ゾンビにマミー、“怖カワ”「ハローキティ」登場の「もんすたあチルドレン」
ソーシャルゲームで実現した新たなサンリオ世界について聞く


10月6日 配信開始

料金:基本プレイ無料(アイテム課金制)


 株式会社ケイブとグリー株式会社は、フィーチャーフォン版「GREE」にて、ソーシャルゲーム「もんすたあチルドレン」を10月6日より配信している。「もんすたあチルドレン」は、株式会社サンリオのライセンス許諾を得て制作されたタイトルで、「ハローキティ」、「マイメロディ」、「シナモロール」といったキャラクターがマミー、スケルトンなどの「もんすたあ」の姿に扮して登場する。

 「ちょっと怖いけど、とってもカワいい!」がコンセプトとなっており、プレーヤーは「もんすたあ」たちと冒険しながら、伝説の秘宝「もんストーン」を集め、「おじゃまチルドレン」に囚われた「ベビィもんすたあ」を救い出す。「ベビィもんすたあ」は「もんストーン」を与えることで様々な「もんすたあ」に変身し、そのコレクションも楽しめる。

 これまでのサンリオキャラクターのイメージとは一味違ったビジュアルに特徴があるが、リリース前からラフォーレ原宿とのタイアップが決まっているなど、ソーシャルゲームとしては珍しいプロモーション展開も実現している。

 今回は本作におけるライセンス周りを担当するサンリオ ライセンス事業本部第一ライセンス事業部の星野希氏と、キャラクターのデザインを務めるサンリオ ライセンス事業本部デザイン部シニアマネージャーの山田周平氏、ゲームの企画開発を担当しているケイブ アライアンス&プロデュース部統括プロデューサーの佐田大祐氏にインタビューする機会を得たので、本作の実現に至った経緯やサンリオキャラクターを活かしたゲームの特徴などについて伺った。




■ サンリオ世界とソーシャルゲームの面白さを融合できた企画

ケイブ アライアンス&プロデュース部統括プロデューサーの佐田大祐氏
サンリオ ライセンス事業本部第一ライセンス事業部の星野希氏

――今回の企画は、どのようなきっかけから動き出したのでしょうか?

佐田大祐氏: ケイブは元々、2Dシューティングゲームの開発元として認知されているゲーム会社ですが、最近はオリジナルのソーシャルゲーム「しろつく」で多くの方に支持されるという実績を作れました。今回はその次の企画として、オリジナルで、かつ魅力的なキャラクターを使ったソーシャルゲームを作りたいと考え、サンリオさんにご提案しました。

星野希氏: 実は去年の冬頃から、多くの企業からソーシャルゲームの企画をご提案いただいていました。しかしそこで提示されるのは、キティちゃんや、サンリオのキャラクターを愛でるといった、ソーシャルゲームとしては決め手に欠けるものばかりでした。

 ソーシャルゲームでは、バトルや交換、コレクションといった要素が重要だと思うのですが、サンリオの世界観では、キャラクター同士が傷つけ合うような戦闘はできませんし、キャラクターは世界に1人しか存在しないので、同じ画面にキティちゃんが何人もいるといった状況も避けなければなりません。そういったことをご提案いただいた企業にお伝えしていると、どれもだんだんと同じ方向に向かってしまうのです。

 サンリオのキャラクターを使ったソーシャルゲームをやりたいとは考えていました。ケイブさんとは去年の秋頃に初めてお会いしてから、抽象的ではあるのですが、サンリオらしさを残しながらどこかで殻を破ってほしいという要求をしていました。

佐田氏: 私達も何度も企画をご提案していたのですが、本当に苦労しました(笑)。

――そこから本タイトルができあがるわけですが、何がターニングポイントになったのでしょうか?

佐田氏: 私達が「しろつく」で培ったノウハウを提示する中で、女性だけをターゲットにするのではなく、男性にも受け入れられるものでないとビジネスとして厳しい、という話はさせていただいていました。しかし、世界観で創りこまれた中では、キティちゃんをただ愛でるだけのゲームしかイメージしづらかったのです。

 そうしていくつかご提案していた折に、今回の「もんすたあ」たちの元となるコンセプトアートをサンリオさんから紹介されました。見た瞬間に、これを活かせば男性にもアピールできるゲームになると確信できました。「もんすたあ」たちのゲームを提案したことでサンリオさんが首を縦に振ってくれて、なんとかゲームの実現に至りました。

サンリオキャラクター同士のバトルは「驚かし合う」ことで解決

星野氏: この企画は、サンリオキャラクターが「もんすたあ」のコスプレをするという世界です。サンリオの世界観がソーシャルゲームにそぐわないというお話しを先程しましたが、バトルは「驚かし合い」、キャラクターが1人しかいないことはキティちゃんなどとは別の「ベビィもんすたあ」から生まれることによって、問題が見事に解決されていました。企画を聞いている段階で、これは面白いと思えるものが出てきたなと感じました。一時はキティちゃんはソーシャルゲームに向いていないのではとも思いましたが、ケイブさんから画期的なご提案をいただけたので、即座にGOサインを出せました。

――このアイデアはどのように発想したのですか?

