ゼニマックス、ステルスアクション「Dishonored」先行体験レポート

序盤シーンを先行体験! 女王殺害と娘の誘拐の濡れ衣を着せられ殺人鬼となった主人公の行く末は!?


10月11日 発売予定

価格:5,980円

CEROレーティング:Z(18歳以上のみ対象)



 ゼニマックス・アジア株式会社は、10月11日発売予定のプレイステーション 3/Xbox 360用ファーストパーソンアクション「Dishonored(ディスオナード)」の先行体験会を開催した。

 「Dishonored」は特殊な能力を使い、暗殺を行なっていくファーストパーソンアクション。プレーヤーは、恐怖と疫病にむしばまれる“ダンウォール”という街を舞台に、「コルヴォ」という暗殺者となり、戦いを繰り広げて行く。

 本作の最大の特徴は“自由度”である。対象を殺すか、気絶させるか、正面から突っ込むか、ステルスにこだわるか……フィールドをくまなく探索し、特殊能力を駆使することでその他の選択肢も見えてくる。ゲームに習熟するほど楽しい作品となっている。それではさっそく日本語版の最新ビルドを使ったプレイレポートをお伝えしていこう。

【初公開の日本語版スクリーンショット】
今回、2点の日本語版スクリーンショットが初公開となった。ルーンを消費してアップグレードする画面と、ゲーム中能力を選択する画面




■ 無実の罪を着せられ、暗殺者に墜ちるコルヴォ。女王の娘を救えるか!?

コルヴォは、銃と剣を使って敵と戦う
川を船で移動する。我々の世界とは似て非なる世界が構築されている
アウトサイダーと出会う奇妙な世界「虚無の空間」

 体験会ではまず最初に、ゲームの序盤をプレイすることができた。主人公コルヴォは、女王を護衛する護衛官で、女王の娘エミリーからもなつかれていた。しかし主人公の目の前で女王は暗殺者に殺され、エミリーは連れ去られてしまう。コルヴォはクーデターに巻き込まれ、女王暗殺の罪を着せられ、死刑を宣告されるのだ。

 しかし、クーデターに反対する王党派がコルヴォを救い、“暗殺者”として働くこと求めてくるのだ。さらに“アウトサイダー”という謎めいた存在からコルヴォは特殊能力を得る。コルヴォは、瞬間移動や、時が進むのを遅くしたり、動物や人間に憑依できるなど人知を越えた能力に目ざめていき、超人的な活躍をしていく。アウトサイダーは何故このような能力を与えたのか、コルヴォの行動はこの国にどのような影響をもたらすのか……コルヴォは復讐のため、女王の娘を救うため、様々な任務をこなしていく。

 ゲームはコルヴォが女王の元に帰還するところから始まる。この時船で移動するのだが、生みの雰囲気や、遠くに見える建物など“空気感”が、「ハーフライフ2」に近い感じを受けた。それもそのはず、本作は「ハーフライフ2」でアートディレクターを務めたヴィクトル・アントノフ氏が世界設定を担当しており、“見せ方”にも近い部分があると感じた。「Dishonored」の世界は我々の世界とは異なる進化を遂げた“レトロフューチャー”の世界となっており、主なエネルギーが“鯨油”だったりする。ほかにも月が2つあったり、樹木がなかったり、生物の生態系も異なるなど、我々の世界に近いようで遠い、独特の世界観も注目だ。

 最初のシーンではエミリーとかくれんぼをしてステルスアクションの基礎を学ぶ。そして女王との邂逅、暗殺者の襲撃、エミリーの誘拐と、めまぐるしく状況は変わっていく。目の前で女王が殺されるのを止めることができず、コルヴォは殺人者の汚名を着せられ拷問を受け死刑を宣告されるが、協力者の手引きで収容所からの脱獄を果たす。

