探索型アクションMMO「Core Blaze」体験レポート
4人協力プレイで変化するダンジョンと巨大ボス「梁渠」に挑戦!


9月8日~9日開催(現地時間)

会場:台北市台北華山藝文中心



東洋が題材のゲームなので、キービジュアルのボスにもアジア的なテイストがある

 台湾Gamania Digital Entertainmentは新作タイトルを発表するプライベートショウ「2011 Gamania Game Show」を9月8日、9日の両日、台北で開催した。このイベントではGamaniaが主力と位置付ける4本のオンラインゲームを専用のブースで試遊することができた。

 Gamaniaのゲームといえば、日本では可愛い萌えキャラのイメージが強いが、UnrealEngine 3.0で開発されたWindows用アクションMMORPG「Core Blaze」はそんな既存のイメージを打ち破るハードでリアルなグラフィックスの作品だ。東洋ファンタジーのテイストを残しつつも、欧米市場を視野に入れたリアリティのある表現が持ち味となっている。

 開発しているRedGateは、「HIRO:108」のオンラインゲーム版など欧米向けのタイトルを手掛けているGamaniaの開発子会社。「Core Blaze」はRedGateが時間をかけて全力で取り組んでいるGamaniaの次期主力タイトルだ。今の開発進行度は60%くらいで、ようやく基礎的なシステムが固まってきたという段階。今年の年末までにα版を完成させ、2012年末のリリースを目指している。

 試遊ブースも力が入っていた。試遊台は360度の全方位スクリーンに囲まれている。スクリーンにはゲーム内の風景が表示され、あたかもプレーヤー自身がゲーム世界へ入り込んだような錯覚を起こさせる。ブースには、プロデューサーのJacky Chu氏をはじめとした開発スタッフが勢ぞろいして、試遊のパーティープレイを手伝ってくれた。


【会場の様子】
RedGateという開発会社の名前にちなんだのか、ブースのエントランスは赤色円形のスクリーンに囲まれた試遊台スクリーンにはUE3で作ったゲーム内の背景が映り、来場者をゲーム世界へ誘う
プロデューサーのJacky Chu氏Chu氏をはじめ、スタッフがチームごと試遊を手伝ってくれたゲームの開発現場がのぞけるスタッフへのインタビュームービー



■ 他のプレーヤーと協力して変化するダンジョンを探索

梯子を上ったり崖を降りたりという縦方向の移動があちこちに盛り込まれている

 本作を一言で表すと「仲間と協力しながら、ワールドを探索し、自由度の高い戦闘を楽しむ」ゲームとなる。Chu氏は「ステージクリア型のゲームにはしたくないので、MMOとMOの中間に位置付けている」と本作の位置づけを語る。本作には村や敵のうろつくフィールドがあり、ロビーとダンジョンしかないMOとは違うが、盛り込まれた様々な要素は最大4人で攻略するインスタンスダンジョンの中により多く詰め込まれている。

 複雑に入り組んだマップは一度ではすべてを見ることができないような地形になっている。さらに天候や時間の変化によって、敵の攻撃方法が変わったり自分の装備との相性によってステータスに影響を受けることもある。

 また、スキルを上げることで今までは超えられなかった崖がジャンプできるようになったり、登れなかった場所に登れるようになったりと、キャラクターの成長や状況に合わせて様々なプレイが楽しめるようになっている。

 同じマップを繰り返し遊ぶために飽きが来やすいのはMOの弱点だが、「Core Blaze」は変化するマップを探索することで毎回違うアプローチを楽しめるようなゲームを目指しているという。

【開発者インタビュー】
開発画面やラフスケッチなどで、スタッフが開発意図を紹介する



■ 武器によって役割が変わる。試遊では4つの武器が使用可能

 本作には職業という概念はなく、武器を持ちかえることでキャラクターの役割が変化する。今回の試遊で使用できたのは「剣盾」、「巨剣」、「双刀剣」、「ロングボウ」の4種類。「剣盾」は名前通り防御系のスキルが多いパーティーの壁役。「巨剣」は攻撃スピードが遅めだが威力の大きな範囲攻撃を繰り出す。「双刀剣」はスピードを武器にした近接攻撃職、「長弓」は遠距離の攻撃職だ。武器はインスタンスの中では交換できないので、自分の武器に応じた立ち回りで仲間をサポートすることになる。

 経験値はあるが、レベル上げの代わりにスキルを覚え成長させていくために利用する。ここで言うスキルとは戦闘用の技だけでなく、移動用のスキルも含まれる。例えばジャンプのスキルを成長させることで、1段しか飛び越えられなかった場所が2段まで飛び越えられ、新しい場所へ入れるようになるといった形だ。

