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タイトー「LEFT 4 DEAD -生存者たち-」ロケテストレポート
ゾンビまみれの名作がアーケードで楽しめる
(2014/5/23 15:37)
タイトーは、アーケード用ゾンビサバイバルアクション「LEFT 4 DEAD -生存者たち-」(L4D)のロケテストを5月23日より開始した。今回のロケテストは東京「Hey」、横浜「ラウンドワン横浜駅西口店」、名古屋「名古屋レジャーランドささしま店」、大阪「セガ難波アビオン」の4カ所にて、5月23日~5月25日に実施される。
初日となる23日には、メディア向けに試遊の機会をもらえたほか、プロデューサーの山路哲由氏にもお話を伺うことができた。ロケテストVerの詳細やプレイしての印象、インタビューをお送りしよう。
アーケードだがポジション自由度の高い操作系とアーケードならではの緊張感の演出が魅力
東京・秋葉原のHeyでは、ロケテストバージョンが4台設置されている。プレイ料金は1プレイ100円、コンティニュー100円。コンティニューは2回まで。ゲームモードは「シングルプレイ」と「全国協力」のどちらかを選択可能だ。
筐体はコンパクトにできており、スクウェア・エニックスより稼動中のアーケード「パズドラ バトルトーナメント ―ラズール王国とマドロミドラゴン―」とほぼ同サイズ。ディスプレイ横のイルミネーションパネルは、ダメージを受けると赤く光るなど、プレイと連動したものになっている。
特徴的なのはなんといっても操作デバイスだ。ディスプレイ前のテーブルには、左に「グリップコントローラー」という細長い有線コントローラーがあり、親指でアナログスティック、人差し指や中指でジャンプボタンやしゃがみボタンを操作する。家庭用機種で言うと、Wiiのヌンチャクを思い浮かべてもらえばわかりやすい。ケーブルはそこそこの長さがあるので、テーブルの上で使うもよし、手前に引き寄せて膝上で使うもよしと、自由な姿勢で使えるようになっている。
右側には有線マウスが置かれている。PC等でお馴染みのマウスそのものだ。左クリックで射撃やアイテム使用、ホイールで武器やアイテムの選択、スナイパーライフル時にはスコープのオン/オフを切り替えられる。右クリックはアクションボタンで、ゾンビを殴ったり、瀕死の仲間を助けたり、アイテムで仲間のヘルス回復もできる。左サイドの内側にはライトボタン、リロードボタンが搭載されている。PCゲームではリロードはキーボードのRキーがセオリーだが、本作ではマウスボタンに割り当てているのが独特だ。
この他、ヘッドフォン/インカムジャックやダイヤル式のボリュームダイヤルが筐体の手前側に備えられている。
本作はプレイ形式が「プレイ時間購入型」になっている。サバイバーポイント(SVP)を1クレジットで270SVP購入する仕組みになっていて、プレイ中は1秒1ポイントのペースで消費されていく。2クレジットなら600SVP、3クレジットなら900VPと、ちょっとお得に購入することも可能だ。コンティニュー時は100円で270SVPとなる。
プレイモードはロケテストバージョンでは、CPUと協力していく「シングルプレイ」と、全国のプレーヤーと通信での協力プレイとなる「全国協力」の2種類。なお、将来的には「店内協力」モードも加わるということだ。
アーケード版オリジナルデザインの「工藤 佑介」、「広瀬 遥」、「霧島 沙良」、「ブレイク・ジョーダン」の4人から操作キャラクターを選択。キャラクターについては、こちらの記事をご参照いただきたい。
続いて武器を選択。武器は「サブマシンガン」、「ポンプ式ショットガン」、「コンバットライフル」から選択可能なほか、「グレネードランチャー」がロックされていた。NESiCAを使用すれば次プレイ時に武器を持ち越せるという要素もあり、いろんな武器を探す・アンロックするというのもプレイの醍醐味になっていきそうだ。
