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「Diablo III」の“復活”はコンシューマー版がきっかけに?

失敗を教訓に生まれた「Diablo III: Reaper of Souls」

3月2日〜6日開催



会場:San Francisco Moscone Convention Center

 「Against the Burning Hells: Diablo III's Road to Redemption with Reaper of Souls」は、 Blizzard EntertainmentのGame Director、Joshua Mosqueira氏によって「いかに『Diablo III』は復活したか?」が語られた。

 「Diablo III」は大ヒットを記録した前作から10年という時を経て、ファンの重すぎる期待を受けて発売された。しかし、そのスタートに大きくつまずき、スタッフはユーザーからの失望の声に強く悩まされた。その「Diablo III」が復活を遂げたきっかけを作ったのは、コンシューマー版の発売だったという。Mosqueira氏はその苦闘を赤裸々に語った。

自ら提示したゲームの面白さを見直すことで復活した「Diablo III」

Blizzard EntertainmentのGame Director、Joshua Mosqueira氏
非常に大きな期待を寄せられた「Diablo III」だったが……
効率を求めるファンに応えたアドベンチャーモード
アイテムの情報はよりわかりやすく

 「Diablo III」は「ファンタジー世界への集中」に力を入れたタイトルとして生まれた。「Diablo」シリーズが持つ、暗く闇の力に満ちたダークファンタジーの世界観、その世界の表現に注力し、プレーヤーは闇でうごめく地獄の亡者どもをなぎ倒し、突き進んでいく作品として、シリーズの「原点回帰」を目指して制作された。

 そして「強いアイテムを手に入れる」というゲームの目的も強く提示した。モンスターを倒し、宝を手に入れる。シリーズが実現してきた基本的な要素を高い次元で実現する。そして終わらないゲーム性、オンラインでのエキサイティングな協力プレイ、「Diablo III」はユーザーの声に応えた作品になると誰もが思っていた。メディアの注目も高く、ファンの期待は最高潮まで達した。

 しかし、「Diablo III」はスタートで大きくつまずいてしまう。本作はキャラクターデータをオンラインで管理しているのだが、ネットワークエラーが頻発し、とにかくまともにプレイできなかった。ネットワークエラーで表示されるコード「ERROR 37」はユーザーの間で流行語にまでなり、「サーバーはメルトダウンした」とまで揶揄された。メディアの高いスコアに比べ、ユーザーの評価はどん底で、最悪のスタートとなった。

 ネットワークエラーの解消に期間がかかっただけでなく、その後もバランスに関しての批判を受けていく。敵が強すぎたり、弱くなったりするだけでなく、とにかくまともなアイテムが全然出なかった。入手できたアイテムはどれが強いかもわかりにくく、手に入った貴重なアイテムは他の職業のものだったり、見た目は宝の山なのに、拾ってみたらゴミばかり。このバランスはプレーヤーを大きく失望させた。

 「私たちは、プレーヤーの心の動きを理解していなかった」とMosqueira氏は語った。宝物の貴重さを主張するほど、プレーヤーは効率を重視し、結果プレイがつまらなくなる。長く遊んでもらうために考えたバランスが、結果としてプレーヤーにプレイすることの意欲そのものを削いでしまっていたのだ。

 そして「βテストでの間違い」も実際この事態を招いてから気がついた。βテストを軽んじ、デモプレイだけのβテストでは、ネットワークゲームとしてデザインした「Diablo III」の真のバランスを考える材料にはならなかったのだ。

 この最悪の状態に陥ってしまった「Diablo III」の“転機”となったのがPS3版の発売だ。コントローラでのプレイに最適化し、PC版に比べ、少ないキーでの直感的な戦いを目指してバランスが調整された。行動を単純化しなくても、効率が求められるようなフィールドも用意した。とにかく派手な展開を心がけ、プレイの爽快感を追求することにした。コンシューマ版の発売は、「Diablo III」を見直し、新しいバランスで再構築するよいきっかけとなった。

 面白い要素としては、複数のコントローラを持ち寄り大きなテレビの前での協力プレイが可能になった点だ。PC版では味わえなかった、プレーヤーが並んで遊べる空間を作り出すことができた。コンシューマ版「Diablo III」は新しいバランス、楽しさを提示し、そしてPC版へもフィードバックしていった。

 テレビはプレーヤーと画面の距離がPCよりずっと遠い。そうなるとアイテムの情報が見にくくなる。ここで武器の外見と強さが整理された。またアイテムを入手したときは、前のアイテムに比べどこが優れており、どこが劣っているかがすぐにわかる比較要素が追加された。これらの改良により、「Diablo III」は拡張パック「Reaper of Souls」の発売へと展開できるようになっていった。

 そして「Diablo III: Reaper of Souls」の目玉の1つが「アドベンチャーモード」である。このモードは、通常周回する長大なダンジョンとは異なり、限られたマップに挑戦できるモードで短時間でプレイできる。難易度も自由に設定でき、手軽に挑戦できるモードだ。プレーヤーのお目当てはクリア報酬。無事クリアすると、様々なアイテムが入手できるのだ。キャンペーンとは違ったリズムでアイテムハントを楽しめるこのモードはファンに評価された。

 「ゲームの“柱”を改めて見直し、重要視する」、「恐れを自覚すること」、「ランダム性がプレーヤーの気持ちを押すわけではない」、「そして“ファンタジー”を常に意識する」これらが「Diablo III: Reaper of Souls」の開発でMosqueira氏が得た教訓だという。

 オンラインゲームは“日々生まれ変われる”ゲームだ。「Diablo III」はオンラインゲームだからこそ苦しんだが、オンラインゲームだからこそ復活できたという見方もできるだろう。初代「Diablo」で世界中の人にオンラインでの楽しさを教え、「World of Warcraft」を制作したBlizzardですら、オンラインで失敗してしまうことがある。Mosqueira氏の講演で、改めてゲーム制作の難しさ、そしてそこから復活を任された人たちの苦悩を知ることができた。

【Diablo IIIの失敗と復活】
ど派手なスタートは大きくつまずく
宝に見えてもゴミの山
コンセプトを改めて意識し、ユーザーの心を考えてバランスを調整していく
様々な教訓を得て、運営は継続していく

(勝田哲也)