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PS Vita「ラグナロク オデッセイ エース」体験版ファーストインプレッション
開発陣スペシャルインタビュー
(2013/8/8 00:00)
入江氏&大河原氏スペシャルインタビュー「チーム全体としては『2』といっていい、自信を持って出せる!」
――前作に対するユーザーの反応はいかがでしたか? やはり「ラグナロク」シリーズのファンが多かったのでしょうか? それとも前作で「ラグナロク」シリーズを知った新規ファンのほうが多かったのでしょうか?
入江氏:アンケートからしかわからないんですけど、思った以上に新規の方に入ってきていただけたようです。ジャンルの違いもあるんですけど、アクションゲームが好きな方々の琴線に触れたというか、受け入れられた作品だと思います。
――PCユーザー以外にも「ラグナロク」シリーズをアピールできたということですね。
入江氏:ちょうどマルチプレイアクションが流行り熟成していくタイミングに、いい形で新しいゲームとして出せたことが、「ラグナロク オンライン」ユーザー、それ以外のアクションゲームが好きな方々、どちらにも受け入れていただけた理由ではないかと思います。
――ランダムマップダンジョン機能「世界樹の塔」が新たに追加されました。これはユーザーからの要望を受けてのものでしょうか? それとも前作の時点でプランニングされていたもの?
大河原氏:そのどちらでもあります。幾人かのユーザーの方から公式アンケートに“近い意見”はありました。それとは別に、元々しめくくりとしてもっとインタラクトに遊べるクエストモードが欲しいと考えていたので、それを今回乗せたという形です。
あと、こちらとしても“長く遊んでいただく”ゲームということで、「ストーリーをクリアしました」、「最終ボスを倒しました」で終わるゲームではない以上、繰り返し遊んで楽しいモードが必要だと思いました。そのなかで“世界樹”はモチーフ的に使いやすかったし、それでランダムダンジョンという形で何度でも楽しく遊べるものを作ろうと思ったのがキッカケというか、ベースになっています。
――『「世界樹の滴」は「世界樹の塔クエストのクリア報酬」や、世界樹の塔内で特定モンスターを倒すと入手できるほか、ゲーム中に登場する「ノルン交易所」でも購入することができる』とありますが、それなりに鍛えたキャラクターでないと入手は難しいのでしょうか?
入江氏:「世界樹の滴」は、あまり意識することなく貯められるように作ってありますし、はじめのほうは「滴」の数が少なくてすみます。ただ、奥の階層からクエストをスタートしようとすると、そこそこの数が要求されますので、そればかり繰り返すと数が足らなくなることがあるかもしれません。
――「世界樹の塔」に上限はあるのでしょうか? たとえば一定に到達すると、それ以上は難易度的には変化しないとか? あるいは青天井で難しくなる?
入江氏:塔の先がどうなっているかは、ユーザーの方々に実際にその目で確かめていただければと思います。ただ、いけばいくほど“いいことがある”作りになっています。
大河原氏:難易度は、青天井ではありません。ただ、クリアできるかどうかは一定の腕前が必要です。ランダムなので引きの問題もある。運が悪いと、あまり戦いたくないような敵が連続することもあるので。
入江氏:フロアの難易度は常に緊迫するかというと、必ずしもそうではありません。5階ごとに入る休息ポイントの直前は強い傾向はありますが、それ以外は敵の出現数が多かったり、時には出ないこともあったりとか、ちゃんとメリハリが出るように作ってあります。
――「世界樹の塔」をデザインするうえで、特に苦労した点はありますか?
大河原氏:デザイン的な面では、どういうふうに変化を見せていくか少し悩みました。BGM、地形モデルの見せ方、色見……これらがキーワードになるんですけど、そういったところを工夫しながら作っていきましたね。
入江氏:長いダンジョンなので、組み合わせがあるといっても、どうしても飽きてしまう。そこを直感的に「あぁ、どんどん深くにいってるんだな」と伝わるように、どう表現するかに悩みました。結果として、いい形に収まりました。このあたりは実際プレイしてみていただければと思います。
大河原氏:BGMも谷岡さんには何度もリテイクを出してしまって……なかなかしんどかったんじゃないかと思います。
――リテイクの内容というのは、どのようなものだったんでしょうか? たとえば「この部分は緊張感が足りない」とか? 階層が深くなるほど緊張感も高まっていかないといけませんし……。
大河原氏:はい、そのようなものです。
入江氏:ただ重苦しければいいというものではなく、ベースがあってそこからアレンジしていく。その雰囲気を変えていただきたいというなかで、お互い言葉では伝えきれないところがあって、そこは難しかったですね。
大河原氏:BGMの発注自体、「破壊感」、「退廃的」とか、そういったキーワードでお願いして。何度か「これだとちょっと破壊的すぎる」とか、微妙なニュアンスのやりとりをしていたかと思います。そのかわり、「こういった系統のBGM」という発注は、わざとしなかったんです。谷岡さんのポテンシャルに期待して、やりとりを重ねました。
サンプルといっても、あくまでもイメージ。「こういうものを作ってくれ」では、谷岡さんじゃなくてもいいという話になってしまう。表現したいテーマとノリとしてはこうだけど、それをさらに世界樹の見た目に乗せていくというところで谷岡さんがしんどかったんじゃないかと思っています(苦笑)。
――ランダムダンジョンの難しさは、延々とやっていくなかで“単調さ”をどう払拭するかにありますが、本作はそのあたりもきちんと考えられていますね。
入江氏:途中途中で「「Ordeal of Valkyrie(オーディルオブヴァルキリー)」というお題が発生します。クリアすることでValhalla!(ヴァルハラ)」という状態になり、パワーアップやしたり、アイテムが出やすくなるなどの特典が得られます。クリアするという長期目標だけでなく、短期的なお題とご褒美。お題を何度もクリアすると「Ragnarok!!(ラグナロク)」」という大フィーバー状態になり、そのときは攻撃力が上がってアイテムカードもポンポンドロップします。このときは床一面ドロップアイテムになります(笑)。欲しいアイテムを持っている敵に遭遇した直後であれば、もう最高です。
――「ラグナロク」状態になるタイミングを意図的にずらしていくことは可能ですか?
