カプコン最新作「イクシオン サーガ」OBTプレイレポート(前編)

チーム対戦・アクション・RPGの3要素で見所を紹介


10月4日~12月 オープンβテスト実施予定



アニメはギャグ満載だが、ゲームの方はシリアスなのでご注意?

 この10月より、テレビアニメ「イクシオン サーガ DT」の放映が始まっている。この原稿を執筆している時点では第2話が放送されているが、アニメファンからの評判は概ね「なんだこれ(笑)」という感じ。ゲーム原作アニメとしても、単純なアニメ作品としても、誰もが予想外の“いい意味で酷い”ギャグ展開で話題になっている。まだ見ていないという方で軽度? の下ネタを許容できる方は、オンライン配信などでぜひ追っかけご覧いただきたい。

 その原作ゲームとなるのは、カプコンが開発・運営するWindows用オンラインチーム対戦アクションRPG「イクシオン サーガ」。アニメとほぼタイミングを同じくして、10月4日より誰でも無料で遊べるオープンβテスト(OBT)が開始された。期間は12月までと長めの予定になっている(正式サービス以降も、基本プレイ無料でのサービスが予定されている)。

 アニメを見てゲームに興味を持つ方も少なからずいらっしゃると思うが、ゲームのシリアスさにカルチャーショックを受けそうなほどノリが違う。あくまでゲームはゲームとして見ていただくため、今回はOBT時点での「イクシオン サーガ」の特徴や見所をご紹介していきたい。ポイントは、ゲームのジャンルとなっている「オンラインチーム対戦」、「アクション」、「RPG」の3つだ。

 今回のプレイレポートは前後編でお届けする。前編となる本稿ではゲームの見所をお伝えした上、後編ではゲームの導入からプレイのポイントをご説明したい。これから本作をプレイしたいという方は、ぜひ合わせてお読みいただきたい。




■ カプコンらしい“格ゲー”の「アクション」

ファンタジーだがリアルな3Dアクションゲーム

 本作は最大8対8で戦う対戦型の3Dアクションゲームとなっている。オンラインゲームで対戦型のチームアクションと言うと、銃器で撃ち合うFPSがイメージされやすいところだが、本作は剣、銃、杖(魔法)と多彩な武器を操るファンタジー世界を舞台としている。

 そのアクションには明確な特徴がある。カプコンでアクションと言えば、「ストリートファイター」シリーズを始めとした対戦格闘ゲームを思い浮かべる方も多いのではないだろうか。本作はまさにその“格ゲー”をエッセンスとして取り込み、多人数対戦によるオンラインゲームの形に仕上げている。

 具体的には、攻撃と防御の駆け引きが存在する。剣ならば近距離での攻撃、銃や杖ならば遠距離からの攻撃という特徴の違いはあるが、いずれもガードしてダメージを防げる。攻撃されると思ったらガードし、その隙を突いて反撃、しかし相手もそれを読んでしっかりガードや回避……といった、“格ゲー”で見られる駆け引きが楽しめる。

 多人数での対戦型オンラインゲームは他にも数多くあるが、ガードという概念や、メリハリある攻守の切り替え、接近戦でのタイミングの読み合いといった要素を、ここまで尖らせている作品は筆者は他に見たことがない。無論、好き好きは人によりけりではあるのだが、ゲームファンなら「なるほど、これはカプコンだな」と思わせてくれるゲームに仕上がっている。


【スクリーンショット】
1対1でのバトルは駆け引きが重要。先に撃ったもの勝ちなゲームではなく、武器の特性とバトルの組み立てを考えて戦う



■ 「オンラインチーム対戦」ならではの戦略性

オンラインで出会うプレーヤーと最大8人のチームを組む

 そして本作はただの“格ゲー”には留まらない。続いての要素となる「オンラインチーム対戦」では、読んで字のごとく、チームでの連携や戦略が重要になってくる。

 まず単純なバトルにおいては、1対1ならば先述の駆け引きだけで終わるのだが、2対1になると全く事情が変わる。味方が敵の攻撃を受けている際に、その後ろから攻撃を仕掛けてやれば、ダメージを受けた敵はのけぞって攻撃が中断される。もちろん敵もガードは可能だが、2人を同時に相手しながら反撃するのは難しい。“格ゲー”で敵2人に挟み撃ちにされて勝てるか? と言えばわかってもらえるだろう。

 そして本作は最大8対8のバトルとなっている。重要な局面での戦闘は、複数の敵味方が入り乱れることになる。最前線では剣がぶつかり合い、その後ろからは銃の援護射撃が飛び交い、HPが削られた味方を助けるべく杖が障壁を張り、回復魔法を唱える。乱戦の中で、いかに味方と攻撃対象を合わせて的確に敵を倒せるか、自分1人が突出して敵に狙われないように動くか、狙われている味方をどう救出するか……。弾幕が飛び交う苛烈な戦場で、的確な判断が求められる。

