ニュース

「Sunset Overdrive」に求められた“新しいオープンワールド”

自由に楽しく移動でき、多彩なアクションができる街の誕生秘話が明らかに

3月2日〜6日開催



会場:San Francisco Moscone Convention Center

 「Transitioning from Linear to Open World Design with Sunset Overdrive」では、本作を開発したInsomniac GamesのデザイナーLiz England氏から、「Sunset Overdrive」のフィールドの“ボツ(没)デザイン”が紹介され、マップがいかに変化し、完成したかが語られた。

 「Sunset Overdrive」は大量の怪物に常に追いかけられるという“サバイバルホラー”でありながら、そのノリはあくまで明るく、激しく、ハチャメチャなオープンワールドアクションだ。プレーヤーは物語の舞台となる「SUNSET CITY(サンセットシティ)」で飛びはね、走り、レールや電線で滑走して駆け抜けていく。そのSUNSET CITYは、いかにして生まれたのだろうか。

8人のプレーヤーが楽しく移動できる個性的で広大な街はいかにして生まれたか

Insomniac GamesのデザイナーLiz England氏
ジャンプし、壁走りを行ない、柱でスイングして電線の上を滑る……爽快なアクションによる移動を実現する街を作り上げる
ゲーム要素を突き詰めた「SUNSET CITY」は多彩な移動が可能な、新しいオープンワールドのフィールドを実現した

 England氏は時に息を切らせるほど早口に、情熱を込めてレベルデザインの変遷を語っていった。SUNSET CITYは、「GREENLIGHT」、「RAZOR CITY」という2つの没デザインの街から生まれた。プロトタイプとして、GREENLIGHTが作られ、そしてRAZOR CITYを経てSUNSET CITYとして完成したという。

 「Sunset Overdrive」は最初、ロサンゼルスのような街「GREENLIGHT」で、ゾンビや吸血鬼と戦うゲームとして開発が始まった。プレーヤーキャラクターは、走り、飛ぶ、華麗な体術を使い、大量のゾンビと戦うサバイバルアクションを想定していたのだ。

 現実に近い街、建物の中には様々なアイテムがあり、ゾンビ達と戦いながらアイテムを収集していく。ガスステーションや、コンビニエンスストア、カフェなど町並みも現実的で、工場など大きな建物の中は暗く、ダンジョンのように入り組んでいる……。現在の我々が住むような大都会を想定しGREENLIGHTはデザインされた。

 しかし、この街をボツにしたのは、アクションの新規性を求めた結果からだった。「遅く熟考するゲームのリズム」、「探索要素」、「戦闘を避ける」、「パズル性にフォーカスしたゲーム性」……。こういった姿勢をすべて捨て去ることにした。きっかけは「トランポリン」だったとEngland氏は語った。ゆっくり移動していたが、パズルの1つとして用意したトランポリンではねるという行動がとにかく楽しく、プロトタイプをゲームイベントで出展し、触ったユーザーからの反応も決め手になった。

 結果、フリーランニングの要素が盛り込まれ、走り、跳び、壁走りを行ない、電線の上をグラインドするゲームとなった。現実の街寄りのデザインではなく、プレーヤーが自由に動き回れる街が求められる。「だいたい、GREENLIGHT(ギャング達が暗殺を命じるときのスラング)という名前もちょっとイケてないですよね」とEngland氏は語り、会場からは笑い声が上がった。

 そして生まれた「RAZOR CITY」は、「21世紀のゲームに出てくる街」にふさわしい、未来的な要素が盛り込まれた街となった。壁走りができたり、グラインドで進める電線があり、自由に動き回れる。「新しいオープンワールドの街」を提示すべくデザインされた。しかしこの街もボツになった。一部の場所が探索要素として入り組みすぎていたのだ。街のデザインと印象的なランドマークのバランスや大きさがとれなくなった。

 また、GREENLIGHTで意識されていた「パズル要素」が問題になることも明らかになった。パズル要素とはこの場合、「移動経路の制限」にある。ある場所に行くのに、ここから登り、ここで跳ね、この道を通ることで到達できる。そういった建物を用意すると、その建物に用がない場合、建物そのものがデッドスペースになり、迂回して進まなくてはならない。これでは移動が楽しくなくなってしまう。

 こういったゲーム性に合わせたデザインと、反省点の改善によりSUNSET CITYは様々なランドマークが見えながら、気軽に、そして高速に移動できる街になった。この「移動の気持ちよさ」は8人同時で楽しめるマルチプレイで特に効果を発揮した。

 マルチプレイではマッチングされたプレーヤー達が次々にミッションポイントに向かって移動し、様々なミッションに挑戦していく。このとき移動に引っかかったり、迂回することなく、気軽に移動し、そして様々な仕掛けを活用することで高速に移動もできる。こうして多彩な“導線”を持った「Sunset Overdrive」ならではの楽しく、自由度のあるSUNSET CITYが完成したのである。

【SUNSET CITYはこうして生まれた】
ゾンビがひしめく現実に近い街、GREENLIGHTは新たなゲーム性を提示されたことでボツとなった
多彩な移動手段が盛り込まれることで、パズル要素の強かった要素も見直されることに
「RAZOR CITY」は移動しやすい導線が用意された
巨大で入り組んだ建物は、長距離を移動するオープンワールドのフィールドという視点からは、「大きなムダ」となってしまう。移動の楽しさ、手軽さは、フィールド探索や、8人での移動などで重要視される。こういった点を考慮し、「RAZOR CITY」は姿を変えることとなる
2回のモデルチェンジを経て生まれた「SUNSET CITY」。新しいオープンワールドのフィールドの誕生だ

(勝田哲也)