カプコン、Xbox 360「重鉄騎」プレス向け内覧会を開催
プロデューサーの北林氏と片岡氏が魅力をアピール!


2012年 発売予定

価格:未定

CEROレーティング:審査予定


北林達也氏
片岡謙治氏

 株式会社カプコンは、Xbox 360用ドラマティック戦場体験アクション「重鉄騎」を2012年に発売する。価格は未定で、CEROレーティングは審査予定。今回、「東京ゲームショウ2011」において本作のプレス向けプレゼンテーションが行なわれた。

 お揃いのミリタリー・ルックでプレス一行を待ち受けていたのは、本作のプロデューサーであるカプコン 編成部 プロデュース室の北林達也氏と片岡謙治氏。まず上映されたのは、おふたりのコメンタリーが追加されたプロモーションムービー。2082年の近未来、“シリコンカビ”と呼ばれる半導体を分解する微生物が世界各地で未曾有の大災害を誘発。国は機能不全に陥り、食料や資源を巡る紛争が各地で勃発。そんななか、広大な領土と前近代的な兵器を多く保有していたアジアの大国が、コンピュータ制御を必要としない“兵器”を用いて欧州に侵攻。その多くを支配下に置いた。

 後に「第三次世界大戦」と呼ばれた侵攻と紛争は長期に渡り続いたが、ユーラシア大陸において広大な支配域を持つアジアの大国の呼びかけにより2045年に第三次世界大戦は終結し、呼応した16カ国による“国際連合”が再発足。その後も国境での小競り合いは続いたが、アジアの大国にて新たな国家主席が政権を握ると、事態は急速に進展する。国際連合が「第2の独立戦争」、「統一戦」という呼称のもと、地域紛争を力で鎮圧、大規模に軍隊を増員し欧州を制圧、アメリカ本土への上陸戦を開始したのだ。東海岸線は陥落し、アメリカ軍本隊は本土での防衛線突破阻止でジリ貧の状況に陥る。だが、2082年、メキシコに避難していたアメリカ軍を中心に、いよいよ反撃が開始される。近代文明の崩壊した世界で「第2の独立戦争」が始まろうとしていた……。

 プレゼンの冒頭で、北林氏は「去年の東京ゲームショウで発表させていただき、丸1年。ようやくお見せできるものが出来上がってきた。まだユーザーさんにプレイしていただける状況にはなっていないが、ここでプレイデモをさせていただきたい」とコメント。前作は巨大な専用コントローラーが大きな話題となったが、今作はKinectによる上半身のジェスチャーとXbox 360用コントローラーを併用。ゆえに本作は、Kinectタイトルではあるが、椅子に座ったままプレイできる。

第二次世界大戦中期かそれ以前の戦車の戦闘室を想起させるコックピット。自分も含め4人が搭乗する
上半身のジェスチャーとXbox 360用コントローラーでプレイ。一部をのぞき、基本的にはずっと座った状態のままでいい

 デモプレイで披露されたのは、東海岸、ニューヨーク上陸作戦。本来はさまざまなミッションが用意されており、これはそのごく一部ということになる。揚陸艇に搭載された機体は、少しずつ海岸線へと近づいていく。

 ここで、第二次世界大戦くらいのイメージでいう「戦車の戦闘室」ライクなコックピット画面が表示される。“鉄の棺おけ”という言葉が似つかわしい狭小空間に、プレーヤーのほか「ガンナー(主砲)」、「ガンナー(機銃)」、「エンジニア(通信、エンジン周りなど)」の計4人が搭乗。エンジンをかけるときは、Kinectによるジェスチャー入力で画面右下にある起動レバーを引く。画面左下にあるレバーはベンチレーターで、車内に煙などが充満したときに強制排出できる。

 左側にはモニターがあり、現時点では上陸地点のマンハッタン島が表示されている。ボタンが4つあり、前後左右を切り替えて監視可能。基本的なカメラアングルは「車内」、「車外」のふたつあり、両手をグイと前に突き出すことで切り替えられる。左にあるギアは、高速と低速の2モード。高速であれば移動速度があがり被弾率も低くなるが、機体が大きく動くため照準がつけにくくなる。上陸艇がニューヨークの浜辺に着くと、艇前が開いて機体が前進可能になる。酷い戦況に悪態をつく他のクルーたち。このあたり、戦争映画をほうふつとさせる雰囲気たっぷりのやりとりが常時行なわれる。

