E3 2011レポート

PS Vita「真・三國無双(仮称)」開発者インタビュー

PS Vitaの機能をフル活用! 「無双」の次世代は「直感的一騎当千」


小笠原賢一氏(左)と庄知彦氏(右)

6月7日~9日 開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



メインビジュアル

 株式会社コーエーテクモゲームス(Tecmo Koei America)は、新型の携帯ゲーム機「PlayStation Vita」の発表に合わせて、「真・三國無双(仮称)(DYNASTY WARRIORS)」の投入を発表した。

 E3会場にはプレイアブルの実機も用意されたが、一般来場者は入場できないクローズドなコーナーに1台だけで、残念ながら限られた人しかプレイできない状態だった。ゲーム自体はE3用にきっちり作られたデモ版になっており、本作でどういったことができるのかを体感できる内容になっていた。

 本稿ではその内容をお伝えするとともに、E3会場で本作のプロデューサーを務めるプロデューサーの小笠原賢一氏と、ディレクターの庄知彦氏にインタビューができたので、合わせてお届けする。




■ タッチやジャイロを活用した、PS Vitaならではの爽快感を実現

今回は趙雲を使ってプレイできた。Vitaに搭載された有機ELの画面は残像感がなく、アクションゲームもより快適に楽しめる

 まずは今回出展されたバージョンのゲーム内容を紹介しておきたい。1本道のルートを趙雲が駆け抜けながら、新たな要素を体験できるという内容で、大きく分けて4つの新要素が用意されていた。基本的な操作は従来の「真・三國無双」シリーズを継承したもので、左アナログスティックで移動、ボタン連打で攻撃というシンプルなスタイルがベースだ。

 まずは新要素の1つ目、「神速乱舞」。「真・三國無双」シリーズには、必殺技となる「無双乱舞」が存在するが、「神速乱舞」はその別バージョンとでも言うべき存在。ボタンを押して発動させると、「裏面のタッチパッドを叩け!」という指示が出る。叩いた位置に合わせてフィールドに火柱が上がり、敵をボコボコと吹き飛ばしていく。効果は一定時間で切れるが、その間は両手の中指から小指を使って裏面をバシバシとタッチする。

 次は「アクシデンタルバトル」。ある程度進むと、複数の兵士に奇襲される。ここでは画面が一定時間停止し、その間に飛び掛ってきた兵士全てを画面でタッチすれば反撃が成功する。ただし全ての敵が画面内にはいないので、本体を上下左右に動かすことでゲーム内の視点を動かし、敵を発見してタッチするという流れになっている。PS Vitaのジャイロを活用した遊びだ。ちなみにタッチが間に合わないと、逆に集中攻撃を受ける。

 3つ目は「タッチ必殺技」と呼ばれるもの。無双ゲージの横に、それとは別に青いゲージが用意されており、これが最大まで貯まると使用できる。使い方は、画面の任意の場所をタッチするだけ。その方向に衝撃波のようなものが放たれ、離れたところにいる敵を一気になぎ倒せる。青いゲージは無双ゲージと同様に敵を攻撃していると貯まるが、特にコンボ数が多いほど貯まる。

 ステージの最奥にたどり着くと、呂布との「一騎討ち」が発生する。ここではボタンを一切使わず、前面と背面のタッチセンサーを使う。前面をスワイプ(画面をなぞる)と通常攻撃、タッチするとガードしている相手を崩すチャージ攻撃が出せる。背面タッチパッドを触っている間はガードになる。これで駆け引きしていると、途中で鍔迫り合いが発生。画面に次々と現われるサークルをタッチし、素早く押せれば相手の体制を崩せる。そして最後は画面中央に表示されるサークルにタッチすると、とどめの連続攻撃を放って呂布を仕留めた。今回はこれだけの種類の操作だったが、製品版では回り込みなどの要素が増える予定だという。

