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アドアーズ、日本初の賞金付きメダルゲーム大会を開催

全国の参加者がスロットマシンで熱戦を展開、優勝賞金100万円は誰の手に!

9月22日 開催

会場:TOC有明

 ゲームセンターの大手運営会社であるアドアーズは、国内初となる賞金総額200万円のメダルゲーム日本一決定戦、通称「メダワン」を9月22日に東京のTOC有明にて開催した。

 同大会は、アーケード(ゲームセンター)用メダルゲームのスロットマシンを使用し、制限時間内にどれだけ手持ちのメダルを増やせるかを競うというもの。18歳以上であれば誰でも参加可能で、会場には事前エントリーの中から抽選で選ばれた約480名ものプレーヤーが集まるという、第1回目でありながら大規模なイベントになった。参加者は首都圏のみならず関西や東北地方から駆け付けた人もおり、また2人ペアによるエントリーも可能であったことから夫婦やカップルでの出場者や、今やすっかりゲームセンターのお得意さんとなったシルバー世代の方も見受けられ、ビデオゲームの大会に比べるとかなり年齢層が広くなっているのがうかがえた。

「メダワン」会場内には老若男女を問わず幅広い年齢層のプレーヤーが集まった
男女のペアでエントリーした参加者も少なからず見受けられた

予選ラウンドからジャックポットが相次ぐ意外な展開にビックリ

 大会はまず参加者を60人ずつ、A~Hの8グループに分けた予選ラウンドからスタート。抽選で使用するスロットマシンの種類を決めてから手持ちのメダルが1万枚の状態でゲームを開始し、20分間プレイしてメダルの枚数が多い上位10名が決勝ラウンドに進むという形式で行なわれた。

 ちなみに、本大会で使用されたマシンは以下の11種類。回転したリールをボタンを押して止めた際に、同一ライン上に同じシンボル(絵柄)をそろえると当たりとなり、賭けたメダルの枚数にその絵柄(難易度)に応じた倍率を掛けたメダルがもらえるというというのが基本的な仕組みである。

【大会で使用されたメダルゲーム】
・「BONUS SPIN Z」
・「BONUS SPIN Z TWIN JOKERS」
・「BONUS SPIN A」
・「BOMBER SPIN」
・「BONUS SPIN X」
・「JOKER COLLECTION」
・「WILD ROSES THE GARDEN」
・「FORTUNE SPIN JOKER RUSH」
・「GOLDEN PHOENIX」
・「BONUS SPIN JOKER'S WILD」
・「BONUS SPIN JOKER'S DOUBLE」

 いずれもスロットマシンゆえ、ビデオゲームとは異なり勝てるかどうかは基本的に運次第であり、プレーヤーが攻略方法を完全にパターン化することは不可能だ。そこで勝敗を分ける大きなポイントとなったのが、役がそろった後に参加権が得られるダブルゲーム(ダブルアップ、ダブルダウンとも呼ぶ)の使用法だ。

 ダブルゲームとは、ディーラー(CPU)が示した絵柄よりも役が高い絵柄を引けば当たりとなるハイ&ロー形式で勝負を決めるもので、ここで勝つと直前に獲得したメダルの枚数がさらに2倍になる。1度勝った後も引き続きチャレンジすることが可能で、連続で勝てば4倍、8倍……とメダルをどんどん増やせるが、もし途中で負けた場合は獲得したメダルはすべて没収されてしまうため非常にリスクが高い。

 もうひとつのポイントは、合計5千枚以上のジャックポット(大当たり)を当てたことをスタッフに確認してもらうと、さらに特別ボーナスとして5千枚がプレゼントされるという本大会独自のルールの存在である。つまり、5千枚の当たりが出た時点でゲームを終えて枚数を確定させてしまえば、実質的に1万枚以上の当たりとなるので、かなりおいしい。またジャックポットを当ててもギリギリ5千枚に届かなかった場合は、プレーヤーはイチかバチかでダブルゲームに挑戦し、5千枚の追加ボーナスを狙うかどうかの決断に迫られる。

 予選は短時間での勝負ゆえ、ダブルゲームでガンガン攻めるべきか、それとも手堅くキープすべきなのかの判断が順位に大きく影響したように思われた。開始直後にダブルアップで連勝してジャックポイントをあっさり引き当てた強運のプレーヤーが何人も現われた一方、リスクを避けるあまり手持ちのメダルがなかなか増えず、タイムアップを待たずに使い果たしてゲームを終えてしまうプレーヤーもおり、機種の抽選以上に戦略面での明暗がかなり分かれたようだ。

 なお各タイトルの詳しいゲーム内容は、本大会の公式サイト内にある「遊び方紹介」の動画がかなり参考になるので、興味のある方はそちらをご覧いただきたい。

どのブロックからもジャックポットを引くプレーヤーが続出。わずか20分で2万~6万枚へと3倍に増やしたツワモノも出現した

決勝はタイムアップ直前まで優勝者が決まらない大熱戦に!

