マイクロソフトが放つ「Halo」シリーズ最新作「Halo 3:ODST」プレビュー
マスターチーフの戦いの裏で、戦場を駆け巡った兵士たちのドラマを描いたFPS

【Halo 3:ODST】9月24日 発売予定
対応機種:Xbox 360
価格:7,140円(通常版) / オープン(コレクターズパック)
CEROレーティング:D(17歳以上対象)


スペシャルコントローラーを同梱する「コレクターズパック」(左)と通常版パッケージ(右)

 全世界に数百万人のファンを持つ「Halo」フランチャイズ。宇宙時代、人類に対して突如侵攻を開始した「コヴナント」との間に繰り広げられる、主人公マスターチーフの戦いを描く大人気FPSシリーズだ。2007年9月にリリースされた「Halo 3」から2年を経て、シリーズ最新作となる「Halo 3:ODST」がついに発売される。

 9月24日に発売される本作「Halo 3:ODST」は、これまでシリーズで描かれてきた主人公マスターチーフとは別の視点で、人類とコヴナントの戦いを描く作品だ。本作で主人公となるのは軌道降下特殊部隊(Orbital Drop Shock Trooper: ODST)の兵士たち。厳しい訓練を受けた精強な兵ではあるが、遺伝子改造された超兵士「スパルタン」のマスターチーフとは異なり、あくまで生身の人間たちだ。

 人気シリーズの最新作として注目を集める本作だが、これまで内容について詳しい情報は語られていなかった。そこで今回、マイクロソフトにて本作を実際に体験することができたので、「Halo 3:ODST」がどのようなゲームなのか、その全貌をお伝えしたい。



■ 舞台は地球。ODST隊員たちの戦いの軌跡をドラマチックに描くキャンペーンモード

「ODST」とは軌道降下特殊部隊を意味する。コヴナントに侵攻されたニューモンバサへ強襲降下!
「ルーキー」が降下したのは夜のニューモンバサ市街。仲間と合流しなければ
「ルーキー」のパートをプレイした直後、今度は「タリヤ・プラザ」をめぐる別の兵士の戦いが描かれる

 本作「Halo 3:ODST」は、シリーズの本編に対する外伝的な位置づけとなる作品だ。パッケージには2枚のディスクが同梱され、ディスク1にはODST隊員の戦いを描くキャンペーンと、本作のみのゲームルール「ファイアファイト」を楽しむマルチプレーヤーモードが組み込まれている。

 また、ディスク2には「Halo 3」のマルチプレーヤーモードを丸ごと収録。「Halo 3」のすべてのマルチプレイ機能と新旧合計24のマルチプレイ用マップが同梱されており、もちろん「Halo 3」本編のプレーヤーとも対戦することが可能だ。こういった構成なので、「Halo 3」を所有していないプレーヤーでも、本作があれば幅広いマルチプレーヤーモードで遊ぶことができる。

 本作でメインとなるキャンペーンモードについて話を進めよう。本作では、西暦2552年10月、コヴナントの侵攻を受けた地球を舞台とするドラマが展開する。時系列としては「Halo 2」に相当し、アフリカの都市ニューモンバサに降下したODST部隊の戦いが描かれる。マスターチーフが地球で「Halo」システムの起動を阻止する戦いを繰り広げている間、その背後で行なわれていた作戦だ。

 基本ゲームシステムとしては「Halo 3」以前と同様の構成で、射撃して敵を倒す、近づかれたら打撃する、グレネードを投げる、武器を拾う、といったアクションは完全に前作と共通だ。ただし、プレーヤーが操作するのがスパルタンではなく普通の兵士であるために、ダメージを受ければ肉体が直接傷つき、重症を負えばフィールド上に落ちている「ライフパック」を拾って体力を回復する必要もあるなど、なかなか慎重なプレイが求められる作りだ。