 Vitaの新機能をふんだんに取り入れたシステムで、最初に説明を聞いた時には「ボタンとタッチパネルを行き来するのが面倒そうだ」とも思ったのだが、実際には全くそんなことは感じなかった。どのアクションも簡単なのに気持ちよく、正しく「無双」らしい爽快感を味わえるものになっている。ゲーム内容をさらに知りたい方は、下の3本のムービーをご覧いただきたい。


【トレーラームービー】

【プレイムービー】



■ 「直感的一騎当千」をコンセプトに、新しくも携帯機ならではのゲームへ

 続いて、小笠原氏と庄氏へのインタビューをお届けする。

――まずは簡単に自己紹介をお願いできますか。

小笠原氏: 直近ではPSP用「真・三國無双 MULTIRAID」シリーズのプロデューサーをやっていました。携帯ゲーム機に適したタイトルを出していこうという仕事をしています。

庄氏: 私はプレイステーション 3用「TRINITY Zill O'll Zero」のディレクターをやっていまして、その前は「真・三國無双5」のディレクターでした。古くから言うと、初代「真・三國無双」のリードプランナーが小笠原で、その後で私が「2」から「4」までリードプランナーをやってきました。

小笠原氏: オメガフォースの初期メンバーである庄と直接仕事するのは、初代「真・三國無双」以来です。これだけハイスペックな携帯ゲーム機が出るならば、「無双」シリーズも据え置き機とは違う方向性でしっかり展開しなければならないということになり、その1作目を庄と組んでやることになりました。内輪ネタですが、感慨深いですね。

――Vita版「真・三國無双」の現在の状況ですが、もう発売は決まっているのでしょうか?

小笠原氏: はい。まだタイトルは仮称ですが、Vitaのローンチに合わせて発売したいと思っています。ただ、まだVitaの発売時期が見えていないので、SCEさん次第ですね。開発状況としては、まだ後半に入ったというところまでは至っていません。

――本作が御社で最初のVita用タイトルになりそうですが、1作目に「真・三國無双」が選ばれた理由は何でしょうか?

小笠原氏: 弊社を代表するシリーズの1つですし、何より「真・三國無双」シリーズは、プレイステーションプラットフォームで生まれて育ってきたシリーズです。PSPのローンチの時も、「真・三國無双」をほぼ同時に発売しました。今回、携帯ゲーム機が代替わりするということで、1作目は「真・三國無双」をそのハードに合った形でリリースするということは、開発するオメガフォースとしても重要ですし、ユーザーさんのニーズにもしっかり合うと思っています。

――PS Vita版はどういった方針で開発されているのでしょうか?

小笠原氏: 弊社では「真・三國無双」シリーズを何作も発売してきましたが、据え置き機と携帯機ではユーザーさんの遊ぶ環境や時間、どういうゲームが好まれるかが違ってきます。今までの携帯機は相対的に性能が低くなっていたので、短時間でぱっと楽しめるところがフィーチャーされていました。アドホックモードを使ってみんなで楽しむというところもありましたが、ゲームをダウングレードするようなイメージがあったと思います。

 今回、高いスペックを誇るPS Vitaが出てくることで、変わるニーズに合わせてシリーズの形も変わっていかなければなりません。PS Vitaが最初「Next Generation Portable」として発表されたこともあり、「真・三國無双」シリーズもNext Generationの方向性をしっかり取っていかなければと思いました。PS Vitaでは新しいインターフェイスや3G機能、「Near」や「LiveArea」といった新しい楽しさの提案もされているので、そこをしっかり足がかりに使うことで、「真・三國無双」も華々しい進化を遂げさせよと思っています。その代表がインターフェイスです。E3では触って伝わるものということで、新しいインターフェイス部分を強調したデモバージョンを作成しました。

――これまでの「真・三國無双」シリーズは、据え置き機と携帯機という2つの流れがあったと思います。PS Vita版はどちらかと言えば据え置き機的というか、しっかりと遊ぶ内容になるのでしょうか?

