Ubisoft、3つのデモプレイと、Wii U版で明らかになる「Assassin's Creed III」

謎に包まれたPS Vita版「Assassin's Creed 3 Liberation」の情報も


6月5日~7日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 E3 2012でUbisoftが最も力を入れて出展していたのが「Assassin's Creed III」だ。E3前日に実施された「PlayStation E3 2012 Press Conference」や「Ubisoft E3 2012 Media Briefing」にキラータイトルとして登場したほか、ブースではシアターでの映像出展に加え、プレイアブルのマルチプレーヤーモード、中央ステージでプレイ映像を開発者が解説するイベント、さらに関係者のみが入ることができるクローズドコーナーでは、Wii U版も見ることができた。

 本稿ではこれらの要素から明らかになった「Assassin's Creed III」の最新情報を紹介する。加えてクローズドブースで見ることができたPS Vita版「Assassin's Creed 3 Liberation」の情報も紹介したい。「Assassin's Creed III」はプレイステーション 3/Xbox 360/Wii U/Windows版が2012年10月に発売される。





■ 独立戦争に揺れるアメリカが舞台の「Assassin's Creed III」。海での大海戦も

ブース中央で、開発者がゲームを解説
クローズドブースで見れたWii U版

 「Assassin's Creed III」の主人公はコナーという青年で、ネイティブアメリカンの父と、イギリス人の母を持つ、アメリカ独立戦争時代に生きた人物だ。コナーはネイティブアメリカンの地を守るために戦っていたが、やがてテンプル騎士団との戦いに巻き込まれ、そして独立戦争にも関わっていくという。

 本作はアメリカ独立戦争を背景にしたアサシンの物語だ。海外のゲームメディアでの開発者インタビューではこれまでの作品の子孫となる現代の青年「デズモンド・マイルズ」のストーリーの最終章であるとも語られており、ファンは気になるところだろう。

 Ubisoftブースでは中央にステージを設け、今回出展されたタイトルのミニイベントを行なっているのだが、「Assassin's Creed III」では「Ubisoft E3 2012 Media Briefing」で紹介された雪原から砦を襲うシーンと、「PlayStation E3 2012 Press Conference」、での海戦のシーンを開発者がデモプレイで解説を加えるという形で行なわれた。

 どちらも「Assassin's Creed III」の特性を切りだしたムービーとなっており、雪原のシーンでは、木々を飛び回り、ターゲットのいる砦に近づき、火薬庫を爆発させ敵を混乱させて、一気にターゲットに迫るという展開だった。

 船のシーンは大海原を帆船で進むところから始まる。青く輝く海の上を、滑るような速度で進む爽快感のあるシーンから、大砲を撃ち合う帆船同士の戦いに。そして、嵐の中の白兵戦に。船を操り炎を上げる帆船に併走すると、乗組員達が次々と敵の帆船にロープをひっかけ、そして飛び移っていく。どちらも迫力のある映像だった。

 さらにシアターではさらにもう1つのシーンを見ることができた。「ボストン」で、多くの人に交じり、主人公は進んでいく。1人の婦人に声を掛けられ、路地裏にむかうと、男が役人らしき男に捕まり、縛り付けられていた。プレーヤーは女に男を助けられるように依頼される。これは街で挑戦できるサブクエストの1つだという。

 ここで紹介されたのが「ブランディング」というシステムだ。「Assassin's Creed III」では、主人公の頭の上に白い丸のマークが浮かび上がっている。このマークは、役人など主人公に敵対してる人物や、協力者も浮かび上がっており、一般人との違いが一目でわかるようになっている。このマークは、主人公が近づくと、自分のマークから相手のマークに向かって線が延びる。これは彼らの「関心」を現わしているという。

 線が出ているときに誰かを攻撃したりすると、すぐに見つかり、取り囲まれてしまう。線の有無が行動の判断になる。また、茂みに隠れたり、建物に入って「ブランディング」の線を切るように動くことで、追跡をかわせる。そして線は協力者のヒントでもある。線をたどることで協力者の元にも簡単に行ける。敵の集団が駆け込んでくるときは頭にマークがついているので、直ぐに気がつける。

 捕まっている協力者を見つけたときなどは、キャラクターが一瞬線に覆われる。この演出は、まるでキャラクターの周りにノイズが入ったような感じだ。「Assassin's Creed」シリーズはデズモントが「アニムス」という装置を使って過去を垣間見ているという設定なのだが、ノイズは本作も同様に過去の記憶を、装置で見ていると言うことを教えてくれる。現実だと思っているものが、揺らぐ不思議な感覚だ。

 ボストンのデモでは、帆船の中に敵がいる。屋根の上から船の外にいる歩哨をクロスボウで撃ち、悲鳴を上げて倒れる歩哨に船内の注意が向いた瞬間、船の中に飛びこむ。混乱に紛れ突破していき、一気にターゲットを追い詰めるのは爽快感があった。

 さらにクローズドブースでは、このボストンのデモをWii Uで見ることができた。Wii Uコントローラのモニターには常にマップが表示されており、広い街を移動するのにかなり有効だった。画面を切り替えなくてもマップには敵や味方、目的地が表示され、人の多いボストンでも迷わず移動できる。

 また、武器の切り換えを画面タッチで可能で、相手に突き刺し、身体ごと引き上げる武器の使用なども瞬間的に切り替えて使用できた。Ubisoftブースでは他にも様々なWii U向けのタイトルがあり、それらと比べると、正直なところWii Uならではの要素、という感覚は弱かったが、PS3版と全く変わらない美しいグラフィックスは、Wii Uのポテンシャルの高さを感じさせた。


雪原を進む。ラストは火薬庫を爆発させて突入
大海原での海戦。急激に悪化する嵐の表現にも注目
マルチプレイ場所を取り合う、「陣地戦」が行なわれていた。チーム対戦で、普通に歩いたり、止まっていると見分けがつかないのが面白い。誰が敵チーム員かを探りながら陣地を占領していく




■ 謎に包まれた「Assassin's Creed 3 Liberation」タッチパネル要素などが明らかに

実際に触ることもできた「Assassin's Creed 3 Liberation」

 PS Vita版の「Assassin's Creed 3 Liberation」は、現在のところほとんど情報は明らかになっておらず、「女性が主人公」ということくらいで、映像出展も限られたものになっている。発売日、価格も未定だ。この秘密のタイトルを、今回はクローズドブースで見ることができた。

 女性の主人公は、これまでのアサシンよりほっそりとしたイメージだが、とても敏捷で、街の建物の上を飛ぶように進む。場所は「Assassin's Creed III」のボストンに近い見た目で、時代も近いのではないかと思わされた。スタッフに質問したところ、「まだ秘密だ」とのこと。

 今回のデモで明らかになったのは、PS Vitaならではの機能だ。敵の多数いるところに飛びこむと、バレットタイムのようにスローモーションになり、この時敵の姿がある画面をタップすることでマーキングができ、時間が元に戻ると同時に、マークした敵を瞬時に切り倒すことができた。

 また、馬車を奪うシーンがあり、この時は右手のタップで馬に鞭を振り、左手を画面に置くことで馬車の方向を操作することができた。背面タッチパッドでは、敵からものを盗む「ピックポケット」が可能になるという。「Assassin's Creed 3 Liberation」はこの他にも様々なPS Vitaならではの要素が盛りこまれるという。


「PlayStation E3 2012 Press Conference」で紹介された「Assassin's Creed 3 Liberation」。女性主人公の姿が確認できる

(2012年 6月 7日)

[Reported by 勝田哲也]