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Taipei Game Show 2012レポート

【Taipei Game Show 2012】FK Digital、「カオスコード」開発者インタビュー
電撃発表されたPS3版の開発経緯を聞く。AC版は春に大型アップデートを実施


2月2日〜6日開催

会場:南港展覧館

入場料:大人200元、子供100元


 今年のTaipei Game Showで、遠い日本の格闘ゲームファンにちょっとした衝撃をもたらしたのが、日本で2011年9月より正式稼働している2D対戦格闘ゲーム「カオスコード」のPS3版への展開発表である。開発拠点の台湾ではリリースされていないため、現地メディアの注目はそれほど高くなかったが、一般のゲームファンは“台湾産のPS3用新作格闘ゲーム”という認識で高い関心をもって迎えられていた。

 パブリッシャーとなるSCE Asiaによれば、現在はまだ技術検証中ということで、「まだ発売が確定しているわけではない」と慎重だが、開発が予定通りに行けば年内にもPlayStation Networkを通じてオンライン販売される見込み。展開地域はアジアおよび日本を予定している。PS3版の基本仕様については、新規モードや新規キャラクターに関してはインタビューを参照していただくとして、ゲーム解像度はアーケード版の4:3の480pを、PS3準拠の16:9の720pにアップスケールする。テクスチャの解像度はそのままなので多少荒くなってしまうが、PS3版で新設されるメニュー類は720pで用意するということだ。

 今回はアーケード版「カオスコード」に続いてPS3版のディレクターを務めるFK Digital 台湾区執行長のMickey Lin氏と、監督を務めるMichael Lin氏に、今回電撃発表されたPS3版の開発経緯と、現在日本で展開されているアーケード版の今後の展開について話を伺った。

【PS3版「カオスコード」】
SCETブースでは、PS3「カオスコード」がプレイアブル出展され、対CPU戦と、対戦を楽しむことができた。インストカードの説明はすでに中文化されており、台湾展開の準備万端という印象を持った

【アーケード版「カオスコード」】
「カオスコード」ファンにとってはお馴染みのゲーム画面




■ 紆余曲折を経て完成したアーケード版「カオスコード」。春にはアップデートを実施

FK Digital 台湾区執行長のMickey Lin氏(左)と、監督を務めるMichael Lin氏(右)。共に「カオスコード」のディレクターを務める
日本市場を濃厚に意識したイメージポスター
Lin氏によれば一番こだわったところはキャラクターだという

編: 「カオスコード」は日本ではアーケードゲームとしてよく知られた存在ですが、FK Digitalという社名はまだあまり知られていないのでまずは会社概要から教えて下さい。

林氏: FK Digitalはオーストラリアの企業で、2004年はオーストラリアで起業した。本格的に開発の環境を整えたのは、2008年に台中に戻ってオフィスを設立してからです。FKでは最初から「カオスコード」を日本向けに制作しようと考え、現地のパブリッシャーが必要だということで、紆余曲折を経てアークさんと組んでパブリッシングを行なうことにしました。

編: オーストラリアが本社で、台中に開発部隊がいるのですか?

林氏: そうです。どうして弊社がオーストラリアの会社なのかというと、我々はオーストラリアに留学中に現地で事業を始めたからです。「カオスコード」の開発を始めたときに、日本向けのプロジェクトなので、カルチャー的に適用する台湾に開発オフィスを移す必要を感じて、地元の台中にオフィスを設立しました。開発オフィスは台湾ですが、開発以外のマーケティングなどはオーストラリアでやっています。人員はオーストラリアに4人、台湾に10人ぐらい。広報スタッフには日本人もいます。

編: なぜオーストラリアに留学して、欧米向けではなく、日本向けのゲームを作ろうと思ったのですか?

林氏: それは留学する前の子供ときから日本のテレビゲームを遊んでいたからです(笑)。中でも「ストリートファイター2」はあこがれの存在です。さらに留学中に、オーストラリア人も日本のスタイルを好む人がいて、なおかつ周りの友達もアジア人が多くいて、日本向けのゲームが作りたいと考えました。

編: なぜPCやコンシューマーではなく、いきなりビジネスとして難易度の高いアーケードゲームを選択したのですか?

林氏: 「カオスコード」のプロジェクトは発足当時、PC版を作ってみようと考えましたが、日本をターゲットとして展開について考えていくうちに、アーケードと相性が良いことに気づきました。アーケード版なら、ネットワーク対戦がなくても店舗で対戦できるということもありました。

編: 「カオスコード」は発表からアーケードでの稼働開始までかなり時間が掛かりましたが、なぜこんなに時間が掛かったのですか?

林氏: 開発が遅れた理由は2つあります。ひとつは2006年に開発が本格始動して、アーケード向けに作ろうとプロジェクトを始めたのですが、いろんな問題点があり、開発が難航してしまったこと。もうひとつはアーケード版の開発が順調になってからパブリッシャーをAMIに決めたら、倒産してしまったので急遽使う基盤を変更せざるを得なくなったこと。この2つが大きな理由です。

編: そこまで苦労してまでなぜアーケード版の開発にこだわったのですか?