小笠原氏: ボリューム的には据え置き機と変わらないものにしたいと思っています。中身については、PS Vitaは携帯機ですから、プレイ環境が違います。据え置き機は迫力ある大画面で、そのゲームの世界にユーザーさんをどれだけ引き込めるかというところに注力して作っているところがあります。例えばドラマのようなシーンを表現するなら、据え置き機のほうがしっかり伝わると思います。

 では携帯機のほうが得意とするところは何なのか。手軽で短時間に遊べることもキーにはなると思いますが、SCEさんもPS Vitaを高性能なゲーム機ですと言っているので、その短い時間でしっかりと遊ぶゲーム性、やりこんでいけるゲーム性という部分のボリュームを増していきたいと思っています。ムービーやシナリオのボリュームを追うのではなく、遊びの幅をしっかりと広げて、遊び応えを出していこうということです。トータルでのプレイボリュームは変わらない印象に持って行きたいと思っています。

――お話を伺っている感じだと、初代「真・三國無双」の印象に近いように感じます。

小笠原氏: そこはあまり意識していませんが、ただシリーズを重ねるごとに、ドラマ的な方向の肉付けが増えてきているので、やはりゲームとしてしっかり遊べるという、遊びの要素を今回はより注力して作っています。

――それも、PS Vitaの新しい機能を使って、ということですね。

小笠原氏: そうです。物語が短い時間で切れると気持ち悪いですが、コンパクトな遊びは作れます。短い時間でも区切りをつけて満足してプレイしてもらえる形というのは、ゲーム性を追及したほうがいいだろうと思っています。

――実際にプレイしてみると、色々な機能を使っている割に、きちんと「無双」らしい爽快感があって驚きました。

小笠原氏: そこが1つのポイントだと思っています。高性能ハードで「無双」らしい爽快感も求められると思いますが、新しい部分が「無双」のよさである爽快感を損なわない形で入れています。「一騎討ち」もタッチインターフェイスで組んでいますが、緻密なゲーム性というよりは、気持ちよく遊べる方向で構築しています。

――ただ、ゲームスタートした時は今までどおりのボタン操作になっていますね。

小笠原氏: 「無双」のよさは、誰でもとっつきやすく爽快感が得られるところです。既に「無双」をプレイされている方も多いので、まずは慣れ親しんだところからPS Vitaのハイスペックを感じていただきたいと思っています。その上で、新しい要素を徐々に感じていってもらうという流れですね。

「神速乱舞」。今回は背面タッチパッドを叩きまくることでコンボを稼げる必殺技になっていた

――新要素ですが、「無双乱舞」ではなく「神速乱舞」がありました。これはやはり背面のタッチパッドをうまく使うというところがコンセプトなのでしょうか?

庄氏: 「神速乱舞」は、E3版では背面のタッチパッドを使っていますが、キャラクターによって種類がいろいろあります。前面をタッチするものもあれば、タッチだけでなくなぞるものなど、キャラクターによって全然違います。ただPS Vitaの直感的な操作で気持ちよくできるものをやろうというのが「神速乱舞」で狙っているところです。

――では今回は趙雲で、裏面を叩くような操作になっていますが、武将が変われば本体を振ったりといったようなことも出てくるかもしれないわけですか。

庄氏: 本当は、趙雲はこれじゃないんですが(笑)。E3ではわかりやすいものを選んでいます。「神速乱舞」は従来とは違う直感的な操作で使える豪快な技という位置づけで入れてあります。

――今までの「無双乱舞」に代わるものとして入るわけですか?

庄氏: 今のところの仕様だと、「無双乱舞」も○ボタンで発動できます。ゲージは同じ無双ゲージを使う形です。「無双乱舞」は至近距離に強烈な1撃を繰り出すもので、「神速乱舞」は広範囲でコンボ数の稼げる多段攻撃という位置づけになっています。コンボ数を稼ぐと、横の青いゲージが増えやすくなっていて、そこがコンボの使いわけになります。

――その青いゲージを使う「タッチ必殺技」はどういった存在になるのでしょうか?

