Valve/NEXON、「Counter-Strike Online 2」プレビュー/インタビュー

改良型Source Engineエンジンを採用し、独自仕様にこだわったオンラインFPS


11月8日~11日開催

会場:韓国釜山BEXCO



 2012年4月にNEXONが電撃発表した「Counter-Strike Online 2(カウンターストライクオンライン2、CSO2)」。G-STAR 2012で初のプレイアブル出展を行ない、同時にメディア向けにプレスカンファレンスやインタビューを実施した。ゲームの完成度はかなり高く、2013年初頭にも韓国でサービスがスタートする見込み。

 残念ながら日本展開についての発表は行なわれなかったが、「Counter-Strike Online(カウンターストライクオンライン、CSO)」は日本でも根強い人気を持つため、今回発表されたNEXONタイトルの中では日本展開がほぼ確実視されている。本稿ではプレスカンファレンスの模様と、インタビューをお届けしたい。

【「Counter-Strike Online 2」トレーラー】


【「CSO2」試遊コーナー】
「CSO2」の試遊コーナー。「CSO」との感触の違いを確かめるようにプレイしているユーザーが多かった


■ 「CSO2」は、グラフィックス、AI、物理、サウンドなどあらゆる要素がパワーアップ!

発表会の模様
ValveのChef Faliszek氏

 「CSO2」のプレスカンファレンスでは、Valveで開発を担当したChef Faliszek氏が説明を担当した。Faliszek氏は、1999年の「CS」β1の頃から「CS」の歴史を語り始め、「CSO2」は、「CSO」以来5年ぶりの新作になることを説明した。

 「CSO2」は、ValveのゲームエンジンSource Engineの最新版を採用し、グラフィックス、AI、物理、シェーダーベースのレンダリングエンジン、サウンドエフェクトなど、あらゆる部分が強化されている。

 さらにNEXONとのパートナーシップで、Source Engineを独自カスタマイズし、グラフィックスやAI、サウンド、ネットワーク、プログラムの最適化による低スペックPCでの動作などをさらに強化しているという。また、現在、トーナメントシステムや、トーナメントを観戦するシステムなどを両社共同で開発していることなどが明らかにされた。

 マップについては「CSO」と「CSO2」との比較が紹介され、すべてのマップがより写実的にリアルになっており、「CSO2」の直接のベースとなっている「CS Source」からさらにブラッシュアップしていることなどが報告された。

 また、今回は影生成がリアルタイム処理となり、時間によって影の位置が変わることを紹介。さらに女性的な魅力のある女性キャラクターがカウンターテロリストとテロリストの双方の陣営に1人ずつ追加することも報告された。

 なお、質疑応答では、「ゲームに関する発表はNEXONに一任している」ということでまったく盛り上がらなかった。そこで改めてNEXONの担当者に詳しく話を聞いてきたので以下紹介したい。

【「Counter-Strike」ヒストリー】

【「CSO」と「CSO2」のマップデザインの違い】
ダスト2やイタリア、アステカなどのマップの違いが紹介された。右下は「CSO2」で新たに実装される女性キャラクター

【影生成】
左と右で影の位置が違うのがわかるだろうか? デモでは早回しで見せており、リアルタイムで影の位置が変わっていく


■ NEXON「CSO2」プロデューサーKim Young Suk氏インタビュー

NEXON「CSO2」プロデューサーKim Young Suk氏
Kim氏は、元々「CSO」を担当していたが、「CSO2」プロジェクトの立ち上げを機に、「CSO2」の担当になったという
発表会でアナウンスされた独自コミュニケーション機能。「CSO2」は、「CSO」以上に、NEXON側の希望が取り入れられている印象を受ける
「CS」時代から人気のマップも、新たにリデザインされている

——まず始めに「CSO2」の企画経緯を教えて下さい。

Kim氏: 「CSO」は、ゲームエンジンが10年過ぎているので、グラフィックスの面での限界が見えてきて、拡張したいと考えていました。そこで新しいSource Engineを使って、「CSO」のサービスを維持したままで、新しいプロジェクトを立ち上げることになりました。

——「CS Source」をベースにしているということですが、「CS Source」との違いは?

