SCRAP、iOS/Android「マーカスと謎の幽霊屋敷」発表会開催

実際の7日間と連動する謎解きアプリ。記者発表会版「リアル脱出ゲーム」も体験


8月上旬 配信予定

ダウンロード:無料
利用料金:1日目は無料、2日目~7日目は170円



会場となった原宿ヒミツキチ・オブ・スクラップ

 株式会社SCRAPは7月23日、iOS/Android用謎解きゲーム「マーカスと謎の幽霊屋敷」の記者発表会を原宿ヒミツキチ・オブ・スクラップにて開催した。

 「マーカスと謎の幽霊屋敷」は、実際の1週間とゲームがリンクして謎解きをしていく「一週間ゲーム」の第2弾アプリ。プレーヤーは少年探偵団の一員となり、イギリス郊外の架空の町「キャッスルヒル」で7日間に渡って起こる奇妙な事件を解決していく。
 
 ダウンロードは無料で、1日目は無料。2日目から7日目は170円が必要となる(7日目で完結)。対応機種はiOS 4.2以上、Android OS 2.2以上。当初は本日配信となる予定だったが、iOS版がApp Storeの審査が遅れているため延期となり、Android版についても開発を継続するため、配信予定日は8月上旬へと改められた。



■ 現実の7日間がゲームとシンクロ。謎だけでなく、壮大な物語にも注力


SCRAP「マーカスと謎の幽霊屋敷」ディレクターの小森勇太氏
SCRAP代表取締役で「マーカスと謎の幽霊屋敷」プロデューサーの加藤隆生氏

 現実に流れる時間とゲームがシンクロしながら物語が進む「マーカスと謎の幽霊屋敷」は、8月25日から31日までの“夏休み最後の1週間”に起こる出来事を描いている。プレイはいつはじめても1日目から始まるが、その後は実際に7日間がゲーム内でも進行する。1日に1つ起こる事件に対してプレーヤーは毎日挑むこととなり、事件をクリアしていくと、これらの事件それぞれが伏線となって、最後には大きな陰謀へと巻き込まれる、というストーリーが待っている。

 ゲームは、「キャッスルヒル」の探索と登場人物との会話によって進められていく。物語を進めればパズルが提示されたり、アイテムがもらえたり、あるいは物語の核心に迫れる。また「キャッスルヒル」の住人はTwitterのようにリアルタイムで「つぶやく」ため、そのタイムラインを見られる。「つぶやき」の中には物語のヒントが隠されていることもあり、お気に入りに登録するように「覚える」ことができる。あるシーンでは鍵となる「つぶやき」を「思い出す」ことで、ストーリーが進行することもある。細かく「つぶやき」をチェックすることが、事件解決の秘訣だそうだ。

 本作をプロデュースするSCRAPは、イベントに居合わせた即席のチームで大掛かりな謎を解かせるという「リアル脱出ゲーム」をこれまでに多数主催しており、本作にもその経験が活かされている。発表会に登壇したSCRAP「マーカスと謎の幽霊屋敷」ディレクターの小森勇太氏は、「今回は特にストーリーにこだわった」としつつも、「1日に1つの『リアル脱出ゲーム』に参加するような気持ちになれる」と謎の部分がおろそかになっていないことも強調した。

 謎には、ひらめきを必要とするものや論理を必要とするもの、またスマートフォンならでは機能を使ったパズルも多数入っているという。SCRAPでは以前に「一週間ゲーム」の第1弾として「人狼村からの脱出」をリリースしているが、その時のフィードバックには「謎が少なかった」という意見が多くあり、謎のボリュームはかなり増やしているという。

 また「人狼村からの脱出」はリアル脱出ゲームファンに向けて作られたが、SCRAP代表取締役で「マーカスと謎の幽霊屋敷」プロデューサーの加藤隆生氏はターゲット層について「全ての物語を楽しんだ事のある人に遊んでもらいたい」と話し、今回はもっと広い人に遊んでほしい意向を示した。なお「マーカスと謎の幽霊屋敷」は英語版も準備されており、世界の人が楽しめるようになるという。


【スクリーンショット】
プレーヤーは登場人物と会話したり、町を探索しながら情報を集め、謎を解きながら事件を解決していく
登場人物はリアルタイムにつぶやく。これらのつぶやきは時に物語の鍵となるので、こまめなチェックが欠かせない
収録されている謎は、ひらめき系からスマートフォンの機能を活かしたパズルまで様々に用意されている