庄氏: E3版では趙雲が衝撃波を出していますが、製品版では配下の部隊が繰り出す強力な支援攻撃になります。配下の部隊の種類によって「タッチ必殺技」の種類がいくつかあり、拠点をタッチすれば1発で陥落させるものや、タッチした場所の敵を殲滅するものなどがあります。今回のゲームの中で、拠点の陥落などはゲームの攻略ポイントになるので、その中でいつ「タッチ必殺技」を使うか、どこまでうまく貯めるかというのが重要になっています。あとRボタンに「チェイン攻撃」というものが入りまして、これも攻撃をキャンセルしてコンボをつないでいける要素になっています。「タッチ必殺技」のためのコンボを稼げる要素です。

――「タッチ必殺技」は、演出面でも期待できそうですね。

庄氏: E3版では何回も使えますが、攻撃力が高いものなので、本来は何回も使えるものにはなりません。そこにはしっかり演出をつけて、気持ちよさを見た目でも伝えていく形にするつもりです。

小笠原氏: プレーヤーが操作するのではなく、配下の武将たちが出す攻撃なので、しっかりと見せていける時間だと思います。「無双」シリーズはずっと戦い続けている感じで、画面的な変化がそれほど多くありません。今回は「アクシデンタルバトル」の部分もそうですし、「タッチ必殺技」での見せ方、あと「一騎討ち」も、今までとはまるで違う視点になります。新しい見せ方や迫力の伝え方についても、Next Generationに行けるようなチャレンジをしています。

――三国志という題材から考えると、趙雲の後ろから軍師の孔明が出てきて、すごい攻撃を撃ってくれたら楽しそうだなと思いました(笑)。

庄氏: 近いものですが、孔明はやってくれません(笑)。「真・三國無双」は1人で突き進んでいくとはいえ、武将は軍を率いる大将みたいな存在ですので、配下部隊がやってくれるということです。

「アクシデンタルバトル」の1つ、伏兵。飛び掛ってくる敵をジャイロで捕捉しながらタッチする

――次に「アクシデンタルバトル」はどういったものになるのでしょうか。

小笠原氏: その名のとおり、突発的に起こる戦場のシチュエーションです。従来は極論すると、群がる敵をなぎ倒すだけで進んでいくようなところがあったのですが、一騎当千の強さを身につけてしまうと、緊張感や戦いのメリハリという点で課題がありました。タッチのインターフェイスのいいところは、「こういうルールです」と言えばユーザーさんが付いてきてくれる入力方法だというところです。わかりやすいインターフェイスがあるおかげで、戦いの起伏をしっかりとつけるような新しいチャレンジもできました。戦場の中で起こりうる突発的な事象に、うまい形で対応して、その結果いいシチュエーションが取れるような、戦況に対するアクションとは違う気持ちよさをしっかりと感じてもらえると思います。

――今回は伏兵でしたが、罠にかけられ上から岩を落とされたり、といったようなことも含めて色々なものが出てくると。

小笠原氏: そういうことです。

――あと、ここではジャイロが使われていますが、どういう狙いがあるのですか?

