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TGS2015 インディーゲームコーナーレポート

バーテンダーADVやARアーチェリーなどセンスの光る作品が多数出展

9月17日〜20日 開催(17、18日 ビジネスデー)

会場:幕張メッセ

入場料:1,200円(税込)

9ホールで展開されたインディーゲームコーナー。一般日となる19日には多くの来場者が訪れた
ビジネスデイ初日のインディーゲームコーナーは来場者より出展スタッフの数の方が多い有様で、不安がる声があちこちから聞かれた

 東京ゲームショウ 2015では、今年もインディーゲームコーナーが設けられ、国内外から多数のインディーゲームが出展された。ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアがスポンサーになっており、事前応募で審査に通れば出展料は無料(一部、有料で先着順のブースも用意)。それでいてSCEJAは出展タイトルの選定には関わらないという太っ腹なスタンスで、多種多様なインディーゲームが出展された。

 本稿では、およそ100の個人・団体が出展したインディーゲームコーナーの中から、筆者が注目した作品をご紹介する。

日本文化に影響を受けたバーテンダーアドベンチャー「VA-11 HALL-A」

 ベネズエラのSukeban Gamesが開発中の「VA-11 HALL-A(ヴァルハラ)」は、主人公がバーテンダーとなり、客と会話しながら求められるカクテルを提供するというアドベンチャーゲーム。

 5種類の材料と氷などを組み合わせ、シェイクする分量も考えながらカクテルを作る。カクテルのレシピは数十種類あり、レシピにある配分と作り方を守れば完成する。材料や手順を間違えると失敗して飲めないものができるが、何度でも再挑戦はできる。

 客は飲みたいカクテルを指定してくることもあれば、気分に合わせて作って欲しいといった曖昧なことも言ってくる。そこでプレーヤーが振舞うカクテルによって、その後の客との会話が変化、つまりストーリーが分岐する。

 客にカクテルを出すと、店の売り上げになる。売り上げを使ってアイテムを買ったりできるが、決められた家賃を払えなくなったらゲームオーバー。計画的にお金を使い、客を喜ばせながらもなるべく高価なカクテルを出すというのがゲームのコツになるようだ。客としてやってくるキャラクターは10人以上。サイバーパンクな荒んだ世界で清涼を求めてやってくる。

 TGSで公開されたデモバージョンは、「ストリーミング=チャン」という少女にも見える女性キャラクターが客としてやってくる。際どいストリーミング放送を生業にしているようで、主人公のいるバーに来たのも、場末の汚いバーで酔いつぶれた自分を見せてネタにするためのようだ。そういうキャラクターだからか、なぜか画面にニコニコ動画風の文字が流れる演出が入っており、作者は日本のオタク文化が好きなのだなと伝わってくる。

 プラットフォームは、PlayStation Vita、iOS、Windows、Mac OS、Linux。TGSに出展された日本語デモバージョンの翻訳はPLAYISM(アクティブゲーミングメディア)が担当している。PLAYISMの担当者によると、今のところ日本での発売は未定だそうだが、後々何かしらの動きがあることを期待したい。

バーテンダーになりカクテルを作って提供する。作るカクテルをあえて変えると、違う会話ができるのかも?

【VA-11 Hall-A Cyberpunk Bartender Action - Story Trailer】

□Sukeban Gamesのホームページ
http://kiririn51.itch.io/

他のプレーヤーをステージ外に押し出す4人対戦アクション「De Mambo」

 コーラス・ワールドワイドのブースでは、英The Dangerous Kitchenが開発する4人対戦アクション「De Mambo(デ・マンボ)」を出展。ボールのようなキャラクターを操作し、他のプレーヤーを画面外に押し出すことで倒すという対戦ゲームだ。

 操作は左右で移動、上でジャンプ。空中で下を押すと急下降によるタックルができる。攻撃はボタンを押すと4方向にトゲが出て突く。ボタンをしばらく押して離すと全方向を吹き飛ばすスピン攻撃。さらに長く貯めて離すと4方向に弾を飛ばす。相手の攻撃を受けると、その威力に応じて吹き飛ばされるので、ステージの外に追いやられないようにうまく操作する。

