アップル、iPhone/iPod touch用新OS「iOS 4」提供開始

マルチタスクやフォルダなど新機能を検証


6月21日(現地時間) アップデート提供開始



 米Appleは6月21日(現地時間)、iPhone/iPod touch向けの新OS「iOS 4」の提供を開始した。iTunesを通して、無料でアップデーターが提供されている。日本では時差の関係で、22日2時ごろに提供が開始された。

 同社の発表では、「iOS 4」では100以上の新機能が搭載されるとしている。本稿ではその中から、ゲームユーザーにとっても影響の大きそうな2つの機能を試した感触をレポートする。なおゲーム向けのオンラインマッチングやスコアボードを提供する開発サポート機能「Game Center」は、対応アプリが2010年後半から登場予定とされており、現時点では特に触れられる部分は見当たらなかった。


【スクリーンショット】
iTunesからバージョンアップを行なう手続きは従来のアップデートと同じ。途中で規約などが表示される程度で、ほとんど操作は必要ない。ただし念のため、先に同期してバックアップを取っておくことをお勧めしておく



■ マルチタスク

 「iOS 4」の目玉となるマルチタスクとは、複数のアプリを並行して動かせる機能だ。わかりやすい例では、「Skype」などIP電話のアプリを立ち上げておいて、その後ゲームをプレイしていると、プレイ中でも着信があったときに知らせてくれる。

 まず本機能については、対応する端末は一部に限られている。具体的には、iPhone 3GSと第3世代iPod touch(現行機種)はマルチタスクに対応するが、iPhone 3Gと第2世代iPod touchはマルチタスク非対応となる。後者の端末でも「iOS 4」にアップデートはできるが、マルチタスクを含む一部機能は使用できない。

 筆者は第3世代iPod touchでマルチタスクを試してみた。使い方に特別な操作は必要なく、ホーム画面から今までどおりにアプリを起動するだけ。マルチタスク対応のTwitterアプリ「Twitterator」では、起動して何かしら操作した後にホームボタンを押して戻り、別のアプリを起動する。その後、再びホームボタンに戻って「Twitterator」を選ぶと、先ほどアプリを使っていた時の状態で素早く立ち上がる。この挙動は、マルチタスクの中でも「Fast app switching」と呼ばれるもので、アプリが再起動せず、素早くアプリを切り替えられるのが利点だ。

 ただしマルチタスク非対応アプリの場合は、従来と変わらず初期画面から始まる。OSだけでなく、アプリ側も対応しなければ利用できない機能なので、しばらくはアプリのアップデートに注目しておくといいだろう。

 他のマルチタスク機能としては、前述のIP電話受信機能(現時点では「Skype」はマルチタスク非対応)や、iPodアプリ以外の音楽アプリをバックグラウンドで再生し続ける機能、データのアップロードやダウンロードが終わるまでバックグラウンドで通信し続ける機能など、さまざまな形でマルチタスクの機能が提供される。

 今のところマルチタスク対応ゲームは見つけられていないが、バックグラウンドで位置情報を取得してくれる“位置ゲー”があれば起動する手間がかからないのでは? といった使い道が想像できる。いずれにせよユーザー側の努力でどうにかできるものではないので、アプリ側の対応を待つことにはなるのだが……。

 ちなみに端末下部のホームボタンを2度押しすると、画面下からアプリのアイコンがせり上がってくる。これはアプリの使用履歴で、最初は何も入っていないが、いくつか使用すると自動的に追加されていく。左右にスワイプしてページ切り替えも可能。「Fast app switching」のアプリと合わせて使うと、より素早くアプリを切り替えできる。ただしこの機能もiPhone 3Gなど旧機種では利用できない。


【スクリーンショット】
マルチタスク対応アプリ「Twitterator」を起動ホームボタンを2度押しして履歴を表示現在はマルチタスク非対応の「のびのびBOY」を起動
「のびのびBOY」をプレイ中にホームボタンを2度押し「Twitterator」を起動すると、先程まで触っていた画面に戻ってくるさらに「のびのびBOY」を起動してみたが、マルチタスク非対応なのでタイトル画面から起動する



■ フォルダ

 iPhone/iPod touchでは、1つのアプリにつき1個のアイコンがホーム画面に登録される。新しいアプリをどんどん入れていくと、その分だけアイコンが増えていく。1画面には最大16個のアイコンが並べられ、それを超えると次のページが作られる。

 ただしページ数は11枚までと制限されているため、常時表示される下段の4個を合わせて、最大180個のアイコンしか置けなかった(アプリ自体はもっと入れておけるが、検索して見つけないと起動できない)。App Storeには無料アプリも多数あるので、何も考えずにどんどんインストールして、気づいたら180個埋まっていたという人もいるかもしれない。

 その状況を打破してくれるのが、新機能のフォルダだ。これまでホーム画面に置かれていたアイコンの代わりに、入れ物となるフォルダを作り、その中にアプリのアイコンをまとめられる。

 使い方は、何かのアイコンを長押ししてアイコン移動モード(アイコンがグラグラ揺れている状態)にする。その後、まとめたいアイコン同士を重ねるように動かすと、自動的にそのアイコン同士でフォルダが作成される。さらに作成されたフォルダに他のアプリを追加も可能で、1フォルダにつき12個までアイコンを収納できる。結果的に、ホーム画面に最大2,160個のアイコンを登録できることになる。

 フォルダのアイコンをタッチすると、フォルダの中に入れたアイコンのリストが表示される。アプリを起動したい場合は、そのアプリのアイコンをタッチすればいい。フォルダには名前も付けられるので、どこに何を入れたかわかるような名前を付けて利用したい。こちらはiPhone 3Gなど旧機種でも利用できる。


【スクリーンショット】
アイコンでいっぱいのホーム画面。これをフォルダで整理する1つのアイコンを掴んで、他のアイコンに重ねると……自動的にフォルダが生成され、アイコンがまとめられる
フォルダは他のアイコンと同じサイズさらに色々なアイコンをフォルダに入れていくフォルダに12個のアイコンを収納。ホーム画面がかなりすっきりした

(2010年 6月 22日)

[Reported by 石田賀津男]