いよいよプレイ開始。試遊では4台の筐体全員との協力プレイとなった。グリップコントローラーとマウスのフィーリングだが、グリップコントローラーは持ちやすく、アナログスティックも適度に反発がありガタつきもない、感触のしっかりとしたものだった。ケーブルが筐体の手前から延びており、自由なスタイルで持てるのがありがたい。筆者の場合、グリップは膝上で持ち、マウスを動かすスペースを広く取るようなスタイルでプレイしてみた。
マウスはDigioのロゴが入った小型なもので、視点操作の速度もそこそこに速め。プレイ前はマウス操作に不慣れな人を考慮しての控えめな設定になっているのでは? と想像していたのだが、反応や視点移動は早めになっていた。このあたりはロケテストで意見を募りたいところなのだろう。
物語がチャプターごとにわかれていて、最初のシーンはホテルの屋上からスタート。ライフパックや武器の持ち替えをして準備し、階段を下りて建物内へと入っていく。薄暗い廊下には部屋がいくつも並んでいて、そこら中がゾンビで溢れかえっている。「L4D」と言えば、独特の“走るゾンビ”の脅威が印象的だったが、その恐ろしさは本作でももちろん健在。接近された時の「武器で押しのける」表示や、背後から襲われている時の表示など、各種の表示はPC版や家庭用版同様だ。
画面の表示類を見ると、左上に「TIME」というものがある。これは「メガゾンビラッシュ」という強力なゾンビ集団が押し寄せてくるまでの残り時間。それまでにセーフルームという安全地帯へとたどり着くのが目的だ。
その隣には「進行度」というゲージとパーセンテージの表示がある。これはセーフルームまでの道のりを表しているのだが、セーフルームに近づけば数値が上がり、遠ざかると下がっていくので、道しるべ的な役割にもなっていた。ちなみにマップはそこそこ入り組んでいるが、室内の壁に矢印が描かれていたりと、脱出経路を誘導するヒントがあった。
右側にはサバイバーポイント(SVP)、スコア、進行中のミッション(目的)、所持武器と弾薬などの表示が並んでいる。下には自分を含めたプレイ中の4人のキャラクターや体力表示がある。
「LEFT 4 DEAD」の協力する、助け合うという醍醐味はそのまま。大量のゾンビを足並みを揃えて殲滅していく爽快感はもちろんとして、ゾンビに組み付かれたり、触手のようなものを巻き付けられて引きずられている仲間を助けたり、瀕死状態に陥った仲間を救出したりと、PC版、家庭用版にあった醍醐味を楽しめる。
試遊の中では、足場の悪いところから滑り落ちてしまって、それを助けようとした他のプレーヤーも落下してしまい、全滅してしまったりもあった。また、3人がゾンビにやられ瀕死になっているなか、残った1人が奮闘し、3人を救出するという場面も。協力する中で、そんなアクシデントやヒロイックな場面も生まれてくるのが、本作の醍醐味だ。
そうした、協力するという前提を上手く作っているのが「SVP」。本作ではフレンドリーファイア(他プレーヤーを撃つ)でダメージを受ける要素があるが、SVPというプレイ時間を全員が消費している中なので、足を引っ張ってもメリットはなく、いわゆる悪質なプレイが抑制される。また、少しでも先に進むため、スピーディーに進んでいくという前提になるので、足並みも揃いやすい。まったりと好き勝手なプレイというのはできないが、そのぶん、緊張感のあるプレイが楽しめる。
オリジナルキャラクター達はというと、とても良く喋るのが印象的。日本語での会話で内容もわかりやすい。なお、字幕もあるが、そちらはあくまで補助的にという考えなのか、小さめなフォントでの表示になっていた。
本記事後半のプロデューサー山路氏へのインタビューでも語られているが、4人のキャラクターはそれぞれ個性があり、プレイスタイルもそれに準じたものになっていくのも面白いところ。プレイを見ていると、女子高生の広瀬 遥を選んだ人は控えめに後方からがんばっている人が多く、他の3人を選んだ人はガンガン先頭に立ってパーティーをリードしていくといったプレイスタイルが見られた。一方、そうかと思えば広瀬 遥を選びつつもゾンビを倒しまくって突き進む人ももちろんいて、か弱そうな女子高生がチェーンソー片手にゾンビをなぎ倒していく光景は、妙なギャップがあってユニークだ。