 ステージは複数あるが、ほとんどは最初、ブロックなどで四方が囲まれている。敵プレーヤーをいくら攻撃しても倒すことはできないので、まずは4人で戦いながら、その余波でフィールドを破壊し、上下左右の画面外へと落ちるルートを作る。どこかに穴が開いたら、そこに近づいて敵を飛ばすなり、離れて弾を撃って様子を見るなり、作戦が必要になってくる。

 ステージ外に3回落とされると負けで、最後に残ったプレーヤーが勝利となる。ただ他にまだ戦っているプレーヤーがいる時には、3回落とされたプレーヤーは画面外を滑るように動ける。飛ばされて画面外に落ちそうな他のプレーヤーと接触できれば、そのプレーヤーを1回ミスにして自分が復活できる。

 ルールはシンプルだが、キャラクターのスピードが非常に速く、乱戦になると自分がどこに吹き飛ばされたのかわからなくなるほど。ただ最初はステージ外に弾かれることがないため、コツがわからないなりに攻撃したりされたりできるのが単純に面白い。穴が開いた瞬間から駆け引きが始まり、だんだんとステージが隙間だらけで足場もなくなってくると、急に緊張感が出てくる。序盤と終盤で感触が変わってくるメリハリもまた面白い。

 プラットフォームはプレイステーション 4とWindows、Mac OSで、2016年発売予定。発売時にはステージや他の対戦モード、シングルプレイモードも追加予定としている。

見た目はカジュアルでも、バトルは猛烈。最初はやられる心配がない緩さも本作の面白さ

【Trailer De Mambo (60fps)】

□コーラス・ワールドワイドのホームページ
http://chorusworldwide.com/jp/

タッチ操作のシューティング風リズムゲーム「星屑のダンガンチューンズ」

 QUIZCAT GAMESは、開発中のiOS向けリズムゲーム「星屑のダンガンチューンズ」を出展。宇宙から迫る敵を撃墜していくようなビジュアルで遊べるリズムゲームとなっている。

 ゲームは最初に4つの楽曲を選択してスタート。選んだ曲が流れ始めると、画面の上方から敵のようなユニットが飛来してくる。敵が画面中央を過ぎた辺りで画面をタップすると敵を撃破できる。敵が飛来するのと音楽のリズムがシンクロしているので、リズムを刻みながら画面を見てタップすることで、リズムを刻む気持ちよさと、敵を次々に撃墜する爽快感が同時に楽しめる。

 画面はどこをタッチしても構わない。リズムゲームとしてシステムを分解すると、1ボタンだけのシンプルなゲームということになる。しかし高速で飛来する敵をロックオンして撃墜、敵が四散していくエフェクトを見ていると、間違いなくリズムゲーム以上の気持ちよさがある。

 本作は先日配信されたが、手違いがあり一旦公開をストップ、近日中に再公開される予定となっている。その後も50曲以上を目標に楽曲を追加、上級者向けのゲームモードの追加などのアップデートを行ないたいとしている。

シューティングゲームのビジュアルで遊ぶリズムゲーム。スピード感もありビジュアルのインパクトも強い

【星屑のダンガンチューンズ|PlayMovie #01】

□QUIZCAT GAMESのホームページ
http://quizcat.tumblr.com/

熱や圧力をシミュレートするアクション「AGARTHA」

 神奈川電子技術研究所は、環境シミュレーション的アクションゲーム「AGARTHA(アガルタ)」を出展。サイドビューのフィールドで主人公を操作しゴールに到達させればクリア、というゲームのルールはオーソドックスだが、ギミックとして環境シミュレーション的なアプローチがなされているのが特徴だ。

 主人公は、マシンガン、グレネード、火炎放射器、冷凍ビームという4つの武器を持っている。道中にジャンプで越えられない障害物があれば、マシンガンやグレネードで破壊して進む。岩の足元を破壊して支えがなくなると、残された岩が崩れ落ちてくるので注意。

