G-Star 2011レポート

【G-Star 2011】Mgame、「B&S」を強く意識した武侠MMO「熱血江湖 2」を出展
カジュアルゲームからド派手なアクションと重厚なストーリーの本格派へ進化


11月10日~13日開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人5,000ウォン
学生/子供2,000ウォン


 MgameはWindows用MMORPG「熱血江湖 2」をプレイアブルで出展した。このゲームは現在日本や韓国、中国などでサービス中の「熱血江湖」の続編にあたるが、見た目やゲームシステムなどは大幅にリニューアルされ、全く別のゲームといえる進化を遂げている。

 「熱血江湖」の原作は日本ではあまり知られていないが、韓国で50巻以上が出版されて今も連載が続いている人気漫画。世界9カ国でサービスされている前作は、原作の世界観をゲーム世界を下敷きにしてはいるものの、4頭身のキャラクターを使うカジュアルなゲームだったため、原作との接点は少なかった。

 続編となる「熱血江湖 2」では、原作者の協力のもと、漫画のエンディングから30年後の世界を舞台に全く新しいストーリーが展開するなど、より漫画原作との融合が図られている。

 G-Star会期3日目にはMgame代表取締役社長クォン・イヒョン氏とKRG Soft代表取締役社長キム・チョンス氏が出席したプレスカンファレンスが開催され、プレスとの質疑応答が行なわれた。サービススケジュールは韓国で来年のサービス開始を目指して開発にあたっている。海外展開は中国地域はある程度前提としているようだが、その他の地域については未定としている。

 このレポートでは、アクションRPGへと進化した「熱血江湖 2」をブースで試遊したインプレッションと、カンファレンスで発表された情報をまとめてお届けしたい。

【ブースの様子】
ゲーム世界に出てきそうな木造建築の中に、試遊台と武器のレプリカが展示されていた
ゲームの登場人物のコスプレをしたコンパニオンさんたちが出迎えてくれた

【「熱血江湖」G-Star 2011 トレーラー】




■ 8頭身キャラのアクションバトルMMORPGに生まれ変わった「熱血江湖 2」

原作に近い、リアルな頭身のキャラクターと世界観に進化した

 「熱血江湖 2」のメインビジュアルを見ただけでは、これが「熱血江湖」の続編だとすぐには気づかないだろう。何しろ原作の世界観をベースにしているという以外は、キャラクターの見た目からマップ、バトル方式までまったく新しいゲームとして生まれ変わっているのだ。

 特に変化が著しいのは、グラフィックスと操作法だ。前作「熱血江湖」は4頭身の可愛いキャラクターだったが、今作は8頭身のリアルなキャラクターと等身大の世界に変わっている。原作から30年後の世界には、原作に登場するキャラクターが未来の姿で多数登場するなど、原作ファンが喜ぶ要素が盛り込まれている。

 また、前作「熱血江湖」はクリックで移動や戦闘をするオーソドックスなゲームだったが、「熱血江湖 2」は基本的にWASDで移動しながら、オートでターゲティングされる敵に向かって「R」、「F」、「V」の3つのキーを使って攻撃するという特殊な操作方法に変わった。

 移動中に「W」を2通しするとダッシュになり、その状態で「Space」キーを押すと大ジャンプになり、さらに「Space」キーを押すと飛行状態になる。このあたりの操作方法や、キャラクターが向いた方向の敵を自動的にターゲットしたり、敵をつかんで投げとばしたり、つかんだまま攻撃するといったアクションには、同じ武侠ものの最新作であるNCsoftの「Blade & Soul(B&S)」の影響が強く伺える。


【登場人物】
原作の30年後、異様な姿になった元主人公たち。その変化の原因を大人になった娘と息子が追及していくというメインストーリーを軸に物語が展開する

 プレスカンファレンスの質疑応答でも「B&S」に対する「熱血江湖 2」の売りはどこですか、という質問が出た。イヒョン氏は「有名なIPなので、多くの原作ファンがいることです」と述べた。前作の4頭身キャラクターから、リアルな頭身のキャラクターに変わった理由は「前作は今でも人気があるので、同じものを作る理由がありませんでした。だから今回は原作に近いキャラクターデザインにしました」からだそうだ。