林氏: 格闘ゲームの最高の栄誉は、日本の「闘劇」、アメリカの「EVO」の種目になることです。これらの大会の指定タイトルになるためにはアーケードゲームでなければいけません。種目に選ばれることはまだ実現していませんが、それが僕らの夢ですね(笑)。

編: 2011年夏にようやく日本でも稼働開始しましたが、現在までの手応えはいかがですか?

林氏: 運営状況は必ずしも理想的ではないですが、売上的には最初の予想は超えて満足しています。現在もゲームセンターで大会が開かれ、根強い人気があって嬉しいです。

編: 早くもサントラの発売も行なっていますよね。

林氏: サントラみたいな周辺グッズなども、最初から計画に入れていました。アーケード版が稼働した当時、「BLAZBLUE」(エムエムアイ)、「真・恋姫†夢想 ARCADE EDITION」(アールシーアイ)、「AQUAPAZZA」(アクアプラス)という3つの競合タイトルがいて、差別化する必要があると考えたのです。

編: 現在の展開地域は?

林氏: まだ日本だけです。今後、欧米、台湾、オーストラリアの展開も視野に入れています。今はコンシューマー版の開発に力を注いでいます。今後、続編が出ることがでればアーケード、CS同時開発となる予定です。

編: 影響を受けた格闘ゲームはやはり「ストリートファイター」シリーズですか?

林氏: 3つあります。1つは「ストリートファイター」シリーズ。これは僕らのすべての起源です。アートスタイルは「ギルティギア」シリーズですね。それから台湾、香港で展開する際に、これらの地域で根強い人気を持つ「KOF」シリーズも参考にしています。

編: 開発者自身が考える「カオスコード」の魅力とは何ですか?

林氏: キャラクターデザインにポイントを置いています。ただのイケメンキャラ、萌えキャラだけでなく、色んなキャラクターがいます。たとえば、おかまキャラがいるが、単に外見から見ておかまであるだけではなく、言動や雰囲気まですべておかまに仕上げています。

 対戦格闘ゲームとしては、勝負感の表現にもポイントを置いています。緊迫した対戦の中で、負けて悔しい想いをしても、もっとスキルを磨いていきたいという闘争心を芽生えさせることができると考えています。もうひとつは、プレイしてる人だけでなく、観客も笑いを取れるようにゲーム内に様々なネタを盛り込んでいます。たとえば、どこかで聞いたようなアニメの名台詞や、シェフがフライパンを振り回したり。シェフという設定だと、だいたい外見だけですが、我々は、戦いの中にいかにシェフらしさをアニメに織り込むかを考えました。見ている観客もそれを見て楽しんでくれると思います。

編: ユーザーの中にはゲームバランスやバグを問題視する声もありますが、それについてはどう考えていますか?

林氏: もちろん、そういった意見はすべて参考にして、デバッグチームに今後、修正していこうと伝えています。それにしても日本の格闘ゲームファンのバランスへのこだわりは本当にすごい。デバッグチームにきてもらいたいぐらいです(笑)。

編: キャラクターバランスのゴール、無限コンボのような強力なコンボの存在についてはどう考えていますか?

林氏: 我々はもともと完璧なキャラクターバランスは目指していません。バランスがとれていないところにも良い部分はあると考えていて、たとえば弱いキャラで、強いキャラを倒すと、下克上のような楽しさが味わえるからです。ただ、無限コンボのような禁じ手は、ゲームバランスを著しく破壊するので、直さなければならないと考えています。

編: アーケード版の今後の展開はどうなりますか?

林氏: 春にアップデートを予定しています。バランス調整をはじめ様々な追加を予定しています。無限コンボの修正も入る予定です(笑)。各キャラクターのバランスの微調整とキャラクターの追加も予定しています。詳細については後日発表しますのでお待ち下さい。

 今回のバランス調整については、プレーヤーからのフィードバックを受けて、プレーヤーが不満に思っているところを中心に修正しています。強すぎるものを修正する場合でも、単純に弱体化するだけではなく、ほかの部分にも手を入れて全体のバランスを取るようにしています。アーケード版は今後も、忠実な格闘ゲームファンのためにもしっかりアップデートしていきます。

編: アップデートによってタイトルは変更になりますか?

林氏: 将来的には「バージョン2」や「X」みたいにタイトルを変更する可能性はありますが、今回はありません。現在のバージョン1.01で、PS3版が出た後も、アップデートの時期は若干ずれるかもしれませんが、常に同じバージョンをリリースしていくつもりです。




■ PS3版はオンライン対戦モードを実現! 複数の新規モード、新規キャラクターも追加予定

今回の出展バージョンは、「Taipei Game Show」オリジナルバージョン
16:9表示になったことで左右の隙間には常にキャラクターイラストが表示される

編: さて、本日の本題であるPS3版「カオスコード」について伺います。今回なぜSCE Asiaの支援プログラムを受けることになったのですか?

林氏: コンシューマーへの展開を考えていた矢先、SCETさんがオリジナルコンテンツの制作サポートを行なっているということを知りました。開発に必要となるサポートをSCEより提供いただけることで、PS3での開発環境を整えることができましたので、今回PSプラットフォームへの展開を決めました

編: PS3だけですか、今後PS Vitaへの展開もある?