 この脱獄のシーンではコルヴォはまだ特殊能力を得ていない。アクションと武器で脱獄を果たさなくてはならない。看守達の目を盗むにはステルスアクションで進んでいく。しゃがむとステルスモードになり、障害物に身を隠すことができ、正面に立たれない限りは気づかれなくなる。また、背後から首を絞めることで、気絶させることも可能だ。ただ、このステルスはなかなか難しく、初挑戦の筆者は、結局全ての看守を殺害してしまった。

 「Dishonored」では、右手に剣、左手に銃やボウガンを持って戦う。また、特殊能力の発動も左手となっている。今回はPS3版で体験したのだが、遠距離武器の発射がL1、剣を振るのがR1、そして剣を使ったガードがR2だった。敵の攻撃に対し、タイミング良くR2を押すと敵は大きくバランスを崩しこちらの攻撃チャンスとなる。戦いの駆け引きも楽しく感じた。

 看守達を殺しながら進むか、気づかれずに進むかで後々のゲームの展開が変わってくるという。本作には「カオス」というパラメーターがあり、死亡者が多いほど、街の混乱はひどくなってくる。物語の舞台となるダンウォールはネズミを媒介とする疫病が蔓延している。ネズミは凶暴化して人間を襲うようにまでなっている。敵を殺しすぎるとカオス度が上がり、ネズミの数が増え、より悲惨な状態になっていくという。このカオス度はエンディングにも影響する。プレイスタイルによってその後のステージの様子と、ゲームプレイが大きく変わっていくとのことだ。

 クーデターに反対する王党派によって助けられたコルヴォは、王党派のアジトから様々な任務に挑戦していくこととなる。彼は女王の暗殺事件の際に顔に傷を負ってしまっており、これ以降、仮面に顔を隠して戦っていくことになる。そしてこの王党派に身を寄せた日にアウトサイダーという謎の存在に特殊能力を授けられるのだ。

 アウトサイダーとの邂逅は「虚無の空間」という夢とも現実ともわからない不思議な空間で行なわれる。虚空に浮かぶ島のような足場に瞬間移動能力「ブリンク」で渡っていく。さらに「ハート」という能力で隠された“ルーン”を見つけ出す能力がもたらされる。ルーンを集めていくと、超常能力を強化することができる。

 ルーンで強化できる能力は、ブリンクや、敵などに憑依できる「ポゼッション」、時間の流れを遅くする「ベントタイム」などがあるが、耐久力を増やす「バイタリティ」や、ジャンプ力を増やす「アジリティ」といった身体的な能力を増やすものもある。

 ここにさらにコルヴォがつける仮面や、装備を強化する要素も加わってくる。これは王党派の拠点で行えるもので、こちらはゲーム内で得たお金を使う。プレーヤーは自分のプレイスタイルに合わせてコルヴォを強化していくのだ。

【スクリーンショット】
収容所からの脱出。看守を皆殺しにしてしまうとカオス度が上昇する。左は拷問室
虚無の空間では、コルヴォが目にしていないはずのエミリーの姿を見かけることも。これは現実で起きていることなのだろうか
様々な超常能力。中央は敵の視線や、壁の向こうも見える「ダークビジョン」
左の「ウィンドブラスト」は、敵をはじき飛ばす。中央は時を止める「ベントタイム」。右は「ブリンク」で高い場所に登ったシーン




■ 多くの選択肢が提示される「LADY BOYLE'S LAST PARTY」。超常能力ならではのゲームプレイ

不気味な仮面舞踏会
闇に潜み、暗殺を行なう、コルヴォのイメージイラスト

 体験会では、序盤の他にこちらでも紹介しているゲーム中盤のミッション「LADY BOYLE'S LAST PARTY」をプレイすることができた。まず、特殊能力を使い、ブリンクやジャンプで高いところなど移動してみたのだが、フィールド探索の楽しさが実感できた。ハートを使えばルーンの位置もわかる。ルーンを手に入れれば様々な能力が使える。他にも大量のアイテムが入手できる場所もあり、マップの探索は本作での必須の行動だと感じた。

