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【E3 2014】今回もOculus VRブースは大盛況! Palmer Luckey氏インタビュー

SCEは最高の競争相手。日本オフィスの開設に向け、“Ocu-Chan”も準備中?!

6月10日~6月12日開催(現地時間)



会場:Los Angeles Convention Center

初日から最終日まで行列の途切れることがなかったOculus VRブース

 E3 2014のエキスポ会場で最も人気のあったブースのひとつは、やはりOculus VRだ。VRヘッドセット「Oculus RIFT」の製品版開発を進める同社は今回、最新の開発キットを使用した様々なVRゲームのデモを披露。体験を臨む人の列は止むことを知らず、行列の待ち時間が1時間を切ったタイミングは皆無に等しいという盛況ぶりだった。

 Oculus VRの設立者であるPalmer Luckey氏もまた、E3 2014の会場では引っ張りだこ。ブースとミーティングルームをひっきりなしに往復してはたくさんの人々と会話を交わしていたLuckey氏だが、ダメ元で突撃してみたところ、特別にインタビューの機会を設けてもらうことができた。Luckey氏がUnite Japan参加のため来日(関連記事)してからおよそ2カ月、気になるあれこれを質問してみたので、その内容をお届けしよう。

日本オフィス開設間近。“Ocu-Chan”もデビューしそう?

様々なタイプのVRゲームがデモされていたブース内

── 今回、ブースで出展されたデモは、これまで見られたものとはかなり違った趣向になっていましたね。特に、3人称視点のアクションゲームを「Oculus RIFT」でプレイするというのは新鮮でした。

Palmer Luckey氏: ええ、どのようなデモを展示するか、私達にはたくさんの選択肢があったのですが、今回のE3では特に幅広いタイプのゲームをご覧に入れようと思いました。ご指摘の「Lucky's Tale」に加えて、「EVE Valkyrie」はコックピットタイプのゲーム、「SUPER HOT」は時間制御の仕組みつきのFPSで、「Alien Isolation」はよりサバイバル要素の強い作品ですね。小さなインディーズデベロッパーからAAAスタジオの作品まで、VRの幅広い活用方法を示すショウケースになったと思います。

── 現在知られている「Oculus RIFT」用のゲームで、いわゆるAAAクラスの作品はほとんどが北米か欧州で作られたものですが、日本のAAAスタジオとも話を進めていますか?

Palmer Luckey氏: 私が2カ月前にUnite Japanに参加した際、Oculus日本オフィスを開設することを発表しましたね。現在はちょうどその準備を進めている段階でして、既に複数の日本のデベロッパーとVRコンテンツの開発について話をしています。インディーズと、AAAスタジオの両方がありますよ。

── どんなスタジオか、名前を明かすことはできますか?

Palmer Luckey氏: 残念ながら、まだ先方からのアナウンスがなされていませんので、私から話することはできません。水面下で準備が進められているものについて、私たちのほうから不用意に漏らすことはしたくないんです。

── Unite Japanでお話を伺った際、“ユニティちゃん”のようにOculus VRを象徴するバーチャルキャラクターが必要かも、という話がありましたね。“Ocu-Chan”みたいな(笑)。その後どうですか?

Palmer Luckey氏: ハハハ。最初にそれを言ったときは、冗談のつもりだったんですが、実際に“ユニティちゃん”を見たら結構気に入りました(笑)。それに、日本の皆さんがいろんな“Ocu-Chan”のアイディアを出しているのも見て、これは実際にオフィシャルで何かしないといけないなと。たくさんのデザイン案を見て、どの人が1番いいバージョンを作れるだろうかと議論したりもしていますよ。

── 日本オフィスの開設はいつ頃になりそうでしょうか?

Palmer Luckey氏: 具体的にはまだ言えませんが、おそらくこの先数カ月以内には、何か具体的な情報をお届けできるはずです。

ブースでのデモにも使用されていた最新の開発キット

── 新バージョンの開発キット、Development Kit 2(DK2)の出荷が目前ですね。日本からはどれくらいの注文がありましたか?

Palmer Luckey氏: 中間業者を介していたり、米国を経由して購入するなど様々な経路での注文がありますので、正確な数字は把握していませんが、少なくとも数千ユニットの注文はあると思います。全体の中でも非常に大きな割合であることは間違いなくて、確実にDK1よりも多くが日本に出荷されます。

── 日本向けは高い優先度で出荷すると以前おっしゃっていましたが、DK2の出荷からまもなく、少なくとも来月には私達の手元に届くことを期待して良いですか?

