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E3 2012 レポート

スクエニ、次世代ゲームエンジン「Luminous Studio」によるデモを実施

ゲームの未来に明るい光をもたらす3分の映像「AGNI'S PHILOSOPHY」


6月5〜7日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



スクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏
スクウェア・エニックス 東京スタジオチーフテクノロジーオフィサーの橋本善久氏
美しく、はかなげだが、邪悪に見える魔術に手を染める女性。短いムービーに深いストーリー性を感じさせる

 株式会社スクウェア・エニックスはE3ブースにおいて、現地時間6月5日、E3の1日目終了後に「Square Enix Special Reception」を開催した。このレセプションではスクウェア・エニックスが開発中の次世代ゲームエンジンLuminous Studioによる技術デモ「AGNI'S PHILOSOPHY」のデモンストレーションが行なわれたほか、キングダム ハーツ シリーズ10周年記念したケーキへの入刀などが行なわれた。

 レセプションではE3でのスクウェア・エニックスブースのスタッフの他、招待された関係者や、プレスなどが集まった。そしてスクウェア・エニックス代表取締役社長の和田洋一氏が、会場に向かって英語で挨拶した。「この1年は、スクウェア・エニックスにとってエキサイティングな年になります。今回、お見せしたタイトルがきちんと発売するだけでなく、今夜、次世代ゲーム技術によるデモンストレーションをお見せします。技術は改善され、大きな進化を迎えました」と和田氏は語り、スクウェア・エニックス 東京スタジオチーフテクノロジーオフィサーの橋本善久氏を紹介した。

 橋元氏は、次世代ゲームエンジンLuminous Studioを発表した。Luminous Studioは“未来のAAAタイトル”を生み出すために作られたタイトルだという。そしてLuminous Studioによる3分間の技術デモを公開した。スタート直前に橋本氏は、数回「これはリアルタイム描画です」と繰り返した。

 デモは中東らしきところに大型のトラックが止まるシーンから始まった。トラックが止まったところは、巨大な岸壁に張り付くように何層もの建物が建てられた街だ。住む人は非常に貧しいのか、建物は廃材のような木や、さびたトタン、古びたタイヤなどを組み合わせた、つぎはぎのような街である。

 その街を繋ぐために渡された橋を。銃を持ち、顔をターバンなどで巻いた男達が渡っていく。カメラはここで、男達を見上げる老人を映し出す。そして場面は変わり、洞窟内にたくさんの蝋燭を灯した部屋が映し出される。そこでは赤いローブに身を包んだ者達が、“儀式”を行なっていた。

 真中の白髪の男は司祭のようで、1人だけ黒いローブをまとい、巨大なクリスタルを握っている。司祭が空を見上げると、まさに日食になろうとする太陽が見えた。そして司祭がクリスタルを掲げると、赤い衣の者達の前にある巨大な骨に赤い虫が群がっていった。虫は骨にくっつくと1つになり、徐々に肉となり、骨の周りに肉体が形成されていく。その儀式を破ったのは、銃を持った男達だった。男達は銃を乱射しながら赤い衣の集団に迫った。

 赤い衣の者達は男達に向かって腕を突き出す。そうすると腕から電撃が飛び出し、襲撃者達を吹き飛ばした。しかしそれでも男達は銃を撃ってくる。銃弾に赤い衣の者達は倒されていく。赤い衣の1人がローブを跳ね上げる。中から現われたのは美しい女性だ。男達の襲撃は止まらず、黒衣の司祭も銃弾で倒れてしまう。司祭からクリスタルを受け取った女性は、街の方に逃げ出した。

 場面が代わり、銃を持った男達が、トラックの荷台に積まれてある檻の中にいるものに注射を突き立てる。トラックの中にいたのは、怪物化した狼。狼はうなりながら女性を追う。女性は逃げながら、水の入ったビンを拾い上げ、座り込む。そして水を見つめると、ビンの中が輝く。光った水で傷口を洗い、その水を飲むと女性はもがき苦しむ。水をかけた腕からは激しく赤い煙が上がるが、そこから腕に潜り込んでいた銃弾が摘出される。水は治癒の力をもたらしたようだ。

 女性は一息つこうとするが、狼が現われ、女性を引き倒す。そして女性の腕に容赦なく牙を打ち込む。仰向けに倒れた女性の目に、日食の太陽が映る。狼が女性の腕を引きちぎる。血がクリスタルにかかる。女性は呪文を唱えていた。呪文に応えるように、建物の隙間から煙と赤い虫がにじみ出してきて、落下しながら牙を持った何かに変わり、そして狼に向かって巨大な口を開けた。

 場面が一転して、巨大な赤いドラゴンに安心したように表情を浮かべている女性が写る。女性がドラゴンの背にまたがると、ドラゴンは空高く飛び上がり街を越え飛翔していく……。

 圧巻なのはそのグラフィックスのクオリティである。橋の下の老人の1本1本描かれている髭、骨に群がり血肉となっていく虫、儀式に力を入れ歪む司祭の表情、様々な者が積み重ねられ雑然とした街などを、いつでも画面を止め、自由な角度で見ることができた。橋本氏はさらに髭の質感や色を3Dグラフィックソフトの「MAYA」を使い切り替えて見せ、映像がリアルタイムであることを強調し、いつでも自由に変更できることを強調した。

 そして橋本氏は、「これがリアルタイム映像であることを、もう1度考えてください。スクウェア・エニックスはこれから、この映像以上のクオリティを持ってゲームを作っていけます。これからの未来は、とても、とても明るいものです」と、デモを終えた。会場からは大きな拍手と歓声が上がった。

 デモの映像の美しさ、緻密さは今回出展された様々なメーカーの最新タイトルと比べてもさらに美しく、細かく感じた。「これからの未来は、とても、とても明るい」といいきる橋本氏の、そしてそれを造り出せたスクウェア・エニックスの“自信”を確かに感じた。そして、筆者は、デモの“センス”にも強く惹き付けられた。

 スラム地区で行なわれている邪悪な匂いのする儀式。それを防ごうとする男達はテロリストにしか見えず、凶悪な獣までもけしかけてくる。美しいヒロインは魔術に手を染め、司祭から託されたドラゴンを召喚する。ドラゴンは禍々しさに満ちていながらも、一瞬だけ甘えたような仕草を女性にして、女性もまた安心したかのように微笑む。善悪の境が曖昧な、複雑な世界観が感じられる。

 美しく、恐ろしく、ダークな雰囲気は、3分の映像にとどまらず、この世界の物語をもっと見たい、そしてゲームとして体験したいと感じた。こう言った吸引力を持ったコンテンツを生み出す力こそ、日本のクリエイターの力だと強く感じた。

山間の貧しげな集落を襲う男達、邪悪な儀式が行なわれていた
苦痛と希望の表情を見せる司祭と、復活しようとしている“何か”
襲撃社に立ち向かう赤い衣の者達。フードの下には美しい女性が
クリスタルを託される。しかし追っ手には凶悪な狼の怪物が。ビンの水に魔力を込める
怪物に組み敷かれる女性。彼女の力に応え、何かが復活を遂げる
ドラゴンと共に、女性は空高く飛翔していく
髭を変えたり、視点を変え、リアルタイム性を強調する
第1制作部コーポレート・エグゼクティブ橋本真司氏と、「キングダム ハーツ 3D」Co.ディレクターである安江泰氏がケーキで「キングダム ハーツ」シリーズを祝った。「ファイナルファンタジー」25周年を祝ったのは、左の米Square Enix CEOのMike Fischer氏

【スクリーンショット】

(C)2012 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

(2012年 6月 6日)

[Reported by 勝田哲也]