萌え系MMORPG「ティアラ コンチェルト」体験レポート
クールな幼女キャラなどツボを押さえた香港発のオンラインゲーム


9月8日~9日開催(現地時間)

会場:台北市台北華山藝文中心



キービジュアルは、物語のカギを握る少女「シアル」

 台湾Gamania Digital Entertainmentは新作タイトルを発表するプライベートショウ「2011 Gamania Game Show」を9月8日、9日の両日、台北で開催した。

 このレポートでは2日目にプレゼンテーションが行われた「ティアラ コンチェルト」を紹介したい。本作は音楽をモチーフにしたWindows用アクションMMORPG。開発しているFiredog Studio(火狗工房)は、同人誌の会社が出発点という日本のオタク界でも知る人ぞ知る香港の美少女系ゲームスタジオ。MMORPGはこれが初めての作品で、2010年には正式に台湾Gamaniaの子会社になった。

 “日本風萌え系”と銘打っているだけあって、トゥーンシェーディングのキャラクターや日本の声優を使ったキャラクターボイスなど、日本人受けしそうな要素が満載だ。Facebookにある「ティアラ コンチェルト」のFacebookページ(旧ファンページ)にはたくさんの4コマ漫画が掲載されている。またグローバルページも日本語に対応しているなど、日本市場を強く意識した作品といえる。

 昨年のTGSではまだまだやっと動き始めたところで、ゲーム作りはこれからという雰囲気だったが、その後大きな方向転換をしつつ、開発が進められた形跡がうかがえた。今回の試遊では本作の方向性が見えるところまで開発が進んだバージョンをプレイすることができたので早速紹介しよう。

【「ティアラ コンチェルト」トレーラー】


日本風萌え系MMORPG。キャラクターも可愛い女の子が前面に押し出されているブースは冒険の舞台となる空をイメージした青いカーテンに囲まれている「調音師(チューナー)」と「獣人」のコスプレをした女性がバイオリンとクラリネットの演奏で出迎えてくれた
COOでプロデューサーのGabriel Pang氏クリエイティブディレクターのAki Li氏プログラマーのSaion Au氏
コンボなどのアクション要素があり、ゲームパッドでも操作可能メロディを魔法として使う「チューナー」は本作の象徴的な職業火狗工房という漢字名は知る人ぞ知る存在
Facebookの「ティアラ コンチェルト」ページに行くと4コマ漫画が読める。ただし中国語会場でもタブレットで漫画を回覧してくれた現在鋭意製作中。続報を待ちたい



■ オタクなら思わずうなずく定番アバターを完備

 プレーヤーが選べる種族は「人類(ヒューマン)」、獣耳としっぽを持つ「獣人(ビースト)」、クールなしゃべりが特徴の「精霊(エルフ)」の3種類。職業は大剣や大きな斧を振り回す「奏刃者(パフォーマー)」、銃で戦う「撃曲手(コンポーザー)」、大自然のメロディを魔法として使う「調音師(チューナー)」の3種類がある。1つの職業には2つのスキル系統があり、どちらの系統を覚えていくかで同じ職業でも全く違った戦い方をするようになる。

 例えば「コンポーザー」の場合、ナイフを使って素早い近距離攻撃を得意とする系統と、二丁拳銃で中・長距離から攻撃を行なう支援タイプに分かれる。「パフォーマー」の場合は、攻撃力に特化した系統と範囲攻撃を得意とする系統に、「チューナー」は詠唱が長いがその分威力が大きな系統と、短い詠唱で術を発動する系統に分かれている。

 好きな種族と性別で好きな職業を選ぶことができる。同じ職業でも、例えばエルフの女の子のチューナーは清楚で可憐だが、獣人の男のチューナーだと同じメロディの魔法を使っていても応援団に応援されているような元気さがある。


ヒューマンビーストエルフ
パフォーマーコンポーザーチューナー

 「ティアラ コンチェルト」の世界はすべて空に浮かぶ浮島の上にある。プレーヤーは空のフィールドを自由に行き来する浮船を入手することができる。この浮船は自由にデコレート可能で、移動の手段であると同時にコミュニティ要素にもなっている。