Palmer Luckey氏: イエス! 前回、DK1のときは出荷が遅延した経緯もあって、今回は予定通りにお届けできることを嬉しく思っています。遅延はありません。

ヘッドセット以外の製品計画も? SCE「Morpheus」などの登場も歓迎

── 現在開発中とされる、コンシューマーバージョン1(CV1)についてですが、もう最終スペックは確定しましたか?

Palmer Luckey氏: ええ、ほとんどフィックスされています。まだ決まってない部分は、似たようなコンポーネントのどれを使うかといった部分ですね。基本的には、DK2よりも広い視野角、軽量化、快適な装着感、より高い解像度、より高いリフレッシュレートが実現されます。詳しいことはいずれアナウンスしたいと思います。

── 価格も安くできそうですかね?

Palmer Luckey氏: 公式に言うことはできませんが、多分。開発キットは千個単位での生産・出荷にすぎませんが、コンシューマーバージョンはもっともっとたくさん出荷されることになりますからね。

── 発売時期についてはいかがでしょう。

Palmer Luckey氏: まだアナウンスはできませんが、可能な限り早く製品化できるよう、全力で取り組んでいます。ただし拙速に進めているわけではありません。消費者向けのVRに必要な全ての問題を解決して、ユーザーの皆さんがVRの未来を本気で信じられるようなものを実現してから出荷したいと考えています。

SCEのPS4向けVRヘッドセット「Morpheus」。PS Moveとの併用で強力なVRシステムとなる

── ときに、SCEが開発中の「Morpheus」ですが、Palmerさんも既に試しましたか?

Palmer Luckey氏: ええ、とても良いものだと思います。私にデバイス自体への評価はできませんが、SCEのように下地のある大企業がVRに取り組むことによって、大勢の人々の関心がVRへ向いていくことはとても素晴らしいことです。私達にとってまさに、最良の競争相手であると思います。

── 最良のVRを実現するためにはハプティック(触覚)インターフェイスの実現が重要であるという認識が広く共有されています。これについて現在Oculusで取り組んでいることがあれば教えて下さい。

Palmer Luckey氏: 私達は現在、入力とハプティックフィードバックのデバイスについてたくさんの研究開発を行なっています。すなわちVRというのは、見るものではなく、感じるものであるからです。VR世界に自然な方法で触れるためのツールの実現を模索しています。

── その方面で、何か消費者向けの製品をリリースする予定もあるんでしょうか?

Palmer Luckey氏: 「Oculus RIFT」ヘッドセット意外のデバイスを提供する計画はあります。未発表の事案ですので詳しくはお教えできません。

── ちなみに、Facebookによる買収手続きが今月中にも完了するとされていますが、それによって何か仕事上の影響はありましたか?

Palmer Luckey氏: 全然ないですね。同じオフィスで、同じ人たちと、同じ組織形態のまま、仕事を続けています。Facebookの人たちと近い関係になったことは確かですが、私達は変わらず“Oculus”です。

── 最近のニュースによれば、Oculusの協力で韓国のサムスンがVRデバイスを開発中であると示唆されていますが、それについて何か話せることはありますか?

Palmer Luckey氏: そんなような噂を語っている人が居るのは知っていますが、噂でしかないものに私達からコメントすることはできません。いずれにしても、私達はたくさんの企業と取引を進めていますし、近い将来たくさんのことを正式に発表できると思います。

── 話は変わって、Zenimaxの訴えから、何か影響を受けた事はありますか?

Palmer Luckey氏: ごめんなさい、ノーコメント。法律に関する事案については何も話せません。

── こちらこそ、答えにくい質問を連発してしまいました。最後に、日本の皆さんにメッセージをお願いします。

Palmer Luckey氏: 日本で開発キットを購入された方々のうち、非常に高い割合の人たちが実際に何かを制作していることを嬉しく思っています。北米や欧州ではオモチャとして買う人が非常に多いんですよ。また制作されるコンテンツについても、日本では既存ゲームの移植は少なく、VRの可能性を試すようなオリジナルのコンテンツが多いことも面白いですね。「Oculus RIFT」と他のデバイスを組み合わせた実験的な作品も多く、非常に興味深く思います。

── またいずれ、日本に来れそうですか?

Palmer Luckey氏: そうですね、近いうちにまた日本へ行きたいと思っています。大変忙しい日々が続いていますが、願わくば、東京ゲームショウが良い機会になるかもしれません。

── ありがとうございました。

(佐藤カフジ)