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【必見! エンタメ特報】「ワイルド・スピード SKY MISSION」

R.I.P ポール・ウォーカー。最大級の興奮と深い感動が味わえるカーアクションの最高傑作

4月17日全国ロードショー

 数々のレースゲームやカーチェイスのあるゲームに多大な影響を与えている偉大なカーアクション映画「ワイルド・スピード」シリーズ。「Need for Speed」(Electronic Arts)をはじめ、「Grand Theft Auto」(Rockstar Games)、「Midnight Club LA」(Rockstar Games)、そして「Forza Horizon」(Microsoft)などなど、ゲームと映画で表現手法は違えども、お互いに良い影響を与えながら進化を続けている。

初期メンバーが総出演

 4月17日に日本で公開となる最新作「ワイルド・スピード SKY MISSION(原題:Fast & Furious 7)」では、Microsoftのオープンワールドレースゲーム「Forza Horizon 2」との直接的なタイアップが実現し、「ワイルド・スピード SKY MISSION」のプロモーションのために、「Forza Horizon 2」をベースにした専用のゲームを作り上げ、しかもそれを無料(4月10日までの期間限定)で提供するという画期的な施策が実現した。

 「ワイルド・スピード SKY MISSION」に早く触れたくて「Forza Horizon 2 Presents Fast & Furious」を初めてプレイしたという映画ファンもいるだろうし、「Forza Horizon 2 Presents Fast & Furious」をプレイした結果、「ワイルド・スピード SKY MISSION」を観たくなったというゲームファンもいるだろう。ゲームと映画、非常に親和性の高い2つの分野が融合し、それぞれのファンに刺激を与えられる理想的なタイアップと言える。今回は東宝東和の厚意により、「ワイルド・スピード SKY MISSION」の試写会に参加することができたので、ゲームファンに向けたインプレッションをお届けしたい。

【主要キャスト】
ドミニク(ヴィン・ディーゼル)とレティ(ミシェル・ロドリゲス)
ブライアン(ポール・ウォーカー)
ローマン(タイリース・ギブソン)とテズ(クリス・“リュダクリス”ブリッジス)
ミスター・ノーバディ(カート・ラッセル)
ホブス(ドウェイン・ジョンソン)
ミア(ジョーダナ・ブリュースター)
ラムジー(ナタリー・エマニュエル)
デッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)

【映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」インターナショナルトレーラー】

今回の「ワイルド・スピード」は空中戦!
映画ならではの奇想天外な作戦がおもしろい
アブダビを走るドミニクファミリー

 映画の長さは2時間14分。決して短くないが、始まってしまえばあっという間だった。クルマがまるで生き物のように躍動し、公道で激しいカーチェイスを繰り広げたり、一糸乱れぬ車列による高速走行を見せたかと思えば、側面に銃座が設けられた大型トレーラーに防弾仕様のクルマで立ち向かい、高速走行を続けながら激しくクルマをぶつけ合う。結末は常にいずれかのクルマが激しく跳ね飛び、火だるまになり、粉々になる。その都度、アドレナリンが吹き出し、ハラハラさせられる。しかもそれが劇中何度も続く。相変わらずとんでもない映画シリーズだ。

 ちなみに「ワイルド・スピード」シリーズは、過去6作において前半3作と、後半3作で、大きく作りが異なっている。前半3作はどちらかといえば純粋なストリートレースをモチーフにしたレース映画だったのに対し、主要スタッフが再集結してリスタートした4作目以降は、「ミッション:インポッシブル」や、「ジェームズ・ボンド」のようなチームを組んで難敵に立ち向かうストーリー性の高いハリウッドスタイルの大作アクション映画にパワーアップしている。

 そして「ワイルド・スピード SKY MISSION」は、まさに後者の集大成だ。大きな特徴は邦題のサブタイトルにもあるように、空中戦が連発する。しかもクルマに乗ったままで。ティザートレーラーでは、輸送機からクルマを投下したり、中東の高層ビルから、世界最高クラスの高級車Lykan Hypersport(ライカン ハイパースポーツ)が飛び出すシーンなどが公開されているが、空中戦はそれだけに留まらない。たいていのことでは驚かないゲームファンをもアッと驚かせる数々の演出が待ち構えている。

 ハリウッドスタイルの大作アクション映画になったとはいえ、映画の原点であるカーカルチャーへのリスペクトは決して忘れていないのが「ワイルド・スピード」の素晴らしいところだ。ストリートレースやカーフェスティバル、それに付随するスパイシーな美女達、キャッチーなヒップホップサウンドなどは、「ワイルド・スピード SKY MISSION」においても丁寧に描写されている。

【映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」インターナショナルトレーラーB】
Lykan Hypersportがアブダビの空を飛ぶ!