庄氏: 「アクシデンタルバトル」も色々な種類があります。ここでは跳んできた相手を捕捉するという操作に、ジャイロが1番合っていたので使っているということです。その内容に対して、感覚的に合うものをVitaの機能で表現しています。

小笠原氏: 新しいことをやると、ユーザーさんは戸惑う部分もあります。その時に、いかに直感的に理解してもらえるインターフェイスを使えるかがポイントだと思います。ジャイロで周りを見て捕捉するというのは1度説明すればパッと理解してもらえますし、それが伝わればアナログスティックで操作するよりも直感的でわかりやすいと思います。新しい仕様に合わせて、最適なインターフェイスを選んでいくということです。大前提として、せっかくVitaで新しいシリーズのスタートを切るのだから、Vitaの機能を全部使ってやろうという意気込みもあって、ここではジャイロを使っています。

「一騎討ち」では一切ボタンを使わず、タッチ操作だけで戦う。ただ斬るだけでなく、鍔迫り合いで画面に出たサークルを素早くタッチするという要素もある

――「一騎討ち」は完全にボタンを使わない操作になっていますが、これはなぜでしょうか?

庄氏: 今まで表現できなかったことをやりたいというのが理由です。「一騎討ち」で敵と対峙している緊張感は、従来の「真・三國無双」のアクションやカメラだと、どうしても表現できませんでした。今回、タッチ操作などの直感的な操作にすることで、今までできなかったカメラなどの演出を交えながら、緊迫感や気持ちよさを出していけると思っています。かつて「真・三國無双3」などで「一騎討ち」をやっていて、その「一騎討ち」の雰囲気を楽しみたいというご意見ご要望もいただいています。現状で最終形というわけではないのですが、「一騎討ち」の気持ちよさや緊張感をうまく表現していきたいと思っています。

小笠原氏: この形で落ち着くとは思っていませんが、手ごたえとしてはこれでやっていけるだろうと十分感じました。「一騎討ち」を従来のボタンインターフェイスで、ゲーム性もしっかり入れてやろうとすると、どんどん格闘ゲームの方向に行ってしまいます。そうなると「無双」のよさである、誰がやっても爽快に楽しくできるというとっつきのよさを壊してしまうのです。皆さんに楽しんでいただける形で、どうやって「一騎討ち」を入れていこうかと考えた時、PS Vitaに搭載されている新しいインターフェイスは直感的にそれを実現できました。

 先程から庄も私も何度も直感的にという言葉を使っていますが、タイトルのコンセプトを「直感的一騎当千」としてやっています。新しいけれどわかりやすくて、遊びやすくて、遊んた後にどれだけ気持ちいいかというところが鍵になると思っています。そこを1番の土台に、Next Generationを刻むものになっています。

――他にPS Vitaの機能を使った面白い要素は何か考えられていますか?

小笠原氏: もう1点、E3版には入っていませんが、3Gの通信機能ですね。今までは集まってマルチプレイをやろうという形でしたが、3Gを搭載することで、据え置き機でネットワークに繋いでいる方のような遊びがプラスされます。しかもそれは場所はどこでもよく、時間もいつでもいいというネットワークです。携帯電話と同じような繋ぎ方で、ユーザー同士のソーシャル的な楽しみ方によって、ゲームの世界や仕様に日々変化が加わり、より今までのゲームが楽しくなるような使い方を、このタイトルではチャレンジしてみようと思っています。

――イメージ的には「MULTIRAID」をどこでも遊べるというような想像でしたが、ちょっと違いそうですね。

小笠原氏: その場で一緒に遊ぶだけではなく、このゲームのプレーヤーが日本中にいて、そのプレーヤーがいつかはわからないけれどプレイしていて、その結果、自分が遊ぶ時にゲームの中が何か新しく変わっているというような要素を実現したいなと思います。それが今までのPSPとも違うし、据え置き機とも違う、Vitaならではの「真・三國無双」の楽しさとして伝わるところだと思います。

――イベント的な形で、「すごい砦が出てきたから、みんなで攻め落とそう!」みたいな感じでしょうか。夢が広がりますね(笑)。

小笠原氏: みんなでではなくても、「あれ、昨日こんなところにこんなものはなかったのに」というものが、シングルプレイでもできてしまうということです。その辺りの要素については、もう少し発表まで時間をいただきたいのですが、ユーザー同士が繋がり、他のユーザーのプレイや戦績によって、ゲームの世界が変化していくような遊びを提供したいと思っています。

――オンライン要素としては、他のプラットフォームやWEBとの連動というのも流行ですが、そういったものは考えられていますか?

