G-Star 2011レポート

【G-Star 2011】Webzen、MMORPG「ArchLord2」開発者インタビュー
毎日様々なルールで実施されるRvR、役割を変えられるフリークラスで参戦


11月10日~13日開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人5,000ウォン
学生/子供2,000ウォン


 Webzenの「ArchLord2」は“ヒューマン”と“オーク”が戦う対人型のファンタジーMMORPGで、韓国ユーザーにとっても今回が初出展となる。プレーヤーはオークとヒューマンどちらかの陣営に所属し、大規模戦争を繰り広げていく。

 本作は2012年第1四半期にクローズドβテストを開始する予定だ。今回は「ArchLord2」のプロデューサーを務めるジン・ヨンハン氏と企画チーム長のソン・ガンホ氏に、ゲームのコンセプトや基本となるシステム、開発チームの目指す本作の具体的な目標などを聞いた。

【プロモーションムービー】



■ 毎日様々なルールで実施されるRvRに、武器の装備で能力の変わる「フリークラス」で参戦!

Webzenで「ArchLord2」のプロデューサーを務めるジン・ヨンハン氏
企画チーム長のソン・ガンホ氏
Webzenブースでは「ArchLord2」を中心に出展していた
イベントとして行なわれた10vs10の「聖物占領戦」。ガンホ氏が解説を担当していた

 「ArchLord2」はヒューマンとオークが終わることのない戦いを繰り広げるMMORPGだ。本作は3年前から開発を進めているが、ヨンハン氏自身は「まだまだ足りないところがある」と考えていて、かなり時間をかけて開発が行なわれている。現在はクローズドβテストを目標にコンテンツを充実させているが、テストの後の予定は現在のところまだまだこれからだという。

 「ArchLord2」で目指していくのは「対人戦の楽しさ」だ。この戦いを実現させるため、「フリークラス」というシステムを取り入れている。このシステムはプレーヤーキャラクターの“武器”を変えることで様々な能力を変えることができるシステムだ。キャラクターには他のゲームのようなクラスや職業という概念がなく、武器を使って経験値を稼いでいくことで武器に紐づけられたスキルを獲得していく。

 武器は常に2つ所持していていつでも切り替えることができる。武器は種族ごとに4種類用意されている。人間の「片手剣」とオークの「ランス」が防御力を高めるスキルを持ち、人間の「クロスボウ」とオークの「弓」が遠距離攻撃系スキルを獲得できる。人間の「両手剣」とオークの「角」が近距離攻撃系を持つアタッカーで、人間の「杖」とオークの「ワンド」が回復や支援系のスキルを習得できる。キャラクターをどのように組み立てていくかはプレーヤー次第だ。

 ガンホ氏は「このフリークラスというシステムを導入したのは、職業によって使用する武器が違ったり、能力が限定されるゲームのシステムが不満だったからです。現実の私達はいつでも弓や剣を使い、自由に持ち替えることができる。武器を持ちかえることで様々な活躍ができるシステムを目指しました」と語った。

 ヒューマンとオークは種族としても違いがある。オークはヒューマンに比べ強靱な肉体を持つ一方で、ヒューマンは器用さでオークに勝る。RvRは高レベルコンテンツではなく、頻繁に様々な場所で行なわれることになるという。そのため7つの戦争コンテンツが用意される。この多彩な戦争要素こそが前作「ArchLord」に比べ、最も強化されるところだという。

 7つのコンテンツとは「聖物占領戦」、「都市侵攻戦」、「英雄戦」、「アコン破壊戦」、「暗殺戦」、「大規模戦」、「ArchLord決定戦」だ。聖物占領戦とは3つの聖物を巡り激しくぶつかりあうPvPコンテンツ。フィールドはインスタンスとなっており、両チームはフィールドに存在する3カ所の聖物を占領するために戦っていく。占領している時間に応じてポイントが入り、一定以上のポイントに達したチームが勝利となる。

 この「聖物占領戦」は会場で1日数回イベントとして行なわれていた。会場では10対10での戦いが可能で、聖物は巨大な石柱のような遺跡であり、両チームはぶつかりあっていた。スピーディで激しい戦いが展開しており見応えがあった。ガンホ氏は今回の10対10はあくまで会場用のテストバージョンであり、将来的には300対300の戦いを実現したいと語った。

