ニュース
松田社長も大いに語る! 「ジャストコーズ3」“最速体験会”開催
大混乱と大破壊、自由度の高さとド派手な演出を先行体験
(2015/11/30 01:55)
スクウェア・エニックスは、都内にて2016年1月21日に発売されるプレイステーション 4向けアグレッシブ・アクションアドベンチャー「ジャストコーズ3」の“最速体験会”を開催した。会場は抽選で選ばれた60名以上のユーザーが訪れ、ゲームを体験した。
「ジャストコーズ3」は海外では12月1日に発売され、日本でもSteam経由でPC版が入手できる(英語のみ。2016年1月21日以降日本語でもプレイ可能)。今回の体験会では、海外版より早く、日本のユーザーが“日本語版”の「ジャストコーズ3」をプレイできるのだ。この体験会では、スクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋祐氏と、ローカライズプロデューサーの赤石沢賢氏、ローカライズディレクターの山本大輔氏が登壇した。
松田氏は“洋ゲー好き”として知られている。特に「コール オブ デューティ」シリーズでハンドガンのみで戦っていたことから、“ハンドガン社長”と呼ばれ、ユーザーと交流するイベントやニコニコ生放送にも登場し人気を集めた。松田氏は「スクウェア・エニックスの海外ゲームタイトル専門レーベル『SQUARE ENIX EXTREME EDGES』は、“過激”で“最先端”という意味を込めています。非常にとがった、面白いタイトルを紹介するものです」と語った。
ちなみに、今回の会場は「松田社長の隠れ家」がコンセプトだという。松田氏は洋ゲーを楽しむコアプレーヤーでもあるということで、このイメージを膨らませて会場は作られていた。壁や本棚には様々な「SQUARE ENIX EXTREME EDGES」関連のグッズが並べられ、バーカウンター風のテーブル、さらに革製のソファーと大きなモニターを設置した「ゲームプレイコーナー」も設置されている。今回のユーザーは、松田社長の隠れ家に招かれたゲスト、というわけだ。
イベントではまず山本氏がチュートリアルをプレイし、赤石沢氏が解説を行ない「ジャストコーズ3」の紹介を行なった。今回は日本語版であり、音声も声優達による吹き替えだった。赤石沢氏は「ジャストコーズ3」は日本語音声だけでなく英語音声も入っており、いつでもオプションで吹き替えられることも発表した。
弊誌でも何度か取り上げているが、「ジャストコーズ3」はそのド派手なアクションと自由度が楽しいオープンワールドアクションだ。主人公・リコはワイヤーを撃ちだし自分の体を高速で引っ張れる「グラップリングワイヤー」を使いこなす。ワイヤーは2つのものをくっつけることも可能で、銅像を地面に引き吊り落としたり、巨大な石油タンクをくっつけてしまったりできる。これをうまく活用すると大規模な破壊が可能だ。
またいつでもパラシュートを広げ大空に舞い上がれる。グラップリングワイヤー、滑空できる「ウイングスーツ」を活用すれば、自由自在に動き回れる。会場では山本氏の巧みな操作で、リコは燃料備蓄基地で大爆発を起こさせ、さらに巨大な橋を吹っ飛ばして見せた。この時女科学者とリコの会話シーンが挿入されるのだが、女科学者はかなりマットサイエンティストな感じで、「この崖から飛び下りればわかるわ」などリコに無茶な要求をするのが楽しかった。キャラクター描写も注目だ。山本氏は「特に“独裁者の悲哀”も感じて欲しい」と語った。
この後、体験プレイとなった。筆者も東京ゲームショウに続き本作をプレイしたが、ウイングスーツでの滑空からワイヤー射出でのスピードアップなど、爽快な飛行感覚に夢中になってしまった。実際飛び回ったりパラシュートを使って高いところまで上がったり、空を飛んで楽しむ人が多かった。一方で松田氏は車に乗って道路を猛スピードで走り風景を楽しんでいたという。移動しているだけでも楽しいゲームだ。
筆者は街の襲撃も挑戦してみた。今回は様々な武器がすでにアンロックされている状態で戦えたためかなり楽しかった。ワイヤーを使ってものをぶつけたりやロケットランチャーでの破壊など最初は爽快だったが、プレイしていくことで、きちんと「街の奪取」に目的をフォーカスすると急に難易度が上がるのを感じた。
街の奪取にはいくつかのオブジェクトを破壊する必要があるのだが、単純に車をぶつけたりしてもうまく壊せないし、大爆発も起きない。ロケットランチャーやマシンガンも調子に乗って撃っているとすぐ弾切れしてしまう。かっこよく活躍し、大爆発を引き起こすには、ゲームに慣れ、様々なものを活用しなくてはいけないのがわかった。製品版で突き詰めていきたいテーマである。
体験会ではさらにウイングスーツを使ったポイントチャレンジで順位を競う「エアレース」が行なわれた。松田氏も何度か挑戦をくり返し見事ゴールしたが、会場のプレーヤーの中にはかなりの高得点をたたき出した人もいた。上位入賞者には松田氏から特製Tシャツなどのプレゼントされた。
