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渋谷ヒカリエにて、「ウルトラマン」のフォトギャラリーを開催
アートの視点から捉えたウルトラマン。科特隊の制服などの小道具も展示
(2013/3/6 20:52)
円谷プロダクションは創立50周年を記念し、渋谷ヒカリエ8Fにて「光の国のフォトギャラリー ウルトラマン・オブジェクツ展『明日のヒカリへ』」を3月6日~18日まで開催している。入場料は無料。
このフォトギャラリーは、特撮番組「ウルトラマン」をアートの世界からとらえた写真や作品内で使われたプロップ(映画や演劇で使われる小道具)を展示するもの。初日である3月6日には記者会見と内覧会が行なわれ、、ディレクターである原口智生氏、作品を撮影したフォトグラファーの照内潔氏、そして女優であり円谷プロ企画コーディネーターの桜井浩子氏が登壇し、「明日のヒカリへ」開催の想いを語った。
アートとして「ウルトラマン」を取り上げる。プロップも大きな目玉に
記者会見では原口氏、照内氏、桜井氏がフォトギャラリー「明日のヒカリへ」が開催されるまでの経緯を説明した。原口氏は、「ウルトラマンメビウス」等の監督・特技監督や東京都現代美術館「館長 庵野秀明 特撮博物館」で展示コーディネイト・ミニチュア修復師を務めた人物で、桜井氏は「ウルトラQ」でのカメラマン・江戸川由利子役、そして「ウルトラマン」の科学特捜隊のフジ・アキコ隊員役で人気を集めた女優であり、この企画は8年前2人が渋谷でお酒を飲んでいる時に生まれたという。
桜井氏はこれまで「ウルトラマン」は子供向け番組、そして特撮番組としての評価は受けてきたが、「ウルトラマン」を「アート」の視点から本を作れないかという提案を原口氏に行なった。そして原口氏は桜井氏から、アートディレクターの金原明彦氏を紹介され、さらに金原氏と一緒に仕事をしていたフォトグラファーの照内潔氏を紹介されたという。
そして桜井氏、原口氏、金原氏、照内氏が協力し、白鳥舎という出版社からウルトラマンをアートの視点から描き出した写真集「オブジェクト/イマジネイションオブウルトラ」が生まれた。今回の展示されている写真はこの本からのものだ。
照内氏は写真の撮影でのエピソードを聞かれると「彼ら(被写体としてのウルトラマンや怪獣)が撮ってくれと言われるままに撮っただけで、あまり苦労はしなかった」と語った。特に桜井氏、原口氏のお気に入りは彼らが“見返りウルトラマン”と呼ぶウルトラマンを後ろから左肩と横顔をアップで撮影したカット。これまでのウルトラマンの撮影ではなかった視点であり、円谷プロダクション内でも議論が生まれた写真となった。
「オブジェクト/イマジネイションオブウルトラ」の出版がきっかけとなり、アートとして特撮番組を見るという流れが生まれた中で、昨年東京都現代美術館で、「館長 庵野秀明 特撮博物館」も実現した。今回の渋谷ヒカリエでの開催も、新しい流れを受けてのものだ。原口氏個人にとって、渋谷は生まれ育った街であり、特撮の仕事でも関わることの多い場所であり、ここで「明日のヒカリへ」を開催できるのは、とてもうれしいと語った。
記者会見の最後には、サプライズとして桜井氏の3月4日の誕生日を祝い、原口氏と照内氏から花束が手渡された。さらに会場を訪れていたウルトラシリーズの監督を務めた飯島敏宏氏、平成の「ガメラ」三部作で特撮美術監督を務めた三池敏夫氏も「明日のヒカリへ」の開催と、桜井氏の誕生日を祝った。
この後、原口氏の解説で「明日のヒカリへ」を見ることができた。写真はウルトラマンの他、ゴモラやアボラスといった怪獣達の一部分を撮影したものが多く、独特の雰囲気がある。また、科学特捜隊の装備などもユニークな視点で撮影されている。
オブジェクトに関しては海洋堂のフィギュアなど商品として販売されているものを、原口氏が番組に忠実に彩色し直したものが展示されている。その中で「ジェットビートル」は撮影で使っていたプロップを作るための“木型”から新しく作ったものだという。またウルトラマンの飛行ポーズのプロップは当時のものを原口氏が修復したものだ。番組の後半で多用されたものだという。
そして大きな目玉となるものが“キャップ”ことムラマツ隊長を演じた小林昭二氏が実際に番組内で使った「科学特捜隊の制服の上着」だ。デザインとしては上着とシャツの部分が分かれていたが、実際には一体化しており、薄い生地で作られているのがわかる。また、ネクタイは実際に締めるものではなく、ゴム紐で首にかけるようになっている。展示という形での出展は、今回が初めてのものになるという。
「光の国のフォトギャラリー ウルトラマン・オブジェクツ展『明日のヒカリへ』」では、アートという視点からウルトラマンを見ることができると共に、撮影用のプロップで特撮ファンにも見逃せないものになっている。是非会場を訪れて欲しい。
(C)円谷プロ