佐田氏: サンリオキャラクターという枠組みを一旦離れて、単純にモンスターが登場するゲームとして考えることで、割とすんなりと企画がまとまっていきました。モンスターをモチーフとしたゲームは発想しやすかったので、そこにキャラクターの魅力や、世界観の制限を当てはめていくという考え方です。

動きに力を入れたという「もんすたあ」ゲットの瞬間

――開発で最も気にかけたことは何でしょうか?

佐田氏: やはりユーザーの方からしても、今までにないコンセプトのキャラクターたちがゲームの第一印象になると思うので、その気持ちを大事にしたいと思いました。キャラクターたちの魅力を前面に出せるように注力しています。具体的には、「ベビィもんすたあ」が様々な「もんすたあ」へと変身する場面です。この変身はユーザーが最もワクワクする瞬間だと思うので、このシーンのFlashはリッチに作っています。

――ソーシャルゲームとしての面白い仕掛けはありますか?

佐田氏: ビジュアルだけでなく、ゲームの面でも男性に受け入れられるようにしています。最初にもらえるキャラクターは、女性のプレーヤーはキティちゃん、男性はキティちゃんの彼氏のダニエルくんにして、お互いのキャラクターは基本的に交換でしか手に入らないようにしました。

 キティちゃんということで、最初は女性に始めていただけると思います。そこで何が起こるかというと、ゲームを続けてキャラクターの魅力を知る内に、女性から男性にお誘いが行くようになります。男性は女性から誘われるとなかなか断らないと思うので(笑)、そこにポイントを置くことで、女性にも男性にも受け入れられる仕掛けをしています。


現在、ベースとなる「ベビィもんすたあ」は左から「ハローキティ」、「マイメロディ」、「シナモロール」、「ディアダニエル」の4種類



■ こだわりのゾンビ「キティ」は新しいキャラクターコンセプトの象徴

サンリオ デザイン部シニアマネージャーの山田周平氏

――特徴的なキャラクターデザインについてもお聞かせください。ゲーム制作のきっかけとなったコンセプトアートですが、資料にあったということは、以前からサンリオさんで温めていたものだったのですか?

星野氏: これは、今年1月にあった弊社の展示会にて、各セールスが手持ちの資料として、お客様に反応を伺っていた新しいアートで、2月頃から各商品開発のグループが今年のハロウィン時期からの商品化に向けて動いていたものでした。かなり刺激的ですがエッジの立ったビジュアルなので、どのような商品展開ができるか模索中でもあったのです。

――このビジュアルは確かにインパクトがあります。デザインの打ち出しはどのように決められたのでしょうか?

山田周平氏: 弊社の取締役がニューヨークに出張した際に、流行っているゲームやキャラクターを見て「街中ゾンビだらけじゃないか」と感じたことから、「これは必ず日本でも流行るから、ゾンビを描け」と私に命じたのがきっかけです。どちらかと言うと気持ち悪いイメージのゾンビを、キティちゃんに落とし込んで何案か描いてみたのですが、どうしてもかわいくはなりませんでした。かわいさには色々な要素がありますが、どのタイプのかわいさにもならなかったのです。

 あきらめようかと思ったこともありましたが、切り口を変えて、「西洋のモンスター」というコンセプトで考えました。そうすると色々なキャラクターを発想でき、だんだんとイメージが湧いてくるようになりました。

ゾンビではなく、モンスターをコンセプトにすることで、イメージを固めていった

――かわいさと怖さが上手く融合していると思います。

山田氏: 最初に描いたのはドロドロのゾンビでしたが、最終的には上手くまとまったと思います。キティちゃんはブランドやイラストレーターとのコラボレーションが多くて、皆さん自由な発想でキティちゃんを扱ってくれます。私はどちらかと言うと、元のキャラクターを保持する社員という立場なので、少し羨ましいなという思いがありました。また社内では珍しい男性のデザイナーなので、男性ならではのデザインを描こうという2つの思いがあって、作り込みました。

――社内の反応はいかがでしたか?