■ アプリのルーツを実際に体験。ヒントが次々に繋がる「リアル脱出ゲーム」


記者発表会でリアル脱出ゲームをやってしまうという珍しい試み。「百聞は一見に如かず」というわけで、リアル脱出ゲーム未経験の筆者もその面白さを直に感じられた
封筒を開けると入っていた謎たち。解くとそれが次のヒントになっている
木のパズルは問題の1つと組み合わせることで解答を導き出せた

 上記でも少し説明したリアル脱出ゲームの“大掛かりな謎”という部分であるが、これは記者発表会でリアル脱出ゲーム「ある記者発表会からの脱出」が合わせて開催されたので、これの紹介によって「マーカスと謎の幽霊屋敷」のルーツであるリアル脱出ゲームの雰囲気をお伝えしたい。

 「ある記者発表会からの脱出」は、普段は謎を解く制限時間が1時間のところを40分に設定したショート版リアル脱出ゲームとなる。集まった記者はテーブルごとに分かれてチームを作り、協力し合いながら目の前に提示された“謎”を解いていく。

 「ある記者発表会からの脱出」では、テーブルの上に置かれていた封筒を開けるところからスタートした。封筒の中に入っていたのは、4枚の紙と木のパズル。1枚の紙には解答欄だけがあり、その他の紙には「タテ」、「ヨコ」というキーワードと共に問題が書かれていた。問題は掛け算や引き算のある変則的な“魔方陣”を解かせるものや、マスの中にカタカナが羅列してあるものなどがあった。ただし、問題には簡単な指示があるものから全くヒントがないものもあり、どれから取り掛かるかもチームの判断が必要になる。また1つのパズルが解けたとしても、それが新たな問題となっていて、手がかり同士をどう繋げていくかも自分たちの手にかかっている。

 例えば、3枚の紙の問題を解くと「なれのはて」、「モデム」、「フゴウ」と言葉が浮き上がる。これだけでは意味がわからないが、会場全体を見渡すと「タテ 夕焼けの反対は?」、「ヨコ 『ろうそく』に隠れている真実でないもの。」などと書かれた紙が何枚か壁に貼り付けられている。それらを眺めていくうちに、「タテ」、「ヨコ」というキーワードから、ぼんやりと「クロスワードを解かせたいのでは?」と気付くようになる。

 どのクロスワードを解くか、ということについてはやはりノーヒントだが、会場を見渡しているとまた気付くことがあった。小森氏や加藤氏がマイクを持って喋っていた壇上には、「マーカスと謎の幽霊屋敷」のフライヤーを繋ぎ合わせた大きな1枚紙が掲げられていた。よくよく眺めると、黒いマスと白いマス、また二重枠の白いマスもあることに気付き、解くべき「クロスワード」がこれだとわかった。

 この後、問題は会場にあった「マーカスと謎の幽霊屋敷」の試遊版の内容に関するものなどを経て、最終的な答えへと向かっていく。筆者のチームはこの「クロスワード」が立ちはだかって最終解答へと辿り着けなかったが、最初から目の前にあったものが新たなヒントだと気付いたり、ある場所で登場したヒントが全く違う場所で繋がったりということが矢継ぎ早に起こるので、問題が解けても全く気の抜けない緊張感がスリリングで楽しかった。

 ショート版でも問題は十分な手応えで、小森氏が「マーカスと謎の幽霊屋敷」では1日に1つリアル脱出ゲームに参加する気持ちになれると話していたことからも、本作は骨のある謎と共に、リアル脱出ゲームらしい“大掛かりな謎”が体験できると予想される。

 「ある記者発表会からの脱出」の終了後、加藤氏は「マーカスと謎の幽霊屋敷」について述べた。加藤氏は「SCRAPはこれまでアナログなゲームを作ってきたが、このアプリによって物語の中に入ってできる体験をどこまで作れるか挑戦したい。SCRAPでは、世界中で同時に謎解きをさせるWebゲーム『REGAME』を24日の夜から始める。アナログで培った技術をデジタルに移植し、デジタルを遊ぶことでアナログの部分がさらに深まっていくような遊びをこれからも作っていきたい」と話した。

【「ある記者発表会からの脱出」の様子】
会場全体に問題は散らばっていた初対面のチームであっても、どのテーブルも真剣そのもの
紙とペンを駆使しながら取り組む。ネット検索も使って構わない最初から掲げられていた「クロスワード」の問題。こういう仕掛けにハッとさせられる最終的にたどり着くのは4桁の数字。箱を開けて指示通りの行動をすれば「脱出成功」だった

(2012年 7月 23日)

[Reported by 安田俊亮]