チュンソフト、PS Vita/3DS「極限脱出ADV 善人シボウデス」

発売直前記者発表会を開催。打越ディレクターが裏話も含めトークショーを展開


2月15日 開催

【極限脱出ADV 善人シボウデス】
2月16日 発売予定

価格:6,090円(PS Vita/3DS パッケージ版)
   5,480円(PS Vita ダウンロード版)

CEROレーティング:C(15歳以上対象)



メインビジュアル。パッケージにも使用されているグラフィックスで、主人公のシグマと登場キャラクターの1人ファイが描かれている

 株式会社チュンソフトは、2月16日にPlayStation Vita/ニンテンドー3DS用極限脱出ADV「極限脱出ADV 善人シボウデス」(善人シボウデス)を発売する。価格はパッケージ版が6,090円で、PS Vitaのダウンロード版が5,480円。CEROレーティングはC(15歳以上対象)。発売前日となる2月15日には、同作を手がけたディレクターの打越鋼太郎氏やゲストにタレントの原幹恵さんを招いて発売直前記者発表会を開催した。

 「善人シボウデス」は、見知らぬ倉庫に閉じ込められた9人の男女が、そこから脱出するために“協力”か“裏切り”かを常に突きつけられながら、生死をかけた物語が進行していく。

 同作はノベルパートと脱出パートで構成され、ノベルパートはフルボイスで展開するアドベンチャーゲーム形式で進行。ゲーム理論などで有名な「アンビデックスゲーム」(ABゲーム)という“ 裏切りゲーム”が重要な要素となっている。これは「囚人のジレンマ」と呼ばれる問題をベースに作られており、全員が協力し続けていけば一緒に扉から脱出できる仕組みになっているが、疑念や邪心、猜疑心から協力できずに合理的な結末を選べないというジレンマが発生する。同作においても、各場面で様々な手法による駆け引きが繰り広げられる。分岐が多数発生しマルチエンディングとなる。一方、脱出パートでは様々な謎を解きながら脱出しなければならないが、パズルなどミニゲームもちりばめられている。

 同作のディレクターおよびシナリオライターを務めた打越鋼太郎氏は、発売の感想を聞かれると「制作が終了してから発売まで珍しく少し間が開き、胃がキリキリしている。しかし自信作なので、(皆の評価を受けるのが)期待半分、ドキドキ半分です」と自信作である点をアピールしながらも、独特な不安感も感じているようだった。


3DS版ではもちろん裸眼立体視に対応しているので、部屋の作りやアイテムも立体で見えわかりやすいと打越氏はアピール

 同作はタイトルにもあるとおり「極限脱出」シリーズの2作目となるが、同社の得意とするアドベンチャーゲームと脱出ゲームを合体させたサスペンスものとなっている。タイトルの「善人シボウデス」は、善人は生き残れないという「死亡です」と、善人を志している「志望です」を掛け合わしている。相反する意味が同居していることからも、ゲームの雰囲気がうかがい知れると言えるだろう。

 打越氏はゲームの制作を開始するきっかけについて「このゲームは裏切りがテーマ。女の子の写真が並べられているお店に入り、可愛いと思いお願いするとたいてい裏切られる。人ってなんで裏切るのだろうと悩み抜いた」と明かし会場の笑いを誘った。

 こだわった点については、最近のゲームが1本道のストーリー展開が主流であるとしながら、「ここであえて分岐の面白さを追求しようと思い、24種類のエンディングを用意しマルチエンディングになっている。ボリューム感のあるゲームになっている」と、アドベンチャーゲームを得意とする同社らしいこだわりを持って制作に挑んだという。一方で、前作ではプレイしづらいといった意見も見られたことから、今作ではフローチャートを導入。わかりやすさにも気を配ったという。

 複雑なストーリー展開を構築するのにはやはり苦労があったようで、打越氏は「分岐を作るのが大変。辻褄を合わせたり、24もエンディングがあると内容が近いものができてしまうので展開を変えるよう配慮した」と振り返った。ちなみにストーリーについては「ネタバレにも繋がるが、パラレルワールドが重要なキーとなっている」という。通常、主人公は物語の中の住人なので物語が分岐することに気づかないが、このゲームではそのことに徐々に気づき始め、違う歴史を経験することで謎の本質に迫っていくのだという。

