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TGS2013「スマートフォンゲームコーナー」新作レポート

謎解きゲームや初音ミク、BLまで幅広いジャンルの新作が出展

9月19日~22日 開催(一般開催日:21日~22日)

会場:幕張メッセ1ホール~9ホール

入場料:
1,000円(中学生以上・前売)
1,200円(中学生以上・当日)
入場無料(小学生以下)

 TGS2013では、今年も主にモバイルゲームのブースが集まった「スマートフォンゲームコーナー/ソーシャルゲームコーナー」が設けられた。TGSの出展コーナーの中でも移り変わりが激しく、今年もまたこれまでとは違う傾向が見られた。

 昨年はスマートフォン向けソーシャルゲームが大きく広がり出した年で、出展もソーシャルゲームのアピールをするものが多かった。特に来場者に向けて、ゲームで使えるシリアルコードを配布するなどのイベントを行なったブースには多くのユーザーが押し寄せ、これまではやや閑散としていたモバイルゲームコーナーがとても賑わっていたのが印象的だった。

 では今年はどうかと言うと、ソーシャルゲームの出展はやや少なくなったという印象で、大々的にシリアルコードを配布する出展社は少なかった。しかし人が減ったかというとそうでもなく、TGSに来場するゲームファンにもモバイルゲームが一定の地位を得てきたことを感じさせる。

 出展社の数や広さだけを見ると、昨年よりやや少なくなっている印象もあるのだが、これは「乙女ゲームコーナー」など新たな企画が別に用意されており、そちらで出展している企業があることも影響している。本稿ではその辺りも含め、配信前の新作タイトルをいくつかご紹介しよう。

サイバード「NAZO」

 ユニークな外観のブースを出展したサイバードは、iOS/Android用アプリ「NAZO(NARRATIVE AGE OF ZIGZAG OPERA)」というアプリを出展。ビジュアル制作をSTUDIO 4℃、世界観設計を松岡正剛氏が手掛けており、ユニークなファンタジー世界が描かれている。

 アプリとしては基本的に読み物で、1つのパートを読み終えると謎が提示される。物語にはそのヒントが隠されており、それを見つけて答えを探す。ヒントとなるものはイラストに隠されており、そこをタッチすることで、アイテムを使ってヒントを閲覧できる。

 物語は全9章で、各章は10話構成。毎日1話ずつ無料で読めるチケットが与えられるほか、有料でもチケットを購入できる。またヒントを開くためのアイテムも有料販売される。ちなみに謎を解かなくても物語は読み進められるが、9章を読み終えた時点で出題される最後の謎に答えないと、真のエンディングは見られないようになっている。配信は2013年秋の予定で、ビジネスモデルは基本プレイ無料のアイテム課金制。

独特なビジュアルとともにシナリオを読み進めていく
各話にはナゾが用意されている。最後の問題で正解できるかどうかが鍵になる

クリプトン・フューチャーメディア「初音ミク ぐらふぃコレクション」

 コーナー内で最も目を引くオレンジ色のブースを展開したクリプトン・フューチャーメディアは、同社が展開中のソーシャルゲーム「初音ミク ぐらふぃコレクション」をベースにしたスマートフォンアプリを出展した。

 すごろくのような画面をタッチして1マスずつ移動し、爆弾などの罠を通らないように先へ進んでいく。途中にはカードが落ちており、拾うと入手できるという仕組み。さらに先に進むとボスが現われてバトルになり、倒せればミッションクリアとなる。

 担当者によると、今回はまだテスト的な段階で、アプリ全体でどういったゲーム設計になるかは未定としている。ただ意図としては、「クエストの進行で、単純にボタンを押して進むだけではなく、ちょっとした遊びを加えたい」という考えがあるそうで、ソーシャルゲームにプラスアルファのゲーム要素を加えたものを目指しているようだ。

ソーシャルゲームをアプリ化するとともに、ちょっとした遊びを加えるというアイデア
カードイラストは既にかなりの数がある

ZZYZX「CHECK MATE FIVE」

 ZZYZX(ザイザックス)が出展した「CHECK MATE FIVE」は、チェスをモチーフにしたシミュレーションゲーム。碁盤の目の上に置かれたユニットに指示を与え、敵ユニットを撃破していく。

 一見すると普通のターン制バトルに見えるが、実際は少し異なる。各ユニットには、攻撃力や体力などの能力のほかに、コストが設定されている。プレーヤーには一定の行動コストが与えられており、ユニットに移動・攻撃などの行動をさせるたびにこのコストを消費する。コストが0になれば相手のターンに移る。1ターンには数十秒の制限時間が設定されているため、1回のバトルは数分程度と短いのがモバイルゲームらしいところ。