山田氏: ほとんどが「かわいい」、「新しい」と好反応を示してくれましたが、このゾンビに関しては「ここまでやっていいの?」といった否定的な意見もありました。ただ、ゾンビは新しいキャラクターコンセプトの象徴でもあると思っているので、これは自分のこだわりとして残したいと言いました。

星野氏: この企画は、今までサンリオができなかった商品ができるのではないかという思いでやっています。グッズとしては展開しづらいものであっても、ゲームでは様々なことを積極的にやっていこうとケイブさんともお話ししています。

――グッズ展開では、ラフォーレ原宿とのタイアップもリリース前から決定されていました。ソーシャルゲームとしては珍しい取り組みだと思うのですが、その感想や手応えなどはありますか?

佐田氏: 今までのソーシャルゲームでは有り得ない取り組みだと思います。ゲームから発信されたものがリアルな商品に繋がっていくというビジネスモデルは、サンリオさんとしても新しかったのではないかと思います。我々としては、そこに少しでも力添えできればと思います。ソーシャルゲームの市場としても、これがいい前例になれば、ソーシャルゲームに参入し辛いと感じていた企業も参入しようと考えると思いますし、リアルとの連動という面でもメリットを生み出せると思うので、色々なことをやっていきたいですね。

星野氏: 我々は、グリーさんやケイブさんがリアルで告知できないところを補うような動きをしたいと思っていました。この取り組みはチャレンジでしたが、ゲームが非常に好評で、ラフォーレ原宿さんにはゲームを気に入っていただいたことが、タイアップやアパレルのブランドコラボ企画のきっかけにあります。今後はゲームに登場するものを商品化に繋げようとしていて、これもグッズのメーカーさんに好評をいただいています。ユーザーの意見を反映させながら、ゲームの中でサンリオのキャラクターが独自に育っていくようなものが作れればいいなと思っています。

――現在、何か企画しているものはありますか?

佐田氏: ビジュアルの魅力をさらに強化するためにも、スマートフォン版はやりたいと思っています。またソーシャル的なところでは、今お話しした交換の部分を強化したいですね。キャラクターの魅力を主軸にしたいので、キャラクターをもっと増やしたいと思っています。

山田氏: 私もこのゲームをやっているのですが、ベースのキャラクターのバリエーション(現在は「ハローキティ」、「マイメロディ」、「シナモロール」、「ディアダニエル」の4種類)は増やしたいなと思いました。もっと絵を描かなくてはと。ケイブさんと話をしていない勝手な意見なのですが(笑)。

佐田氏: ぜひお願いします! 今、心の中でガッツポーズを決めています(笑)。

星野氏: まだサービスが始まったばかりですが、「あの子は登場しないの?」などといった声がもう上がってきています。これから告知をしていく中で、周りからも様々なアイデアをもらえると思います。今後はそういった声に耳を傾けていきたいですね。

――それでは最後に、ユーザーの皆様に意気込みやメッセージをお願いします。

佐田氏: まずは見たことのないキャラクターにびっくりすると思うので、それを楽しんでください。ユーザーの皆様とゲームを育てて、よりよいものにしたいと思います。ぜひ、忌憚なきご意見をください。

山田氏: あのかわいらしいキティちゃんがゾンビのような怖いコスプレをしていて、思わずニヤっとしてしまうようなデザインになっているので、普段のイメージとのギャップを楽しんで下さい。私もニヤっとしながら描いています(笑)。

星野氏: 4種類のキャラクターそれぞれのコスチュームがあり、これほどまでにビジュアルのバリエーションがある企画は初めてです。その中で、ユーザーにはぜひお気に入りの子を見つけてもらいたいと思います。そのお気に入りの子を教えていただいて、我々の方でもリアルな商品として見せられるようになればいいなと思っているので、いいことや足りないこと、欲しいなと思っていること、なんでも意見をください。ゲームには「もんすたあ」だけではなく「もんすたあ」に合わせた建物も登場します。個人的にはこちらの建物もかわいくて気に入っているので、そちらもぜひ注目してください。

――ありがとうございました。


【スクリーンショット】
ラフォーレ原宿とのタイアップしたアイテム
ゲームでは、「もんすたあ」に合わせた建物も登場し、コレクションできる
西洋がモチーフの「もんすたあ」だけでなく、アジアがモチーフになった「もんすたあ」も登場する予定だそうだ

【アクセス方法】
・GREEトップ → ゲーム → カテゴリから探す「育成」 → 「もんすたあチルドレン」
 または http://mpf.gree.jp/2954 をURL入力


(C)CAVE Interactive CO.,LTD.
(C)1976,1999,2001,2011 SANRIO CO.,LTD. APPROVAL NO.S 522519

(2011年10月17日)

[Reported by 安田俊亮]