41field主催イベント「iLove iPhone Vol.17」開催
「モンスターハンター」、「源平大戦絵巻」の狙いを解説
41field主催によるiPhoneイベント「iLove iPhone Vol.17」が、6月16日にApple Store銀座にて開催された。
このイベントは毎月開催されているもので、iPhoneアプリの開発者が登壇し、ヒットの要因や開発秘話、今後の展開などについて語っている。今回は株式会社カプコンと株式会社セガが、それぞれの最新タイトルについて語った。
■ 「モンスターハンター」の新たな扉として、独自スタイルのゲームを展開
水上太介氏 |
カプコンは、6月1日に配信を開始したばかりのアクションゲームアプリ「モンスターハンターDynamic Hunting」について、宣伝担当の水上太介氏がiPhoneならではの魅力を語った。
まず、なぜ「モンスターハンター」をiOSに展開したのかについては、「モンスターハンター」のファン層を広げるためだという。PSP版の「モンスターハンター ポータブル3rd」は450万本という驚異的なセールスを記録しているが、「まだ知らない人もいるし、難しそうだと敬遠されている方もまだまだいる」という。
カプコンはさらにそういった層に訴求するため、旅行会社と提携して温泉ツアーを計画したり、アニメに展開するなど、さまざまな試みを進めている。その上で、まだ手を出していないスマートフォンにも展開し、「これを1つの扉として扱おう」というのが、iOS版の狙いだという。
本作の開発については、プロデューサーの手塚武氏がメッセージを寄せた。「iPhoneゲームに求められるわかりやすさと、『モンスターハンター』らしさの両立に苦労した。チューニング中にオリジナルの『モンスターハンター』っぽくなりすぎて、またシンプルな遊びに戻すことを繰り返した。ここにものすごく苦労した。元々がシンプルなゲームだが、それをそのままiOSに持ってきたとしても、iPhoneユーザーに受け入れられない。そこで新しい内容にした」という。
ただ本作のユーザーレビューの反応を見て、「簡単すぎたかなと思った」のだそうで、早くもバージョンアップが決定した。こちらは無料で提供される。詳しくは後日発表される予定。
「モンスターハンター」シリーズの新たな扉となることを狙い、オリジナル版とは違うシンプルな遊びの提供を目指した。しかし簡単すぎるという声が多かったため、無料バージョンアップが決定した | ||
先日ロサンゼルスで開催されたE3 2011で発表された新作タイトル「ストリートファイターIV Volt」も紹介。新キャラクターが追加されるとともに、Wi-Fi対戦にも対応した |
■ たっぷり遊べる無料版には狙いがあった!「源平大戦絵巻」
「キラ・ロッソ」氏(右)と、「新小田 夢童」氏(左) |
セガは6月2日から配信している新作アプリ「源平大戦絵巻 ~白の波濤、紅の雲霞~」についてのプレゼンテーションを行なった。登場したのは、悪徳プロモーターを名乗る「キラ・ロッソ」氏と、虚無僧の「新小田 夢童」氏。説明は全て「キラ・ロッソ」氏が行なった。
「極彩色の絵巻スタイルで遊ぶ魅惑のオールドファッション・ジャパネスク」という本作は、絵巻物のビジュアルを採用したのが特徴のアプリ。ゲームはタワーディフェンスをベースにしたもので、プレーヤーは平家の軍を操り、源氏の猛攻に耐える。「教科書で見た絵巻物の絵が動くというのが、強いアイキャッチになっている。凄惨なシーンが非常に多い」という説明どおり、絵巻物がそのままのテイストで動き、血しぶきが飛ぶゲームになっている。
本作をApp Storeで展開する際、3つのことを考えていたという。1つは「対世界」。日本だけでなく欧州でも人気の高い絵巻物のビジュアルを使うことで、世界市場に打って出るという。2つ目は「対日本」。こちらは「大河ドラマ50周年記念で来年『平清盛』をやるので、先に出してそのブームに乗っかりたい」と現実的な作戦。3つ目は「対ゲームファン」。「ゲームユーザーは舌の肥えた方が非常に多い。タワーディフェンス系に、セガが得意なデッキ構築型のカードゲーム要素を盛り込んでいる」と語った。
本作は、無料版と有料版の2種類が配信されている。本作ではこの無料版にもこだわりを持っている。有料版には全100ステージが収録され、50時間以上プレイできるという大ボリュームが1つの売りになっているのだが、無料版も20ステージを収録し、5時間は遊べる内容になっている。これについては、「山札(デッキ)を作っていくゲームなので、ある程度遊んでいただかないと面白さが深いところまで伝わらない」という判断から、こうなっているのだという。
さらに無料版と完全版の間で、対戦プレイやカード交換が可能。iPhone、iPod touch、iPadといった端末の種類も問わない。かなりの大盤振る舞いに、社内でも相当の異論が挙がったという。それでもこの仕様にしたのは、「誰かに一緒にやろうと言っても、例えば600円だと言われたらやりにくい」というのが理由だそうだ。まずは無料版ですぐに一緒に遊んでもらい、ゲームの面白さを十分理解できるところまで遊んでもらった上で、有料版の購入に繋げようということだ。
「キラ・ロッソ」氏は、「海外にこびない。ジャパネスクを貫いて、いつものセガな感じでぶっこむ」と語った。ちなみに海外ではまだ展開されていないが、「売り方や価格を海外向けにチューニングして出す予定。海外と日本ではユーザーの嗜好性が異なる。かなり低価格ではないと拒絶反応を出される」とも述べた。
なお本作については、比較的短いサイクルでアップデートをかけていくことや、琵琶を使った印象的な音楽の単体販売を予定していることなども明かされた。
(2011年 6月 16日)