 どこか懐かしさを感じさせるビジュアルや、ネットスラングを各所に散りばめたテキストなどは、ゲームを離れ気味の20代辺りの大人をターゲットにしたものだという。システム周りはかなり凝った作りで、やりこみ好きな人も、短時間で遊びたい人にも対応できる設計になっている。配信は今秋の予定。

バトルはシミュレーション形式。細かいシステムはあるが、短時間で行動終了させねばならない
ユニットの強化ももちろん可能。テキストには色々なネタが仕込んであって面白い

サーチフィールド「召喚ビットコレクション」

 ファンタジー世界のバーをモチーフにしたブースを展開したサーチフィールドは、ソーシャルRPG「召喚ビットコレクション」を出展。5人のガーディアンを編成してモンスターと戦い、ミッションをクリアしていく。

 バトルではルーレットが表示され、その出目によって攻撃力や攻撃パターンが変化。またガーディアンには得意な攻撃射程があり、それに合わせた陣形を組むのも重要になる。バトルシーンはSDキャラクターがアニメーションするダイナミックな映像も楽しめる。またガーディアンを合成することで見た目まで変化する進化システムなど、複数の成長システムも用意されている。

 元々はソーシャルゲームのイラストなどを受注している会社で、担当者は「イラストやビジュアルでは他に負けないものにしたい」と意気込んでいた。配信時期は未定だが、iOS版が先行し、その後Android版も提供予定としている。価格はアプリ本体は無料、アイテム課金あり。

基本システムは昨今のカードソーシャルゲームに近いが、ルーレットによるランダム性やリッチなビジュアルなどで差別化を図っている

ジースタイル「極めろ! 瞬間ジャンプ検定」

 北海道IT推進協会のブース内で出展しているジースタイルは、3DS用アクション「極めろ! 瞬間ジャンプ検定」を出展。空中での2段ジャンプを駆使してゴールを目指すだけというシンプルなアクションゲームだが、1ステージの制限時間は10秒という超短時間クリアを求められる。

 最初の方のステージは、ゴールがわかりやすい位置にあったりしてさほど苦労しないのだが、先のステージでは相当遠い位置や高い位置にゴールがあったり、マップ上の仕掛けを駆使しないと到達できないステージもある。操作は単純でも、それを10秒以内に全てまとめてゴールしなければいけないという、意外と緊張感あふれるゲームとなっている。

 プレーヤーキャラクターは、北海道のご当地キャラクターや、同じ北海道の音楽制作集団「IOSYS」の面々が選べたりと、北海道の会社らしい愛にあふれた内容も特徴。配信は2013年11月の予定。価格は700円の予定だが、まだ検討中だそうだ。

移動とジャンプでゴールを目指すだけのゲームだが、10秒という縛りがあってなかなか難しい。プレーヤーキャラクターも色々いて楽しい

スマイルブーム「プチコン3号(仮称)」

 BASICプログラミングソフト「プチコン」を手掛けるスマイルブームは、シリーズ初の3DS用ソフト「プチコン3号(仮称)」を出展。特徴は何といっても立体視対応で、プログラム画面ではターゲットしている行が浮き出て見える。……というだけではなく、ちゃんとプログラム側にも立体視を制御する命令が追加され、立体視対応ソフトを制作できる。

 内部的には、過去にDSで発売された「プチコン」シリーズとは別で、新たに作り直したものになっているという。ただ過去のプログラムについては、極力互換性が取れるようにしているそうだ。配信時期や価格は未定。

プチコンも第3弾になり、3DSへ。立体視を活用したゲームのプログラムもできる

SUNSOFT「俺プリ×CROSS!~俺が学園のお姫様!?~」

 SUNSOFT(サン電子)は、今年は「乙女ゲームコーナー」にブースを置き、新作の「俺プリ×CROSS!~俺が学園のお姫様!?~」を出展した。

 前作「俺プリ!~俺が学園のお姫様!?~」は、女装させられ“学園の姫”にされた少年が学園の男子達と恋愛するという、ちょっと変わった設定のBLゲーム。今回はその続編として、4人の新たなキャラクターが追加されている。もちろんこれまでのキャラクター達も登場し、主人公のお相手は計10人に。

 主人公は一見すると普通の女の子という感じで、テキストを見ないとBLゲームだと気づかない(それ故に抵抗なく遊べる人も多いとか)。会場で先行体験できた内容では、いきなりキスシーンが見られたりして、なかなか過激な内容だ。配信は近日予定としている。

主人公は普通の女の子……にしか見えない少年。右下の画像で上に並んでいる4人が追加される新キャラクター

(石田賀津男)