 言葉だけ聞いているとえらく難しそうに聞こえると思う。だが“格ゲー”で重要視される反射神経だけでなく、周囲の状況把握も極めて重要になるので、筆者のようなおっさんゲーマーでも、長年の経験から情報面・戦略面でカバーできるというのも魅力的なところだ。

 またバトルのルールもいくつかある。単純に敵を倒すものだけでなく、拠点を奪い合うものもあるので、ルールによっては敵を圧倒する個人技よりも、味方とともに行動するチームワークが重要になってくる。


【スクリーンショット】
複数人での乱戦も頻発するので、“格ゲー”が得意だからと言って大活躍できるとは限らない



■ 「RPG」的成長要素を対戦に盛り込む

高レベルなら2人を相手にできる……というわけではない

 これまでの説明にあるとおり、本作は結構真面目な対戦ゲームになっているのだが、「RPG」的な成長要素も盛り込まれている。「対戦なのにキャラクターが成長しては不公平じゃないか」と思われるだろうが、そこはバトル時に低レベルなほど攻撃力が高くなるといった補正をかけることでバランスを取っている。

 そうなると逆に、レベルが低いほど攻撃力が高いというバランスに違和感を持つプレーヤーも多い。それは事実ではあるのだが、高レベルのキャラクターにももちろんメリットはある。

 まずレベルが上がることで、新たなスキルを手に入れられる。最初は武器種ごとに2つしかスキルを持っていないため、できることが少ない。レベルが上がれば、剣であればガード姿勢のまま突進して敵を弾き飛ばすスキルで、敵に接近しづらいというデメリットを緩和。銃は地雷設置や範囲攻撃スキルを覚えて、状況に合わせた対応が可能になる。杖は多彩な回復スキルや、攻撃や移動を制限する障壁を使えるようになり、援護力が強化される。

 もう1つは「スタイルスロット」による能力の特化だ。キャラクターはレベルアップすることで、「スタイルスロット」として選んだ特定のステータスが集中的に成長する。それによって、攻撃力特化、スキル特化などのキャラクターの特色が出る仕組みになっている。OBT時点では武器種ごとに固定の「スタイルスロット」となっているが、今後自由に選択できるようになる。

 低レベルでも基本的能力が高いのでそれなりに戦える。高レベルでは多彩なスキルと特化された能力で戦略的な強みを持てる。対戦ゲームの公平さを維持しつつも成長要素を盛り込んだ仕組みとなっている。なお武器種や「スタイルスロット」は切り替えが可能で、OBT時点では3種の武器種をバトルごとに自由に持ち替えられる。


【スクリーンショット】
銃と杖のレベル10時のステータス。成長するステータスが異なるので、キャラクターの特性も変わってくる



■ 1試合は最長10分。手軽に遊べる本格派オンラインゲーム

左上のタイマーにあるとおり、1試合は長くて10分。気軽に遊べる

 現状用意されているルールはいずれも試合時間が10分となっており、勝利条件を満たせばより短時間で試合が決する。感覚的には、“格ゲー”の1戦よりちょっと長いくらいの感覚で、オンラインゲームでありながらサクサク連戦できるのも魅力だ。

 ゲームの開発には、「バイオハザード6」などカプコンのコンシューマーゲームにも使われている「MTフレームワーク」を採用しており、グラフィックスのクオリティも高い。またサウンドもサラウンド対応。筆者の5.1ch環境(サウンドカードからアナログ出力)ではきっちりサラウンドでプレイできており、サウンド面でも最新タイトルならではの1歩進んだ感覚を味わえる。

 カプコンが贈る最新国産オンラインゲーム、という重い看板をきっちりと背負いきったクオリティの高さは一見の価値あり。内容はハードなアクションゲームなので、誰もが気軽に楽しめるタイトルと言いづらいのも確かだが、オンラインゲームにありがちな「初心者お断り」のような空気もない。クライアントのダウンロードからゲームプレイまで無料となっているので、ぜひ1度お試しいただきたい。

 ……というだけでは、アニメから興味を持たれた方にはまだハードルが高く感じられるかもしれない。後編ではそんな方に向けて、ゲームの導入から遊び方のコツなどをお伝えしたい。


【スクリーンショット】
グラフィックスの美しさも本作の特徴。オンラインゲームファンにも、1歩進んだクオリティのゲームとして体感できるはず

(C)CAPCOM CO., LTD.2012 ALL RIGHTS RESERVED.

(2012年 10月 26日)

[Reported by 石田賀津男]