大河原氏:それはないですね。「ラグナロク」の発生は完全に運です。
入江氏:「ラグナロク」の発生は「ヴァルハラ」を多くこなしていくのがポイント。出てきたお題は、なるべくクリアすれば「ラグナロク」も必然的に多く発生します。
――お題クリアを無理に狙いすぎて失敗するのも、ゲームの醍醐味でしょうか。
入江氏:かなり無茶なお題もたまに出てきますので、お題クリアはあまり気にせずに……。
大河原氏:できないと思ったらアッサリあきらめても構いません。ペナルティもありません。
――でも、みんな律儀にやっちゃう気がしますね。
入江氏:そうですね。お題が出るとついついやっちゃいますよね(笑)。
大河原氏:「世界樹の塔」を解く時間もありますので……お題をやらないほうが早い場合はさっさといってしまったほうがいい。選択をゆだねているといいますか「どちらか選んでください」という部分はありますね。
入江氏:まとめると、長丁場になりがちな部分をどう楽しんでいただくか、とういのが1番苦労した部分なのかなと思います。
――新マップ「ニヴルヘイム」はどのようなところなんでしょう?
入江氏:「ニヴルヘイム」は、北欧神話のなかでは人間たちが暮らす大地より、さらに下層にある暗い場所ということもあり、モンスターも死霊系などのダークなものが中心ですね。
――今回新たに登場する「大竜族」について教えていただけますか?
入江氏:PVで公開しているニーズヘッグなど、何体かのボスが登場します。初見ではかなり難しい、歯ごたえのある相手。やっぱりファンタジーなので、ドラゴン系モンスターは「スタンドアローンの敵として、やっぱり要るなぁ」と。
大河原氏:ニーズヘッグを出したときにも言ってたんですけど、(代表取締役社長の)森下が「プロデューサーとして、ドラゴンは出したい!」というのがあり(笑)、設定的にも出しやすい場面だったので出しました。ユーザーの方々から支持を得られる、いいボスだと思っています。
――巨人は「ラグナロク オデッセイ」のアイコンでしたから、大竜族の登場でボスに幅がでたと思います。
大河原氏:前作は巨人をピックアップしましたが、もっと色々な形のボスと戦いたいというのは元からあったんです。でも、巨人を入れるだけでも大変だったので……。そういった意味では、発表済みのニーズヘッグやロードオブデスなど、もっと色々なタイプのボスを乗せていきたいという希望がありました。巨人もやっていくし、それ以外のファンタジー系、ユーザーのみなさんが「戦いたい!」と思うような巨大モンスターについて検討した結果が「ラグナロク オデッセイ エース」です。
――新要素「傭兵ヘルパー」はとても便利な機能ですが、「傭兵ヘルパー」のふたりで全コンテンツをクリアすることは可能でしょうか?
入江氏:基本的には、やはり“ヘルパー(補助)”に頼って自分が戦わずにストーリークリアするのは難しいと思います。
――ACEスキルに移行したチャージアクションのほか、ぶっ飛ばし攻撃やダーインスレイヴなど、前作からのシステムで調整された項目はありますか?
大河原氏:アクション部分では、たとえばソードウォーリアーにあったジャスト入力。そのフィニッシュブローの効果をちょっといじったり。前作は威力があがってワンヒットでしたが、今回は威力も高くて多段ヒットになる。あとはクレリックの「マグヌスエクソシズム(地上なら△△△△○のフィニッシュ)」が溜め可能なアクションになって、溜めると多段ヒットに変わるとか。いくつか、各職業のなかで「こういうふうにしたほうがいいんじゃない?」というようなものは調整しました。
入江氏:あとは空中で固有アクション(ガード、ガードカウンター、ダブルキャスト)を出せるようにしました。基本的には、地上でも空中でも同じようにアクションできる形がいいだろうというのが根本にあります。
――最後に、本作に期待しているユーザーのみなさんにメッセージをお願いします。
入江氏:単純にアップデートという形ではなく、システムを含め全体のバランスを練り直しました。チーム全体としては「2」といっていい、新パッケージとして自信を持って出せるソフトになっています。ぜひ体験版でお確かめいただき、製品版を遊んでいただければと思います。
大河原氏:ストーリークエストの流れを追加し、前作でユーザーの皆様に「ここ難しいよね」といわれたところはすべて手を入れました。前作のボス「ロキ」を倒したあとも、青天井に難しくなるのではなく“要所要所で山場がくる”ようなデザインになっています。「ロキ」を超えたら「世界樹の塔」でアイテム集めに奔走できたり、次の巨大な敵が出てくるといった流れになっています。
アクションが苦手な方でも進めやすくチューニングできたと思いますので、前作でクリアをあきらめてしまった方、ずーっとやっていただいている方、今作で新しく手にとっていただいた方、三者三様で楽しんでいただける作品になったと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
――本日はお忙しいところをありがとうございました。
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