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【GDC 2013】Microsoft、Xbox SmatrGlassの最新事情を報告
Xbox 360にスマートなセカンドモニターを! 「NINJA GAIDEN 3: Razor's Edge」の実装事例も紹介
(2013/3/29 19:19)
今年のGDCで、据え置き型ゲーム機を持つゲームプラットフォーマーの中で一番元気だったのは実はMicrosoftだ。残念ながら次世代機に関する話題は一切なかったものの、Windows 8、Windows Phone、Windows Store、そしてDirectXと、ソフトウェアコングロマリットとして今年も話題には事書かなかった。個人的にはSurfaceにおけるゲーミングについてもっと踏み込んでくるかと思われたが、そうでもなかったのが誤算だろうか。
また、Microsoftのゲームに関する中核事業であるXbox 360関連のセッションに限ると、やはり次世代機発表前ということもあるのか、「Halo 4」を手がけた子会社の343 Industriesを除外すると、13セッション中1つしかなかった。そのひとつが、今回取り上げるXbox SmartGlassである。
Xbox SmartGlassは、2012年のE3で正式発表され、日本では11月からサービスを開始、Windows 8搭載PCや、iOS/Android/Windows Phoneデバイスとリンクして、Xbox 360のゲームを含む、様々なエンターテインメントコンテンツにアクセスできる。Xbox 360ユーザーならぜひ利用したいサービスだ。ただ、特に日本では、Xbox SmartGlassの存在を大きくアピールしていないため、まだ利用していない人もいるだろう。今回実施されたセッション「Developing a Second Screen Experience with Xbox SmartGlass」では、Xbox SmartGlassの最新情報が披露されたのでここでまとめておきたい。
Xbox 360に、新たな可能性を提示するXbox SmartGlass
Xbox SmartGlassのMicrosoftのメッセージは非常に明快だ。iOS/Android/Windows Phoneデバイス(以下、SmartGlassデバイス)を、Xbox 360のサブモニターとして使おうというものだ。メインのテレビはXbox 360自身がフルスクリーンで占有してしまうため、SmartGlassデバイスに一部の情報をゆだねて、マルチスクリーンでXbox 360が提供するエンターテインメントをより深く楽しんで欲しいということだ。SmartGlassデバイスにゆだねるデータは、コンテンツそのものではなく情報で、この点は任天堂のWii U GamePadとも、SCEのPS4におけるPS Vitaとも扱い方が異なる。やはりここはWindows 8や自社タブレットSurfaceを持つMicrosoftだけに、若干それらへの配慮も感じられる。
現在対応しているソフトウェアは日本で15タイトル。有名どころとしては「Halo 4」や「Forza Horizon」で、「Halo 4」えはHalo Waypointに繋いでキャラクター情報を見ることができる。「Forza Horizon」ではマップ画面を開いて、GPSのように使うことができる。いずれもXbox 360ならではのリッチな楽しみ方を提供してくれる。
日本ではほぼこの2作止まりだが、海外では「Home Run Stars」(日本からも購入可能)のように、Xbox SmartGlassを利用することで対戦できたり、「Karaoke for Xbox 360」(日本から購入不可)ではスマートデバイスをまさにカラオケボックスの選曲マシンのように使うことができる。
セッションタイトルにもあるように、Microsoftの狙いは、ゲームメーカーにXbox SmartGlassをもっともっと使って貰いたいと考えている。Xbox SmartGlassの各種ライブラリはXbox 360の開発キットXDKの中に含まれているし、SmartGlassデバイス側のソフト開発には別途Xbox SmartGlass Platform SDKが配布されており、HTML5/JavaScriptで書くことができる。
「ポーカー」と「NINJA GAIDEN 3: Razor's Edge」 Xbox SmatrGlassの新しい使い方の提案
このセッションの目的は、参加してくれたデベロッパーに対して「このような使い方はどうですか?」と具体的な事例を見せて導入を促すことだ。Thomas氏はXbox SmartGlassの概要説明を終えると、本題とばかりに2つの具体的な事例を見せてくれた。
1つ目はポーカーだ。Xbox 360にポーカーの“場”を表示し、SmartGlassデバイスにプレーヤーのカードを表示させて、カードをめくったり、捨てたり、コールしたりといった操作を行なう。後からジョインすることも可能。理想的なXbox SmartGlassの使い方と言える。
しかし、デモに使用したクライアントは、ザックリとしたプロトタイプレベルのものだったが、クライアントにはわざわざ“SmartGlass Studio”と記載がされており、今後Microsoftサイドから専門のスタジオで、Xbox SmartGlassの新しい使い方を提案していくことを示唆しているのか、あるいはこの研究開発が何らかの形で次世代機へと繋がっていくのかもしれない。
そしてもうひとつのデモが、コーエーテクモゲームスが4月4日に発売する「NINJA GAIDEN」シリーズ最新作「NINJA GAIDEN 3: Razor's Edge」。本作では、Microsoftとコーエーテクモゲームスの両社の協力で、サードパーティータイトルとしては未だかつてないほどディープにXbox SmartGlassが使用されている。
具体的にはSmartGlassデバイスで、プレーヤーのプレイ履歴やアーチブメント、そして攻略動画を見ることができる。「NINJA GAIDEN」シリーズは高難易度のアクションゲームとして知られるが、どうしてもクリアできないときに、その解法をメーカー自身が動画で教えてくれるというものだ。わざわざ画面を切り替えたりしなくても手元のSmartGlassデバイスで参照できるため、非常に使い勝手がいい。やっていることはSmartGlassデバイスのビューアに、YouTubeの動画を埋め込んでいるだけだ。Xbox SmartGlassは、アイデア次第で、Xbox 360のゲームプレイをよりディープなものにしてくれそうだ。
もうひとつおもしろいと思ったのは、アーチブメントのカウントがリアルタイムで処理されているところだ。たとえば「刀で1,000体の敵を倒す」というモノだった場合、主人公が敵を倒す度にどんどんカウントが増えていく。アーチブメント狙いのプレイの楽しさが増幅される感じで、ゲーマーの立場からも、もっともっとメーカーにはXbox SmartGlassを使いこんで欲しいなと思う次第だ。もちろん、そのためにはMicrosoft自身が模範を示し続ける必要があるだろう。