Kim氏: 「CSO」は「CS1.6」を基盤にしてそのままオンラインゲームに反映しましたが、「CSO2」の場合は、Source Engineをそのまま使うと、我々が目標としているクオリティが出ないことがあって、Source Engineに修正を加える形で、ゲームモードやゲームモデルを開発することになりました。

 もうひとつは、ゲーム全般のバランスを変えたところもポイントです。「CS Source」の射撃は、命中率が低すぎて、これではゲームとして、ハードコア過ぎてしまうので、命中のしやすさや感覚については「CS1.6」に準拠し、「CS Source」より当たりやすくなっています。

——グラフィックスはどのように強化されましたか?

Kim氏: 一番大きいのは影の部分です。前まではリアルタイムで影を生成することはできませんでしたが、今回は影のクオリティを上げて、さらにリアルタイム処理しています。これにより、マップから受ける印象がシャープに変わりました。

 あとはSource Engineで使っていない部分を独自で使用して、画面効果のクオリティを上げています。具体的には画面を綺麗に見せるために、独自のシェーダーやポストエフェクトをかけています。その効果を高めるために、背景を、実写的な見せ方をして、原画の段階から、写実的な作業を行なっています。影などと合わせてシナジーを狙っています。

——影がゲームに与える影響はどのようなものですか?

Kim氏: まず、マップの雰囲気がぜんぜん違ったものになっています。今までの影と新しい影は、色も違うし、動いたりする。たとえば、風に揺れる電線の影は、ゆらゆら動き、マップと調和がなされます。また、ゲームプレイでは、暗い影の中に入り込むことで、プレーヤーがマップに溶け込むことができます。

——これからは人影でキャラクターの存在や位置を特定できることもある?

Kim氏: あるでしょうね。テストをしたときに、影を確認して爆弾を投げるユーザーもいたし、逆にフラッシュライトを付けて影を隠したりしてました。

——「CSO2」では、「CS」シリーズ最新作の「CS Global Offensive」のリソースは使っているのですか?

Kim氏: 使っていなません。「CSGO」は外注を使ったValveのプロジェクトで、我々が直接コンタクトを取っているのはValveなので、あくまで「CS Source」がベースになっている。実は開発していることを直前まで知らなかったぐらいです(笑)。

——Crytekの「Warface」が最新のゲームエンジンCryEngine3を採用し、非常に美しいグラフィックスを実現している。このライバルをどのように見ていますか、また、「CSO2」のアドバンテージはどのあたりにあると考えていますか?

Kim氏: 「Warface」はライバル関係というよりは協力関係だと思っています。「Warface」との差別化としては、もっとカジュアル要素を持っていきたいと思っています。それから「CS」というブランドの価値、「Warface」にはないオリジナルモード、「CS」で固有で持っている特徴があるので、その部分をアピールしたいです。

——「CS」と言えば“打撃感”だが、「CSO2」で打撃感についてこだわっているところを教えて下さい。

Kim氏: 打撃感に関しては、「CSO1」とはゲームエンジンが違うので、「CS Source」と比較した方がいいと思います。「CS」シリーズの打撃感は、“撃つ”、“当てる”、“死ぬ”という3つにわけられますが、まず射撃については、打撃感をよりリアルにするために、撃った際の武器の反動を大きくしています。次に当たった感じをリアルに表現するために当たった敵が出血するようになっています。G-STARでは青少年でも体験できるよう作られたバージョンなので出血しないようになっていますが、18歳以上の設定だと、リアルに出血するようになっています。また、音によっても敵に当たったことが確認できるようになっています。最後に、敵が死ぬシーンも、物理エンジンを駆使して、どこに当たったか、頭、足などの部位によって、死ぬ際のアニメーションが変わるようになっています。

——鮮血が飛び出るわけですか?

Kim氏: はい。血の量を多めにしていて、壁際だと壁にも血が付着します。もっとも、他のFPSなどと同じように一定期間で血糊は消えますが。

——音で当たったことがわかるというと、スナイパーライフルで遠距離からヒットさせてもわかるのですか?