 ゲームのグラフィックスに関しては、ファンから物足りないという声も上がっているそうで、現在別のレンダリングバージョンを用意して、正式サービスはそちらのバージョンが使われる予定だ。

 目標数値については「前作は中国で同時接続50万人、韓国では9万人を記録したことがあります。今回はそれを上回る数字を目標にしています。このゲームに社運をかけて、大々的なプロモーションを行なっていくつもりです」と意気込みをあきらかにした。


【プレスカンファレンスの様子】
「G-Star 2011」のカンファレンス会場で盛大に行なわれたMgame代表取締役社長クォン・イヒョン氏KRG Soft代表取締役社長キム・チョンス氏
ボスとして登場するキャラクターたちプレーヤーの使用する武器の一部過去の主人公とその妻、そして今回主人公になる息子と娘
【アートボード】
原作の世界観をもとに、原作以上の広がりを持つ世界をゲーム内に再現する



■ 移動のアクション性は及第点、戦闘は敵のAIに課題

原作に近い、リアルな頭身のキャラクターと世界観に進化した

 Mgameは今回「熱血江湖 2」のみに重点を絞った出展で、ブースには「熱血江湖 2」世界に実際に入り込んだような木の家が建っていた。その中と外に試遊台があり、キャラクター選択から最後のボス討伐まで10分程度のプレイを体験できた。

 プレスカンファレンスで指摘されていたグラフィックスについては、確かに他の大作に比べると少し古さを感じるのは否めない。しかし本作が中国市場をメインターゲットに開発されているということを考えれば、スペック的な制約が大きいのかもしれない。

 選択できるクラスは攻守に優れた「武者」、回復スキルを持つ「血医」、弓での遠距離攻撃と敵に状態以上を起こす「射手」、治癒や呪術、召還術など術のエキスパート「術死」、素早い攻撃で相手を幻惑する「刺客」の5種類。試遊では背中にごつい大剣を背負った武者を使用した。武者は1撃の威力が大きいがその分隙も非常に大きいパワータイプ。スキルは刀を大きくふるって周囲の敵を薙ぎ払ったり、連続攻撃を仕掛けたりといった攻撃技が中心だ。また、相手をつかんで放り投げたり、地面に倒した相手をジャンプから急襲するような技もあった。

 本作は自分が主人公になって冒険していくというストーリー性が特徴の1つに挙げられている。試遊でも、NPCと会話をしながら少しずつ先へ進んでいくというストーリー部分を体験できるようになっていた。NPCに話しかけるにはそのNPCをクリックする。すると視点が対面視点に切り替わり、ボイス入りのカットシーンになる。

 移動の自由度はかなり高く、これは本作の大きな魅力といえるだろう。空中移動中に追加入力をすることで空中を走るようなアクションでかなりの距離をゆっくりと滑空したりと、他のゲームとは違うオリジナリティも感じた。

 しかし戦闘部分では逆に物足りなさが目立った。「熱血江湖 2」の戦闘は距離や方向の概念があるアクション戦闘だが、敵の攻撃をタイミングよく避けるといったアクション性は希薄で、敵のAIにはまだかなり改善の余地があるよう思えた。

 最後はダンジョン内のボスモンスターと戦うが、こちらも同様にキャラクターのアクション性に比べると、敵の反応が弱く、攻撃を避けたり位置取りをタイトに入れ替えるという要素が少なく、足元でスキルを連打するだけで勝ててしまった。まだまだ開発中のタイトルなので、このあたりは今後に期待したい。


対面視点に切り替わるイベントシーンや、ダッシュからの大ジャンプなど「B&S」を意識しているような演出があちこちに見られる
アクションバトルはまだ少しもっさり感が目立つ。特に敵のレスポンスには一段の改良を期待したい
ジャンプボタンの2通しで、飛行状態になる巨大ボスとのバトル。試遊だからか、1人でも簡単に倒せた

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(2011年 11月 13日)

[Reported by 石井聡]