本作も最高にカッコイイ ドミニク
ダッジチャージャー
ウィリーシーンに注目したい

 それにしてもドミニクのカーチェイスシーンはカッコイイ。魂を込めたアクセルワークとシフトアップでマッスルカーを軽々と操り、自信たっぷりの思いも寄らぬ大胆な行動で楽しませてくれる。そして忘れてはならないのが、「Forza Horizon 2 Presents Fast & Furious」にも登場するドミニクの愛車ダッジチャージャー。ボンネットから突き出るスーパーチャージャーが特徴的なモンスターマシンだが、今回も重要な場面で登場する。しかも、ドミニクの得意技であり、感情の爆発的な発露として現われるウィリーシーンも決定的なシーンでキメる。これらの演出には「ワイルド・スピード」ファンならずともゾクゾクさせられることだろう。

 ちなみに、本作のハイライトシーンのひとつである高層ビルから高層ビルに飛び渡るシーンで使用されているLykan Hypersport。これは何故か「Forza Horizon 2 Presents Fast & Furious」には登場しない。スーパーカーのゲームへの収録はライセンスフィーが跳ね上がるため、予算的な都合で収録を断念したのかと思いきや、2015年5月にリリースされる「Project Cars」(Slightly Mad Studios)に無料DLCとして登場することが発表された。つまり「Forza Horizon 2」に続くレースゲームとのタイアップ第2弾というわけだ。さすがは「ワイルド・スピード」最新作といった感じだが、レースゲームファンはこちらにも注目したいところだ。

 ところで、ゲームファンの中には、「『ワイルド・スピード』シリーズの一部(もしくは全部)を観ていないけど楽しめるの?」という懸念を持つ人もいるだろう。筆者も通しでしっかり観たわけでは無かったのでその点が心配だったが、「ワイルド・スピード SKY MISSION」の場合はその心配はまったくいらなかった。理由のひとつはシリーズが実は時系列に沿っておらず、前作の知識を前提にした作りになっていないからだ。

 具体的には第6作「ワイルド・スピード EURO MISSION」と今回の第7作の間に第3作「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」が入る。第3作が公開されたのは2006年であり、10年近く前だ。3作目の劇中、レース中に事故死したハン・ルーが、実は事故ではなく、第6作「ワイルド・スピード EURO MISSION」で、ドミニクと仲間達に壊滅させられたオーウェン・ショウの兄デッカード・ショウが復讐のため事故死に見せかけて殺害したというエピソードが明かされる。そして「ワイルド・スピード SKY MISSION」では、デッカード・ショウの更なる復讐と、それに立ち向かうドミニクらのバトルが描かれることになるわけだ。もちろん、過去の作品を観ていた方が楽しめるのは言うまでもないが、必要最低限のフォローアップは劇中で行なわれるため、安心して観に行ってほしい。

【映画「ワイルド・スピード SKY MISSION」シリーズダイジェスト映像】

見納めとなるポール・ウォーカーのアクション
ブライアンによる「アンチャーテッド」的なシーンは本作でも
ブライアンの最後の活躍に注目しよう

 「ワイルド・スピード」ファンならご存じの通り、「ワイルド・スピード SKY MISSION」は完成が当初の予定より半年以上遅れている。理由は、主人公ドミニクを演じるヴィン・ディーゼルと共に、1作目から出演しているブライアンを演じるポール・ウォーカーが2013年12月、映画の撮影期間に交通事故で亡くなったためだ。事故発生当初は映画の撮影継続そのものが危ぶまれたが、公開時期の大幅な延期とストーリーの変更を経て無事完成にこぎ着けた。本作は、ポール・ウォーカーの遺作であると同時に、初期メンバーがすべて揃った「ワイルド・スピード」最後の作品ということで、集大成的な作りになっている点も見逃せない。ブライアンの出演シーンの一部には影武者が使われているそうだが、ほとんど違和感は感じなかったし、ストーリー的にも彼の不在による支障は感じなかった。

 ポール・ウォーカーの死去により、確実に変化したと思われるのはエンディングだ。その内容は実際に自分の目で確かめて欲しい。主要キャストが、「本作は彼に捧げる映画」だと発言していたが、「なるほど、こうくるか」と唸らされる絶妙な演出で締めくくられ、偉大なシリーズの大きな節目に深い感動を味わった。本作のキャッチコピーは「最後の走りへ――」。字義通りに取れば、本作をもって「ワイルド・スピード」は完結を迎えることになるが、ストーリー的には今後も続く余地を持たせており、シリーズが続く可能性はある。何より、本作はシリーズ記録を大幅に塗り替える大ヒットが確実視されるだけに、このまま終わるのは「ワイルド・スピード」ファンや映画業界が黙っていないような気もする。

 今回「ワイルド・スピード」最新作を観て、改めて「Forza Horizon」シリーズをはじめとしたアクションレースの分野に強い影響を与えたシリーズであることを痛感させられた。この点において、「ワイルド・スピード SKY MISSION」は、映画シリーズのファンのみならず、レースゲームファンにも強くお勧めできる内容になっている。ついつい欲を出してTurn 10 Studiosを始めとしたレースゲームのデベロッパーに、「ワイルド・スピード」のフルスペックのゲーム化をお願いしたくなるが、たぶん無理だと思う。この圧倒的な迫力、アドレナリンが吹き出る感覚、そして得られるカタルシスは映画でなければ味わえないものだと思うからだ。

【Wiz Khalifa - See You Again ft. Charlie Puth [Furious 7 Soundtrack]】
まさにこの映画にピッタリのエンディングテーマ「See You Again ft. Charlie Puth」

(中村聖司)