 決勝ラウンドは、予選を通過した80名による実に60分もの長丁場を戦い抜くまさにマラソン大会。手持ちのメダルは3万枚からスタートし、さらに途中でプレイする台を変更することが可能となる。スタート時の席は、予選の成績順にプレーヤーが自由に選べるようになっていたので自分の得意なもの、あるいはジャックポット発生時のケタが大きくなりやすい傾向にある機種を選ぶのがまず第1のポイントとなったようだ。ちなみに、決勝進出者の人気は「BONUS SPIN Z TWIN JOKERS」にほぼ集中していた。

 試合は終了10分前のタイミングまで、なんと上位3人のプレーヤーがいずれも11万枚前後でしのぎを削る息詰まる接戦を展開。途中でトップを確信したのか、1度プレイを止めて枚数をキープしていたら数分後に別のプレーヤーがジャックポットを引いたのを知り、慌てて席に戻る場面も見られるなど大熱戦となり、周囲で観戦していたスタッフや予選で敗退したプレーヤーたちも大盛り上がり。そして見事に激戦を制し、初代メダルゲーム日本一に輝いたのは129,280枚ものメダルをたたき出した東京都のちゅんこ選手。圧倒的に男性の参加者が多いなか、同選手をはじめ8位になったミッシェルさんなど女性プレーヤーの健闘が光る大会となった。ちなみに2位は120,360枚、3位が114,980枚で、ジャックポット約1回分の差で最後まで競り合うたいへんに面白い展開となった。

参加者の1番人気は爆発力が魅力の「BONUS SPIN Z TWIN JOKERS」。終盤はライバルの動向が気になり、席を外して他のプレーヤーの枚数をチェックする姿も目に付いた
初代王者となったちゅんこさんにはトロフィーと賞金100万円が授与され、8位までの入賞者にもそれぞれ賞金が贈られた

大会の取材を終えて……

 筆者はかつて、ゲームセンターの店長をしていた経験があるのだが、僭越ながら気づいたことなどを書かせていただく。

 これまでにアーケード用のビデオゲームを使用した賞金付き大会、あるいはe-Sports競技大会は何度も開催されているが、今回はメダルゲーム、それも基本的には運勝負のスロットマシンを用いた大会ということもあり、当初は各参加者が黙々とリールを回し続ける姿だけが目立つ、地味な大会になるのではないかと思っていた。

 ところが、いざ始まってみるとゲームスタートから1分もしないうちにジョーカーを引いてボーナスゲームに突入したり、あっという間にジャックポットを獲得するプレーヤーが続出してあちこちで歓声が上がったのが大いに驚いた。5千枚以上のジャックポット発生時にさらに5千枚をプレゼントする独自ルールも、プレーヤー自身が挙手をしたり大きな声を出してスタッフにアピールする必要があることもあり、大会の盛り上げに大きく寄与していたようだ。

 また、予選ラウンドでは途中で席を離れて他のプレーヤーの枚数をチェックしつつ、自分があと何枚増やせば通過できるのかを探るなど、ちょっとした駆け引きをして間接的に人と対戦している姿もしばしば見られたので、ゲームの基本的なルールさえ知ってれば観戦しているだけでも楽しめるようなイベントになっていたように思われる。

 男女を問わず、シルバー世代も含む幅広い年齢層が参加できるのもメダルゲームの大会ならではの大きなメリットだろう。家庭用ゲームと違って、練習の際には必ず設置店を自分で探して出かける必要があるが、対戦格闘やFPSなどのように日々ストイックにやり込まなくても、運次第では初心者でもプレイ経験の長い相手に勝てる可能性があるのも魅力と言えるだろう。前述したように、2人ペアによるエントリーの採用も女性の参加を促せるという意味でもとてもいいアイデアだ。

 決勝ラウンドの成績集計にこそやや時間を要したが、旧シグマ時代からメダルゲームを用いたカジノ風ゲームセンターを長らく営んでいる同社だけに、大会の運営はさすがの上手さだった。普段は直営店に勤務しているであろう、MC担当者による場の盛り上げ方や、マシンのセッティングやプレーヤーに対するルール説明なども実に手際が良く、まさにお家芸とも言えるオペレーションを見せていただいた。

 ただ惜しむらくは、筆者が見た限りでは事前のPRが不十分だったこと。直営店内でもポスタ―などによる告知のお知らせが目立たず、またYouTube LIVEでの生中継があるという情報もネット界隈でほとんど見掛けなかったため、せっかくの業界初の試みとなる大会の存在を十分に周知できなかったのは非常にもったいないように思えた。運営スタッフによると、参加者の応募総数は定員の約5倍もの人数があったというのだから、アピールの方法次第では本番前の段階からもっと話題を集めていたかもしれない。

 市場規模が最盛期の半分近くにまで落ち込み、店舗数も減少の一途をたどるアーケードゲーム業界。「元気のないゲームセンター市場に活気を取り戻したい(リリースより)」との思いから始まった本イベント。同社の広報IR・広報企画グループの佐藤彰宏氏にお話をうかがったところ、「大会の構想は数年前から持っていました。本イベントを通じて、今でもメダルゲームを面白いと思っていただいているお客様がたくさんいらっしゃることを改めて実感しました。第2回目の開催もぜひ検討したいと思います。これからもゲームセンターをもっともっと盛り上げていきたいですね」とのことだった。本イベントを機に、アーケードゲーム市場が好転する何かしらのきっかけにつながることを願ってやまない。

主催者代表としてプレゼンターを務めたアドアーズの上原聖司社長。当日はYouTube LIVEのアドアーズチャンネルにてライブ配信も行なわれた

(鴫原盛之)