EA/NEXON、「FIFA ONLINE 3」プレスカンファレンスレポート

ユーザーの意見は全て取り入れる! 独自進化を続ける韓国版「FIFA」


11月8日~11日開催

会場:韓国釜山BEXCO



 韓国のユーザーは、スポーツゲームが大好きだ。野球、バスケ、フィッシング、そしてサッカー。ありとあらゆるスポーツをオンラインゲーム化し、しかもリアル系のオンラインゲームとして楽しむ文化が定着している。この部分は日本と韓国で大きく嗜好が異なる部分のひとつだ。

 そのサッカーの分野で、ほぼ孤高の存在といって良い存在が、EAの「FIFA ONLINE」シリーズだ。日本ではゲームオンが「FIFA ONLINE 2」のサービスを2012年1月まで実施していたのでご存じの方は多いだろうが、今回発表された「FIFA ONLINE 3」がゲームオンからリリースされることはほぼない。理由は「FIFA ONLINE」のパートナーがゲームオンの親会社であるNeowizからNEXONに変わったからだ。EAはNeowizとのパートナーシップを延長せず、パートナーをNEXONに切り替え、「FIFA ONLINE 3」はNEXONとの共同開発という形となった。

 韓国では9月に第1次オープンβテストを終え、現在11月27日から開始を予定している第2次オープンβテストに向けて準備を進めているところだ。カンファレンスでは、現在もサービスを継続しているNeowizの「FIFA ONLINE 2」の違いをアピールすると同時に、その新しい魅力を見せつけるものとなった。

【「EA SPORTS FIFA Online 3」トレーラー】


【「FIFA ONLINE 3」試遊コーナー】
今年のNEXONの一番人気だった「FIFA ONLINE 3」の試遊コーナー

【「FIFA ONLINE 3」スクリーンショット】


■ コミュニティの意見に目を通し、どんどんゲームに取り入れる開発体制

「FIFA ONLINE」を担当するNEXON 発表事業1室室長のイ・ジョンホン氏
メッシの横顔が印象的な「FIFA ONLINE 3」のイメージ

 「FIFA ONLINE 3」のカンファレンスで説明されたのは徹頭徹尾「FIFA ONLINE 2」との比較であり、いかに「FIFA ONLINE 3」が「FIFA ONLINE 2」より優れているかだった。通例、シリーズ物は同じメーカーから出るため、前作にもそれなりの存在意義が提示されるものだが、パブリッシャーが違うとここまで露骨に叩きつぶしに掛かるものなのかと、なかなか驚かされた。

 ちなみにNeowizの「FIFA ONLINE 2」は韓国ではまだサービスが継続されており、いまだに10万人以上の同時接続者数を誇り、Neowizの大きな収入源となっている。ただ、EAとは従来の長期契約から逐次契約に変わっており、いつサービスが止まってもおかしくない状況だということだ。

 「FIFA ONLINE 3」のゴールは、大前提としてリアルなサッカーゲームを目指しており、パスを繰り返してゴールを決めるサッカーゲームではなく、選手の育成、移籍、お金のやりくりも含めて、どうマネジメントしていくかを重視しているという。また、常に公式コミュニティページを中心にコミュニティの意見には目を通しており、可能限りユーザーの意見をゲームに取り入れようとしているという。それでは以下、「FIFA ONLINE 3」の強化ポイントを箇条書きで紹介していく。

【1次OBTと2次OBTでトップ画面が変化】

・選手の移籍マーケット

 「FIFA ONLINE 2」のオークションの変わりとなる、新しい選手取引システム。能力値、背丈、右足でのシュート数、どのリーグに出た選手など、非常に細かく検索を賭けることができ、自分が求める選手を探し出すことができる。また、選手の相場も同時に知ることができるため、相場より高いのか安いのかも知った上で購入することができる。

【移籍マーケット】

・選手の強化システム

 「FIFA ONLINE 2」では、選手は選手で成長し、さらにユニフォームカードによって強化するという2系統の成長システムを採用していたが、これはわかりにくいため全廃し、「FIFA ONLINE 3」では、新たに選手の成長と強化を一体化するシステムを採用する。

 強化に関しては、「FIFA ONLINE 2」では強化するとすべての能力値が+1になり、ある程度強化が進むと選手そのものをロストするリスクがあったが、「FIFA ONLINE 3」では、より投球を細かくし、1度の強化に際してもっと能力を上げることができる。平均して倍アップするようになっている。

 また、強化の際、「FIFA ONLINE 2」では常に+1の選手カードを必要とし、+1のカードが高騰する一方、強化に使えない+2以上のカードが安くなるという現象が生まれていたが、「FIFA ONLINE 3」では+いくつのカードでも強化に使用でき、さらに+が高い方が強化の成功率が高くなるようになる。