小笠原氏: 今の段階では発表しづらいですが、そういう要素も重々検討はしています。

――他に何か見所はありますか?

携帯ゲーム機で、描き込まれた武将が暴れ、多くの兵士が蹴散らされる。PS Vitaのハイスペックがあってこその表現だ

小笠原氏: 今更ですが、この画面で、この距離で操作していると、そこに見える絵はPS3の「真・三國無双6」と違和感がないくらいのものだと思います。携帯機で「真・三國無双6」とそんなにイメージが変わらないクオリティのものが出てくるというのは大きなことです。ビジュアル面について、据え置き機とほぼ遜色ない形で出せるということなので、逆に携帯機ならではのゲーム性というのはどこなのかという方向に力を集中できます。このれは「真・三國無双」が新しい発展をしていく上で、ものすごく大きなことなのです。ですから1つ加えるとすると、「PS Vitaのスペックはすごいですよ」ということですね。

――PS Vitaでのゲーム開発はこれが初めてになると思いますが、開発してみてどういう印象をお持ちですか?

庄氏: よく「PS VitaはPS3並」という話が出ますが、当然ながらPS3よりもスペック的に劣るところは多いです。ただ数字や機能では劣っていても、実際にはこの画面の大きさだったり、表現の仕方、作り手の工夫や考え方によって、PS3と同等の感覚で見ていただけるものが作れるます。そこは非常にやりがいのあるハードですね。このサイズとしては十二分な性能を持っているハードなので、作っていて本当に楽しいです。あとはジャイロやタッチといった、今までのPSPやプレイステーションにはない機能があるので、これをどう使おうか、これをどう表現しようかと考えるのは、作っていて日々楽しくなるハードです。

小笠原氏: これまでは据え置き機のゲームを携帯機に持ってこようとしても、性能的に絶対に同じゲーム性では持ってこられないのが常識でした。PS Vitaでは、そこの常識が1つなくなります。でも、だからこそ携帯機ならではの方向性というのをしっかりと考えようということです。今までは「同じものができないから携帯用の遊びを」という発想でしたから、それがPS Vitaの登場でガラッと変わったと思います。

庄氏: 小笠原達はPSP版の「真・三國無双」を作ってきていますが、私はPSPの開発経験がありません。その苦労話を色々と聞いていて、でもPS Vitaで開発すると「携帯機でも結構普通にやれるじゃないか、そんなに大変なのかな」という気がしてしまうくらい、従来の携帯機とは違う感じですね。

――では最後に、まだ発売は先になるとは思いますが、このゲームを待っている方々に一言メッセージをいただけますでしょうか。

庄氏: 今回はPS Vitaの色々な機能を無理やり使うのではなく、「真・三國無双」の中でこれまで欲していたたくさんの機能をうまく取り込んで、PS Vitaの機能をフル活用しているタイトルになっていると思います。PS Vitaそのものを楽しみにしているユーザーさんもそうですし、これまでのシリーズを遊んでくださっているお客様にも期待していただきたいと思っています。

小笠原氏: 今までの話のまとめになりますが、プレイした時に、見た目のクオリティも、一騎当千の爽快感も、間違いなく無双だと感じてもらえて、さらに新しい携帯機ならではのインターフェイスによる楽しさ、新しい通信機能による楽しさというのがプラスされています。今までの「真・三國無双」と同じだという安心感の上に、新鮮な面白さがしっかりと乗っているゲームになります。スッと自然に受け入れられるけれど、新しいということをしっかり実感できるタイトルになりますので、ぜひそこをお楽しみにお待ちいただければと思います。

――完成を楽しみにしています。ありがとうございました。


(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

(2011年 6月 12日)

[Reported by 石田賀津男]