宇宙で繰り広げられ始めたということだ。

 このように「EVE」と「DUST」は2人三脚の様態で互いに豊穣なゲーム空間を構築し続けている。来年にかけてもまた数々のアップデートでさらにおもしろくなっていくはずなので、是非みなさんもその世界を垣間見てはいかがだろうか?

【EVE&DUST ジャパン・プレーヤーギャザリング】
9月21日には都内某所でプレーヤー・ギャザリングが開催された。これは「EVE」と「DUST」のプレーヤーを招待して開催されるお祭りで、スヴェインソン氏をはじめとするCCP Gamesのスタッフや、CEOのヒルマル・ペトルソン氏も来場し、参加者とにこやかにコミュニケーション。30名あまりのプレーヤーが集まり、この会場だけでゲットできるゲーム内アイテムや「EVE」グッズなどのプレゼントも行なわれた。
今回の目玉は、CCP Gamesのファン向けイベントにおいて世界で初めて「EVE: Valkyrie」がプレイアブル公開されたことだ。ジャパン・プレミアどころかワールド・プレミアである。来場者が次々にチャレンジし、大笑いしながらプレイして、プレイを終えるとヘッドセットを外し、目をまんまるにしながら「スゲー!!」と感動をあらわにしていたのがとてもおもしろかった。

(佐藤カフジ)