アキバ「G-Tune:Garage」、視線でPCを操作可能な「Tobii」常設展示

今回お話を伺ったトビー・テクノロジーの大竹賢司氏

　マウスコンピューターは、秋葉原でゲーム関係のハードを扱うオフィシャルショップ「G-Tune : Garage 秋葉原店」において、11月29日からアイトラッキングシステム「Tobii EyeX」の常設展示を行なう。

　「Tobii EyeX」は、スウェーデンに本社を置くTobii Technoligyの製品で、簡単な認識作業を行なうだけでPC側でユーザーの視線を判定し、視線だけで対応アプリケーションなどの操作を行なうことが可能となる。今回出展されている「Tobii EyeX」は、PCのディスプレイの下部に設置する、1つのカメラと3つの赤外線センサーが1つになった、Wii用のセンサーバーのような機械で、USBでPCに接続されている廉価モデル。

　同社では100万円のモデルなども販売しているが、それ単体で視線の判別を行なえる高価なもので、「Tobii EyeX」ではあくまでもセンサー類のみを留め、処理はすべてPC側で行なわれる。PC側の負荷はCore i5のCPUで10%程度。ただし、その分低価格で提供することができ、同社ホームページからは「視線入力開発キット『Tobii EyeX Dev Kit』」が期間限定95ドル（送料別）で販売されている。視線の判定は角膜反射法を利用。

Wii用のセンサーバーのような機器をPCのディスプレイの画面下に設置。PCとはUSBで接続する

　さっそく試してみたところ、認識率は上々。まず「Tobii EyeX」の取り付けられたPCの前に座りキャリブレーションを行なう。画面には2つの白い丸い点が表示されるがすでに目の位置を認識しており、ここでウインクをすると、視点の認証が行なわれている証拠に片方の白い点がなくなる。ここから“視線”の認識を行なうため、画面隅に順次点灯する赤い点に視線を合わせていく。これら1分ほどの作業でキャリブレーションは完了。

　ここで対応アプリケーションのゲーム「Eye Asteroids」を起動。このゲームは、画面内の地球からレーザー光線を発射し降り注ぐ小惑星を破壊して地球を守るという、あの懐かしの「Asteroids」の「Tobii EyeX」版だ。小惑星に視線を合わせると地球からレーザー光線が発射され破壊。一定数の小惑星を破壊すると面が進む。徐々に降り注ぐ数が増えるだけでなく、UFOなど攻撃してくる敵も増え、7面を超えるとかなりの攻撃に晒されることとなる。単純ながらもなかなか熱くなれるゲームとなっている。

　「Tobii EyeX」が常設展示されているのは、現在は「G-Tune : Garage 秋葉原店」のみ。「Eye Asteroids」をプレイできるのもここだけと言うことになる。現在はTobii Technoligyで唯一のゲーム開発者が作り上げた「Eye Asteroids」しかプレイすることはできないが、マウスコンピューターとしては今後も対応アプリケーションを増やしていきたいという。やはり高性能なゲーミングPCを取り扱うお店であるだけに、負荷のかかる大がかりなソフトの導入も検討しているとか。同店はOculus Riftの常設展示を行なっていることもあって、最新の面白いガジェットをプレイ可能な店舗として、今後の展開も楽しみなところだ。

認証作業中。画面の白い点はの位置をすでに認識している。ウインクすると片方の白い点は消える

“視線”のキャリブレーション終了。外面には見ている位置を示している

「Eye Asteroids」をプレイしてみた。単純だが熱くなれる。ちなみに右下の画面はゲーム終了次の画面だが、画面下からテロップが流れてくるがこれも視線で操作可能。視線を上に持っていくと上に流れ、視線を下に持っていくと下の方に戻っていく

　なお、Tobii Technoligyの日本法人で営業企画を担当する大竹賢司氏にもお話を伺った。視線入力は最先端技術の1つで未来を感じさせ面白い魅力がり、たとえばWindowsを操作することもできるが（マウスカーソルを視線で移動させ、見つめることでクリックさせるなど）、結局は利便性で言えばマウスとキーボードにはかなわない。それは同社でも認識しており、視線入力だけではなく、他のデバイスと組み合わせることなどで利便性の向上や違った魅力を引き出せないかと模索しているという。「Tobii EyeX」を全世界で95ドルで販売しているのも、より多くの開発者に新しい魅力を備えたソフトウェアを開発して欲しいためだ。

　これまでにも外部のメーカーによって、視線を判定することを逆説的に捕らえた教習所用ソフトとして、ドライバーが歩行者を“見ていない”ことを理解させることに利用されたり、PC作業中に寝落ちすると知らせてくれるソフトが開発されたという。「Tobii EyeX」はUnityにも対応しているので、気になる開発者の方は95ドルで購入し試してみるのも良いだろう。