CJIJ、「イース オンライン」新コンテンツ「守護バトル」先行体験会を開催
開発を日本に一部移管、12月より日本独自コンテンツを提供

7月10日開催





 CJ インターネットジャパン株式会社は7月10日、MMORPG「イース オンライン」において“守護バトル先行体験会”を開催した。このイベントは抽選によって選ばれたユーザーが参加でき、オンラインとオフラインで同時開催された。オフラインでは、CJ インターネットジャパン本社に6人のユーザーを招き、さらに意見交換会も行なわれた。

 「守護バトル」は、7月30日に実装が予定されている新アップデートの目玉となるコンテンツだ。守護バトルはギルド対戦のコンテンツで、100名のプレーヤーが参加できる。攻撃側のギルドが巨大なモンスター「ガーディアン」が守る拠点を目指し、防御側のギルドはガーディアンと共に攻撃ギルドに対抗する。このコンテンツに初めて触れるユーザー達はどんな反応を見せるだろうか。



■ 100人のプレーヤーがぶつかり合うギルド戦「守護バトル」を先行体験

最初に挨拶を行なったCJ インターネットジャパン代表取締役社長の北川徹氏
会場には6人のプレーヤーが訪れた。レイドボスを攻略するようなコアプレーヤーやギルドマスターもいて、様々な話を聞くことができた
50~60人ほどのプレーヤーが激しくぶつかり合った。模擬戦という傾向が強く、防御側がかなり有利だったように思えた。実際の戦いはどう展開するか興味深い

 オフラインでのイベントは、抽選で選ばれた6人のユーザーとメディアを招き、CJインターネットジャパン本社内で行なわれた。最初に挨拶を行なったのはCJインターネットジャパン代表取締役社長の北川徹氏だ。

 「『イースオンライン』は私が代表になってから初めてローンチしたタイトルで、どうサービスするか考え続け、開始されました。しかし現時点では、まだまだ十分な評価がいただけていない。お叱りをいただくことも多い。それはリソースの投下が少なかったと思っています。そのために、今回のイベントを開催し、皆さんの意見を聞いていきたいと思います」。

 「反響としては、想定を越えるものをいただきました。今までは韓国側の要望を受ける形で進める傾向が強かったですが、今後は私達の意向を強めていく予定で、バランシングやコンテンツの投入を強めていきます。その姿が見えてくるのは12月になります。少しお待たせしますが、本作のキャッチフレーズが『イース再生』でしたが、これからは『イース再々生』という想いでやっていきたいと思っています。皆さんの声を直接聞いて、今後取り組んでいきたいと思います」と北川氏は語った。

 北川氏に続いて、今回のイベントの説明を行なったのは、プロダクトマネージャーの秋山隆利氏である。守護バトルは「聖地」と呼ばれる地点が数カ所ある特別マップで行なわれる。各聖地にはガーディアンがいて、このガーディアンを倒すことができたギルドが聖地を所有できる権利を持つことができる。ガーディアンは倒されると石になり、一定時間封印を待つ状態になる。このガーディアンに最もダメージを与えたギルドは守護聖地にある「守護石像」に魔法をかけることで聖地の所有権を奪うことができる。

 ガーディアンは非常に強力な範囲攻撃を持っており、この攻撃は防御側プレーヤーには影響を及ぼさない。攻撃側のギルドガーディアンをいかに倒すかと共に、防御側プレーヤーとどう戦うかが鍵となる。復活地点を指定しておくことですぐに戦線復帰が可能だが、戦場が近すぎる場合は離れた場所から復活し、まとまって移動するなど様々な方法が可能だ。

 守護バトルは1時間ほど行なわれ、終了時に聖地を得ているギルドが報酬を得ることができる。期間中は例え聖地を得ていても、占領直後から再侵攻が可能になるため、占領したギルドは終了時まで守り続けなくてはならない。メンバーの集中や他ギルドの連携といった取り決めも必要となりそうだ。同盟や、守護バトルを視野に入れた傭兵の募集など、政治的な流れも生まれてくるかもしれない。