4人揃ってエレベーターに乗り込んだところで次のシーンへ。定期的に参加プレーヤーが全員揃わないと先に進めないポイントがあり、壁越しの他のメンバーは透過表示されて状態も輪郭で表現されているので、迷ったときなどは周囲を見渡せばいい。次のシーンは、火災が発生している下層フロア。厨房やホールなど、あらゆる場所が火に包まれていて、煙が立ちこめる中を進んでいく。濃い煙の中から突然走り寄ってくるゾンビは迫力満点だ。
火の少ない場所を抜けて、広いフロアに出ると、ゴールであるセーフルームは目前。セーフルームにいち早く潜り込み、扉を開け閉めして他のプレーヤーに軽い嫌がらせをするなんていう、お約束的な遊びももちろんできた(ただ、お遊びの間もSVPは減る)。
試遊したのはここまでで、この先は屋外へと出ていく次のチャプターに移っていく。プレイしてみて、違和感なく「L4D」の良さがそのまま楽しめた。息つく暇もなく押し寄せるゾンビの数の迫力、4人で協力し戦う心強さと、助け合うありがたみ。アーケードゲームだからということもあるが、SVPによるプレイ時間消費システムは、なかだるみさせないスピーディーなプレイを生んでいた。
マウス操作に不慣れな人がどれぐらい馴染めるかが(あと画面酔いするかどうかが)、本作を楽しむ際の注意点になりそうだが、残念ながら筆者はどちらも大丈夫な人なので、そこはちょっと語れない。ただ、本作をきっかけにそこを乗り越えて「L4D」の良さ、FPSの良さを知っていく人が現われるのではないだろうか。これまでマウス操作でのFPSにあまり触れていない人にこそ、気軽に試せるタイトルかもしれない。
ゲームそのものの面白さは既にPC版、家庭用版で証明済み。このアーケード版もその良さをちゃんと味わえる。今回のロケテストや製品版をぜひチェックしてみてもらいたい。
プロデューサー山路 哲由氏インタビュー「一緒に『L4D』を盛り上げていきましょう!」
――ロケテスト当日を迎えた今の心境をお聞かせ下さい。
山路氏:「こんなに面白いものがあるんだよ」と日本にFPSを広めたい想いがあって、アーケードでは「ハーフライフ 2 サバイバー」(HL2S)から展開してきたのですが、FPSの楽しみ方には「CO-OP(協力プレイ)」もあります。その中で最大限に面白いものが僕の中で「L4D」。それを世の中に広めたいというのがありますね。
日本のゲームファンの方の中には、FPSに苦手意識をお持ちの人もいらっしゃると思います。ですがそういう人でも、「L4D」はゾンビが押し寄せくる中を助け合ったり、一瞬一瞬気が抜けないシューティングを夢中で遊べるようになっていて、遊び終わった後には「そういえば、これはFPSだった」ぐらいの意識になってくれるんじゃないかなと思います。
今のアーケードには、凝縮された時間の中で撃ちまくり、集中して遊ぶというものが少ないなと感じるんです。まったり遊べるものが多いというか。その中でスピーディーで、CO-OPの楽しさがあり、友達が何人か集まった時も一緒に遊べる。そういうものをアーケードに出したいという想いがありましたね。
――今回のロケテストの狙いを教えてください。もちろんお披露目的なところはあると思うのですが。
山路氏:そうですね。新しく何かのタイトルを遊びたい、という方に「こんな楽しいゲームがあるんだよ」というのを知らせたいというのが第一です。触る前はそんなに興味を持っていなさそうだった人でも、実際遊んでもらうと本気になってもらえるんですよ。それこそ手に汗握って、プレイを止めない(笑)。ちょっと様子を見に来た他部署の人も、昼飯も食わずにずーっと遊んでいたりするんです。
僕は、そういう中毒性のあるゲームを作りたい、作っていくべきと考えているのですが、まさにそれに当てはまるゲームだなと思います。
――やはり操作デバイスが目を引きます。操作系が現在の形になるまではスムーズに決まりましたか? 「HL2S」や「サイバーダイバー」のときはマウスではありませんでしたが……?
