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【ChinaJoy 2013】Aiming、gloops、Ateam、Renren Gameなど日中6社によるパネルディスカッション

中国開発者が日本で受けるゲームを作ることは可能か? 鍵はパブリッシャーの経験値

中国開発者が日本で受けるゲームを作ることは可能か? 鍵はパブリッシャーの経験値

日本の市場の大きさを、中国メーカーに大きくアピール

 そして次に「中国企業が日本でどう成功していくか」というテーマが提示された。日本の市場は今後も大きく発展していく。日本を見る中で、やはり「パズドラ」のヒットが大きい。この次という中では新たなカードバトルが求められているが、Liu氏は「ドラゴンポーカー」などカードバトルの基礎を受け継ぎながら、見た目を変えたり一見カードゲームに見えない形で広まっているという。

 Feng氏は日本のソーシャルゲーム市場は中国の倍以上もあり、今後もスマートフォンが普及していく中、スマートフォン向けのゲームを発売していくのが有効だと感じている。その中で数が多いのがカードゲームだ。MMORPGのノウハウを持っている中国市場だからこそ、チャンスがあると椎葉氏の主張に同意を示した。

 椎葉氏は中国企業が日本へ挑戦している例として、現在力を入れてアナウンスされている「マスター オブ カオス」は良いゲームであり、韓国や台湾でヒットしているものの、見た目で日本ユーザーの心を今ひとつつかみ切れていないのではないか。

 2つの国以上で当たっているゲームは他国でも当たる。中国、韓国で成功しているタイトルならば、日本で成功するチャンスはある。日本市場に投入する価値は充分にあるが、「色」の感覚が違う。緑、赤、黄色、金色という色を中国のメーカーは積極的に使うが、日本ではけばけばしすぎる。見た目に安っぽい印象を受けてしまう。このため色の部分を考えれば、中国のゲームはもっと日本で受けるのではないかと椎葉氏は指摘する。椎葉氏は中国の会社が日本でサービスするのは日本が中国に出るのに比べてずっと楽であると繰り返し指摘した。ただし、中国でダメなゲームを日本に持ってきてもダメだとばっさり切り捨てた。

 gloopsがサービスする「大乱闘!! ギルドバトル」や、Pokelaboがサービスしている「運命のクランバトル」はリアルタイムでのギルドバトルがウリだ。リアルタイムの戦争がクライマックスの1つとなる作品は、MMORPGとの親和性が非常に高いのでないか? 司会のこういった質問に、加藤氏は「大激闘!! ギルドバトル」ではゲームのプレーヤー全てがマルチプレイを望んでいるというわけではなく、プレイの延長に人が増えて触れる楽しさを提供するものだとしながらも、コミュニティの楽しさも間違いなくあると答えた。

 そして、中国のMMORPGが持つコミュニティ性と、役割を演じるマルチプレイ、そして合成要素といった点が新作のヒントになるのではないかと加藤氏は来場者に向かって語りかけた。日本で受けているゲームのコピーではない、中国でのゲーム開発のノウハウを見つめ直したところにチャンスがあるのではないだろうか。

 現在の日本市場は受けるゲームの幅が広くなっている。その中で、ゲームの良さをちゃんと理解したパートナーが必要となる。中国側から日本パブリッシャーを選ぶ場合、前田氏はすでに中国側が売り込むタイトルと同じようなターゲットのユーザーに向けてサービスしているタイトルを持っているというのが重要だと語った。サービスするためのユーザーに向けてノウハウを蓄積しているメーカーは有用なパートナー候補だと語った。

 これらの意見を受け、Liu氏は日本のマーケットではユーザーの好み、そしてそれを生み出す文化をきちんと理解すると言うことが、重要ではないかと語った。2,000社という開発会社があるならば、必ず日本でも受けるゲームがある。しかしローカライズがうまくいかない場合が多い。中国語を日本語にするというだけでなく、様々なアドバイスをしてくれるパートナーこそが重要なのだと、これまでの意見をまとめた形で語った。

 これまでのやりとりは全て日本語で行なわれていたのだが、最後にマイクを握ったFeng氏は熱のこもった中国語で会場に語りかけた。「日本は世界で2番目に大きい市場であり、大先輩だ。中国は3番目であり、中国の強力な開発力と、日本のクオリティの高いコンテンツデザインが合わされば、世界に通用するコンテンツが作れると思う。そのためにも積極的に日本にアプローチしていくことが重要だ」。Feng氏は自分の言葉を中国語で最後に会場にいる中国人開発者に伝えたかったとのことだ。

 パートナーシップの重要性と、カルチャライズの手法、変化していく市場に対してどのようなアプローチを行なっていくか。根気のパネルディスカッションには様々なヒントが盛り込まれていたように思う。グローバル化していくソーシャルゲームにおいて、今後どのようなヒットタイトルが生まれるか、その成功はどう為されたのか、注目していきたい。

(勝田哲也)