 聖地を得たギルドには様々な恩恵がある。項目的には、「聖地にしかない特別商店でのアイテムの購入」、「専用の支援魔法」、「有料アイテムと同じような専用ワープリスト」、「強力な2Rank装備制作」、「特殊カード制作」、「特別なアイテムや支援魔法が得られる専用クエスト」といったものがある。守護バトルが開催されるようになれば、ギルドの統合や、ギルド戦を目標とした新ギルド設立などの動きが活発になっていくだろう。どのくらいの期間で守護バトルが実施されるかなどは今後の発表となるという。

 イベントは今回のために特別に用意されたサーバーで行なわれた。事前に募集された中から抽選で100名のユーザーが選ばれた。ユーザー達のキャラクターはテストサーバーにコピーされ、キャラクターデータは現在のキャップであるレベル64、武器は最高の+20に設定されている。GMキャラクターが攻撃側と防御側のチームを率いて、1つの聖地を奪うという展開だ。

 イベントは、7月10日の午後8時から行なわれた。今回はメディア用のキャラクターで画面撮影を行なうことができたが、事前にキャラクターの準備ができておらず、イベントでは戦場の周りを撮影するのみという形になってしまった。プレーヤー達は前日から入ることができ、スキルやアイテムを入手した後、防御側、攻撃側のギルドにわかれて戦うことができた。100名分のテストアカウントが発行されていたが、夜とはいえ平日ということもあってか、実際には60名ほどの参加となった。

 攻撃側は1つの経路から進むことになった。防御側はそれに対応し、細い道となっている場所で迎え撃つ。範囲魔法が飛び交う非常に派手な展開になった。何人かの攻撃側のプレーヤーが防衛戦を突破し、ガーディアンまでたどり着くと、ガーディアンが動き出し、プレーヤー達を攻撃し始めた。ガーディアンは周囲に石柱を生やす強力な範囲攻撃を持っており、攻撃側はこれに苦しめられた。

 防御側はガーディアンの範囲攻撃で弱った攻撃側プレーヤーをどんどん倒していくという展開になった。リーダーとなるGMの能力設定も、防御側は強力な範囲攻撃ができるキャラクターを用意したのに対し、攻撃側は前衛の防御力に特化した戦士タイプなためほとんど活躍できず、戦場での貢献度がまるで違う形になってしまった。結果として、攻撃側はイベントの始まりから1時間、ガーディアンを倒すことができずに終わってしまった。イベント開催に関しては、もうちょっと考える余地があったかな、という印象を持った。

 会場のプレーヤーに聞いてみると、今回のテストに関しては、「実際に起こる状況と違いすぎるのではないか」という指摘があった。ギルドで事前に作戦を立て、役割を決めて戦うのと、抽選で集められGMの先導で進むのはやはり違う。聖地は1つではなく、1つの戦場で激しく戦っている間に別働隊が他の聖地を狙うなどの作戦もあり得るかもしれないということだ。

 1度も倒されなかったガーディアンについてプレーヤーは、「コアプレーヤーのパーティーならば撃破は可能なのではないか」という感触を得たという。コアプレーヤー達は“レイドボス”と呼ばれる強力な敵を攻略しており、その戦いに比べればガーディアンの強さはそれほどではない。ただし、ガーディアンの周りには防御側のプレーヤーがいる戦場でどう展開するかはまた変わってくるだろう。実際の戦場ではどうなるかは注目したいところだ。

 今回のイベントは、結果的には負荷テストといった感じで、実際の戦場とはかなり異なる印象を受けた。この体験を「実戦」でユーザー達がどう活かすか注目したい。政治的な面での問題点として、聖地をいくつかのギルドが寡占してしまうのか、もしそうなったときに運営側は何らかのアクションを起こすのかなどの課題もある。実際に動いたとき改めて様々なポイントが議論されていくだろう。ゲーム全体の社会がどう変化していくかに注目したい。