 機体の移動はXbox 360用コントローラーを使用。カメラ移動もスティックで制御可能。コントローラーを持ったまま立ち上がると、上部ハッチをあけて身を乗り出し周囲を見渡すことが可能。遠くを見たいときは手を目の横にかざすと双眼鏡モードになる。ちなみに、ひょいひょいハッチをあけて生身を晒すと、狙撃兵にヘッドショットをくらうことがあるというから驚き。実際、デモプレイの最後に長時間車外に身を晒していたところ、クリスピーな射撃音とともにプレーヤーキャラクターがコックピット内に崩れ落ちるシーンがあった。

 戦闘室で手を上にあげるとペリスコープ画面になり、遠くの敵を狙い打つことが可能。右トリガーで主砲、左トリガーで機銃を発射。この作戦は兵士たちを護衛しつつ先にあるトーチかを破壊すること。地雷原もあり、熾烈な敵の迎撃により機体にダメージが蓄積されていく。このとき、左にいたクルーが突然パニックを起こし、ハッチから逃げ出そうとする。敵前逃亡という重大事態。すかさずジェスチャーで引きずり戻す仕草をする片岡氏。すると画面内に手が表示され、身を乗り出したクルーのズボンをわっしとつかんでそのまま戦闘室に引きずり戻そうとする。何度か繰り返すと、元の位置にどさっとクルーが引き戻される。

 ここでシャドーボクシングよろしくフックの要領で拳を振る片岡氏。引きずり戻されたクルーがパニックに陥っているため、殴って正気を取り戻させるという凄まじい光景が再現される。パニック状態のクルーは、動物的本能による脊髄反射なのか、瞬時に殴り返してくる。数発ほど鉄拳制裁を行なうと、ようやくクルーが正気を取り戻しバツの悪い表情のまま戦闘復帰。「戦場は死と隣り合わせ。突然こういう形で取り乱し逃げ出そうとする奴がいるなど、トラブルがつきもの」と説明する北林氏。実際そのとおりかもしれないが、それをゲームシステムに取り入れようとする発想と実行力には恐れ入るほかない。

 膠着ポイントの支援に向かうと、正面に敵機体を確認。当然、容赦なく砲弾が降り注いでくる。狙いをつけようとするたび、ヒットの衝撃で出鼻をくじかれる。北林氏によれば、ダメージはペリスコープのガラスで主に表現されるという。先ほどからの敵機体による直撃弾で、ガラスはもはやフレームのふちにしかない状態。かなりダメージは深刻なようだが、なんとか敵機体を撃破し味方の進路を確保することに成功。敵トーチカを目指し突撃していく味方歩兵部隊が、はためにも健気でいとおしくさえある。

 トーチカ前の敵をあらかた片付けると、味方がトーチカ内に侵入し、見事爆破および制圧が完了。横にいたクルーが握手を求めてきたので、片岡氏がジェスチャーで応じシェイクハンド。北林氏によれば「当然、手を出さないということもできる。そこでクルーがずっと手を出したままかというと、気を悪くしたまま手をひっこめることもあるのではないか。そういう分岐も用意している」という。余談ながら、ここで味方が占領地に立てた星条旗に記された星の数は8つで、州の大半が国際連合の手に落ちたままであることがうかがえる。

 デモプレイ終了後は、プレスとの質疑応答が行なわれた。まず、カプコンのKinect参入第1弾として本作が選ばれた理由についてきかれると、北林氏は「マイクロソフトさんにKinectを見せていただいたとき、これで「鉄騎」を作ったら面白いよね、という声があがった。そこから企画を検討した結果、作れるのではないかと判断し、そこからスタートした」と回答。