山路氏:「HL2S」での2本スティックは、あの時代に考えた僕からの提案だったんですよね。FPSを直感的に体感するというコンセプトから考え抜いたものでした。ですが、あれから約10年が経って、今の時代にお客様が直感的に操作しやすいデバイスってなんだろうと、ゼロから見直しました。そして、普段から手にしていてFPSに合うものとなると、「やはりマウスだな」となりました。いろいろ模索したんですけれども、マウスを越えるものはなかった。
左手のグリップコントローラーは、PCゲームだとキーボードですが、それはさすがにそのままアーケードに持ってくるのは厳しい。「HL2S」の時はそこでスティックを導入したのですが、今のアーケード事情としてより省スペースなものが求められました。家庭用でゲームを遊んでいる人が触っているデバイスの事も考えて、アナログスティックを搭載したグリップコントローラーになりました。
あと、アーケードではいろんな事情で操作デバイスが固定されている事が多いんですけれども、家庭用でコントローラーを持つ手の置き場所ってひとりひとり違うんですよね。膝上だったり、胸の前まで持ち上げていたり。その自由なスタイルも取り入れたいなと考えて、グリップコントローラーは有線ケーブルが伸びた作りにしています。
――アーケード版のゲームコンセプトについて改めて教えていただけますか?
山路氏:根本的なところで言うと、家庭用では各自宅でプレイしていてネットで繋がってCO-OPしています。そこでも友達と一緒なら楽しめていると思いますが、アーケードは友達と一緒に、同じ空間でワイワイ楽しめるという場ですよね。そういう楽しみ方で盛り上がりやすいタイトルとして良かったのが「LEFT 4 DEAD」でした。その良さはそのまま活かしていきたいと考えています。
デザインやキャラクターでのコンセプトで言うと、日本のお客様に馴染みやすくすることは、どんな分野でもそうだと思うのですが、重要だなと。そこでキャラクターを一新し、ボイスも英語のままではわかりにくいと考え、日本語ボイスもつけました。
――アーケード版オリジナルのキャラクターは、こちらのデザインはすぐに決まったのでしょうか? どのようなコンセプトで制作されたものでしょうか?
山路氏:プレーヤーさんが感情移入しやすい、自分の分身として捉えてもらえるようなキャラクターを目指しました。「自分はこういう感じだから、このキャラクターを使おう」というところですね。例えば遥なら、協力プレイという中で積極的に助けたくなるようなキャラクターになっています。
――あまりプレイが上手くなくて、他のプレーヤーにちょっと助けてもらいたいな、という人が遥を選んだり。
山路氏:そうですね。他にも頼れる外見のキャラもいますし、ジョークを飛ばすようなキャラもいます。友達と一緒に遊ぶ中での関係性を反映してキャラを選ぶのもいいですし、プレイスタイルに合わせてもいいかなと。お客様の分身になれる4人になっていると思います。
――システム面では、サバイバーポイント(SVP)というプレイ時間を購入するスタイルのポイント制が採用されていたり、制限時間的な「メガゾンビラッシュ」があるところが大きな違いですね。
山路氏:ポイント制にした1番大きな理由は、アーケードゲームってプレイ時間をお金で買っているものですから、「無駄な時間を過ごさせるわけにはいかない」というのがあります。凝縮した楽しみでないといけない。「アーケードだから」という経済的な理由もありますけど、プレイを濃いものにするためにも入れています。
制限時間的な「メガゾンビラッシュ」という要素ですが、「L4D」の本来の目的というのは、安全な場所を求めて生き抜くサバイバルなんですね。そこがPC版や家庭用版ですと、それを目的にしなくても外に居てしまえるんです。それはもったいないなと感じて。もちろんアーケードだからという都合もありますけども、早く安全な場所に行かないと大量のゾンビが押し寄せてしまうようになっています。
あと、制限時間とは言っていますが、時間になったらプレイがばっさり終了させられてしまうというわけではなくて、「最強のゾンビ軍団が押し寄せて来る時間」なんですね。「生き延びられるなら生き延びてください」というものになっています。時間がなくなっていくところから、緊張感や恐怖感がさらに増して、プレイがより面白くなってくれるといいなと思います。
――最後に、読者の皆さんに向けて一言頂けますでしょうか。
山路氏:FPSの可能性はもっともっとあって、このアーケードでもValveのタイトルとしては第2弾になりますが、時間が経っても普遍の楽しさがこの「L4D」の中にはあります。それをぜひ楽しんでもらいたいですね。それを既に知っている、FPS得意だよという人も、「L4D」なりFPSの面白さを一緒に広げていってもらえたらいいなと思います。一緒に広げていきましょう!
――ありがとうございました。
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