多くのプレーヤーと共に聖地へ移動。マップ右側の聖地で戦いが展開した。左の柱は攻撃側の復活ポイントだ。登録すればここから復活できる
激しくぶつかり合う両軍。派手な範囲魔法が飛び交う。柱や旗など各陣営に影響を及ぼす建築物を使ってそれぞれ有利な状況を作っていく
巨大なガーディアン。防御側はガーディアンの攻撃力をフルに使って攻撃側を駆逐していく
今回は戦略やプレーヤー達の連携がもう1つという印象だった。日本のプレーヤーの攻略する能力は非常に高い。何度か守護バトルが行なわれると、風景は全く違ったものになりそうだ



■ 今後は、アバターやクエストをファルコムと協力して開発。意見交換会ではバグやシステムの改良などの要望が

今回のイベントの進行を担当し、ユーザーからの質問に答えたプロダクトマネージャーの秋山隆利氏。イベント中、メディアからのインタビューにも対応した
ユーザーからの質問に答える秋山氏。バグの確認やシステムの改良要望など、ゲームをより快適にすることを希望する、細かい意見が多く出た

 守護バトル先行体験会の後に行なわれた意見交換会では、ユーザーから様々な意見が寄せられた。ユーザーと直接対話したのはプロダクトマネージャーの秋山氏である。最初に上がったのは、「ユーザーからどんな意見があったのか、それをどう検討しているのかをもっとわかりやすくして欲しい」という意見だ。また、公式ページの情報の少なさ、ニュースの告知がメディアへのリリースの方が早い、といった問題が指摘された。これらの問題に対し、秋山氏はもっと迅速に対応し情報を公開していきたいと答えた。

 ゲーム内イベントが少ないという問題点に関しては、「ユーザーが集中しすぎるとサーバーが落ちてしまうという問題がある」という。このため、イベントの実施に関しては期間中のログインで報酬を与えるなど負荷の少ないイベントを行ないつつ、開発側とでリソースを見直しシステムの改善も試みていく。

 ユーザーからは2つめのサーバーであるフェルガナサーバーの人の少なさを心配している人もいるという。キャラクターデーターの移動やサーバーの統合はシステム的には可能だが、アイテムの持ち越しなどはできない。統合ということは技術的には可能だが、現在はそれよりも2つのサーバーをどちらも盛況にしていくのを目指していくという。

 チャットウィンドウの背景を変えたい、ラグの問題、魔法職の力不足、召喚獣のターゲッティングのしづらさ、敵から能力を減退させる魔法が見づらい点など、システム面での不満もぶつけられた。また、スキルの仕様や、トレードを同時に出したときの不具合、補助魔法の効果などプレーヤーならではの細かい点が挙がった。バランスなどは7月30日のアップデートで調整されるが、システム的な問題に関しては開発と今後詰めていくことになるため、少し時間がかかるという。RMT業者の宣伝を止めるためフィルタ機能を強くしていたが、業者への対策も進められたため、こちらも緩和していく方向だ。

 ユーザーからの指摘は「もっとゲーム内を快適にするための要望」が多かった。秋山氏は「もっと全体のことや大きな事を提案してくれてもいいですよ」と語りかけたが、不具合の報告や改善点の提案が多かった。“制作側”と“ユーザー”という立場の違いが出たようにも感じた。ユーザー自身は、世界をもっと快適にするための意見はすぐ出るが、どんな新しい要素を取り入れていくかには消極的な場合が多いのかもしれない。