 ダンジョンは1人でも入れるが、仲間と一緒に入ることでギミックを使ったり助け合ったりという協力要素が生まれる。本作では様々なインタラクティブなアクションが可能だ。自分が地面に油をまいて、仲間が火をつけてモンスターを一網打尽にしたり、仲間が炎で毒の煙の中にいるモンスターを追い立てたりといった凝ったアクションが楽しめる。

 PvPについては、PKだらけにならないようにどのような形で導入するか現在検討しているそうだ。


【試遊で選ぶことができた4つの武器】
剣盾巨剣
双刀剣長弓



■ 仲間と協力しながら巨大ボス「梁渠」を撃破

梯子を上ったり崖を降りたりという縦方向の移動があちこちに盛り込まれている

 試遊では「梁渠」という氷属性のボスを攻略するため、4人パーティーでダンジョンを進んだ。キーボードとゲームパッドが用意されていたが、今回はゲームパッドでのプレイ。最初は視点移動のカメラがよくある家庭用の3Dアクションゲームと逆で戸惑ったが、設定し直してもらうことで解決した。

 ダンジョンには、探索という要素を邪魔しないためか進行方向を示すガイド的なUIは一切ない。次々に現れる敵を倒しながらダンジョンを探索し、道を探し当てていくこと自体がゲームになっている。ルートの途中では梯子や、壁にしがみついての横移動、断崖絶壁からの垂直落下などただ走っていくだけではない動きが必要になる。登っている最中に攻撃を受けるとのけぞって下まで落ちてしまうので、下にいる仲間が敵をひきつけているうちに登って今度は上から支援するといった、協力プレイの要素も含まれている。

【試遊ステージの紹介】

 攻撃方法は通常攻撃と強攻撃の2種類と各種のスキル。「L1」を押すとスキルのUI、「R1」を押すとアイテムのUIが表れる。どちらも4つのボタンに対応した4つのスロットを3種類登録して、右スティックで切り替えながら使うという方法。

 スキル、アイテムとも12種類というのは動きながら扱うには多すぎるようにも感じるが、キーボード操作が一般的な台湾ではファンクションキーの数と同じこの数が一番自然に感じられるのだろう。最初は戸惑ったが、よくUIが練られているので慣れてしまえばたくさんの道具やスキルを駆使できるのはありがたい。

 アクションゲームなので敵を攻撃するときにはその敵の方向を向いていなければならないが、アナログスティックを押し込んでターゲットロックしておけば、常にそちらを向いてくれる。巨大ボスでは体のパーツごとにロックすることができるので、顔だけを狙って攻撃したりといった部位狙いも可能だ。

 ボスの「梁渠」は巨大なサーベルタイガーのような姿をしている。もともとは「山海経」という中国の古典に出てくる妖怪だ。素早い動きで移動しつつ氷の範囲攻撃を使ってくる。ここでも盾役が動きを固定したところに、炎属性のアイテムを使って弱らせるといった協力プレイが可能だ。ボスについては中国を題材としたものだけではなく、日本やインドの神話伝説に出てくるモンスターも登場する予定があるそうだ。


木枠につかまって横に進んでいく広場から細い洞窟までダンジョン内の構造は多彩油をまいて火をつけると、そこにいるモンスターを一網打尽にできる
敵キャラを捕まえたり、逆に敵キャラがしがみついてくることもスキルは12個まで登録可能「梁渠」は動きが速いので、攻撃をよけるのが大変



■ 完成予定は2012年末。今後のさらなるクオリティアップに期待

 これまでのレポートを読むと、従来のGamaniaにはなかった斬新なゲーム性で非常に面白そうに感じられるかもしれないが、細かいことをいうと、まだ開発の進捗度は半分を少し過ぎたところというだけに多くの課題を残している。

 たとえば、ゲームパッドでプレイしている間テキストチャットをしている余裕はないが、それに代わるボイスチャットは今システムの導入を待っているところだそうだ。アクションについては打撃感が薄く、手応えがあまり感じられない。コリジョンの設定はこれからといった感じで、今後もチャレンジングな開発作業が続くことになりそうだ。

 来年年末という完成予定はいまだ遠く感じられるが、その間にMMORPGとして必要なコンテンツを充実させながらアクションゲームとしての完成度を高め、欧米のプレーヤーをも満足させることができるレベルまで引き上げようとすればそれほど余裕があるとも思えない。現在のところ、CPUがCore i5以上、GPUがNVIDIAGeForce 8600以上と必要スペックが少々高めなので、これを今後どこまで最適化できるかも大きな課題になるだろう。

 多くの要素を盛り込んだ意欲作だけに、開発には無数の苦労が伴うだろうが、最終的にどんな答えを出すのかが今から気になるところだ。


【スクリーンショット】
移動の自由度が高いマップや、MMORPGとしても作りこまれたフィールドを見ていると期待が膨らむ

(C)2010 Gamania Co.,Lyd.All Rights Reserved.

(2011年 9月 10日)

[Reported by 石井聡]