林氏: コンシューマーのプロジェクト発足当初はPS Vitaはまだ発表されていなかったので、現時点ではPS3のみですが、PS Vita版は、PS3版ができたらどうするか考えたいです。もしFKの次のプロジェクトをコンシューマーで展開する場合は最初からPS Vitaも視野に入れるつもりです。

編: Xbox 360版については?

林氏: それはまったくの未定です。SCETさんとの独占契約ではないので可能性はゼロではないです。

編: ビジネスモデルはどのような形を考えていますか?

林氏: パッケージではなく、オンライン配信になると思います。ただ、アジア地域以外の日本や欧米でも展開することを考えているので、パッケージの可能性もなくはないです。

編: アーケード版とPS3版はどのような違いがありますか?

林氏: アーケード版には存在しないトレーニングモードや対戦モード、そのほかにも様々な要素の追加を考えています。今予定しているのは、新規モードの追加、追加キャラクター、バランス調整ですね。

編: トレーニングモード、対戦モードというのはどのような内容になるのですか?

林氏: トレーニングモードは、NPCの動きを指定して、技を訓練できるモードです。対戦モードは、ハンディキャップの設定などをした上でひたすら対戦ができるモードです。そのほかにもたとえば100回何か技を出したりするような挑戦モードなども考えている。そのほかには公表されていないトレーラーや設定画などが見られる「ギャラリーモード」も入れる予定です。

編: PS3版オリジナルの追加キャラクターについてはどのような企画を考えていますか?

林氏: アーケード版でも要望の多い、ラスボスの完全プレイアブルキャラの実装を検討しています。PS3版オリジナルキャラについては、アーケード版との兼ね合いもあるので、慎重に考えていきます。もちろん、いろいろ企画しているが、まだ公表できる段階ではないですね。

編: PS3版で計画しているというオンライン対戦モードについて教えて下さい。

林氏: こちらもまだ詳細を公表できる段階ではありません。開発は進めていますが、ラグの調整などがあるので、まだ時間が掛かりそうです。

編: DLCの配信などはありますか?

林氏: アーケード版は引き続き今後も更新していくので、それに合わせてコンシューマー版ではDLCとして展開することを考えています。

編: アバターアイテムのDLCなどはありますか?

林氏: アバターを変えるのは2Dでは大変なので、今のところ予定していないです。

編: PS3版の発売スケジュールは?

林氏: 会場のデモ機では“2012年中”と案内しています。詳しい発表は今後になります。まずはアジア地域での販売を予定し、次いで日本を計画しています。欧米はまだわかりません。

SCE Asia永野英太郎氏: 補足しておきますと、PS3版のステータスとしては、今のところ技術検証中となります。ですので、これからどういう形がベストかを両社で話し合っていくところです。実は現時点では、発売決定と発表できる段階まで至っていませんが、もちろんリリースする方向で調整していきます。

編: 現在の開発の進捗は?

林氏: まだ基本プレイができるだけです。全体的な進捗でいうとまだ3割ぐらい。追加モードもまだいろいろあるので、今後本格的な開発に入っていくつもりです。基本モードを充実させたあとに、トーナメントモードなども考えていきたいです。

林氏: PS3は若干ハードの癖があるので、技術的にいけるかどうか検証に時間が掛かりましたが、今回ちゃんと動くことが検証できましたので、これから発売に向けて話を進めていきます。「カオスコード」をリリースすることで、台湾で素晴らしいコンテンツができている。ゲーセンで見てても台湾製と気づかない。これは台湾の開発者にとってもいい刺激になるのではないかと思ってます。お互い切磋琢磨して日本を含むアジアのゲームがもっと盛り上がっていくといいですね。

編: ちなみにアーケード版とコンシューマー版の棲み分けについてはどのように考えていますか?

林氏: コンシューマー用で練習して、アーケードで試すという流れが作れたらと思っています。ですから、理想としては、ゲームとしてはまったく同じモノ、同じゲームバランスになることを目指していきます。アーケード版がアップデートされれば、PS3版も更新します。グラフィックスもフレームレートも当たり判定も同じにしていくつもりです。

編: 日本の格闘ゲームファンにコメントをお願いします。

林氏: 応援していただいているファンの皆さん、誠にありがとうございます。当時予想していたものより遙かに高い反応があって嬉しいです。これからも引き続きファンの要望に答えられるように頑張っていきたいです。PS3版は、アーケード版からたくさんのモードを追加していますので、日本で発売された際はぜひ手にとって「カオスコード」の世界に浸ってください。

編: これからも頑張って下さい。応援しています。


【ラスボス】
PS3版に新規プレイアブルキャラクターとして登場するラスボス「Kudlak」。

【Lin兄弟によるエキシビションマッチ】
インタビュー終了後、ディレクター2人で対戦プレイをしてもらった。両者ともアナログスティックではなく、十字キーを使って操作していたのが印象的だった。結果は弟のMichael Lin氏の辛勝だった

(2012年 2月 6日)

[Reported by 中村聖司]