ニュース

「CEDEC-Net 2015」がiOSアプリ開発者に警鐘を鳴らす!

NAT64+DNS64非対応アプリは近い将来には審査が通らず

8月26日〜28日 開催

会場:パシフィコ横浜

佐藤良氏

 「CEDEC 2015」の最終日となる8月28日、CEDEC会場のネットワークを担当する「Network Operation Center(NOC)」チームによる講演「『繋がりにくい原因』を探れ! 〜CEDEC-Netテクニカルレビュー2015〜」が開催された。講演者は、NOCチームの企画・運営を担当する佐藤良氏と、NOCチームスタッフの川上雄也氏、多田義政氏。

 NOCチームは、CEDEC会場でネットワーク環境を構築・運営する有志のチーム。CEDECに参加した方はお気づきだと思うが、ここ数年はCEDEC会場のWi-Fi環境が劇的に改善しており、今年は会場のどこに移動しても切れない、早いWi-Fi環境が提供されていた。その裏で、CEDEC開催前から奔走していたのがNOCチームだ。

 ゲームのデモなどでWi-Fi環境を使用した時、通信トラブルが起こりがち。そういった問題は、大規模かつゲーム開発者というIT系の人々が集まる会場ではより深刻だ。そこでCEDEC-Netで行なった対策などを伝えることで、ゲーム開発者が関わるネットワーク周りの改善に一役買おう、というのがセッションの主題である。

 内容はかなり具体的かつ技術的な方向に寄るので、今回は特にゲーム絡みの話題として、今回のCEDEC-Netで提供されたNAT64+DNS64環境の狙いについて紹介したい。これはiOSのアプリ審査に大きな影響を与えるもので、知らないと近いうちに大きな問題が起こり得る。

川上雄也氏
多田義政氏

iOS9ではNAT64+DNS64環境での動作が必須になる

「CEDEC-Net 2015」の構成概要。左下の部分に注目
iOSアプリはNAT64+DNS64環境で動作することが必須になる

 今回のCEDEC-Netでは、IPv6オンリーのネットワークが提供されていた。これはiOSアプリの審査要件に準拠したもの。別途IPv4を使えるネットワークも用意されていた(CEDEC-Net4)。

 iOSアプリ審査要件というのは、今秋登場予定とされているiOS 9が関係している。今年6月に開催されたWWDC 2015において、iOS 9ではiOSアプリ審査の要件に、「NAT64+DNS64環境で動作すること」という条件が加わることが発表された。Appleの発表によると、無料アプリの上位100位のうち30%が非準拠だという。

 DNS64とは、DNSのAレコード(IPv4)が返ってきたらAAAAレコード(IPv6)に変換するもの。NAT64は、変換されたIPv6宛の通信をIPv4に変換するものだ。変換は、“64:ff9b::/96”の最後の32bit分にIPv4アドレスを埋め込んでおく、という約束によって成り立っている。発想はシンプルだが、IPv6の端末をIPv4のサーバーにアクセスできるようにする重要な技術だ。

 今年のCEDEC-Netは、まさにこのNAT64+DNS64環境で構築されていた。つまり手持ちのiOSアプリをCEDEC-Netに接続した状態で動作させれば、問題があるかどうかを確認できたというわけだ。Appleにはアプリの対応方法が記されたプレゼンテーション資料が用意されている(リンク先は英文)ので、合わせてご覧いただきたい。

 このままNAT64+DNS64環境に非対応のiOSアプリを開発し続けると、数か月以内にはAppleの審査に通らなくなる。iOSアプリの開発者は今すぐ自社のアプリを確認して欲しい……というメッセージを、NOCチームは発していたわけである。

 このほか、CEDEC会場内のWi-Fi環境を快適に構築するための様々な施策が紹介された。会場内には合計で80台のアクセスポイントを設置。ヒートマップ(電波強度を図にしたもの)も確認し、休憩時間の人の移動まで考慮して、通路でも安定した通信が可能になるよう対策されていた。2日目午後には最大の1,554台がアクセスしたという。機材はスポンサー各社から提供されている。

川上氏によるNAT64/DNS64の解説。特にiOSアプリ開発者は理解しておいて欲しい
多田氏はCEDEC-Netのアクセスポイント設計について説明。ヒートマップに加え人の流れを考えて配置している。実際の運用では最大1,554台の同時接続が確認された

(石田賀津男)