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ホンダの“夢”、ビジネスジェット「HondaJet量産1号機」に“新色”登場

これからのフライトシム・シーナリーに登場必至のホンダの新機体

5月19日発表(現地時間)

 自動車メーカーであるホンダの航空機事業子会社のホンダ エアクラフト カンパニーは、スイスのジュネーブで開催されているビジネス航空ショー「ヨーロピアン ビジネス アビエーション コンベンション アンド エキシビション」において、パールグリーンにメタリックゴールドのストライプの塗装を施した“新色”の「HondaJet量産1号機」を初公開した。

手前の機体が新色。今回の発表で、5色全てが公開となった
最大の特徴であるエンジン部分
2015年に量産の準備が整う予定
パイロット訓練用のフライトシミュレーター

 HondaJetはホンダが1986年から取り組んでいる小型航空機と航空機用エンジンの研究の成果によって生まれたビジネスジェット機で、全高4.54m、全長12.99m、翼幅は12.12m。座席は標準タイプで、乗員1名+乗客5名。最大巡航速度は時速778km、実用上昇限度は約13,106m。計器飛行方式での航続距離2,185kmとなっている。

 HondaJetは2015年に量産の準備が整う予定で、価格は450万ドル。ライバル機とくらべて、速度と燃費に優れ、室内は広いという利点がありながら、価格はライバル機とほぼ同じだという。現在100機を超える受注があるとのことだ。

 この機体の最大の特徴はそのデザインにある。エンジンが主翼の上に取り付けられており、独創的な空力設計となっている。この設計により、客室を広く取れるようになったという。このデザインは高い評価を受け、開発機はグッドデザイン賞金賞や、アメリカ航空宇宙学会より「エアクラフトデザインアワード2012」を受賞している。

 HondaJetは、今回出展されたパールグリーンにメタリックゴールドのストライプの塗装以外にも、シルバー、赤、黄色、青の全5色のバリエーションが存在する。エンジンは事業化に向けGE Honda エアロ・エンジンズを米国に設立して開発が進められており、量産1号機に対しては、GE Hondaエアロ エンジンズ製の量産型ターボファンエンジン「HF120」が納入され、すべてのシステムの取り付けおよびエンジンの装着が完了している。

 HondaJetは今後、地上での機能試験を行い、2014年夏には初飛行が計画されている。現在、HondaJetの生産工場では9機の組み立てが進んでおり、2014年6月には10機目が加わり量産体制が本格化するという。現在、HondaJetは、米国連邦航空局(FAA)の型式証明(TC:Type Certification)取得のため、FAAのパイロットによる最終的な認定飛行試験を継続している。

 これまでに失速、ブレーキコントロール、フラップコントロール、スピードブレーキ、油圧および消火などのシステムに関する各種のFAAによる認定飛行試験を完了している。地上試験としては、このクラスの機体の約5年の飛行サイクルに相当する2,000サイクルまでの構造疲労試験を実施している。FAA型式証明の取得後すぐにHondaJetのデリバリー(販売)を開始する予定だという。

 HondaJetの開発責任者であり、ホンダ エアクラフト カンパニー社長の藤野道格氏は、「我々にとって最も重要なことは2015年1月~3月にFAAの型式証明を取得し、HondaJetのデリバリーを開始することです。このマイルストーンに向けて全力を尽くしています」とコメントしている。“新色”を発表して話題を集めるというのは、自動車メーカーのホンダらしいアプローチだ。今回のホンダの挑戦が見事な結果を出せば、参入メーカーが増え価格が下がり、いつかは“家庭用ジェット機”が発売される時代が来るかもしれない。

 本格的な飛行体験を楽しめる“ゲーム”としては、「フライトシミュレーター」というジャンルがあり、昔から最新PCの性能を活かすゲームジャンルとして人気を集めていたが、現在はリアルを追い求める一方でゲームの楽しさ、手軽さとは相容れない部分があり、支持が得にくい状況となっており、日本のみならず欧米での新作も少ない。

 Microsoftがシリーズを発売していたフライトシミュレーターも、「Microsoft Flight Simulator X」で開発チームが解散し、オンラインゲームとして「Microsoft Flight」がサービスされているが、日本語化は行なわれていない。PS4やXbox Oneといった次世代機が出そろい、PCのパワーも飛躍的に高まった今年、何らかの動きがあるか、6月に行なわれるE3に期待したい。新しいゲームで、HondaJetをぜひ操縦してみたい。

(勝田哲也)