 ジャンプで越えられない池があれば、泳いで渡ることも可能だが、冷凍ビームを撃ち込めば水が凍り、その上を渡れるようになる。逆に氷山が邪魔なら、火炎放射器で溶かして水にしてやればいい。また溶岩が貯まっている場所に冷凍ビームを撃てば、冷えて固まって安全に渡れるようになる。その後でグレネードで吹き飛ばすということも可能だ。

 さらには溶岩と水が近くにあれば、グレネードなどで穴を掘って双方を混ぜてやれば、溶岩は冷えて岩に、水は蒸発して雲になり上空へ上っていく。雲に向かって冷凍ビームを撃てば、雨が降ってくる。

 本作には各物質にデータとして特性を持たせているほか、変動する圧力と熱量も計算されている。破壊したオブジェクトがリアルに飛散するという物理シミュレーションを、さらに1歩進めたような作品だ。物質の状態変化を使ってステージの先へと進んでいく、独特なパズル要素を持つアクションゲームとなっている。完成は年末ごろの予定。

環境シミュレーション的なシステムをパズル要素に組み合わせたアイデアと技術力が注目を集める

【AGARTHA(アガルタ) TSF2015展示バージョン】

□神奈川電子技術研究所のホームページ
http://www.shindenken.org/

モバイルプロジェクター+モーションセンサー+PCで作るAR「Shadow Shooter」

 神奈川工科大学 情報メディア学科助教の安本匡佑氏は、没入型ARゲーム「Shadow Shooter」を出展。アーチェリーの弓に、モバイルプロジェクターとモーションセンサー、PCを内蔵したデバイスを使い、全方位に対応したARゲームシステムを開発した。

 ゲームとしては、全方位から近づいてくる敵を弓矢で射て倒していくというもの。プレーヤーは暗室で弓を構えて遊ぶ。モバイルプロジェクターで壁に映像が投影され、弓を動かすとモーションセンサーが感知して、弓が向いている方向の映像がプロジェクターで映し出される。弓の本体部分にもしなりを感知するセンサーがあり、弦を引いて弾くと、その強さに応じて矢が放たれる。

 見えているのはゲーム世界のごく一部だけということになるが、“暗所で懐中電灯を頼りに敵を探す”というゲーム設定により、プレーヤーの状況として違和感がない。また本体にはモバイルバッテリーも搭載されているため、ケーブルもなく、アーチェリー単体でコンテンツを楽しめる。ただし360度映像を投影できる暗室でないとプレイできないため、会場では別の仮コンテンツでデバイスの動きを見せるというものだった。

 研究の一環としてオリジナルで開発されたものなので、今すぐどこかで市販されるデバイスではないが、モバイルプロジェクターとモーションセンサーを使って仮想世界を見せるというアイデアがとても面白い。

デモムービーはこちら

実物のアーチェリーを使って楽しむARという発想も面白いが、1つのデバイスとしてまとめあげた技術的な取り組みとして見ても面白い
スマートフォンやタブレットを使って、平面映像を立体的に表現する「VISTouch」も出展。タブレット上に立てたスマートフォンに、タブレットの位置に対応した映像が表示される

□神奈川工科大学のホームページ
http://www.kait.jp/

バージョン2を開発中のダンジョンアクションRPG「Dungeons&Darkness」

 闇討ちProjectは、3DダンジョンアクションRPG「Dungeons&Darkness(ダンジョンズ&ダークネス)」を出展。8月に発売はしているが、その後もバージョンアップを続けており、敵の腕などの部位ごとに当たり判定を設定して厳密化するといった調整が加えられている。

 現在は、近日公開予定のバージョン2へのアップデートを開発中。現状では開発時の想定よりかなり長いプレイ時間が必要になっていて、複数用意している職業で改めてプレイしてもらえない状態になっていたのが気になっているという。そのため、クエストのシステムをツリー形式に変更するなどして、想定プレイ時間を約半分に短縮し、周回プレイしやすいデザインに変更する。