SCEJAの盛田プレジデントも絶賛。松田氏が提示する海外タイトルの魅力
イベントの後半では松田氏、赤石沢氏、山本氏のトークや質問に答えるという展開となった。赤沢氏、山本氏が語ったのは「ローカライズの難しさ」。現在は90%ほどで、最終調整の段階だという。細かい部分に手を入れているとのことだ。
ローカライズは英語版をまずプレイして、テキストとボイスを開発側からもらった上で細かく検討していく。そしてゲームに盛り込んで実際の場面ときちんと合っているかを検討していく。しかしゲームはインタラクティブなため、言葉や繋がりが変わることもあり、資料も言葉の繋がりや流れがわからない場合もある。さらに開発側でも頻繁にアップデートしていくため整合性を取るのはかなり難しい。特に発売間近になると開発側はヒートアップしてくるので、やりとりも強い調子になる場合もある。
ここで大事なのが開発側との関係性だ。同じゲームの開発者同士、「ゲームが好きだ」というのは共通している。また東京ゲームショウやE3では直接長い時間顔を合わせる場合もあるので、この体験は開発を進めていくことで大事となる。「共にゲームをよくしていこう」と思っていることを共通認識として持つというのが「SQUARE ENIX EXTREME EDGES」の進め方だという。英語音声と日本語音声のゲーム中での切り替え機能は、開発の早い時期で日本の要望が実現した結果とのことだ。
松田氏はローカライズしていく基準として、世界中のゲームを見ていく中で日本に出すゲームを決めているという。松田氏は様々なゲームを見ており、その知識が海外担当チームを上回る場合もあり「あのゲームは知っているか?」と山本氏や赤石沢氏に聞いてくることもあるという。松田氏は海外タイトルの魅力として「海外は自由度の高いゲームが多い。そしてお国柄やスタジオの特徴が出ていることで面白さが出ているゲームがある。この楽しさを伝えていきたい」と語った。
松田氏が海外タイトルを紹介する上で大事に思っていることは「オリジナルの海外版の面白さをストレスなく日本の皆さんに伝えること」。そのためにスタッフは心を込めてローカライズを行なっている。ストレートに、違和感なくオリジナルの面白さを伝えたいとのことだ。
「今まで手がけたタイトルで思い出深いタイトルは?」という質問に赤石沢氏は「トロピコ5」と答えた。「トロピコ」シリーズは独裁者となって激動の時代を小さな国を運営して乗り切っていくゲームであり、ある意味独裁者を打ち倒そうとする「ジャストコーズ3」と真逆の関係にある。「今『トロピコ5』はPSNでセール中なので、まずこれで独裁者として島を作り、『ジャストコーズ3』でぶっ壊して欲しいです」と赤石沢氏は語った。実は「トロピコ」シリーズは社内でもファンが多かったという。
ここで特別ゲストとして、ユーザーと一緒に体験会でゲームもプレイしていたソニー コンピュータエンタテインメントジャパンアジアのプレジデント盛田厚氏が紹介された。盛田氏はユーザーと一緒に「ジャストコーズ3」も体験していた。
盛田氏は海外タイトルのゲーム体験として、「『Destiny』をプレイしているとき何度も他の人に助けられ、申し訳なくなって思わずにお礼も言わず逃げてしまった」と体験を語った。盛田氏は古いハリウッド映画の「最初からクライマックス」というノリが好きで、海外タイトルの魅力の1つはこういった勢いの良さだという。「ジャストコーズ3」に盛田氏はまさにそういったノリを感じ、さすが松田社長の選ぶゲームだなと思ったとのことだ。盛田氏は松田氏が紹介する海外タイトルにおいて大きな信頼を寄せていると語った。
盛田氏が「11月に『コール オブ デューティ ブラックオプスIII』や『スター・ウォーズ バトルフロント』など魅力的な海外タイトルを投入し、好調です。2016年には『アンチャーテッド』の最新作も出ます。スクウェア・エニックスさんからは『ジャストコーズ3』をはじめ様々なタイトルが出ますので、盛り上げていきますので周りの人にもこの楽しさをお伝えてください。よろしくお願いします」とユーザーに向かって語りかけると、松田氏はすかさず「そのためにもPS4買ってね、と伝えてくださいね(笑)」とフォローを入れた。
ユーザーからの質問では「前作をプレイしなくても安心」、「収集要素などがわかりやすく爽快」、「日本語版の声優さん、特に独裁者の演技が最高」といった要素が明らかになった。松田氏はグレネードランチャーがお気に入りで、音楽を聴きながら島をドライブするのも楽しかったという。赤石沢氏は戦車の“強さ”が特にお気に入りで、しかも他の兵士を引きずって走るようなプレイが好きとのことだ。山本氏はステルスにこだわって設置型爆弾で暗躍するという。
今回のイベントでは、「ジャストコーズ3」の楽しさはもちろん、ローカライズチームのポリシーや、松田氏の海外タイトルへの思い入れも感じることができた。筆者もより一層「ジャストコーズ3」の発売が楽しみになった。2016年1月21日が待ち遠しい。