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【CEDEC 2013】世界を狙う「LINE GAME」の今後の可能性
LINE森川亮氏が日本産「LINE GAME」タイトル開発を呼びかけ
(2013/8/23 16:04)
CEDEC 2013の最終日、LINE代表取締役社長の森川亮氏による「LINE GAME」に関するセッションが開催された。
無料電話・メッセージアプリの「LINE」については、先日行なわれたカンファレンスでも発表があったばかり。内容が重なる部分もあったが、今回はCEDECということで、もう少し「LINE GAME」について突っ込み、「LINE GAME」用のタイトル開発を呼びかけるような形となった。今回はセッションの中から、この部分に着目してご紹介する。
日本産LINE GAMEタイトルの成功事例は少ない。森川氏が開発者に呼びかけ
家族や恋人とのコミュニケーションツールとしてリリースした「LINE」は、8月21日時点でユーザー数230,269,479人を誇り、LINE GAMEのダウンロード数は1億9千万DLに達している。
世界への展望については、台湾やタイ、インドネシアのユーザーが伸びており、アジアではシンガポールやベトナム、香港、マレーシアなどでもユーザーは増加しているという。現在ではゲームに使う金額は少ないが、今後の経済成長を考えると大きな魅力があり、今後はヨーロッパや北米でもLINEを展開していく予定があるので、デベロッパーにとっては「大変チャンスなのでは」という。
LINE GAMEの肝となっているのは、身近な人同士の繋がり「リアルグラフ」を活かしたゲーム作り。親子や女性など、普段ゲームを遊ばない層でも楽しめるようなカジュアルでわかりやすいことに加えて、身近な人同士だからこそわかりあえるような「エキサイティングのコミュニケーション」をゲームに求めているという。
「知り合いと競いあうこと」については、特に日本人は「身近な知り合いと本気で競い合うのは抵抗がある」と感じていたと森川氏は話す。海外ではブラックジャックなどに代表されるように人同士が競い合うものに人気があるのに対し、日本はパチンコのように1人で遊ぶものの人気が高い。
そこで、「LINE POP」や「LINE BUBBLE」のようなパズルゲームは1人で向かい合う側面もあるほか、運によって点数が左右されるような要素もある。1人で遊びつつ、ランキングやハートなどの送り合いによって、様々なコミュニケーションの形を抵抗なくできるようにしているという。また週に1度あるランキングリセットも色々なドラマを生み出している要因となっている。
実際、LINE GAMEで上手くいかないタイトルは、コミュニケーション機能が弱いという。具体的には競いあったり、協力、招待、これらの要素がタイトルの成功にとって重要になっており、リアルな人間との「どれくらいしつこく誘っていいのか」などの“肌感覚”のコミュニケーション想定も考える必要がある。
タイトルそのものは、ユーザーの評価が最も重要で、ユーザーが初見で遊んで面白いと思うか思わないかを大事にしているという。ユーザー同士のコミュニケーションをいかに伸ばすか、コミュニケーションにどのような価値を与えるのか、そこがLINE GAMEタイトルにとっては重要になる。
現在、LINE GAMEで実績を出しているのは韓国産のタイトルが多い。韓国では「カカオトーク」の人気もあり、リアルの人間関係の中でどのようなコミュニケーションがマッチするのか、研究が進んでいるという。
LINEでは、引き続き2013年に3億ユーザーを目指し、スマートフォンプラットフォームとして世界を率いていく予定だ。森川氏は、「日本には様々な人材がいて会社も多い中で、LINE GAME上での成功事例が多くない。LINE上でゲームを出そうという人を求めている」と話した。またタイトル制作時は、「こういうゲームを作りたいというよりは、ニーズをある程度拾っていただき、特に女性や、コンソール機を持っていないような人たちの気持ちを理解してほしい」と受講者に呼びかけた。