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【映画レビュー】世代を超えたエンタメ映画「LEGO(R) ムービー」
ビジュアル、ストーリー、そしてギャグ。細部まで気を配ったオールレゴ印の渾身作
(2014/3/18 00:00)
単なる子供の玩具に留まらず、力のある大人が本気を出せば芸術作品の域にまで踏み込める「レゴ(R)ブロック」。その人気は世代を超えて脈々と受け継がれ、ついに3月21日には、レゴブロックをテーマとした映画「LEGO(R) ムービー」が日本で公開される。
「LEGO(R) ムービー」は、毎日規則正しく、マニュアル通りに楽しく働いていた主人公エメットが、世界を救うと言われる「奇跡のパーツ」を手に入れたことから、「救世主」として事件に巻き込まれていくというストーリー。劇中にはレゴブロックがふんだんに使われており、建物から爆弾の爆風、機関車の煙など、あらゆるものがレゴブロックで作られている。
ビジュアル面で特徴的なのは、ストップモーションで作られたのかと思うほど現実のレゴブロックに近い質感のアニメーションとなっている点。Wii U用ゲームとして発売された「レゴ(R) シティ アンダーカバー」(任天堂、2013年)などと比べてみても圧倒的に現実感があり、それだけでも力の入り方を感じられる。
またストーリーでは、映画を通してレゴブロックの遊び方も問い直しているところが興味深い。エメットの仲間となる「マスター・ビルダー」たちはそこら辺にあるレゴブロックを使ってバイクや即席の乗り物などをいとも簡単に作っていくが、肝心のエメット自身はマニュアル通りにしか行動をしたことがない(暮らし方でさえも!)ため、自分の発想で何かを作ることがまるっきりできない。
説明書通りに作ることから自由な発想でモノを作り出す「フリービルディング」へ発展していく過程が描かれる、というのは先日レゴジャパンに敢行したインタビューでも触れたが、本作では同時に、受動的すぎるあまり存在感すらなかった主人公が、自ら積極的に行動を起こすようになっていくその成長も描いており、ストーリー構造に深みを感じられる。
また悪役の「おしごと大王」は「完璧に作った建物が壊されるのが大っ嫌い」という人物であり、レゴブロックが勝手に動かされないように接着剤でブロック同士をくっつけ、世界を支配しようとする。「マスター・ビルダー」たちは自由な世界を奪われないため、「フリービルディング」の力を駆使して「おしごと大王」勢力に対抗していく。実は、この対立図も「レゴブロック」を取り巻く“ある状況”を反映させている。それが何かということについては……映画をご覧になってのお楽しみにしてほしい。
しかしそういった所に注目しなくとも、映画はとにかくハイスピードで展開していくので飽きる隙がない。その間に小ネタやズレた会話劇がそこかしこに挟まれていき、途中ではレゴブロックの組み換えを活かしたアクションシーンも入ってくる。
個人的には、「マスター・ビルダー」集会のシーンで、登場人物の1人「ウィトルウィウス」が「ハリー・ポッター」の「ダンブルドア」と「ロード・オブ・ザ・リング」の「ガンダルフ」を混同して間違えるというギャグがウケた。老年でヒゲモジャの大魔法使いという丸被りのキャラクターをネタにしている(さらにウィトルウィウス自身も同じ風貌)が、そうした作品の枠組みをあっさりと飛び越えてギャグにしてしまうのもレゴブロックならではだ。
ほかにも「スター・ウォーズ」、「バットマン」を始めとしたDCコミックのヒーロー、その他様々なキャラクターが登場する。小ネタを追いかけていると本当にキリがないが、大人向けのギャグもてんこ盛りで、細部に渡った気の配り方には感心してしまう。気になっているならば年齢に関係なく映画館に足を運ぶことをオススメする。
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