 萌えを前面に押し出したゲームらしく、アバターにも定番ものがそろっている。ゲームのキャラクターイラストを手掛けているクリエイティブディレクターのLi氏によれば、セーラー服、巫女服、スク水にメイド服と必要なものは一通りそろっているそうだ。「大好きなので全部入れています」とLi氏。Pang氏も両手でサムアップして自信を見せていた。


メイド服からバンカラ番長服まで、通訳さんが翻訳に困るほどの日本テイストがばっちり完備してある



■ カットシーンもあるストーリー仕立てのステージを試遊

 戦闘はアクション性を楽しむために4人パーティーで参加できるMOタイプのステージが中心となる。今回試遊したのもそのようなダンジョンの1つで、本来はある程度キャラクターを育てた頃に入れるようになるステージなのだそうだ。当初は16人のチームプレイも検討していたそうだが、ゲーム性とのバランスで現状は4人に落ち着いているそうだ。

 試遊ステージは3つのパートで構成されたストーリー仕立てになっている。第1パートは、浮き船の上で「ファイアービースト」というモンスターを退治するというミッション。第2パートは浮き船のキャビンに捕らえられた人質を解放し、動力炉に入って細工をしている敵を倒す。第3パートでは再び甲板に戻ってボスと戦うというものだ。1つのパートの中はいくつかの達成条件に分かれていて、クリアするたびに少しずつストーリーが進んでいく。ミッションの合間には、NPCが演技をする細かい演出やカットシーンもある。


ステージの流れ。3つのパートはさらに細かいいくつかのミッションに分かれている

 操作はゲームパッドとキーボードのどちらも可能。両方を試してみたが、アクション性が強いゲームなので慣れてくるとゲームパッドのほうが使いやすいように思えた。キャラクターは大きな斧を持った獣人のパフォーマー。なぜか番長姿だ。

 左右のアナログスティックで移動と視点切り替え、十字キーは4つのスキルに対応しており、十字キーを押しながらボタンを押すとスキルが発動する。通常攻撃以外のスキルには通常はクールタイムがあるが、戦場で「音素」を拾うと一時的にすべての技がクールタイムなしで発動し放題になる。

 どこにどのスキルをセットしたかを覚えてしまえば操作しやすく、チャージ攻撃や大技の範囲攻撃でコンボが決まると爽快感がある。一度だけ「音素」のクールタイム解放で次から次へと技を繰り出す状態も経験できた。

 ミッションを進めていくと、ピンクの髪をした不思議な少女「シアル」を助ける。彼女は本作の物語「第1篇」の中で重要な意味を持つキャラクターらしい。ボスは最初とても固くて歯が立たないが、シアルが歌を歌うと弱体化する。

 音楽をテーマにしたゲームなので、ゲーム音楽にもかなり力が入っている。手掛けているのは香港では映画音楽で知られ、Firedog Studioが開発した恋愛ゲーム「NeVeROSSA - 緋雪千夜 -」の音楽も手掛けているWai Wong氏。印象的で透明感のあるテーマは耳に残る名曲だ。

 アクションゲームとしてはまだまだ調整が必要な部分があったが、日本のゲームやオタク文化が本当に好きなのだとわかる演出が随所に設けられており、日本人としては思わずニンマリしてしまうところが多い。グラフィックの部分では、今回紹介する4作品の中ではダントツに日本人好みのツボを押さえており、見ただけでは外国産と気づかない人もいるのではないだろうか。すでに日本にも特設ページがあり、日本でのサービスも決定している。まだサービスの時期は未定だが、詳細の発表を楽しみに待ちたい。


甲板の上で「ファイアービースト」を倒す。すべて倒し終わると、船長の指示に従って隣の船にジャンプで乗り移るカットシーンが挿入される
船内でシアルを助け、動力炉にいる敵を倒す
ボスとの戦闘では、シアルが歌でボスを弱体化させる

(C) 2011 Gamania Digital Entertainment Co.,Ltd.

(2011年 9月 10日)

[Reported by 石井聡]