 「ユーザーの意見で変えていく」という姿勢をアピールするオンラインゲームメーカーは多いが、結果としてはバランス調整や、他のゲームに入っている要素を入れ込むという結果になっている作品も多い。オリジナルコンテンツ、作品ならではの方向性を持った他では味わうことのできない体験の提供、というのはユーザーとの対話のみでは生まれない。制作者が信念を持ってコンテンツを提示してこそ、ユーザーはそれに対して意見を言える。今回の交換会では、もっと具体的なコンテンツ追加案を開示し、ユーザーからの生の反応を見てもよかったのではないかと感じた。

 イベント中に秋山氏に直接話を聞くこともできた。中でももっとも大きな動きとしては、今後、日本で運営される「イースオンライン」に関して、日本が開発の主導権を握ることになる。今後韓国で開発を行なっていたメンバーを含む、企画者、プログラマーが派遣される形で来日し、CJ インターネットジャパン社内で直接コンテンツを開発する。この開発体制はサービス開始前から目指していたもので、ようやくその体制がスタートするという。

 この開発体制でコンテンツが提供されるようになるのが12月からになる予定だ。まずは「イース」のライセンス元である日本ファルコムと協議しながらアバターアイテムを提供していくことを予定しているという。アバターの対象となるのは「イース」だけではなく、その他の日本ファルコムの作品からもアバターを作り出し、販売していく予定だという。現在、日本ファルコムとコンテンツの企画も含めた形で開発を進められるように話し合いを続けているという。

 もちろん、「イース」らしさも追加していく。ストーリークエストに関してはきちんと、「イース」の世界から100年後である、というポイントを感じさせるような要素を入れていきたいと秋山氏は語る。小説を書くようなスタッフを開発メンバーに加え、ストーリーを盛り込んでいく予定だ。メインストーリークエストは、毎月、できなくても2カ月に一度くらいのペースでストーリーを入れ、来年の夏にはしっかりとした形にしていく予定だ。

 「独自のコンテンツとして開発を進めていきたい、というのが私達のゴールです」と秋山氏は語る。最初にできる要素は小規模なものになってしまうが、まずその構成である程度実績を示した上で本格始動に繋げていくというのが当面の目標だ。自分たちの手でコンテンツを作り上げ追加していく、その鍵となるのが日本ファルコムとの協力体制だ。「イースオンライン」のスタートは好調であり、この好調さが体制を変える原動力となり、次のステップに向けての体制がようやく整ったというところだ。

 現在の予定は、大きなシステムの追加や、革新的な変化ではなく、できる部分からやっていくという方針だ。「やっていくには大回りをしていくしかないなと考えています。現在は土台作り、組織作り、でこれから本格始動というところです。日本ファルコムと一緒に、作っていきたい。日本ファルコムの望むところ、ユーザーの望むところを取り入れた、きちんとした「イース」像を作り上げて、改めて提示する、世界に通用する『イースオンライン』を構築していきたいと考えています」と秋山氏は語った。

 この他、7月30日には守護バトルと共に目玉になる「マイレージ」システムが導入される。これはお金をかけることや、プレイ時間に応じて貯まっていくポイントだ。現在、「イースオンライン」は時間をかけてプレイしたユーザーが最高の装備を得ることができるバランスになっている。お金をかけてもその最高レベルの8割程度の力までの到達というバランスにすることで極端な現金の投入にブレーキをかけるようにしている。

 マイレージはそのギャップを埋めるものにしていきたいという。お金をかけた人にはそれ以上の恩恵を、かけていない人にもプレイ時間で使えるようにするシステムにして、新しいバランスを目指していくという。

 正直なところ、「夏にはオリジナル要素が見えてくる」とアナウンスされていた当初の予定からはかなり遅れてしまっている印象がある。共同開発をアピールしていた日本ファルコムとの協力もこれからというところで、「イース」を期待していたユーザーにとって、早く具体的なプランを見せて欲しいところだ。CJ インターネットジャパンは今後、8~9月には情報を提示したいとのことで、これからどうなっていくかに注目したい。



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(2009年 7月 15日)

[Reported by 勝田哲也]