 コックピットにダメージが及んだ際に4人のうち誰かが戦死したり、あるいは逃亡してそのままということはあるのか? という問いに対しては「先ほど横にいたクルーが逃げ出すシーンがあったが、見事つかまえて引き戻すことで彼が落ち着き、もう1度戦うといって戦闘に復帰してくれたが、当然引っ張り損ねて逃げ出しちゃう場合もある。逃げ出すと、そのクルーがいない状況で進めなければならないという分岐も存在する」とコメント。その場合、隣にいたクルーは次のステージで何食わぬ顔で復帰しているかというと、そんなことはないという。「我々は格好いい戦争ゲームを作りたいと思っているわけではなく、戦争の泥臭さだったりとか、油にまみれた感じ、死の恐怖、そういうところを描きたい。そのなかで、一緒に戦っている仲間たちの生死も大きく取り上げたゲームにしたいと思っている」と説明した。

 ここで「泥臭いといいつつ、実は女性隊員がいたり?」と質問したところ、北林氏は「僕も女性隊員がいるといいな、と思いますので(笑)、もしかしたら、隣に金髪の女性隊員が座っちゃうかもしれない」とコメント。ここで片岡氏が、隣にいるクルーをジェスチャーで両手で撫で回し始める。嫌がっているふうに見えるクルーの姿に爆笑するプレス一同。「ほかにもハイタッチしたり、拳をぶつけあったり、コミュニケーション要素は色々入れようと思っている」という北林氏。仮に女性隊員がいたとして、これを製品版で実際できるかどうかは定かではない。

 作中における「鉄機」のイメージについては「基本的には、現代における戦車と同じ役割。敵からは恐怖の対象だが、なかに乗っていたとしても絶対に安全ではない。機体に穴があいていたり(コックピット内を見渡すと、穴が開いている場所が散見された)、スリットガラスが割れた場所などから流れ弾が飛んできたり、上のハッチから敵に撃たれたり。下手をすると“動く棺おけ”といえなくもない。乗員のプレッシャーも相当なもので、先ほどのように逃げ出すこともありえる。格好いいロボットではなく、戦争博物館に置かれてもおかしくないデザイン。そういう役割をさせたい」と説明した。シングルとマルチについては「現状まだ公開していないが、当然マルチは検討中」としている。全体のボリュームは「ミッションは、かなりの数を用意する。ニューヨークからさらにどんどん……ここ意外にも色々なところ、バリエーション豊かな戦いが楽しめると思います」と説明。

 最後に、期待しているファンにメッセージをお願いした。北林氏は「少し時間がかかってしまい、申し訳ございません。そのいただいた時間のなかで、かなり納得できるものが出来上がりつつあります。まだ、発売までお時間をいただくことになりますが、今までにない体験のできるゲームが、Kinectを使うことによって実現できると思っております。どうぞご期待ください」とコメント。片岡氏は「やっと、Xbox 360のコアユーザーに満足してもらえるようなゲームが、もうすぐみなさんの目の前に出させてもらえると思います。楽しみにしていて欲しいな、と思います」とコメントした。




■ 重鉄騎「エンブレムデザインコンテスト」を実施中!

 カプコンでは、ゲーム中に搭乗する二足歩行兵器“鉄騎”の側面に施される「エンブレム」を募集中。優秀作品はゲーム本編に収録され、プレーヤーが操縦する期待に貼り付けることが可能になる。

 応募方法は、横512ピクセル×縦512ピクセル、jpg、png、igf形式いずれかでファイルサイズ2MB以内の画像データを、応募用メールアドレス宛に必要情報を記載したメールとともに添付して送信する。応募用メールアドレスは「jutekki_emblem@capcom.co.jp」。応募の際は件名に「重鉄騎 エンブレムデザイン コンテスト」と記入。メール本文には、ペンネームまたは氏名(ふりがな)、連絡先メールアドレス、作品名を必ず記入。

 応募期間は11月15日、23時59分まで。入選作品は厳正なる審査のうえで選考するといい、入選者には11月下旬頃、連絡先メールアドレスにメールにて連絡するとしている。メール受信拒否設定をしている場合は、応募用メールアドレスからメールが受け取れる状態にしておくこと。応募内容に不備や虚偽があった場合、期日までに連絡がなかった場合は入選が取り消される場合がある。また、公式サイトのコンテスト告知ページに応募規約が掲載されているため、応募の際はきちんと目を通し同意をいただきたいとしている


エンブレムのサンプルエンブレムつき鉄騎

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※画面は開発中のものです。

(2011年 9月 18日)

[Reported by 豊臣和孝]