 脱出パートについては16ステージが用意されているが、パズル要素に関して前作のパズルが簡単だといった評価があったといい、難易度設定を用意。打越氏は「パズルが苦手な人はイージーでやれば自力で解ける程度。パズルゲームをよくプレイし慣れている人はハードでしてもらえればやり応えがある」とアピール。

 キャラクターについては、前作を担当した西村キヌ氏が好評だったことや作品の雰囲気にマッチしていることから今作でもお願いすることになった。また豪華な声優陣が参加し臨場感溢れる内容になっていることも話題の1つだが、特に印象的なのはゲームの中心的な役割を果たす“ゼロ三世”をTARAKOさんが担当しているという点だろう。“ゼロ三世”についてギャップを出したいと言うことからTARAKOさんを指名。実際に演じてもらってピッタリと感じたという。打越氏は「“ゼロ三世”はゲームを司る存在。ダークなキャラクターをカワイク演じることで怖くなっていく」と表した。

 ここでTARAKOさんのボイスレターが流された。「ついに素敵なゲームが発売されます。初めに聞いたときとタイトルが変わっていて『エー』って驚きました(笑)。演じた後にディレクターさんから『見事に憎たらしかったです』と評されて複雑な気持ちになりましたが、逆に嬉しかったです。ついに発売になるので、私もプレイしますが死亡するか生き残るかわかりません。みなさんもガンガン遊んでください」と収録時のエピソードを紹介しながらアピールした。


ディレクター・シナリオライターの打越鋼太郎氏。シナリオ数は1人に付き電話帳1冊にも及んだとかTARAKOさんのボイスレターが流れた後、サプライズ的にTARAKOさんからのチョコが打越氏に贈られたトークショウ後半ではゲストの原幹恵さんを迎えゲームの印象などの話題に花が咲いた。原さんの一挙手一投足に打越さんはドギマギ
数多くのキャラクターの魅力についても話題が及んだゲームの鍵を握る「ゼロ三世」。CVはTARAKOさん。怖いセリフが連発となるが、TARAKOさんが可愛らしく演じたことでそのギャップが恐ろしさを際立たせているという豪華声優陣による演技も見所の1つだという


ゲストに登場した原幹恵さん。事前に「善人シボウデス」の体験版をプレイした時にはまってしまい、朝の4時までプレイし続けてしまったという

 発表会の後半は、ゲストの原幹恵さんを交えてのトークショウとなった。原さんは体験版をプレイしたといいそのときの感想について「パズルを解けたときが気持ちよく、次々プレイしてしまい、朝4時までプレイしてしまいました」と、ゲームにはまってしまったと明かした。

 キャラクターの裏切られる事について、「子供(クォーク)には裏切られたくないな」と応えると、打越氏はすかさず「まんまと引っかかってますね」と突っ込んでいた。声優陣の感想にもあったというが、「プレイすると人を信じられなくなる……」とポツリ。しかしここで打越氏は「いや最後には……いや、それはいいか」と意外なストーリー展開を見せることを示唆するような発言が口から出かかったが、すんでの所で思いとどまった。

 日頃からゲームをプレイするという原幹恵さんは、「善人シボウデス」について、「のめり込んで時間を忘れてあっと言う間に過ぎていってしまうので、電車の中などでは駅を乗り過ごしてしまいそう。なので、時間のある寝る前とかにやりたいですね」とコメント。最後にゲームについて「実生活では裏切っちゃダメなので、ゲームをプレイしてハラハラドキドキ、気持ちよくなってください。時間が過ぎ去ってしまうのには気をつけて」と締めくくった。


【プロモーションムービー】
アニメーションで構成されたオープニングに当たる部分のムービー
アンビデックスゲームのルールなどもわかりやすく説明してくれるプロモーションムービー

【スクリーンショット】
ノベルパート
アンビデックスゲーム
脱出パート

(C)2012 CHUNSOFT
Amazonで購入

(2012年 2月 15日)

[Reported by 船津稔]