 その本作で非常に面白いのは、ストーリーの描き方として「フラッシュバック」の手法を全面的に取り入れていることだ。プレーヤーはその時々でひとりの兵士を演ずることになるが、その途上で降下作戦の開始時に離れ離れになった仲間や、その痕跡に出会うことになる。そこで今度は、それまでプレイした時系列を、別の隊員の視点でプレイすることになるのだ。

 例えば、プレーヤーはゲーム開始時に新兵「ルーキー」として孤立した状況から仲間との合流を目指すが、ある地点に到達すると今度は別の隊員に視点が移り、それまでの作戦進行で何が起きたのか、プレーヤーが見たものが何だったのかなど、様々な伏線が解きほぐされていく。こうしてニューモンバサをめぐって展開する作戦の全貌が浮かび上がってくるわけだ。

 こういったゲーム構成のため、プレーヤーを取り巻くシチュエーションは不連続的だ。はじめ夜の市街地で戦いが進行するや、その直後には都市外の荒野でビークルを駆使した野戦が展開するという感じで、とにかくダイナミックにプレイ状況が変化する。これはストーリー進行においても、ゲーム内容においても刺激的だ。


夜の市街地は暗く、視認性が悪い。そこでXボタンを押し、「バイザーモード」を駆動しよう。輪郭線が表示されて戦いやすくなる。また、BACKボタンを押すことで周囲のマップや状況を確認したり、ウェイポイントを設置して探索に役立てることができる

市街地の戦いに一区切りつくと、今度はまったく別の場所で行なわれていた戦いに視点が移る。ビークルを駆使した激しい戦闘が展開するなど、序盤からめまぐるしいテンポだ


■ 前作の経験者にも相当の手ごたえ。序盤から難度の高い戦闘が続出!

前作に増して敵の数が多くなった。多くの敵はグループ単位で行動している
弾薬がすぐになくなるので、敵の武器を奪って戦うこともセオリーだ

 プレイを始めて即座に気づくのが、「Halo」シリーズと比較して本作の戦闘が非常に手ごわいことだ。ゲーム開始直後から強敵「ブルート」を含むコヴナント部隊が大量に登場し、弾薬やグレネードが不足する中、常に苦戦を強いられることになる。またごく序盤から強力な装甲を持つ「ハンター」が複数同時に登場するので、前作をプレイして対処法を知っているプレーヤーでなければ、何度も倒されてしまって大変苦労することになるだろう。

 そこで意識したいのが、「隠密行動」のプレイスタイルだ。本作のマップは、前作以前に比べて、遙かにオープンな作りになっている。これによりルートの選択に自由が与えられており、どうしても勝てないような敵がいれば、気づかれないように脇道を通って先を目指す、といったプレイが可能になっている。プレーヤーはあくまで人間兵士であり、戦闘能力には限りがある。その分はインテリジェントな作戦で補おうというわけだ。

 また、オープンな作りのマップにより、「探索」という、前作以前にはあまりなかった要素も導入されている。ニューモンバサの複雑な都市構造の各所に配置されたあるオブジェクトに接触すると、音声通信によりミッション外の新たな情報が得られたり、新たな区域へのアクセスが可能になることがある。これにより手に入る武器類や、実績に関連するものも存在するようだ。

 全体的に見て、「Halo 3:ODST」のキャンペーンモードは、従来の「Halo」シリーズとは作りが大きく異なっているように感じられる。これまでの派手な戦いを中心として展開するゲーム性に加え、敵をやりすごす方法や、探索要素など、シリーズに新たな側面が加わり、より遊びの幅が広がった印象だ。


序盤から強敵が続出。全ての敵に対して正面から戦うばかりでは、かなり厳しい展開になる。そのため、静かに行動して敵の背後をとったり、やりすごして先に進むといった方法も考えたい

今回筆者が体験した範囲では、本作のほんの「さわり」の部分を見ただけにとどまったが、それでも、様々なロケーションでの戦いがめまぐるしく進行した。その先、どのようにゲームが展開するのか楽しみだ