 ほかにも探索要素の追加、街の機能の追加なども予定。ゲームの感触が大きく変わるアップデートとなっている。

ダンジョンに単身で潜り、クエストをクリアしていく。バージョン2では想定プレイ時間の短縮が図られる

【Dungeons & Darkness PV】

□闇討ちProjectのホームページ
http://yproject.sakura.ne.jp/

約30年ぶりの続編は新旧映像切り替えが可能「ボコスカウォーズ2」

 ピグミースタジオは、シミュレーションRPG「ボコスカウォーズ2」を出展。こちらはインディーゲームコーナーではなく自社ブースでの出展だったが、インディーゲームというくくりで本稿にて取り上げさせていただく。

 前作「ボコスカウォーズ」は1983年にラショウ氏によって開発された作品で、複数の味方ユニットを同時に操作し、敵軍とリアルタイムに戦いながら進軍するというゲーム。当時としては非常に斬新な作品で、今でも多くの人の記憶に残る名作だ。その次回作となるのが「ボコスカウォーズ2」。CEDECでも本作に関する講演があったので、合わせてご覧いただきたい。

 仲間を増やし、敵を倒しながら成長させて、最深部にいるボスを倒すというゲームの趣旨は1と同じ。戦いの中で成長させていく計画性と、主人公とリンクして同時に動く兵士をうまく操るのがポイントだ。

 ビジュアルは大幅に進化。ラショウ氏の手描きテイスト溢れるキャラクターが不思議な動きでアニメーションしながら進軍していく。さらに本作には、前作のオリジナルであるX1版に相当するビジュアルも用意されており、プレイ中に随時ワンボタンで切り替えができる。前作のアイコン化されたビジュアルも想像力をかきたてられるものだったが、新しいビジュアルと切り替えながら見ていると、「こういうゲーム世界だったのか!」というのが30年越しに判明し、筆者はひとり感動していた。

 システム面では、新たに主人公以外の英雄が登場。別のプレーヤーが英雄を操作するという2人同時プレイに対応している。英雄は倒されてもゲームオーバーにはならず、その場所に墓ができる。そこにマップ上でうろうろしている小さな農民が触れると花を添え、3つになると復活させてくれるという要素もある。ただ農民は気の向くまま動くどころか、マップの端すら乗り越えて移動する謎の存在なので、待っていれば復活させてくれるというようなものでもない。

 英雄は複数存在し、前作にはいなかった新たな強敵も登場する。ストーリーというほどの展開はないそうだが、ラショウ氏のテイストで描かれるビジュアルから、うっすらと見える世界観も楽しめそうだ。

新旧画面を切り替えると、ゲーム世界がよく見えてくる気がする。どちらのグラフィックスも趣があって、意味なくしょっちゅう切り替えてしまう

□ピグミースタジオのホームページ
http://www.pygmy.jp/

【その他のブース】
NIGOROは開発中の「LA-MULANA2」を出展。背景やモンスターを少しずつ作り込んでいて、今回は“HPが減って死ねる”要素を追加。ただ最近はイベントが続いていて開発時間が取れていないので、これからしばらくは開発に専念したいという。完成はまだ未定だが、「来年のTGSには完成版で出展したい」としている
Throw the warped code out は、1995年テイストの3Dホラーアクション「Back in 1995」を出展。「インディーゲームはレトロテイストが多いので、3D黎明期のゲームも出てくるだろうと思っていたら全然出ないので、作った」という作品。パブリッシャーがデジカに決定し、Steamで今冬の配信が決まった
Project ICKXは、開発中の3Dフライトシューティング「VERTICAL STRIKE」を出展。最新のステージ2では「1つ1つ手植えで作った」という首都高三号渋谷線六本木付近のビル群を飛べる。現在はステージ3を開発中だそうだ
FullPowerSideAttack.comは、回転アクション「TorqueL」を出展。Windows版が「Xbox 360 ワイヤレス スピード ホイール」に対応し、ハンドルを回すとキャラクターが転がり出す。プレイ感がかなり変わるので、既に本作を遊んだ人にも新鮮
インディーゲームコーナー以外でも、インディーゲーム関係のイベントや出展があった。Twitchステージではインディーゲーム開発者によるステージも開催された

(石田賀津男)