 このミッションでは、仮面舞踏会が行なわれている館に入らなくてはならない。館に入るには、招待状を手に入れるか、忍び込むことになる。ブリンクとジャンプを使って忍び込む方法もあるが、今回は敵に憑依できるポゼッションを使ってみた。ポゼッションは敵に憑依中自由に操れ、その間コルヴォの肉体はこの世界から消失している。この世界には川に人を襲う凶暴なピラニアのような魚がいるのだが、これをポゼッションで操ってみた。ピラニアに憑依して下水管の鉄格子をすり抜け、地下から館に潜入を果たした。

 ポゼッションはネズミに使うのもかなり有効だった。穴の開いたダクトにネズミで入っていくことで、アイテムのたくさんある隠し部屋に潜入することができた。ただし、この世界ではネズミは病気の媒介者として忌み嫌われているため、憑依中メイドに見つからないように注意する必要がある。パーティ会場では踏みつぶされて死んでいるネズミの死体が転がっていた。

 1度忍び込むと、仮面をつけているコルヴォも“客”として扱われる。この館には実は「ボイル婦人」と呼ばれる女性が3人いる。その中から誰がターゲットか探さなくてはならないのだ。ここでも方法は様々だいきなり襲いかかる方法もあるだろう。筆者は周りの人物から話を聞き、ターゲットを探し出すことにした。そうしていると、1人の男性が「彼女を殺したくない」と、ミッションの目的を達し、かつ彼女を殺さなくてすむ方法を提示してくるのだ。

 何とか彼女を殺さずに、地下まで連れていこうと決心し、情報から彼女を特定できたものの、会話の選択肢に失敗してしまったようで、彼女はこちらに興味を失ってしまった。そこでポゼッションを使って、彼女を無理矢理地下に連れていこうとした。ところがポゼッションは人間相手では効果が薄いようですぐ憑依が解除されてしまう。そして焦るうちに、間違えて彼女を撃ち殺してしまったのだ。特殊能力発動と、射撃が同じだったというところもミスに繋がった。結局脱出には成功したものの、苦い結末になってしまった。

 このミッションでは無数の選択肢があるのがわかった。どう忍び込むか、どう会話を進めるか。プレーヤーの立ち回りで展開は大きく変わってくる。正し、ほんのちょっとのミスで取り返しのつかない事態にもなる。「Dishonored」はこまめなオートセーブにより、チェックポイントから再開可能な上、いつでもセーブができるので、重要な行動をするときはセーブを忘れずにするとかなり楽になると感じた。一方でセーブに頼らない硬派なプレイもまた楽しそうだ。

 もう1つ、敵の警備厳重な場所への潜入するミッションも体験したのだが、こちらは能力の組み合わせや、敵をどうかわすかなどをまだ把握してなかったので、ほとんど前に進めなかった。ただ、ブリンクを使った立体的な移動や、時間の流れを遅くするベントタイムを使えば相手の目の前を通過しても、警戒を上げるだけでやり過ごせる事がわかったり、能力の使い方の一端を見ることができた。戦闘に関しても手強く闇雲に攻撃しているだけでは勝てなくなっていた。ちなみにベントタイムはアップグレードすれば完全に時を止めることができ、あらゆる状況で有利になる。

 「集中的にプレイして、華麗にミッションをこなせるようになりたい」。今回の体験会では、こう強く思った。「Dishonored」は繰り返しプレイ、アプローチを変えたプレイが楽しいゲームだ。育て方でもゲームの進め方は大きく変わってくる。1度クリアしても、長く楽しめるゲームだと感じた。

ボイド伯爵邸でのミッション。進め方では、周り中敵になる事も
我々の世界とは異なる文明の発展をしている「Dishonored」の世界。特に中央の「トールボーイ」は圧政を象徴する存在だ
コルヴォが使う様々な武器も注目。右は保安装置を乗っ取り、敵を攻撃している場面

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(2012年 9月 21日)

[Reported by 勝田哲也]