Kim氏: そうです。距離とは関係なく、撃った弾が敵に当たったことを耳で確認できるようになっています。もちろん、壁をショットする場合は音がでませんが、ヘッドショットを決めた時は、もうちょっと音が大きくなりますので、それとわかるようになっています。

——「CSO2」ではマップはどうなりますか?

Kim氏: マップは、「CS Source」も「CS1.6」から持ってきてるので、基本的には同じになります。「CS Source」のマップをベースにして、「CS1.6」から持ってきたマップのうち、バランスがおかしいと思われるマップに関しては、「CS1.6」から直接持ってきて調整を行なっています。

——「CS Source」でバランスがおかしいマップとは?

Kim氏: dust2とInferno、それ以外もいくつかあります。

——「CSO2」で新たに搭載されるゲームモードを教えて下さい。

Kim氏: 今確定しているのは「ガンチームデスマッチ」です。「CSO」の「チームデスマッチ」は参加者全員が良い武器を使いたがるという問題があったので、「ガンチームデスマッチ」では、全プレーヤーに同じレベルを持たせ、レベルによって武器を変える仕様にしました。敵を殺すとレベルが上がり、レベルが上がると良い武器が使えるようになります。最高まで上がると刀が使えるようになって、刀で誰かを殺すとその時点で勝利になります(笑)。

——「CSO1」で人気の「ゾンビモード」はないのですか?

Kim氏: 「ゾンビモード」についてはまだ決定してませんが、もし導入することになるとしても、これがメインになることはありません。ほかにも色々なモードを追加していこうと思っていますが、現時点ではまだお話しできません。

——「CSO1」は今後どうなる?

Kim氏: サービスを継続します。私が「CSO2」を担当することになってから、いま別のチームがやっていて、サービスは今後も変わらず維持することになっていますが、私としては「CSO2」に来てくれると嬉しいです(笑)

——「CSO1」の今後の拡張計画を教えて下さい?

Kim氏: 完全に別の部署なので、まったくわかりません(笑)

——11月16日から韓国でスタートする2次CBTについて抱負を聞かせて下さい。

Kim氏: 今回は、技術的な部分の修正が加わっているので安定性を確認したいです。また、新たなコンテンツがいくつか追加されるのでゲームバランスや適合性の確認もしたいです。追加コンテンツは女性キャラが2人で、ユーザーのフィードバックも楽しみにしてます。この女性キャラクターは、トレーラーやG-STARでも見ることができます。テーマは“強くて美しい”で、カウンターテロリストとテロリストに1名ずつ追加されます。「CSO1」にも女性はいましたが、「CSO2」では女性らしさ、美的な部分も追求。

——正式サービスについて

Kim氏: 内部でも未確定ですが、予定としては早ければ今年の12月、来年の頭にはサービスインできると思います。

——ビジネスモデルは何か変化はありますか?

Kim氏: こちらもまだ検討中の段階で、大まかな目標としてはしっかり売上を上げながら、お金を払っていないライトユーザーも楽しめる形にしたいと考えています。

——「CSO2」の正式サービス後のアップデート計画を教えて下さい。

Kim氏: こちらもまだ確定してませんが、「クランシステム」や、オンラインで参加できる「大会システム」を考えています。この場合は、ハードコアを対象にしていますが、そのほかライト向けに武器やマップの追加を考えています。

——日本展開についてはまだ確定していないということですが、もし展開するとしたらどのような展開の仕方を考えていますか?

Kim氏: 「CSO2はFPSをしたことがないユーザーも参加できるように考慮しています。PCの仕様も低スペックで遊べるように工夫しています。日本展開では日本のキャラ、マップ、アイテムを追加していきたいと考えているところです。

——日本の「CSO」ファンに対してメッセージをお願いします。

Kim氏: まだ日本サービスは確定してませんが、もし進出するとしたら、他のFPSでは体験できないものを実装しようと準備してますのでたくさんの期待と関心をお願いします。


【影生成】

(C) NEXON

(2012年 11月 11日)

[Reported by 中村聖司]