【強化システム】

・監督情報

 「FIFA ONLINE 2」では選手よりのゲームだったが、「FIFA ONLINE 3」では、選手、監督、オーナーの3つの立場からバランスよくゲームがプレイできるようになっている。監督情報は、自分以外、誰でも自由に見ることができ、その人がこれまでどのようなスタイルのゲームをしているか知ることができる。

 監督情報は、オンラインゲームにおけるプロフィールの役割を果たすもので、自分の自己紹介、プレイ時間、リーグ優勝経験の有無、クラブのエンブレム、そして試合を放棄した数まですべての情報を知ることができる。さらに、チーム数、選手数、選手をウリ帰した数、稼いだ賞金の総額なども知ることができ、過去に対戦したユーザーとの対戦がしやすくなる。

【監督情報】

・クラブ管理

 「FIFA ONLINE 2」では、クラブの価値をユーザーが手作業で割り出すしかなかったが、「FIFA ONLINE 3」では自動で計算され、どれぐらいの価値を持っているかを見ることができる。ポジション別の選手数や平均の背丈、体重などもわかり、どこが手薄なのかを視覚的に把握することができる。

 「FIFA ONLINE 2」では、ポジションによって、その選手毎に能力の発揮割合が異なっていたが、どの程度の能力を発揮していたかはわからなかった。「FIFA ONLINE 3」ではその具体的な情報を見ることができる。個人のプレイスキル、パス、ドリブルの能力などすべてオープンにしている。

【クラブ管理】

・ユーザーの不満に対する対応

 ここが発表会でもっとも力を入れて解説された部分で、イ氏も「『FIFA ONLINE 3』はユーザーと一緒に作っているコンテンツ」と力を込めた。

 今回、ユーザーの意見をもとに「FIFA ONLINE 3」に反映された項目は、意見の多い上位7項目だったが、それ以外にも細かい要素を修正しているという。ちなみに下記の対応項目は、G-STAR出展バージョンですべてfix済みということで、第2次OBTではこれらが修正された状態でプレイすることができるようだ。

【不満その1:インターフェイス】

 キーボードによる遊びにくさを改善すると共に、「FIFA ONLINE 2」と同じ操作体系や、キーカスタマイズ、ゲームパッドに対応する。ゲームパッドはコンソールの「FIFA」シリーズと同じように遊ぶことも出来る。

 ゲームパッドについては第1次OBTではXbox 360ゲームパッドのみの対応だったが、第2次OBTからはあらゆるタイプのゲームパッドに対応している。連絡をくれれば自作ゲームパッドにも対応するという。

【インターフェイス】

【不満その2:ボイス】

 「FIFA ONLINE 2」で不満だった実況ボイスを全廃し、「FIFA ONLINE 3」で競技場、コールネーム、記録、選手、チーム、試合などの23,114個ものボイスを新たに取り直し、新たなボイスでゲームが楽しめる。

【不満その3:選手の名前】

 試合中に選手の名前を表示可能にする。

【ボイス/選手の名前表示】

【不満その4:リプレイ中のチャット】

 これにより得点を決めた際に、相手を挑発することが可能になるという(笑)。

【不満その5:UI】

 色を変えて見やすくし、数字キーを押すだけで戦術が変えられるように。タブキーを押すことで相手の名前やpingを確認できる。

【リプレイ中のチャット/UI】

【不満その6:BGM】

 BGMをオフにして好みの音楽が聴けるように。さらにBGMやSEのボリュームを細かく調整することが可能になっている。

【不満その7:ラグ】

 ロースペックのPCと対戦するとゲームがラグラグになる問題を解決する。具体的には、必要水準に満たないPCでの参加はできなくなるようにし、比較的ロースペックのPCはグラフィックスオプションを自動で制御し、快適に遊べるように調整する。さらにグラフィックスを最適化し、より低いスペックでもゲームが楽しめるように。

 上記の改善にもかかわらずなお動作の重いPCに関しては、同期の仕方を変え、そのユーザーだけ処理が重くなるように修正。

【BGMの設定/ラグ解消】

【それ以外の不満点】

 試合の設定画面で、ずっとユーザーを待たなくていいように、待機制限を付けるオプションを付与。選手の顔をもっと似たものに刷新。すでに似ている選手に関しては髪型を最新のものにアップデート。

【選手の顔のアップデート(左が旧モデル、右が新モデル)】

(C) NEXON

(2012年 11月 11日)

[Reported by 中村聖司]