 今回はこの聖物占領戦以外のコンテンツの詳細は非公開だという。「都市侵攻戦は街を占領するのではなく、資源を奪う戦いだ」という断片的な情報以外は聞くことができなかった。あえて秘密にするというよりも、まだ現在アイデアを出し合ってる状態で、どのように固まっていくかも不透明なため答えられないとのことだ。

 インタビュー冒頭でヨンハン氏が言っていた「まだまだ足りないところがある」といっていたところは、このメインとなる7つの対戦コンテンツの具体的な仕様のようだ。現在明確に決まってる点は、これらの対戦コンテンツは全てオークと人間のRvRで、同じ種族同士での戦いは現在は想定していないとのこと。本作は「人間vsオーク」にコンテンツを集約させていく方針だ。

 RvRこそが本作のメインテーマではあるが、あくまで本作におけるRvRは負ければ種族が滅んでしまうような重いものではなく、スポーツ感覚で手軽に参加できるカジュアルさを重視していく。7つの対戦コンテンツは頻繁に実施される予定で、例えば1週間毎日違う対戦イベントが実施され、プレーヤーは「今日はこのルールの戦いがあるのか」という形で、多彩な対戦メニューで楽しく戦う方向性を目指していくという。

 このため倒されてもデスペナルティは発生せず、対戦に参加すれば例え負けても何らかの報酬を与えるようにし、気軽に、毎日楽しめる対戦を提供したいという。もちろん勝てばより大きなメリットがもたらされる。

 RvRをテーマにしていくゲームの場合、例えば「AION」だと天族と魔族の場合天族を望むプレーヤーが多くなる傾向があった。「ArchLord2」でもそういった偏りが発生する可能性がある。この問題絵の対処法としてヨンハン氏が現在考えているのは、一定期間新規キャラクター作成を制限するという「AION」と同じ方式とのことだ。

 ヨンハン氏は「毎日様々なルールでの対戦が実施される。そして参加プレーヤーはフリークラスによりその戦いに合わせて能力をカスタマイズし、勝つための戦略を他のゲーム以上に深く練れる。これこそが『ArchLord2』で実現したい戦いです」と語った。

 日本でのサービスに関してはもちろん希望しているが、今はまず「ArchLord2」の完成度を上げていくことこそ急務であり、まずは納得いく作品として完成を目指しそれから改めて海外展開を考えていきたいという。

 最後に本作を楽しみにしているユーザーへのメッセージとして、ヨンハン氏は「『ArchLord2』は戦争とフリークラスが魅力となる作品です。このコンセプトを実現しユーザーさんの期待に応えるため頑張っていきます。応援してください」。ガンホ氏は「ユーザーさんの期待に面白いゲームを作ることで応えていきたいです」と語った。



 3年の開発期間を経てユーザーの前に姿を現わした「ArchLord2」だが、現時点ではまだまだ具体的なコンテンツはこれからのようだ。しかし「オークvs人間のカジュアルな戦い」というコンセプトを核に、毎日違う戦いを提供しようとする開発者の想いは面白いと感じた。

 「多彩なルールでの対戦」という点だけならばFPSやアクションゲームで実現している。MMORPGはここに他のゲームジャンルの追随を許さない“準備”という要素がある。回復薬や強化アイテムを用意することはもちろんのこと、ショートカットの位置や戦法を活かすための装備やエンチャントの選択、仲間との連携を確実にするための訓練など、MMORPGの戦いはこだわれば何処までも深く掘り下げられる。

 しかも本作はフリークラスにより自由度はさらに高くなる。本作は特にコアなMMORPGプレーヤーにとって、魅力的な作品になりそうだ。本作がその全貌を現わしたときどんな戦いが展開するのか、楽しみなタイトルだ。


試遊台では高レベルキャラクターの多彩なスキルが体験できた。「ArchLord2」の敵はキャラクターに比べて巨大なものが多く、派手なスキルで倒すのは爽快だった
10vs10の「聖物占領戦」。遺跡を巡って両陣営が激しくぶつかりあう

(2011年 11月 14日)

[Reported by 勝田哲也]