■ コヴナントの繰り返す猛攻を凌げ! 新マルチモード「ファイアファイト」

ファイアファイト。大量の敵が出現するなか、できる限り長く持ちこたえることがゲームの目的だ
新たな「ウェーブ」が発生する度に、コヴナントのドロップシップが現われて軍勢を送り込んでくる
5ウェーブで1ラウンド。3ラウンドで1セット。先に進むほど敵の質と量が増していく
チームが全滅した時点でスコアが確定。ハイスコアを目指すには質の高いチームプレイが必須だ

 「Halo 3:ODST」のマルチプレーヤーゲームは、キャンペーンモードをフレンドと一緒に進める協力プレイモードと、今回新たなゲームルールとして実装された「ファイアファイト」の2つだ。

 「ファイアファイト」は2~4人のプレーヤーが協力してコヴナントの断続的な猛攻を撃退し続けるというゲームモードで、流れとしては「Gears of War 2」のマルチプレーヤーモード「Horde」に近い。ただし、「Horde」は50ステージで終わるものだったが、本作の「ファイアファイト」は無限に続くという点で、よりスコアアタック要素の強いものになっている。

 「ファイアファイト」では専用に用意されたマップでプレイする。マップにはプレーヤーが武器・弾薬・ライフパックを補給できる基地エリアと、コヴナント軍が出現するエリアとがあり、全体として見晴らしの良い空間だ。そこにコヴナント軍が大量に出現してくるわけだが、この出現単位を「ウェーブ」といって、1つのウェーブを撃退すると次のウェーブが開始される。

 そして5つのウェーブを凌ぐと「ラウンド」クリアだ。ラウンドをクリアすると基地エリアなどに配置されている補給物資や、フィールド上の固定機関銃といったオブジェクトの状態がリセットされる。そしてまた次のラウンドを戦い、3ラウンドをクリアすれば1つの「セット」をクリアしたこととなり、スコアボーナスが与えられる仕組みだ。

 基本的に、序盤のウェーブではコヴナントの攻撃を凌ぐのはたやすい。だが、ラウンドが進むごとに出現するコヴナント軍の質と量が増していくので、基地エリアにある武器やライフパックなどが枯渇し始める。5つのウェーブを凌ぎきって次のラウンドに進めば補給物資は復活するが、そこまで到達するにはしっかりとした補給の管理が必要だ。

 もしコヴナントの猛攻の前に倒されてしまっても、プレーヤーは復活できる。ただし、あらかじめ決められた「復活可能数」の枠内だ。しかも、その復活可能数は「チームの共有リソース」となっているのがポイント。もしチーム内にひとりでもやたらと倒されてしまうプレーヤーが居た場合、他のプレーヤーが1度も倒されなくても、復活可能数は枯渇してしまうのだ。

 このため、「ファイアファイト」で先のラウンドへ進み、さらには1セットをクリア、2セット目もクリア、と続けていくためには、チーム全員の実力が高くなければならない。あまり上手でないプレーヤーが居る場合は、他のメンバーが上手でもなかなか難しい展開になるだろう。なにしろ、本作ではグレネードの直撃など1撃で倒されてしまうシチュエーションが結構あるので、互いをフォローして「仲間を死なせないように戦う」ことが割と困難だからだ。

 したがって「ファイアファイト」モードでは、特定のフレンドと一緒にプレイを続け、互いにスキルを磨いていく、というのがもっとも面白い遊び方になりそうだ。敵を撃退するのに適した地形を見つけたり、弾薬やライフパックの最適な使用タイミングを見つけ、その情報を仲間内で共有したい。そうすれば、より高いスコアを目指せるだろう。

 逆に言うと、初心者がひとりで始めるゲームモードとしては、少々厳しい内容であるとも言える。それは本作がシリーズの外伝的な位置づけにあり、前作を経験したプレーヤー向きのバランシングになっていることに理由がありそうだ。

 本作「Halo 3:ODST」はまもなく9月24日に発売される。「Halo」シリーズのファンには絶対に見逃せない内容となっているので、是非発売を楽しみにして欲しい。






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(2009年 9月 20日)

[Reported by 佐藤カフジ]