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Oculus Rift製品版、Morpheus超えの高品質VRを確認!
ゲーマー垂涎のプレミアムVRプラットフォームを大解説
(2015/6/20 11:23)
E3 2015の展示会場で最も熱い注目を浴びていたOculus VR。6月11日に正式発表された「Oculus Rift」製品版(以下「Consumer Version 1: CV1」)が実際に試せる世界最初の機会となっていたのだからそれも当然のことだろう。
2013年のOculus Rift Development Kit 1(DK1)、2014年のDK2、最終プロトタイプのCrescent Bay(CB)と来て、ついに製品レベルのプロダクトとなったOculus Rift。CV1で得られたVR体験は、PS4用のVRヘッドセット「Project Morpheus」を超えるクオリティを実現していた。
試遊の模様から、その詳細をお伝えしていこう。
圧倒的に快適なつけ心地。期待以上の映像品質を実現
業界全体が熱い期待を寄せていたCV1が初めて出展されるとあって、過去最大の規模となったOculus VRのブースは、会期3日間を通して歩くスキマもないほどの人でごった返し、盛況を呈していた。「予約者のみ体験可」というシステムでこの有り様なのだから、いかに高い注目を浴びていたかが伺い知れようものだ。
筆者はようやく最終日にCV1の体験にこぎつけることができた。ブース内ではプレスカンファレンスで披露されたゲームを含む9タイトルのうち任意の1つがプレイできるようになっていた。そこで今回、表示系の品質を詳しく見るため「VR Sports: Challenge」というスポーティなタイトルを選択した。
目の前に置かれたCV1と、念願のご対面だ。おもむろに装着する。
そこで驚いたのが、期待を遥かに超えるつけ心地のよさだ。(プレスカンファレンスでは「野球帽のようにかぶれる」とアピールされていたが、文字通りにそのままだ。
メガネをつけたままでもスッとかぶることができ、バイザー部分がピタっと吸い付くような、優しくてしっかりとした固定感も得られる。DK2やCBとは比べ物にならない快適さでである。トータルでいうと、これまで筆者が最高だと思っていたMorpheusのつけ心地をも超えている。
その秘密は、外装の素材にある。全体がハードプラスチックで作られていたCB以前のプロトタイプとは違って、CV1は柔軟性のある合成繊維でハウジング部分が作られているのだ。左右から指で押すとグニグニとなる感じである。この柔軟性が、顔形状の個人差をゆるやかに吸収して、ピタっとしたバイザーの装着感をもたらしている。
この素材には通気性もある。CV1のハウジングはDK2やCBよりも密封度が上がっているのだが、ガワ全体に通気性があるおかげで熱や湿気がこもりにくい。これもつけ心地のよさに大きく貢献している。
そして、信じられないほど軽量だ。数字はわからないが、感覚的にはDK2の半分かそれ以下の印象で、ぴったりとした装着感とも相まって、顔をぶんぶんと振っても大丈夫。全然ずれたりしないし、遠心力で顔が振り回される感じもしない。HMDをつけていることをほとんど意識させないほどだ。
ただし、標準装備のヘッドフォンはかなりショボい。低音がほとんど出ず、迫力なし。音の定位感もあまりはっきりしないというクオリティで、無いよりましマシ程度の印象。そのかわり、着脱は自由にできる仕様だ。筆者としては来年、CV1を購入して箱から取り出したら、まずこの標準ヘッドフォンを取り外す作業を最初にやることになりそうだ。
高詳細・高コントラスト・低残像。映像品質も期待以上の水準へ
上記のような快適性を楽しみつつ、「VR Sports: Challenge」のプレイに挑戦。このゲームは、さまざまなリアルスポーツをVRで楽しめるというコンセプトで、今回の試遊ではアイスホッケーをプレイすることができた。
ゲーム内容としてはミニゲーム仕立てで、プレーヤーはゴールキーパーとなって、相手チームのシュートからゴールを守る。Xbox Oneコントローラーの右トリガーで体の右側、左トリガーで体の左側へのシュートを防ぐという、シンプルな操作系だ。
リンク上では敵味方の選手による攻防が展開。プレーヤーの目前で、選手たちとパックがめまぐるしくリンクの左右を行き来している。
その表示はとても鮮明だ。目の前を素早く横切る味方のディフェンダー、その向こう側からシュートを狙いに来る敵の選手。その動きは非常に素早いが、残像などでブレることはまったくなく、常に鮮明にその動きを追うことができる。色味の再現性も高く、DK2のように明るい部分がつぶれてしまうようなことは全くない。真っ白なリンクのディテールもしっかりと目視することができる。
筆者の連載記事で取り上げたとおり、CV1は単眼あたり1,080×1,200ドットのパネルを2枚使い、両眼で2,160×1,200ドットの解像度、ネイティブ90Hzという表示仕様とされている(SteamVRの1号機、HTC Viveと同等である)。
見た目の解像感は、最終プロトタイプのCBとほとんど同等(その解像度は非公開だったがQHD、2,560×1,440ドットと噂されていた)で、明らかにMorpheusよりも緻密だ。網目感はあるが、DK2と比べると雲泥の差で、あまり気にならないレベルまで画素の密度感が向上している。
この解像感のおかげで、リンク中央で激しく往来する小さなパックもはっきりと視認することができる。その上、残像感のなさも素晴らしい。これは、ゲーム中のすべてがネイティブ90Hzで動作しているおかげと考えられる。
この点、Morpheusはより高速な120Hzのリフレッシュレートをサポートしているが、実際には処理性能の限界から、多くのタイトルで60fpsの映像を120fpsにリプロジェクションする方式をとっている。つまり、Morpheusでは視界は120Hzで滑らかに動くものの、キャラクターなどの3Dオブジェクトは60Hzで描画が更新されている。そのため、「RIGS」のプレイレポートでお伝えしたとおり、動きまわるオブジェクトにかなり大きな残像感が発生する。
そこがCV1では、推奨スペックとしてハイエンドGPUを要求するかわりに、背景もオブジェクトも、常時90fpsで動作する。それにより、素早く動き回る選手もくっきりと捉えられる、低残像の表示性能を確保しているのである。これは、スピーディな内容のスポーツゲーム、シューティングゲーム、アクションゲームなどで、プレイアビリティに大きなメリットをもたらすことだろう。
もちろん、これまで明らかになっている対応ゲームの質や、システム全体の使い勝手や統一感はMorpheusが上回っている。だが、環境構築についてのコストや面倒くささを許容でき、さらに自分で面白いタイトルを発掘する高いアンテナを持つコアゲーマーにとっては、より高い表示品質を実現できるCV1こそがベストチョイスとなることは間違いない。
Morpheusはコンソールゲーマーにとって安心して扱え、高水準のゲームタイトルに簡単にアクセスできるVRプラットフォームとなり、Oculus Riftはよりハイエンドで、プレミアムなVRゲーム体験を得るためのVRプラットフォームとして、理想的な住み分けがなされることになりそうだ。
その両者は、来年の今頃にはどちらも発売される見込みだ。筆者は当然ながら両方とも買うつもりだが、どちらか1方にしたいという方は、これらの特性をよく把握して、自分向けの選択を見つけて欲しい。